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労働者保護、人手足りず 監督官1人に3000事業所・・・といいつつ

東京新聞の本日の夕刊は、1面トップにどかんと、

http://www.tokyo-np.co.jp/s/article/2012110590135649.html(労働者保護、人手足りず 監督官1人に3000事業所)

過労死や過労自殺が高止まりする中、長時間労働や労災事故など不当な労働条件の改善を指導する労働基準監督官は、東京二十三区では一人当たり約三千の事業所を担当している。人手が足りず、十分な監視の目が行き届かない実態が浮かび上がってくる。

 本紙は、厚生労働省の東京労働局への取材で、昨年度に二十三区の各労働基準監督署が担当した事業所数を確認。厚労省は、労基署ごとの監督官数を公表していないが、労働新聞社(東京都板橋区)が発刊した「労働行政関係職員録 平成二十三(二〇一一)年版」に掲載された管理職を除く監督官の人数から一人当たりの事業所数を算出した。

 職員録では、二十三区で管理職を除く監督官は百三十九人。本紙の計算では、二十三区のうち最も負担が重いのが、大手企業の本社が集まる中央労基署。一人当たり約三千六百の事業所を受け持つ。王子(約三千五百)、足立(約三千四百)と続き、最も負担の軽い亀戸労基署でも、一人で約二千三百の事業所を担当している。長時間労働やパワーハラスメントによる自殺や過労死は後を絶たない。都内では労働者から労基署への年間の申告件数は十年前に比べ千件以上増えた。昨年度、精神疾患にかかり労災を申請した人は全国で千二百七十二人と、三年連続で過去最多を更新。脳・心臓疾患で申請した人は八百九十八人と二年連続で増加した。

 だが、一九六五年以降、監督官一人当たりの事業所数は、全国的にも千五百前後で推移しており、人手不足は解消されていない。

 消費税増税に伴う国家公務員の新規採用抑制が、人手不足に追い打ちをかける。来年度の監督官の採用数は、前年度比四十四人減の四十六人となる。

 今年六月の衆議院の社会保障と税の一体改革に関する特別委員会では、野党から労働行政への影響を懸念する意見も出た。当時の小宮山洋子厚労相は「効果的な監督を実施するよう最大限努力したい」と答弁している。

という記事を載せています。

いや、まったくその通りで、よく書いてくれたという思いはあるのですが、その東京新聞さんの今朝の社説に曰く、

http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2012110502000128.html(会計検査院報告 増税を強いる状況か)

・・・本来なら税金を預かる官僚こそ、正確性や透明性はもちろんのこと、より少ない費用で実施できないかという「経済性」や同じ費用でも最大限の成果を得る「効率性」の原則が求められるべきだ。民間では当たり前の問題意識が決定的に欠けているから、漫然としたまま無駄なお金の使われ方が後を絶たない。

・・・検査院はもっと各省庁に無駄減らしを迫り、必要なら検査院の権限強化など制度の改正も求めるべきである。行政刷新会議の「事業仕分け」との連携も視野に入れるなど、納税者の期待に応える無駄削減に全力をあげてほしい。

もとより不当な支出は許されませんが、こういう味噌も糞も一緒くたにしたような公務員ケシカラン論が、本当に必要な機能は何かという腑分けした議論すら許さないまま、労働基準監督機能のひたすらな縮小をもたらしているという、自らのブーメラン効果をもよく認識していただきたいところではあります。

「民間では当たり前の問題意識」でもってブラック企業の期待に応えるような「無駄削減」に全力をあげることのないように。

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11月5日の東京新聞夕刊は、1面トップに「過労社会」という総タイトルのもと「労働者保護、人手足りず 監督官1人:3000事業所」との大見出しで、労働基準監督行政の問題点を指摘した。業界的には、よく知られた問題で、目新しさはないが、これだけ大きく取り上げていただいた東京新聞のご努力には感謝したい。本音から言えば、皆さんが紹介している一面の記事よりも、三面の方が実態にさらに近い。労働基準行政は、国家公務員職場の中でも、労働組合組織はしっかりしているが、それでも凄まじいばかりの圧力にさらされてい...... [続きを読む]

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