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2012年12月13日 (木)

取りたいけど言えない年次有給休暇の建前と本音

2012_12_2『情報労連REPORT』12月号に掲載した「取りたいけど言えない年次有給休暇の建前と本音」です。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/johororen1212.html

去る11月に厚生労働省が公表した『平成24年就労条件総合調査』で、年休の取得率が49.3%と、昨年の48.1%よりも若干上がったことが新聞等で報じられましたが、年休の取得率を平均の数字だけで論じることにどれだけ意味があるのかいささか疑問です。労働時間についても、一人当たり年間総実労働時間はかつて目標だった1800時間を下回るようになっていますが、むしろ30歳代の男性で週60時間以上働く労働者はいまだ20%程度で高止まりするなど「労働時間の二極化」が注目されていますが、それ以上に二極化が進んでいるのが年休の世界なのです。

上記調査とほぼ同時期に連合総研が公表した『第24回勤労者の仕事と暮らしに関するアンケート調査』(『勤労者短観』)では、年休の取得実績をどれくらい取得したか5段階に分けて調べています。それによると、正社員では「全て取得した」が8.8%、「おおよそ取得した」が13.9%で、両方併せても2割強に過ぎません。それに対して「まったく取得しなかった」が17.4%、「あまり取得しなかった」が36.4%で、両方併せると半分を超えます。その間の「半分くらい取得した」というのは23.1%です。

厚労省の調査結果だけ見ていると、みんなが半分くらい取得しているような勘違いをしてしまいますが、そうではなく、ほとんど取得しない半分強とほとんど取得する2割強とに二極分化しているというのが現実の労働社会なのです。

なぜこういうことになるのか。制度的な要因としては、年休取得は労働者からアクションを起こさなければならないことがあります。年休を取りたいと言い出しかねて黙ったままでいれば、企業側は「年休を取らないのか?」と聞く必要はないのです。そんなの当たり前ではないかと思うかも知れませんが、実はかつてはそうではなかったのです。1954年以前は、使用者がまず労働者に対して請求する時季を聴かなければならなかったのですが、同年の省令改正で、法律に基づかない省令規定の廃止ということで削除されてしまいました。その結果、自分から年休を取りたいと言い出せる勇気のある労働者はほとんど取得する側になり、言い出す勇気のない労働者はほとんど取得しない側にまわるという形で、二極化が進んできたのでしょう。

2008年の労働基準法改正では、年休取得率を上げるためと称して、年休の本質からかけ離れた時間単位取得制度まで導入しましたが、1日数時間だけ申し訳なさそうな顔で休む人が若干増えたところで、事態が改善されたとはとても言い難いのではないでしょうか。この問題は、取得促進という建前論をいくら並べても解決しません。年休を取るのが上司や同僚の手前後ろめたいという日本の労働者の本音を見据えて、後ろめたくなく取得させるにはどうしたらいいのかを、制度の根っこに立ち帰って議論する必要があるように思われます。

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