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2012年12月 9日 (日)

非正規公務員 1955年の田中二郎案

塩見卓也さんのツイートから、

http://twitter.com/roubenshiomi/status/277428049836904448

今日の研究会、徐侖希さん(早稲田博士課程院生)の韓国非正規職保護法についての発表で、韓国では行政処分によって任用される正規公務員以外で公的機関に就労する非正規職は、「任用」ではなく全て労働契約で、労働法規が全面適用されることを知った。

http://twitter.com/roubenshiomi/status/277428939281031168

日本の公務は、建前では全て行政処分によって「任用」された者が就労することになっているが、地方自治体職員の3分の1以上が非正規に置き換えられ、建前が通用しなくなっている現状では、わが国も非正規職公務は「任用」ではなく労働契約として、労働法規の保護下に置くべきと思う

実は、そういう考え方が今から半世紀以上前の1955年に、与党自由党や政府の公務員制度調査会の案として、示されたことがあります。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/komurodo.html(公務労働の法政策(『季刊労働法』220号))

・・・これより先、1954年3月に閣議決定により公務員制度調査会が設置され、1955年11月に答申が出され、これに基づいて1950年代末まで政府部内で国家公務員法改正案が立案されるということがありましたが、結果的に法改正に結びつきませんでした。しかし、その内容は公務員法制を根本から再検討しようとするもので、今日においても大変参考になります。これに加え、この検討自体が多くの関係者の認識から失われていると思われることから、やや詳しく見ていきたいと思います。

同調査会が審議を開始するのに併せて、与党自由党の行政改革特別委員会国家公務員制度部会も本格的な討議検討を行い、1954年11月9日、国家公務員制度改革要綱案をまとめました。これはまず、「国は、・・・特定の業務について、私法上の雇用関係を結ぶことができるものとし(仮称「国家従業員」)、これは公共の福祉上の要請に基づく点を除き、おおむね一般の民間の雇用関係と同一の法律関係にあるものとする」とした上で、「国家公務員の団体行動権は現状通りとするが、国家従業員については、公共の福祉上問題がない限り、原則として労働三権を適用する」としています。国家公務員の中で労働法の適用関係を区分しようとするのではなく、労働法を適用すべき公的労働者を端的に公務員ではなくしてしまうという解決法で、戦前の日本やドイツの法制への回帰という性質があります。

公務員制度調査会における審議も同様の考え方を基礎として進められました。1955年3月31日に田中二郎委員がまとめた第二次案は、これに加えて労使協議制の導入を打ち出しています。大変興味深いものなので、そのまま引用しましょう。

二(2)(ロ)現行法上国家公務員とされているもののうち、単純な労務に従事する職員(以下「国家労務職員」)は、国家公務員に属しないものとすること。これらの者の範囲は、法令上明確に規定するとともに、これらの者は、私法上の雇傭関係に立つ者として、国家公務員法上の厳重な諸制約を解除又は緩和し、必要な範囲においてのみ特別な規制をなすものとすること。

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