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2012年10月12日 (金)

木下武男『若者の逆襲 (ワーキングプアからユニオンへ)』

12876 木下武男さんより『若者の逆襲 (ワーキングプアからユニオンへ)』(旬報社)をお送りいただきました。ありがとうございます。

http://www.junposha.com/catalog/product_info.php/products_id/793

旬報社のサイトに、「はじめに」がまるごと載っていますので、それをそのまま引用します。木下さん自身による要領の良い紹介になっています。

「今時の若い者は」という言い方は、古今東西いつの時代にもありました。それは若者の純粋さや未熟さからくる行為に、上の世代が違和感を感じてのことだと思います。しかし、現代日本社会で、同じような感情から若者をみるとするならば、それは現実を見誤ることになるでしょう。若者とその上の世代とのギャップは、意識の問題ではなく、働き生活する客観的基盤の大きな「断絶」からきているからです。
   非正規雇用の働き方で、自分の生活をなりたたせなければならない若者たち、正社員なのに過酷な労働を強いられる若者たち。二〇〇〇年代以降、この「断絶」は広がり、深まっています。
   二〇〇六年から、突如として巻きおこった若者の異議申し立ての運動は、日本の労働社会の大きな変化から生まれたのです。「反貧困」・「反格差」をもとめるこの運動は、規模や水準は違いますが、緊縮財政政策に反対するヨーロッパの運動や、「ウォール街を占拠せよ」の標語のもとで起きたアメリカの若者の運動とも共通するところがあります。
   この「新しい運動」の登場や、民主党新政権の誕生は、人びとにいくらかの希望をもたらしたように感じました。しかし、民主党政権は動揺し、自壊しつつあります。人びとは再び時代閉塞感を強めているように思われます。そして、この閉塞感を利用して、過激な新自由主義勢力が台頭しつつあります。
   ユニオン運動はこの時代の転換点にたって、いかなる構想力をもたなければならないのか。それは、若者を中心にした働く者の世界に何が起きているのか、そして「新しい運動」はどのような意味をもっているのか、これらを分析することをつうじて理解されると思います。

   この本は次のように構成されています。第1章は、一九九〇年代から二〇〇〇年代にかけて戦後日本の労働社会に生じた激変を、時代の経過にそいつつ、若者の貧困と過酷な労働に焦点をあてて分析しています。第2章は、その貧困や過酷な労働を克服するために、社会労働運動がきちんと戦略をたてる必要にいま迫られていること、それは、福祉国家とジョブ型労働市場の形成という方向にあることを示しました。第3章と第4章は、その方向に向かっていくためには、これまでの運動を根本的に改革する必要があることを検討しています。
   本書では三人の若者と四つの団体の発言を文中に入れています。どんなに貧困で過酷な労働のもとにあっても人びとは立ち上がりません。三人の若者はワーキングプアからユニオンにたどり着いた少数者です。四つの団体は、「新しい運動」の一翼を担って運動をすすめた団体のリーダーです。ここでの発言は個人的なものであり、団体を代表してのものではありません。四団体についてここで紹介しておきます。
●首都圏青年ユニオン
二〇〇〇年に、パート・アルバイトなど不安定雇用の青年たちが中心となって結成された労働組合です。文字どおり若者を対象にしたユニオンです。つねに若者の現実をリアルに捉え、とくに貧困問題と労働問題とを結合して運動を進めています。「反貧困たすけあいネットワーク」にも積極的に参加しています。
●東京東部労組
一九六八年に結成された地域合同労組です。労働相談活動では定評がある組合で、グーグルの労働相談の検索ではトップクラスにランクされています。若者を対象にした組合ではありませんが、二〇〇九年の大会で選出された委員長の菅野存さんと、書記長の須田光照さんはともに三〇歳代です。ユニオン・リーダーが若者ということです。
●NPO法人「POSSE」
二〇〇六年につくられた若者を対象にする労働NPOです。労働相談活動を軸に労働法を社会に普及させる取り組みや、東日本大震災の復興のためのボランティア活動、年四回発行の雑誌『POSSE』の刊行などの活動をおこなっています。代表は二九歳、編集長も二九歳、事務局長は二五歳という、若者による若者のための労働NPOです。
●NPO法人ガテン系連帯
二〇〇六年に結成されました。私が共同代表をつとめていますので若者の団体とはいえません。しかし、参加している人の多くは若者です。派遣労働者がすぐに労働組合に入れなくても、それを支援していく揺籃のようなものをめざし、また、派遣労働の実態を社会的に訴えるためにつくられました。派遣切りにあって多くの会員が派遣の現場から追われました。

というわけで、POSSEのみなさんの発言が頻繁に出てきます。

木下さんはご承知の通り、この分野ではある意味で一番早い段階から、明確にジョブ型労働市場の実現を主張してきた方ですが、本書でもその主張が繰り返されています。

本ブログで以前、木下さんと八代尚宏さんの対談を取りあげたことがあります。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/post-e71c.html(朝日ジャーナル怒りの復活またはジョブ派対談意気投合)

Ef409dd006967b9a147c14ff5ab2eb82_4 また、近ごろSAPIOのソーシャルが欠けた論壇MAPとかいうのが出回っているようですが、かつてPOSSE誌上で格差論壇MAPというのを提示されたのも木下さんでした。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/07/posse-fb68.html(『POSSE』第4号)

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コメント

この本の67頁3行目において、
「欧米では、それじしん離婚の要件になるような単身赴任を会社は平気で命ずることができます。」
という部分があります。

これは、誤植と見てよいでしょうか?

文脈的にも、事実関係的にも、「欧米では」ではなく、「日本では」だと思うのですがどうでしょうか。

「欧米では、それじしん離婚の要件になるような単身赴任を会社は平気で命ずることができます。」

単純に、読点の位置の問題でしょう。

「欧米ではそれじしん離婚の要件になるような単身赴任を、(日本では)会社は平気で命ずることができます。」

と読むべき文章だと思われます。

なるほど・・・

お忙しい中お時間をとっていただき、ありがとうございました!

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