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『月刊人材ビジネス』9月号でコメント

201209 『月刊人材ビジネス』9月号で、一応有識者の一人として、改正派遣法について一言コメントしております。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/jinzai1209.html

・日雇い派遣の禁止は、秋葉原事件に対する見当はずれのマスコミ報道に押し流された大衆感情立法の典型。日雇いに問題があるのは確かだが、なぜ派遣でない日雇いは何らお咎めが無くて、派遣になったとたんに極悪扱いになるのか、誰一人論理的な説明は不可能であろう。むしろ、日雇い紹介よりも日雇い派遣の方が、派遣元の継続性が担保されて労働者保護になりうる。

・派遣であれ直用であれ、雇用形態として日雇いよりも有期が望ましく、有期よりも無期が望ましいという判断は妥当。それゆえ、業務上そうする必要性のない日雇いや短期雇用を長期化する政策は妥当。しかしながら、(鎌田研報告で指摘されたにもかかわらず)なぜか有期雇用の反復継続(の予定)は常用と認めて届出で特定派遣事業を許している。全く論理的整合性を欠く。

・そもそも派遣法制定前には、一般事務を派遣で認めることに誰も疑問を持っていなかった。むしろそれが中心であることは常識であった。それを、「専門業務だから派遣を認めても問題ない」などという虚妄の議論でごまかしたため、「ファイリング」などという『職業分類表』に存在しない「業務」をでっち上げて四半世紀裸の王様の状態を続けてきた。それを子どもが裸だと指摘したために、それまで当たり前だった事務派遣が危機に追いつめられたに過ぎない。根っこに遡った議論なくして、真の打開策はあり得ない。

・労働契約法改正で有期契約5年で無期化が規定されたことは、日本の労働法制の基本に関わる重要な問題。当然派遣法の規定(3年で派遣先の申込み見なし)もそれに沿った形で見直す必要がある。その際、職種・時間・空間無限定だが社内雇用維持絶対の正社員モデルを前提とした整理解雇法理を適切に修正し、無期派遣労働者の派遣切れ後の雇用維持義務の中身をどう考えるべきか、真剣な検討が不可欠。これは、登録型派遣における登録状態の法的性格をどう考えるのかという、これまで誰もまじめに議論してこなかった問題ともつながる。

・派遣に限らず、非正規労働問題を解決する一つの糸口は集団的労使関係の確立。これはとりわけ派遣業界にとって重要。派遣先で頻繁に発生するいじめ・ハラスメントなどの個別労働紛争を、顧客に強く出られない派遣元とは異なる労働者の利益代表を通じて解決するシステムを真剣に考えるべき。派遣業界主導である種の従業員代表制とその関与する苦情処理制度を設けてはどうか。これが欠如しているが故に、事態が悪化してどうしようもなくなってから外部のユニオンが正義の味方として登場してくる。

なお、より詳しいコメントは、9月末刊行予定の『ジュリスト』10月号の座談会をご期待下さい。諏訪康雄先生の司会のもと、徳住堅治、木下潮音両弁護士と私が各論点ごとに詳しく論じております。

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