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2012年10月26日 (金)

常用代替防止法の賞味期限切れ

『労基旬報』10月25日号に「常用代替防止法の賞味期限切れ」を寄稿しました。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/roukijunpo121025.html

 この10月1日から施行された改正労働者派遣法は、法律の題名に「派遣労働者の保護」が入ったことにも窺えるように、2000年代半ばから後半にかけての非正規労働問題の昂揚を背景に、派遣労働者の保護を主たる目的として改正された法律であることは間違いありません。しかしながらその改正内容は、(国会修正で削除された製造業派遣や登録型派遣の原則禁止だけでなく)結果的に残された日雇派遣の原則禁止に典型的に見られるように、依然として27年前の派遣法制定時の常用代替防止を至上命題とするイデオロギーから一歩も抜け出していません。

 もともと派遣の前身である労働者供給事業が禁止されたのは労働者保護の観点からでしたが、それが解禁される際の主たる問題意識は日本的雇用慣行に悪影響を与えないということに変貌していました。新規学卒採用から定年退職までの終身雇用慣行の中にいる正社員ではない分野についてのみ派遣を認めるという、ある意味で極めてエゴイスティックなロジックで派遣法は構築されたのです。その際用いられた「専門業務」というのが、ファイリングにしても事務用機器操作にしても、その名に値しない虚構の「専門職」であったことは、以前に書いたとおりです。

 この虚構を解消する絶好の機会がILO181号条約にもとづく1999年改正であったはずですが、残念ながら常用代替防止法という本質をより一層強化する方向の改正になってしまいました。同改正で導入された派遣期間の上限規制は、しばしば誤解されるような欧州の有期雇用の期間規制とは似ても似つかぬものであり、派遣元から派遣先への派遣サービスの上限規制に過ぎません。つまりそこには、派遣労働者というヒトには何の関心も向けられていないのです。派遣サービスによって代替されうる正社員のことしか心配していないのです。

 かかる派遣労働者保護には何の関心も向けない常用代替防止法という本質をそのままにして、それに派遣労働者保護という問題意識で作り出された期間経過後の派遣先の雇用申込みみなし規定を接ぎ木すると、こういう事態が発生します。すなわち、派遣期間制限はヒトではなくサービスにのみ着目していますから、2年11か月経ったところでヒトの入れ替えは十分あり得ます。そもそも派遣先はヒトに着目してはいけないのですから文句は言えません。その入れ替えられた新人派遣労働者は、しかし常用代替防止法たる派遣法においてはもうすぐ3年目という身分であり、それを過ぎたら派遣先は雇用を申し込んだものとみなされるのです。1か月前に雇用を打ち切られた前任者は、常用代替防止法たる派遣法上は何の権利もありません。

 こういうグロテスクな法状況をもたらす元凶である常用代替防止という法思想に対して、そろそろ賞味期限切れという三行半を突きつけるべき時期に来ているのではないでしょうか。

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