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2012年10月13日 (土)

OECD『若者の能力開発』上西さん自身によるまとめ

45926662cover2015020english_2本日、下のエントリで紹介したOECD編、岩田克彦・上西充子訳『若者の能力開発 働くために学ぶ』(明石書店)について、訳者の上西充子さんご自身が、ツイッター上で内容をわかりやすくかつ端的に紹介しておられます。

http://twitter.com/mu0283

さらにそれを、母熊こと本田由紀さんがトゲっておられます。

http://togetter.com/li/389304

それをそのままこっちにコピーするというのはまことに手抜きの最たるものと言えますな。

OECD『若者の能力開発-働くために学ぶ』2012年、明石書店(Learning for Jobs, 2010) 岩田先生との共訳。10/16あたりに大型書店に出る予定。簡単に概略(引用ではない)とコメント(カッコ内)を(後でまとめます)。

(1)Learning for Jobsは17の国・地域における若者向けの初期職業教育訓練(Initial Vocational Education and Training)に関する国別レビューの統合報告書。日本は含まれていない。

(2)(OECD諸国では職業教育訓練の重要性に対する認識が高まっているが、日本はそうではないようで。濱口桂一郎さんがご指摘のように。)

(3)なぜOECD諸国で初期職業訓練への関心が高まっているか。若年失業問題が深刻であるがOECD諸国は非熟練職種では国際競争力がない。そのため、職業教育訓練によるスキル形成と、労働市場への若者の円滑な移行が重要。

(4) 最低賃金や雇用保護などの規制が緩い労働市場では、雇用主は若者を低賃金で雇用できる。しかし若者は低スキル・低賃金の職にとどまって安定的な雇用に移行できない恐れがある。

(5) より規制された労働市場においては、見習い訓練のような道筋を欠いている場合には、若者の労働市場への移行は困難を抱えがち。しかし、企業のニーズにあった見習い訓練が実施されている場合には、見習い訓練を通じて若者の能力を見極めることもでき、円滑な移行・採用が可能。

(6) 後期中等教育段階(日本の高校に相当)で職業教育訓練に参加している学生の割合は国によって大きな差。チェコ、オーストリア、フィンランド、スイスなどは6割以上。韓国、日本などは3割以下。

(7) 15歳の若者が30歳までに就こうと考えている仕事として高スキルのブルーカラーの仕事が選ばれる割合を見ると、チェコ、ハンガリー、ドイツ、デンマークなどでは15%を超えるのに対し、韓国や日本は5%以下。後期中等教育段階における職業教育訓練の規模の違いが影響。

(8)職業教育訓練はどのような職業向けのプログラムを提供するか。そこでは産業界のニーズ、将来のスキル・ニーズ、生徒の選考、がいずれも考慮される必要がある。職業プログラムに職場訓練を組み込めば、職業プログラムの構成は産業界のニーズを適切に反映しうる。

(9)1つの職業で生涯のキャリアをまっとうすることが難しい今日にあっては、新たな職業に向けた学び直しも重要。そのためには、職業プログラムに参加する学生も生涯職業能力開発を可能とする基礎スキル(基礎学力)を身に付けておく必要がある。

(10)しかし、職業プログラムに参加している学生はアカデミックな学習に熱心になれないことも多い。そういう学生向けには、職業的な実践に即した学習が有効。ただしそのためには、一般教育の教員と職業教育の教員の連携が必要。

(11)学生が職業プログラムを選択するにあたっては、キャリアガイダンスが重要。適切なキャリアガイダンスは、学生の職業志向を現実的なものにする。そのためには心理カウンセリングからは独立しており、労働市場情報を十分に把握しているキャリアガイダンス専門職が必要。

(12)また、キャリアガイダンス専門職が利用可能な、労働市場情報の整備が必要。(日本はインターネット上に整備された職業情報「キャリア・マトリックス」が仕分けによって廃止されてしまいました・・)

(13)職業教育訓練の教員と訓練指導員には、高齢化や職場経験が限られているという問題がある。教員や訓練指導員が職場で過ごす時間を制度的に確保すれば、産業界のニーズを知ることができる。また、職場の従業員がパートタイムで職業教育訓練の指導員となることも有効。

(14)職業教育訓練に職場経験を組み込むことは、産業界のニーズにあった職業教育訓練を学校が行うこと、産業界のニーズにあわせてそれぞれの職業プログラムに参加する学生の人数を調整すること、最新の設備を通して学生が現実的なスキルを身に付けることを可能とする。

(15)さらに、職場経験を通じて学生は、仕事の中で直面する問題状況への対処など、教室では学べないスキルを身に付けることができる。ただし、適切な職場経験ができるためには、職場訓練の質管理が重要。

(16)職業資格の枠組みづくりやスキルのアセスメントシステム、職業プログラムの有効性を判断するためのデータ整備(修了生進路調査など)など、職業教育訓練制度を支援する諸ツールの開発が重要である。

(17)別添AはOECD諸国における全国的な職業教育訓練センターを紹介。別添Bは各国の初期職業教育訓練の強みと弱み、そしてOECDからの勧告を収録。最後に用語解説と岩田先生による訳者あとがき。

(18)(とまあ、日本にとってはあまりなじみのない話題が多いわけですが、こういった論点になじみがないままでよいのか、という問題も。例えば日本ではキャリア教育は注目されてきているものの、職業教育への注目度は依然として低い。)

(19)(「職業教育なんて、やっても産業界のニーズに合うものにはならない」といった決めつけが日本では強い。しかし、この本では、職業教育訓練をどうやって産業界のニーズに適合させるか、が論じられている。)

(20)(また、日本のキャリア教育は学生に「やりたいこと」を問いがちだけれど、産業界のスキル・ニーズとのすり合わせは行われていない。職場経験が組み込まれてない職業プログラムは、産業界のニーズとかけ離れた学生の選好を反映した偏ったものとなるリスクが高い。)

(21)(普通教育中心でも高校生や大学生が熱心に学んでいれば問題ないかもしれないが、実際は教育機関に所属しながらも学びから離れていく生徒・学生も多いわけで。また、新卒採用からこぼれ落ちる若者もいるわけで。そういう日本の現状の課題を考える上でも、国際比較の視点は必要か、と)

(22)(あまり部数が出る本でもないので、3800円+税とお高いのですが、研究費や図書館予算でご購入いただければ、と・・)

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