欧州委、団体行動権規則案を撤回
さて、極東諸国家が社会情勢の不安定さとポピュリスト政治家の活躍で異様に熱くなっている間に、欧州では今年3月に欧州委員会から提案された「団体行動権に関する規則案」が撤回されたというニュースが入ってきていました。
http://www.euractiv.com/socialeurope/ec-drops-regulation-right-strike-news-514793
The European Commission has withdrawn proposed legislation limiting workers’ right to strike, amid a furore from trade unions and EU lawmakers in Parliament who waived a "yellow card" to Brussels for stepping over national sovereignty.
欧州委員会は、ブリュッセルは国家主権を踏みにじろうとしていると「イエローカード」を突きつけた労働組合と欧州議会の怒りの中で、労働者のストライキ権を制限する立法提案を撤回した。
この問題については、『労働法律旬報』の4月下旬号に解説を書いたのでご存じの方もいると思いますが、この言い方はいささかミスリーディングなような。
ただ興味深いのは、これがリスボン条約で導入された「イエローカード」条項の発動だったということです。
This was the first time that national parliaments had triggered the so-called “yellow card” principle enshrined in the 2009 Treaty of Lisbon, which allows countries to flag up cases where they believe the Commission has overstepped its powers.
これは各国の議会が2009年のリスボン条約に規定されたいわゆる「イエローカード」原則、つまり欧州委がその権限を踰越
愉悦したと信ずるときに加盟国が旗を掲げることができるという原則が初めて発動されたものだ。
上記『労働法律旬報』における拙論文はこれです。
http://homepage3.nifty.com/hamachan/roujun1204.html(EUにおける経済的自由と労働基本権の相克への一解決案)
この問題、さらになおフォローしていく必要性が高いようですね。
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細かいことですが、権限を「踰越」ですね。
投稿: Ackkey | 2012年9月18日 (火) 16時15分