OECD『若者の能力開発』
まだ明石書店のサイトには邦訳版の表紙がアップされていないので、とりあえず原著の表紙を左に貼っておきます。
OECDの「Learning for Jobs」の邦訳が、岩田克彦さん上西充子さんの共訳で明石書店から出版されました。早速おおくりいただき、ざっと目を通させていただきました。ありがとうございます。
http://www.akashi.co.jp/book/b104187.html
OECD17ヵ国における職業教育訓練(VET)システムについてのデータをまとめた一冊。世界的な景気停滞のなか、若者の就労支援、労働市場におけるキャリア開発のために有効なプログラムはどうあるべきか、今後の政策を探る。
本ブログでも何回も述べてきたように、その「OECD17ヵ国」に我が日本国は参加しておりません。この職業教育訓練の研究プロジェクトと表裏一体の関係にある若者の雇用に関しては、日本政府もちゃんと参加し、その成果物も、日本に関する報告書、全体の総合報告書いずれも明石書店から邦訳(濱口監訳、中島ゆり訳)が出版されているのですが、この落差はいったい何なのだろうか・・・というあたりに、実は日本の病弊が現れているという見方も出来ないではありません。
もちろんそれは、OECDの労働担当部局のカウンターパートにあたる日本政府の部局と、OECDの教育担当部局のカウンターパートにあたる日本政府の部局の、この問題に対する感度の差が現れているわけですが。
とりあえず、その「OECD17ヵ国」に韓国が入っていて、さらにOECD加盟国ではないのになぜか中国も最後の別添B「レビュー対象国のアセスメント(評価)概要と政策勧告」に名を連ねているということだけ述べておきます。そのリストに、日本はないのです。そういうことに危機感を感じないくせに・・・いやまあ、それはともかく。
さて、その内容ですが、
序文
謝辞
働くために学ぶ(Learning for Jobs):概要と政策メッセージ
第1章 職業教育訓練の課題
第1節 なぜ職業教育訓練に目を向けるのか
第2節 若者を対象とした職業教育訓練プログラムの価値
第3節 初期職業教育訓練は労働市場の特性にいかに依存するか
第4節 職業教育訓練プログラムを現在の世界に適合させる
第5節 OECDレビュー
参考文献
第2章 労働市場のニーズに合わせる
第1節 財源と職業プログラムの構成
第2節 訓練された者を適切な人数確保する
第3節 職業プログラムにおけるスキルの適切な構成を確保する
第4節 労働市場のニーズに合わせる:結論
参考文献
第3章 キャリアガイダンス
第1節 キャリアガイダンスの主な特徴
第2節 なぜキャリアガイダンスが重要か
第3節 課題
第4節 政策対応
第5節 キャリアガイダンス:結論
参考文献
第4章 有効に働く教員と訓練指導員
第1節 職業教育訓練教員と訓練指導員を分類する
第2節 職業教育訓練機関における教員と訓練指導員
第3節 産業界に属する訓練指導員のための準備
第4節 職業教育訓練機関と産業界とのリンクを強化する
第5節 有効に働く教員と訓練指導員:結論
参考文献
第5章 職場学習
第1節 職場訓練の強み
第2節 職場学習の質を保証する
第3節 雇用主および訓練生にとってのインセンティブ
第4節 職場学習:結論
参考文献
第6章 制度を支援する諸ツール
第1節 利害関係者を巻き込むメカニズム
第2節 職業教育訓練制度を支援するため資格枠組みを活用する
第3節 実践的なスキルをアセスメントする共通ツールを開発する
第4節 労働市場での成果に関するデータを強化する
第5節 エビデンスベースの改善
第6節 政策を支援するツール:結論
参考文献
別添A OECD諸国における全国的なVET(職業教育訓練)センター
別添B レビュー対象国のアセスメント(評価)概要と政策勧告
用語解説
訳者注
訳者あとがき
「若者の能力開発」という邦題は、現在の日本で手にとってもらうためにはやむを得ないと思いますが、原題の「Learning for Jobs」って、なかなかに味わいのあるフレーズですよね。
「働くために学ぶ」
そう、学習とは、仕事をするために、仕事をする上で必要な知識を身につけるというのが出発点であったはずなのです。
« だいたい暗黒卿がリフレ派の本流かよw | トップページ | 名古道功・吉田美喜夫・根本到編『労働法Ⅰ集団的労働関係法・雇用保障法』 »
« だいたい暗黒卿がリフレ派の本流かよw | トップページ | 名古道功・吉田美喜夫・根本到編『労働法Ⅰ集団的労働関係法・雇用保障法』 »
コメント