中華人民共和国憲法にストライキ権があった時代
ご承知の通り、中華人民共和国憲法には労働基本権は規定されておらず、現実に多発しているストライキの法的根拠もないわけですが、その中国に、かつて憲法上スト権が明記されていた時代があったということをご存知でしょうか。
なんと無産階級文化大革命の真っ最中であった1975年に制定された中華人民共和国憲法の第28条にはストライキ権が明記されていたのです。
ただし、それは労働基本権という文脈ではなく、
第28条 公民は言論、通信、出版、集会、結社、デモ、ストライキの権利を有する
と政治活動の文脈でした。そして、毛沢東主席の下でいわゆる四人組が権力を握っていた時代であることを考えれば、ここに挙げられた諸行動が、どういう立場からどういうことをする「権利」であったのかは自ずから窺われるところで、つまるところ、「革命委員会」が企業管理者や技術者を「社会主義の敵」として「階級闘争」をふっかける「権利」のことであったわけです。
そして、毛沢東が死んで、鄧小平が権力を握って、1982年に制定された憲法では、こんな「極左思想の産物」は削除されてしまいました。
やがて改革開放が進み、社会主義市場経済という名の資本主義化が進み、共産党自身がもはや労働者農民の党ではなく、資本家さんいらっしゃーい大歓迎よ!というふうになっても、かつて極左思想として捨てられたストライキ権というのは未だ法律上は認められた存在ではないのですね。
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