大内伸哉『いまさら聞けない!? 雇用社会のルール』
大内伸哉『いまさら聞けない!? 雇用社会のルール』(日本労務研究会)をお送りいただきました。怒濤の如く次々に著書を繰り出される大内さんの著書で、
雇用社会の常識となっていることでも、法的にみるとおかしいもの、あるいは根拠がないものが意外にたくさんあります。本書では、働く人にとって誤解しやすい雇用社会のルールを37の質問形式にし、わかりやすく法的に解説しています。月刊「労働基準」連載を大幅改稿!
レベルからいうと、中くらい。はしがきに出てくる問いが、
次の就職に関する説明のうち、正しいものを一つあげなさい。
1 会社は、採用内定を出しても、まだ実際に働く前であれば、自由に内定を取り消すことができる。
2 採用内定をもらい、内定式が終わっていても、労働者(学生)の方から内定を辞退することは許される。
3 会社は、新卒から3年以内の労働者であれば、新卒と同じ扱いにすることが法律で義務づけられている。
4 卒業後、いったんニートになってしまうと、職業訓練校に通わなければ、正社員の募集への応募をすることはできない。
というところからすると、労働法の基礎知識も知らない初心者向けの「実はこうだったんだよおおおおおぉぉぉぉ」という本という面もあるのですが、中身を読んでいくと、結構そこそこのレベルまで突っ込んだ話もしています。とはいえ、『キーワードから見た労働法』や『雇用社会の25の疑問』みたいに、専門家も意識してあえて議論をふっかけてるようなところには敢えて踏み込んでいません。という意味で、「中くらい」です。
中くらいのニーズというのも当然あるので、別にこれはこれでいいのですが、労働法学者としての大内節を期待していると、ちょっと肩すかしを感じる向きもあるかも知れません。
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