『平成史』に労働の章がないのだが・・・
さて、先週金曜日にご紹介した小熊英二編著『平成史』ですが、私は敢えていわなかったのですが、確かにそういえばそうなんですね。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/10/post-fbb3.html(小熊英二編著『平成史』)
http://twitter.com/shinichiroinaba/status/257461845907107840
実は小熊『平成史』に欠けていて気になっているのは「労働」である。「労働」の章を立てずにおもにそれを「教育」「社会保障」で論じる。これはありうべき選択である。
まさに、仁平さんの章と貴戸さんの章が、それぞれ労働問題の最隣接分野たる社会保障と教育からこの平成の四半世紀の労働のありようを照らし出しているわけですが、さはさりながらそれはあくまで外側から照らし出しているのであって、この間に起こった雇用システムをめぐる変転をそれとして正面から描き出しているわけではもちろんありません。
少なくとも労働問題に関わるものの目からすれば、このある意味における欠落は大きなものですが、しかしながらかかる労働問題の問題としての欠落それ自体がこの平成時代という一時期を特徴づけるものということもできるわけで、それをわざわざこと挙げて妙な因縁をつけるような野卑な真似をするものではないというのが、礼節を心得た人間の行為規範であろうと思われます。
いや、もちろん、稲葉振一郎氏自身は、妙な因縁をつけているわけではなく、
http://d.hatena.ne.jp/shinichiroinaba/20121012/p1
しかし平成史を標榜する本だというのに「経済史」の章がありません。政治サイドの充実(小熊稿のほか菅原琢、中澤秀雄)に比べると何とも……。
と呟いているだけではあるのですが、調子に乗って、
http://twitter.com/hidetomitanaka/status/257122347952250881
稲葉振一郎さんが指摘していたが、平成史なのに経済の側面が事実上なし。経済問題は別物だという認識が強いみたい。経済的知という技術的知への軽視や、経済的認識のむずかしさを嫌うただのなまけもの的様相かな>小熊英二編著『平成史』。
などと罵倒し、
http://twitter.com/atkyoudan/status/257222249671692288
『平成史』で経済が扱われてないとかいう批判、自分の読みたいことが書かれてないからケチつける「~~の視点が足りない」系の典型的なダメ書評ですね。お前の理想の本はお前が書け。
とからかわれている人もいるようなので、気をつけた方がいいとは思います。
もちろん私も気をつけます。
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