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2012年12月25日 (火)

企業内労働者代表制度の展望@『JIL雑誌』1月号

New『日本労働研究雑誌』2013年1月号は「企業内労働者代表制度の展望」の特集です。

http://www.jil.go.jp/institute/zassi/new/

提言 労働者代表制度の早急な法制化を 西谷敏(大阪市立大学名誉教授)

論文 企業内労働者代表制度の現状と課題──解題を兼ねて 竹内(奥野)寿(立教大学法学部国際ビジネス法学科准教授)

ドイツにおける企業レベルの従業員代表制度 ベルント・ヴァース(フランクフルト・ゲーテ大学法学部教授)

フランスにおける企業内従業員代表制度 シルヴェーヌ・ロロム(ジャン・モネ大学法学部教授)

イギリスにおける企業レベル被用者代表制度 ルース・デュークス(グラスゴー大学法学部上級講師)

アメリカの企業における従業員代表制度 オーリー・ローベル(サンディエゴ大学ロースクール教授)・アン・マリー・ロファソ(ウェストバージニア大学ロースクール教授)

韓国における企業レベルの従業員代表制度 李哲洙(ソウル大学ロースクール教授)・李多惠(ソウル大学ロースクール博士課程)

労使関係論からみた従業員代表制のあり方──労使コミュニケーションの経営資源性を生かす 呉学殊(JILPT主任研究員)

独仏英米韓の5論文は、今年2月に開かれたJILPT比較労働法セミナーにおける報告論文の翻訳です。

http://www.jil.go.jp/english/events_and_information/120228_report.htm

ちなみに、イギリスについてのデュークスさんの論文は私が訳しています。

ここでは、冒頭の西谷提言を。短いし、どの部分も重要なことを言っているので全文引用しておきます。

http://www.jil.go.jp/institute/zassi/backnumber/2013/01/pdf/001.pdf(労働者代表制度の早急な法制化を)

私はかつて「過半数代表と労働者代表委員会」という小論(日本労働協会雑誌356 号1989 年〉)において,現行の過半数代表制に重大な欠陥があるとして,常設の労働者代表委員会の設置を提案した。その後ほぼ四半世紀が経過したが,この間,過半数代表の機能が一層肥大化する一方,代表者の選出に関する一定の規定(労基法施行規則6 条の2)を除いて,制度改革がまったくなされていないために,事態は一層深刻化している。

第1 の問題は,過半数代表者のあり方である。労働組合の組織率の低下とともに,過半数組合が存在しない事業場が増えているが,そこでは,個々の問題ごとに従業員の意見を代表する者という法律のタテマエとは異なり,通常は一人の労働者がすべての問題に関する代表となっている。しかし,一人の労働者が,すべての問題について「代表」としての役割を果たすことが不可能なのは明らかである。過半数代表制は,少なくとも過半数組合が存在しない場合には虚構と化しているのである

第2 の問題は,この間の非正規労働者の急増(20%から35%へ)にもかかわらず,非正規労働者の声を反映させる仕組みが形成されていないことである。過半数組合が存在する場合でも,多くは正社員しか組織していない。パート就業規則を作成するのに正社員組合の意見を聴取すればよい(パート法7 条にパート代表の意見聴取に関する努力義務規定はあるが)というのは明らかに奇妙な事態である。

以上いずれの面からみても,過半数代表制はきわめて深刻な矛盾をかかえるに至っている。法律のタテマエと現実との乖離は,もはや許容しうる範囲を大きく越えているといわねばならない。そうした状態を放置することは,法令遵守の気風を一層後退させ,労働法規全体を空洞化させるおそれがあろう。

新たな労働者代表制度の確立は急務である。それは,正規・非正規労働者の意見を適切に反映しうる常設の機関でなければならない。労使委員会のような制度(労基法38 条の4 など)よりも,労働者代表から成る機関が必要であろう。

もちろんこの労働者代表機関の具体的な制度設計については,検討すべきことが無数にある。常設機関の構成,委員の選出手続,機関の役割,問題ごとに従業員の意思を機関に反映させる仕組み,等々であり,とりわけ過半数組合が存在する場合の扱いは決定的に重要である。また,この機関の運営に際しても幾多の問題が生じるであろう。しかし,今何よりも必要なのは,現行制度の矛盾が放置できないほどに深刻化しているという事実をふまえて,新たな制度の創設に向けて合意形成を急ぐことである。完全な制度をつくろうとするのではなく,合意できた内容から制度化を進めていくという姿勢が必要であろう。

こうした常設機関のためには,費用負担を含む使用者の援助が必要になるが,使用者はそれを理由として制度化に反対すべきではあるまい。過半数代表制の機能は多様化したとはいえ,依然として最も重要なのは労基法等による原則的基準を緩和するための手続である。その手続が機能不全に陥っているとすれば,規制緩和の正当な根拠が失われ,法は原則的規制に戻らざるをえなくなる。

使用者が現行法程度の規制の緩和を望むのであれば,そのための手続を実効あるものとする制度の創設に協力するのは当然というべきである。また,過半数代表のその他の役割についても,過半数代表の形骸化は法目的に反する事態をもたらしていることになり,これを放置することは許されないであろう。

いずれにしても,新たな制度によって,非正規労働者を含む従業員の意思が企業の諸決定によりよく反映されるとすれば,それは従業員との意思疎通を重視する合理的な経営者にとっても望ましいことといえるのではなかろうか。

ちなみに、この問題についての私の書いたものは、ここに集めてあります。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/jroushi.html

http://homepage3.nifty.com/hamachan/euroushi.html

(追記)

201212なお、上記JILPT比較労働法セミナーの様子については、『ビジネス・レーバー・トレンド』の12月号により簡略版の紹介が載っており、ちょうどこれがアップされたところですので、併せてリンクを張っておきます。

http://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2012/12/index.htm

http://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2012/12/002-013.pdf(従業員代表システムの課題と展望――諸外国と日本の現状)

日本 竹内(奥野)寿 立教大学法学部准教授
ドイツ Bernd Waas フランクフルト・ゲーテ大学法学部教授
フランス Sylvaine Laulom ジャン・モネ大学法学部教授
スウェーデン Jenny Julen Votinius ルンド大学法学部准教授
イギリス Ruth Dukes グラスゴー大学法学部上級講師
韓国 Cheol SooLee ソウル大学ロースクール教授
  IdaD.Lee ソウル大学ロースクール博士課程
台湾 Chin-Chin Cheng 国立中正大学法学部教授
中国 Shangyuan Zheng 清華大学法学部教授
アメリカ Orly Lobel サンディエゴ大学ロースクール教授
  Anne MarieLofaso ウェストヴァージニア大学ロースクール教授
オーストラリア Anthony Forsyth RMIT大学経営・法学大学院准教授

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