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2012年9月

理想という悪魔

本日の名言大賞は、「ふみたけ・脱なめこに一票」さんのこれです。

http://twitter.com/Fumitake_A/status/252218484157730817

己の正義に酔ってる人ほど自分の心に理想という名の悪魔がいることに気づかない。

http://twitter.com/Fumitake_A/status/252219226218168321

理想という悪魔に魅入られ正義という刃を他者に振りかざすことをやめられないようだともはや人間として終わり。世間的にはそうゆう末路を辿った存在を「悪魔」「鬼畜」っていうんだよ。

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大内伸哉『いまさら聞けない!? 雇用社会のルール』

090大内伸哉『いまさら聞けない!? 雇用社会のルール』(日本労務研究会)をお送りいただきました。怒濤の如く次々に著書を繰り出される大内さんの著書で、

雇用社会の常識となっていることでも、法的にみるとおかしいもの、あるいは根拠がないものが意外にたくさんあります。本書では、働く人にとって誤解しやすい雇用社会のルールを37の質問形式にし、わかりやすく法的に解説しています。月刊「労働基準」連載を大幅改稿!

レベルからいうと、中くらい。はしがきに出てくる問いが、

次の就職に関する説明のうち、正しいものを一つあげなさい。

1 会社は、採用内定を出しても、まだ実際に働く前であれば、自由に内定を取り消すことができる。

2 採用内定をもらい、内定式が終わっていても、労働者(学生)の方から内定を辞退することは許される。

3 会社は、新卒から3年以内の労働者であれば、新卒と同じ扱いにすることが法律で義務づけられている。

4 卒業後、いったんニートになってしまうと、職業訓練校に通わなければ、正社員の募集への応募をすることはできない。

というところからすると、労働法の基礎知識も知らない初心者向けの「実はこうだったんだよおおおおおぉぉぉぉ」という本という面もあるのですが、中身を読んでいくと、結構そこそこのレベルまで突っ込んだ話もしています。とはいえ、『キーワードから見た労働法』や『雇用社会の25の疑問』みたいに、専門家も意識してあえて議論をふっかけてるようなところには敢えて踏み込んでいません。という意味で、「中くらい」です。

中くらいのニーズというのも当然あるので、別にこれはこれでいいのですが、労働法学者としての大内節を期待していると、ちょっと肩すかしを感じる向きもあるかも知れません。

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りべさよ人権論の根っこ

ユニオンぼちぼち リバティ分会(大阪人権博物館学芸課・教育普及課分会)のブログに、興味深い記述がありました。

http://unionbotiboti.blog26.fc2.com/blog-entry-308.html権利と聞いて何をイメージしますか?

・・・次に、今まで受けてきた人権教育、人権啓発の内容について質問します。
 被差別部落、在日コリアン、アイヌ民族、障害者、パワーハラスメント・セクシュアルハラスメント、ジェンダー、人種差別など、その特徴は個別の差別問題があげられることです。

権利に対して抱いているイメージが抽象的か具体的かについては、そのおよそ7割が抽象的だったと答えてくれます。身近かどうかについても、6~7割程度が「身近ではない」に手を挙げます。
 受けてきた人権教育・人権啓発を数多く書いてくれる人も中にはいるのですが、「働く権利」と書く人はほとんどいません。子どもでは皆無です。

この質問を考えたときに想像していた通りの結果にはなっているのですが、これが現状です。日本社会で権利がどのように受けとめられているかがよく分かりますし、状況はかなり深刻ではないかと感じています。
 人権のイメージが抽象的で自分に身近なものとは感じていないのですから、これではなかなか自分が人権をもっていると実感することはできません。まさに人権は、特別な場で特別な時間に学ぶものになってしまっています。
 最後に、「人権は誰のものですか?」と聞くと、多くの人は「全ての人のもの」と答えます。なのに、人権について繰り返し聞いたこれらの質問を考えるとき、自分に関わる質問だと感じながら考える人は多くないようです。「みんなのもの」なのに、そこに自分はいないのでしょうか。

まさにここに、世界でごく普通に認識されている人権とはかなり異なる日本における「人権」のありようが透けて見えます。

なぜこのような現状になっているのか。その問題を考えるとき、従来おこなわれてきた人権教育や啓発の問題を考えざるを得ません。
 質問に対する答えにも書いたように、人権教育や啓発でおこなわれている大半は、個別の差別問題に対する学習になっています。リバティに来館する団体が学芸員の解説で希望するテーマも、やはり多くは部落問題や在日コリアン、障害者の問題などになっています。
 もちろんこれらの問題も、被差別者の立場以外の人にこそ、自分自身が問われている問題だと考えて欲しいと思っています。しかし、リバティに来る子どもたちを見ていると、人権学習は固くて、重くて、面白くない、自分とは関係ないものだと感じていることがよく分かります。
 人権のイメージを聞かれて、「差別」と書くのも、人権学習は差別を受けて困っている人の話だと思っていることが影響しているのかもしれません。
 このような意識を変えていくためにこそ、労働に関する問題と働く権利の話を伝えていくことが必要だと思っています。

この異常に偏った「人権」認識が、例えば赤木智弘氏の「左派」認識と表裏一体であることはいうまでもありませんし、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/post_2af2.html(赤木智弘氏の新著その2~リベサヨからソーシャルへ)

男性と女性が平等になり、海外での活動を自己責任と揶揄されることもなくなり、世界も平和で、戦争の心配が全くなくなる。

で、その時に、自分はどうなるのか?

これまで通りに何も変わらぬ儘、フリーターとして親元で暮らしながら、惨めに死ぬしかないのか?

をいをい、「労働者の立場を尊重する」ってのは、どこか遠くの「労働者」さんという人のことで、自分のことじゃなかったのかよ、低賃金で過酷な労働条件の中で不安定な雇傭を強いられている自分のことじゃなかったのかよ、とんでもないリベサヨの坊ちゃんだね、と、ゴリゴリ左翼の人は言うでしょう。

ニュースなどから「他人」を記述した記事ばかりを読みあさり、そこに左派的な言論をくっつけて満足する。生活に余裕のある人なら、これでもいいでしょう。しかし、私自身が「お金」の必要を身に沁みて判っていながら、自分自身にお金を回すような言論になっていない。自分の言論によって自分が幸せにならない。このことは、私が私自身の抱える問題から、ずーっと目を逸らしてきたことに等しい。

よくぞ気がついたな、若いの。生粋のプロレタリアがプチブルの真似事をしたってしょうがねえんだよ、俺たち貧乏人にカネをよこせ、まともな仕事をよこせ、と、あんたは言うべきだったんだ、と、オールド左翼オヤジは言うでしょう。

そして、人権擁護法案に対するこういう反応の背後にあるのも、やはり同じ歪んだ人権認識であるように思われます、

http://homepage3.nifty.com/hamachan/hirotakaken.html(ミニ・シンポジウム「教育制度・教育政策をめぐって(2)――教育と雇用・福祉」 )

数年前に、若者関係の議論がはやった頃に結構売れたのが、フリーターの赤木智弘さんが書いた本です。その中で、彼は「今まで私は左翼だったけど、左翼なんかもう嫌だ」と言っています。彼がいうには、「世界平和とか、男女平等とか、オウムの人たちの人権を守れとか、地球の向こう側の世界にはこんなにかわいそうな人たちがいるから、それをどうにかするとか、そんなことばかり言っていて、自分は左翼が大事だと思ったから一生懸命そういうことをやっていたけど、自分の生活は全然よくならない。こんなのは嫌だ。だからもう左翼は捨てて戦争を望むのだ」というわけで、気持ちはよくわかります。
 
 この文章が最初に載ったのは、もうなくなった朝日新聞の雑誌(『論座』)です。その次の号で、赤木さんにたいして、いわゆる進歩的と言われる知識人たちが軒並み反論をしました。それは「だから左翼は嫌いだ」と言っている話をそのまま裏書きするようなことばかりで、こういう反論では赤木さんは絶対に納得しないでしょう。
 
 ところが、非常に不思議なのは、彼の左翼の概念の中に、自分の権利のために戦うという概念がかけらもないことです。そういうのは左翼ではないようなのです
 
 もう一つ、私はオムニバス講義のある回の講師として、某女子大に話をしに行ったことがあります。日本やヨーロッパの労働問題などいろいろなことを話しましたが、その中で人権擁護法案についても触れ、「こういう中身だけど、いろいろと反対運動があって、いまだに成立していない」という話を、全体の中のごく一部でしました。
 
 その講義のあとに、学生たちは、感想を書いた小さな紙を講師に提出するのですが、それを見ていたら、「人権擁護法案をほめるとはけしからん」という、ほかのことは全然聞いていなかったのかという感じのものが結構きました。
 
 要するに、人権を擁護しようなどとはけしからんことだと思っているわけです。赤木さんと同じで、人権擁護法とか人権運動とか言っているときの人権は、自分とは関係ない、どこかよその、しかも大体において邪悪な人たちの人権だと思いこんでいる。そういう邪悪な人間を、たたき潰すべき者を守ろうというのが人権擁護法案なので、そんなものはけしからんと思い込んで書いてきているのです。
 
 私は、正直言って、なるほどと思いました。オムニバス講義なので、その後その学生に問い返すことはできませんでしたが、もし問い返すことができたら、「あなた自身がひどい目に遭ったときに、人権を武器に自分の身を守ることがあり得るとは思いませんか」と聞いてみたかったです。彼女らの頭の中には、たぶん、そういうことは考えたこともなかったのだと思います。
 
 何が言いたいかというと、人権が大事だとか憲法を守れとか、戦後の進歩的な人たちが営々と築き上げてきた政治教育の一つの帰結がそこにあるのではないかということです。あえて毒のある言葉で申し上げますが。
 
 少なくとも終戦直後には、自分たちの権利を守ることが人権の出発点だったはずです。ところが、気が付けば、人権は、自分の人権ではなく他人の人権、しかも、多くの場合は敵の人権を意味するようになっていた。その中で自分の権利をどう守るか、守るために何を武器として使うかという話は、すっぽりと抜け落ちてしまっているのではないでしょうか
 

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生活保護の就労支援策

ちょうど、一昨日の法政大学院の講義で労働市場のセーフティネットを取り上げ、熱心な議論をしてもらったところですが、昨日厚労省の社会保障審議会生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会に提示された論点案が興味深いです。

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002kvtw-att/2r9852000002kvvd.pdf

ただ、その前にひと言。確かに例の河本事件で世間の(レベルの低い)関心は不正受給がらみに集まっているのかも知れませんが、昨日の論点案を1面トップで「生活保護 扶養できぬ理由、説明義務 厚労省が見直し案」てのは、あまりにもレベルが低くて悲しくなります。それは最後の方にちょびっと出てくる話に過ぎないのに、それが全てであるかのような・・・。

http://www.asahi.com/national/intro/TKY201209280697.html(生活保護 扶養できぬ理由、説明義務 厚労省が見直し案)

この点に関しては、読売の方が冷静。

http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20120929-OYT1T00242.htm?from=ylist(生活保護受給者の就活支援…厚労省が対策案)

さて、このペーパーの全体像は、

Ⅰ 新たな生活困窮者支援体系に関する論点
1.総合的な相談と「包括的」かつ「伴走型」の支援
2.就労支援の強化
3.家計再建に向けた支援の強化
4.居住の確保
5.「貧困の連鎖」防止のための取組
6.地
Ⅱ 生活保護制度の見直しに関する論点
1.切れ目のない就労・自立支援とインセンティブの強化
2.健康・生活面等ライフスタイルの改善支援
3.医療扶助の適正化
4.不正・不適正受給対策の強化等
5.地方自治体の負担軽減

さまざまな論点を網羅しており、どれも論ずべきことはいっぱいあるのでしょうが、ここではなによりもまず就労支援関係について。

ここで出てくるコンセプトとして注目すべきは「中間的就労」でしょう。一昨日の講義でも意見が出ていたように、生活保護受給者をいきなり一般就労の場に出しても、生活習慣などの問題があってうまく行かない。そこで、「直ちに一般就労を目指すことが困難な人に対して、社会的な自立に向けたサポートをする仕組みを組み込んだ「中間的就労」などを提供」するという発想です。既に地域でそういう取り組みはされているわけですが、それを生活保護制度の中にきちんと組み込んでいくという方向性です。

この関係で、若者支援など別の流れで注目されているいわゆる若者統合型社会的企業ともつながってくる可能性もあります。

もう一つはその次の段階の一般就労に向けた「自治体とハローワークとが一体となった就労支援」です。ここで、

今後、ワンストップ型の支援体制をハローワークと全国の福祉事務所の間で整備することにより、就労支援の必要な対象者を確実に把握し、早期に支援を開始することができる体制を構築してはどうか

具体的には、全国の福祉事務所ごとの就労支援の対象となる生活保護受給者数の規模に応じ、①常設のワンストップ窓口の設置、②ハローワークから福祉事務所への定期的な巡回相談によるワンストップ支援体制の整備、③予約相談制の導入等その他の連携体制の構築の3類型に分けて対応してはどうか。

といったことが提起されています。

次の「家計再建に向けた支援」として、「「多様な就労機会」と「家計再建+居住の確保」等の新たなセーフティネットの導入の検討」が提起されています。とりわけ重要なのは住宅問題でしょう。

①就労支援情報と居住支援情報のワンストップ化(総合的な相談支援センター等へ公営住宅等の情報を提供)
②公的賃貸住宅を活用した離職者等の居住安定化
③離職者を含めた低額所得者に対する民間賃貸住宅の供給支援

「「貧困の連鎖」防止」も重要な論点で、先日本ブログで紹介した埼玉県の事例も載っています。

これらを踏まえた生活保護制度の見直しとして、

保護開始直後から脱却後まで、稼働可能な者については、切れ目なく、また、どの段階でも就労・自立支援とインセンティブを強化することとし、以下の観点からの取組が必要と考えられるがどうか。

として、まず保護開始当初から、

○ 保護開始直後から早期で集中的な就労支援
・就労可能な者については、就労による保護からの早期脱却を図るため、保護開始時点で例えば6か月間を目途に、受給者主体の自立に向けた取組についての計画の策定を求め、本人の納得を得て集中的な就労支援を行う。
・なお、一般就労が可能と判断される者であって、自らの希望を尊重した就労活動を行っても3ヶ月(場合によっては6ヶ月)経過後も就職の目途が立たない場合等には、職種・就労場所を広げて就職活動を行うことを基本的考え方とすることを明確にする。

開始後3~6か月段階では、

○ 「低額・短時間であってもまず就労すること」への就労支援方針の明確化(月額5万円程度の収入をイメージ)
・それまでの求職活動を通じて直ちに保護脱却が可能となる程度の就労が困難と見込まれる稼働可能者については、低額であっても一旦就労することを基本的考え方とすることを明確にする。(収入は低いとしても、生活のリズムの安定や就労実績を積み重ねることで、その後の就労につながりやすくなる。)

就労開始した段階では就労インセンティブとして、勤労控除を見直し、

このため、全額控除となる水準や控除率の見直しを検討する。
・上記と併せ、特別控除(※)については、その活用の程度にばらつきがあることから廃止も含めた見直しを検討する。

最後の保護脱却段階では、

○ 「就労収入積立制度(仮称)」の創設
・現在、生活保護受給中の就労インセンティブ策として勤労控除制度が存在するが、保護受給中には原則預貯金が出来ない一方、保護脱却後には新たに各種税・社会保険料負担が生じるため、保護脱却によりかえって手取り収入が減ってしまうことが脱却をためらわせるとの指摘もあることから、脱却インセンティブの強化につながる取組みが必要。このため、保護受給中の就労収入に応じて一定額を仮想的に積み立て、安定就労の機会を得たことにより保護廃止に至った時に支給する「就労収入積立制度」を創設する(詳細は以下参照)。

さらにいくつか論点が書かれていますがそれは省略します。こういったいわゆるワークフェア的政策については、もちろん福祉重視派からはいろいろな批判がされるところでしょうが、社会全体の連帯を維持するという観点からは避けて通れないところであり、これからどういう風に肉付けし、具体化していくかが問われることになると思われます。

こういうところが弱かったないし欠落していたことが、いったん入ったらなかなか出て行かない、だからなかなか入れたがらない、という悪循環を生んでいたことは間違いないわけで、「入りにくく出にくい」制度から「入りやすく出やすい」制度にしていくためには不可欠な取り組みであることは間違いありません。

最後の項目に不正・不適正受給の問題が取り上げられているのは、もちろん当然ではありますが、ややもすると世間の感情論が行きすぎる危険性もある分野であり、政治家の方々もそれぞれに一家言お持ちだったりする中でなかなか難しいところではありますが、うまくハンドリングしていただきたいところです。

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石水喜夫『現代日本の労働経済』岩波書店

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石水喜夫さんの『現代日本の労働経済』(岩波書店)をお送りいただきました。

石水さんはいうまでもなく6年間にわたって労働経済白書を執筆してきた労働エコノミストの代表であり、現在は京都大学で教鞭を執っています。

失業や不安定雇用といった現代日本が抱える労働問題の現状を,豊富なデータから多角的に描き出し,経済運営の抜本的な転換に向けた経済理論と政策論を構想する.「労働経済白書」の執筆を担ってきた著者が,主流派の市場経済学に代わる新たな労働経済論の枠組みをトータルに提示.

第1部の「労働経済の分析」が、労働経済白書で書けなかったところまで踏み込んだ総集編であるのに対し、第2部の「理論研究の課題」は、石水さん独自の経済学を構築しようという試みと言えます。

主流派の市場経済学に対して政治経済学を対置するその情熱的な語り口には、心を動かされる人々も多いに違いありません。

ただここでは、あえて石水さんの思想と私の思想の違いをクリアに示しておきたいと思います。ともに、労働者のための、より良き労使関係のための政策を目指しているはずですが、なにが労働者のためであり、より良い労使関係であるかについては、かなり大きな乖離が両者の間には窺われるからです。

石水さんには、OECDの雇用戦略や日本の構造改革論といった「外在的」な、敢えて言えば余計な横からの入力のせいで、素晴らしかった日本の雇用慣行が崩れてきた、というイメージが強固にあるように見えます。そういう側面があることは否定しません。

しかし、本当に日本のそれまでの仕組みが、その中にいる人々みんなにとって良きものであったのなら、たかが横からの雑音ごときで崩れるはずはないのではないでしょうか。

90年代にアングロサクソン的なバイアスのかかった改革論が持て囃された原因には、それに呼応する感覚があったからだと思います。

もう少し腑分けしていうと、石水さんの議論には、日本型システムにおいてもともと周縁的な立場やその外側にいた人々にとってそれがどういう存在であったかという観点が薄いように思われます。

また、それと対比的に内部にいる人々にとって、日本型システムがもたらすその長期的なキャリア保障という望ましい側面と裏腹の形で存在していた極めて強い組織への義務づけが、決して嬉しいばかりのものではなかったという(70年代、80年代の議論では後ろに隠れがちであった)側面も、なぜ90年代に「社畜」批判という形で吹き上がったのかを理解する上で逸することはできないでしょう。

これらを全て、OECDやら構造改革論といった横からの入力に騙されたのだという風に考えてしまうと、それこそ労働経済だけではない社会のさまざまな側面まで総合的に勘案した社会政策の視点にはならないように思われます。

むしろ、正しい問題設定はこうあるべきではないでしょうか。すなわち、90年代初頭から提起されてきていたまっとうな日本的システムへの疑義を、安易にアングロサクソン型の市場原理主義に載っかる形でしか実行できなかったのはなぜか、と。

これらは、主に第1部の第3章、第2部の第2章で論じられている議論に対応する話ですが、今回の著書はそれらを超える次元に翼を羽ばたかせている部分も多く、わたくしには議論する素養がないところもあります。是非多くの方にお買い求めいただき、そして是非自分はどう考えるかを常に意識しながらお読みいただきたいと思います。そういう読み方にふさわしい本だと思います。

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乾彰夫『若者が働きはじめるとき』

4284304488 乾彰夫さんの『若者が働きはじめるとき』(日本図書センター)をお送りいただきました。ありがとうございます。

左の写真からも分かるように、黄色い表紙の「ニッポンの教育問題」のシリーズですが、大上段に論ずるというよりも、アルバイトで働く学生たちの実際の体験から説き起こして、噛んで含めるように若者の労働問題を考えていこうとしている、「下から目線」系の本に仕上がっています。

これが若者の働く現実だ!700人が語る仕事体験から学び、私たちの時代の働き方を考える。

第1章 アルバイトで働く―高校生の二人に一人、大学生の五人に四人が経験
第2章 アルバイトにも権利はある
第3章 働きやすい職場をつくる、自分たちの権利を守る
第4章 職業人として成長する―一年目の危機を乗り越えるには?
第5章 フリーターで働くという現実
第6章 失業さえできない日本の若者たち―日本の若年失業率はなぜ低い?!
第7章 いまの時代に職業を選ぶこと、働くこと―最後にみんなに伝えたいこと
こんなとき、ここに相談
ブックガイド―若者たちの働く姿

乾さんの今までの本のイメージからすると、ちょっと意外な感じですが、「おわりに」によると、

・・・しかし、当の若者たちにとっては、そういう事実を伝えられるだけでは、なかなかその先に踏み出す道が見つかりません。実際、大学の授業などでそういう話をしても、多くの学生たちには、「だからもっと競争でがんばらなければ」というメッセージとして受け取られることがしばしばでした。

そんななかで数年前、いわゆる大学の一般教育科目に当たる新しい授業を担当する機会に、自分のアルバイト体験をルポルタージュ風に描くという課題を取りあげました。・・・

というきっかけでこういう本につながっていったようです。

本筋とはまったく関係ない無駄話ですが、思わず突っ込みたくなる小咄。

・・・例えば私の大学の就職支援センターの入口には、「社会や会社は仕事をこなす人ではなく、仕事をつくる人を求めている」というポスターが出ている。あたかも、いま社会で必要とされているのはクリエーティブでやりがいのある仕事ばかりだといわんばかりだ。でもそんなことはない。「仕事をつくる人」だらけで「仕事をこなす人」がいない会社は、必ずつぶれてしまう。・・・

あえて、コンテクストを無視して曲解して言いますけど、確かに世の中には、「仕事をこなす」ことはまったくやらないくせに、他人様の「仕事をつく」ってばかりいるたぐいの人が居ますねえ。

あんたが余計なことをつぎつぎにやらかすものだから、こんなに必死こいて本来やらなくてもよかったはずの「仕事をこな」さなくてはいけなくなったんだぜ、という言葉がのど元まで出かかるような思いをぐっとこらえて、黙々と「仕事をこな」している人々の姿は、しかしながら、そういう「くりえいちぶ」な人々の脳裡には浮かぶことはないんでしょうなあ。

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自分はやってないくせに他人に求める人が増えまくるとき、世の中のブラック労働的な傾向は加速していく

大変分かりやすい構図で、いま日本社会で起こっている事態を説明してくれています。

http://d.hatena.ne.jp/potato_gnocchi/20120927/p1(お前が言うなよ、ってお話

私の部下が、取引相手のシステム会社についてこういうのです。「今契約してる会社、単価高いし、来てる人は平気で年休とかとるし、マジでありえないっすよ。メーカー系の某社なんて、単価安いし、絶対休まないし、仕事はきびきびしてるし、もう契約切り替えたいくらいですよ。」と。

・・・

だいたいさあ、お前が取りたい年休に対して、俺が時季変更権行使したことが一度でもあったか?年度末だってなんだって、休みたいってときにはほとんど休ませてきただろ? なんでそういう文化を引き継いでいる子会社に対してだけ、お前は「年休とってありえない」とか言うわけ?

・・・

うちの取引先が同じような厳しさでうちの会社に当たるとき、「年休とってありえないっすよ」という罵声は自分たちに向かうのです。つまり、子会社をぶっ叩くのもいいけれど、その拳は、最終的には自分に向かうんだよ?

いやまさしく、あまりにも見事に今どきの平均的日本人を演じていただいちゃってくれています。この常夏島の中の人の部下さんは。

そうやって、自分はやってないくせに他人に求める人が増えまくるとき、世の中のブラック労働的な傾向は加速していくのでしょう。

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日本経団連会長のコメント

民主党代表選については、

http://www.keidanren.or.jp/speech/comment/2012/0921.html

野田総理の党代表再選を歓迎する。

野田総理は、社会保障・税一体改革法の成立をはじめ、内政・外交両面にわたり政策を適切に遂行してこられた。国政を担うに相応しい優れた政治リーダーであると思う。

わが国は目下、震災復興、社会保障制度改革、TPPをはじめとする経済連携の推進、エネルギー政策の見直し、外交・安全保障問題への適切な対処など、まさに課題山積の状況にある。
野田総理には、党内の結束を図るとともに、野党の協力も得ながら、引き続き、決断し実行する政治を進めていただきたい。

経団連としても、わが国の難局打開に向けた政策の遂行に全面的に協力していく所存である。

「歓迎」「優れたリーダー」「全面的に協力」という姿勢であるのに対し、

自民党総裁選については、

http://www.keidanren.or.jp/speech/comment/2012/0926.html

新総裁は、政策に精通し、豊富な経験と実行力を持つ政治リーダーであると思う。

わが国は、震災復興、社会保障制度改革、TPPをはじめとする経済連携の推進、エネルギー政策の見直し、外交・安全保障問題への適切な対処など課題山積の状況にある。また、特例公債法をはじめとする重要法案の成立も急務である。これらの政策を迅速に進めるために、与野党の協力が不可欠である。

新総裁には、新しい日本の創造に向け、重要政策の遂行にリーダーシップを発揮していただくことを強く期待する。

なんだか微妙な表現。

ちなみに、連合はどちらもスルー。

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労働政策フォーラム in 大阪

労働政策研究・研修機構(JILPT)の労働政策フォーラムが、初めて大阪で開かれます。

http://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20121109/info/index.htm

テーマは「経営資源としての労使コミュニケーション」。

日時は、2012年11月9日(金曜)13時30分~17時00分(開場13時) 、

場所は天王寺区上本町の大阪国際交流センター大会議室さくらです。

13時30分~
基調報告 我が国の労使関係の過去・現在・未来
濱口桂一郎 労働政策研究・研修機構統括研究員

研究報告 労使関係のコペルニクス的転換の必要性
呉 学殊 労働政策研究・研修機構主任研究員

事例報告 資生堂労働組合の取り組み~イキイキと活力ある職場づくり~
赤塚 一 資生堂労働組合中央執行委員長

連結経営下、労組もグループ化へ~個別最適から全体最適へ~
恩田 茂 ケンウッドグループユニオン中央執行委員長

好ましい企業風土づくりは、経営者の経営姿勢の確立から
山田 茂 株式会社山田製作所代表取締役社長

15時30分~
パネルディスカッション
パネリスト:
赤塚 一 資生堂労働組合中央執行委員長
恩田 茂 ケンウッドグループユニオン中央執行委員長
山田 茂 株式会社山田製作所代表取締役社長
呉 学殊 労働政策研究・研修機構主任研究員
コーディネーター:
濱口桂一郎 労働政策研究・研修機構統括研究員

今年1月に東京でやったものと同じ顔ぶれですが、事例報告のあの感動をぜひ大阪でもご堪能下さい。

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シルバー労災問題の根っこ

大変素早い反応ですが、

http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120923/t10015222841000.html保険不適用は不当 初の裁判へ

シルバー人材センターの会員のお年寄りが、作業中にけがをしても保険が適用されず、全額自己負担になるのは、不当だと訴えて国に対し、初めての裁判を起こすことになりました。
健康保険も労災保険も適用されないこうした会員は、全国に15万人以上いると推計され、専門家は、「行政の縦割りが背景にあり、早急に対策を検討すべきだ」と指摘しています。

http://www.mhlw.go.jp/stf/kaiken/daijin/2r9852000002ki6s.html(小宮山大臣閣議後記者会見概要)

もう1つは、先日、シルバー人材センターの会員の就業中の怪我に対し、健康保険も労災保険も適用されていないということが報道をされました。シルバー人材センターの会員が、作業中に怪我をし、健康保険も労災保険も適用されなかったケースです。シルバー人材センターで会員として仕事をされていて、こういう怪我をされた方には、まず心からお見舞い申し上げたいと思います。この件につきましても、ご承知のように、労災保険は労働者の業務上の事故について支給されますが、シルバー会員を含めて請負というのは、雇用関係がないため適用されないと。一方、健康保険は被扶養者を含めて、業務上の事故は給付していないと。それで、国民健康保険は業務上の事故も支給されるという、現行の制度の縦割りの隙間に落ちてしまっていると。今まではこういう働き方がそんなになかったので、問題にあまりならなかったと思いますが、これからはこういうシルバー人材もありますし、シルバー人材だけじゃなくて請負の就業中の事故にどう対応するのか、またインターンシップの学生さんの就業中の負傷ということもありますし、障害をお持ちの方が福祉就業中に負傷されるというケースもありますので、これは今回ぜひこういう谷間に落ちてはいけないということの指摘だと思いますので、この件につきましても、関係部局で横断的に対応するため、プロジェクトチームを設置しまして、問題点の整理、対応策の検討を行うように私から指示をしました。政務が誰か入りますが、官房長を主査にしまして、総括審議官、労働基準局長、職業安定局長、保険局長、こういう形でそれぞれが押し付け合っていては結局怪我をした方にとって対応が出来なくなりますので、これも横断的に対応をしっかりしていきたいと思います。

実を言うと、労働者じゃない人が健康保険に入っているために労災が全額自己負担になってしまう事態というのは、会社役員などについて存在していて、それが問題になって、部分的に解決していたことがあるのです。

わたくしの講義用資料からその部分を引用しますと、

・・・なお、戦後労働者災害補償保険法の制定とともに、健康保険は業務外の傷病に限ることとされた。もっとも、国民健康保険は引き続き業務上も対象に含めていたので、給付水準が低いことを別にすれば特に問題はないとも言えた。ところが、1949年7月、厚生省から法人の代表者又は業務執行者であっても、法人から労務の対償として報酬を受けている者は、法人に使用される者として健康保険の被保険者とする旨の運用通知(同月28日付厚生省保険局長通知)が発せられた。このため法人代表者は医療保険上は労働者として業務外の傷病について高い給付水準を享受できることとなったが、労災保険上は労働者ではないためその給付を受けられず、かといって国民健康保険には加入していないのでその業務外傷病給付を受けることもできないという、いわば制度の谷間にこぼれ落ちてしまった。これまで労災保険の特別加入という形で対応されてきたが、2003年7月になって、5人未満事業所の代表者には業務上の傷病に対しても健康保険から給付を行うこととなった。・・・

少し説明を付け加えますと、戦前は使用者の労災補償責任は工場法で規定していましたが、それを担保する公的保険制度は、私傷病と一緒に健康保険で面倒を見ていたのです。健康保険も国民健康保険も業務上外両方やってたのです。

戦後、労働基準法とともに労災保険法が作られ、「労働者」の「業務上」傷病はそっちで面倒見ることになり、「労働者」の「業務外」は健康保険、「労働者以外」の「業務上外両方」は国民健康保険という分担になりました。

ところが、「労働者以外」でも「健康保険」という人がいて、その人が「業務上」傷病になることはありうるわけです。

対応策は、制度の基本構造を変えない限り、「労働者じゃないけど特例で労災保険で」とするか、「業務上だけど特例で健康保険で」とするしかないわけですが、より根本的に考えるならば、そもそも労働者であろうがなかろうが業務上災害というのは起こるんだから、労災保険のカテゴリーを思い切ってあらゆる業務に拡大してしまうというやり方もあり得るかも知れません。現在は特別加入というやり方で任意にやっているのを、義務化するという発想です。

まあ、今回はそういうでかい話にはならないでしょうが。

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銭本隆行『デンマーク流「幸せの国」のつくりかた』明石書店

103900銭本隆行『デンマーク流「幸せの国」のつくりかた 世界でいちばん住みやすい国に学ぶ101のヒント』明石書店をお送りいただきました。

幸福度世界第一位に輝いたデンマーク。その秘密は何なのか。日本が見習うべき点は? 現地在住で両国の交流にかかわるの著者が、デンマークの福祉、社会政策、教育、文化について、101のキーワードからやさしくコンパクト読み解く。

中身はこういう感じで、

1章 童話の国の姿
 1.冬は北海道より暖かい――北欧の最南端
 2.パンケーキの国――平らな国土
 3.バイキングの末裔――偉大な先祖
 4.かつては北欧帝国――国の起源
 5.どん底から繁栄へ――最小の国土から
 6.王室大好き――“世界最古”の王国
 7.高校生市議――18歳から成人
 8.童話の国――作家H・C・アンデルセン
 9.偉人輩出――実存主義から量子力学まで
 10.北欧デザイン――洗練されたシンプルさ
 11.豚肉とインスリン――ピンポイントで圧倒
 12.日本ではマイナーなスポーツが……――スポーツ事情
 13.風力に重点――原発なし
 14.自給率300%――農業大国
 15.高税――しかしハイリターン
 16.小国ながら強い企業が――福祉国家の経済
 17.民が稼ぎ、公が回す――3割が公務員
 18.フレキシキュリティー――理想的な労働力循環
 19.幸せな国――調査で連続1位

2章 ゆりかごから墓場まで
 20.出産費用は無料――手厚い少子化対策
 21.女性の就業率ナンバーワン――手厚い育児支援
 22.待機リストなし――子ども手当あり
 23.義務教育は10年――高校も無料
 24.有給休暇6週間とノー残業――守られた労働環境
 25.失業手当2年間分――セーフティーネットの充実
 26.ボールを間に落とさない――国民にソーシャルワーカー
 27.障害者は十分な年金――早期年金
 28.専門職のサポート――きめ細かい障害児・者支援
 29.医療費は無料――家庭医が門番
 30.早期退職年金――退職は自分で決める
 31.国民年金――税金からまかなわれる
 32.介護費無料――可能なかぎり在宅
 33.在宅死も可能――葬儀代も補償

3章 第一の人生・デンマークの子ども
 34.幼保一体――デンマークの保育施設
 35.角を矯めずに伸ばす――職員はサポーター
 36.Born skal kede sig――子どもに退屈を
 37.“6歳前後”で入学――成長に合ったサポート
 38.学校は楽しい――意見に間違いなし
 39.2本の足――知識と社会性
 40.教育場所は問わない――教育の義務
 41.通信簿はない――差をつけない教育
 42.ナショナルテスト導入――到達度測定
 43.多感な時期になにをする――日本文化コース
 44.高校生も自己決定――車で通学も
 45.民主主義を教える――決定への参加
 46.「予備校ってなに?」――医学部目指す高校生
 47.高卒後のモラトリアム――社会経験を積む
 48.教師も楽しい――相互交流の授業

4章 第二の人生・デンマークの成人
 49.くじによる徴兵制度――充実した“便宜”
 50.18歳になれば家を出る――経済的にも自立
 51.実力本位――進学と就職
 52.週37時間労働――うらやましい労働環境
 53.ストレスは余暇から――余暇は人生の大部分
 54.転職平均6回――ステップアップ
 55.教育と職業のリンク――途中で転換もあり
 56.社会人もやり直し可能――教育費無料+α
 57.スキルアップを支援――同時に生活保障も
 58.扶養に不安なし――生活保護で資格取得

5章 第三の人生・デンマークの高齢者
 59.入居待ちなし――市が保障
 60.アクティヴな暮らし――ケア付き住宅
 61.国民年金だけで生活――ごく普通の高齢者
 62.18歳で親離れ子離れ――しかし強い紐帯
 63.“思いやり訪問”で一人暮らし――ユボンさんの場合
 64.若者は働け――100歳の言葉
 65.制度には100%満足――ラスムッセン夫婦の場合
 66.高齢者3原則――人道面と経済性
 67.自分の能力は使い切る――自己資源の活用
 68.高齢者も成人!?――酒もたばこも
 69.3原則は融合――意識を超えた常識

6章 デンマークが抱える問題
 70.財政悪化と失業増加――市は悲鳴
 71.50%近い直接税――税金はやはり高い
 72.間接税、自動車税……――慎ましやかな生活
 73.結婚は紙の上での出来事――男女関係
 74.家庭環境は子どもへ影響――しかし、言い分はいろいろ
 75.深刻なアルコール問題――酒に寛容な陰で
 76.容易な麻薬入手――大陸国の難しさ
 77.若者の生活保護増加――スポイルされる若者たち
 78.はるかにモザイク国家――増える外国人
 79.文化の軋轢――手厚い支援の一方で……
 80.外国人に厳しい国へ――排斥の傾向
 81.多くの一軒家が警報装置設置――高い犯罪率
 82.増えたポッチャリ――“肥満”という病気
 83.手術へ長い行列――医療費無料の陰で

7章 幸せへの道のり
 84.1814年に義務教育――自立した国民へ
 85.対話を重視――国民高等学校
 86.弱小国の再起……――農協
 87.女性の社会進出と若者の反乱――デンマークの転換点
 88.社会保障のレベル維持――刺激を与える政権交代

8章 日本にいま必要なもの
 89.3つの姿勢――主体的な国民へ
 90.水注ぎ――自分でやる
 91.Excellent Service――無駄は省く
 92.これからは他人を放っておこう――悪しき他己決定
 93.連帯意識の募金――小さなころからの積み重ね
 94.自助社会――セーフティーネットが必要
 95.本来は互助社会――和の精神
 96.“民主主義教”――デンマーク人は大好き
 97.規則よりも対話――常識をもとに
 98.聞く力と話す力――話そう日本人
 99.不断の努力――悪い点は即座に直す
 100.誇れる国にしよう――日本の未来
 101.留学、移住情報――おまけ

社会政策周りではもっぱらフレクシキュリティで評判高いデンマークですが、こういう風にいろいろな「売り」があるのですね。

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『本当は怖い昭和30年代』官庁報告書版

61krncbndgl__sl160_http://honz.jp/14850(本当は怖い昭和30年代 ~ALWAYS地獄の三丁目~)

結構話題になっているようですが、本ブログでも、1950年代の怖~~い一側面を切り取った官庁報告書を紹介したことがありましたので、この際またお出ししましょう。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/10/post-97de.html(年少者の不当雇用慣行実態調査報告@婦人少年局)

旧労働省の婦人少年局というところは、むかしは非常に熱心に女性や子どもたちの労働実態の調査をやっていたのです。とりわけ、今ではほとんど忘れ去られているでしょうが、年少者の不当雇用慣行について、1950年代の半ばごろにその実態を暴いた報告書は、東北地方、九州地方、近畿地方、関東甲信越地方の4分冊として、刊行されています。

おそらく今では役所の中でも誰も知らないであろうこの報告書を、ちょっと紹介してみましょう。今ではみんながうるわしく描き出す「三丁目の夕日」のちょっと前の時期の、日本社会の凄絶な実態をちょっとの間だけでも思い出すために。

やはり、人身売買の本家といえば東北地方で、1950年代にもこういうケースが結構あったようです。

年齢:15,性別:女、業務内容:芸妓見習、前借金:1万円、備考:中学1年中退

もともと生家があまりに貧しいので、食べるだけでもという親の考えと、芸者にすれば教育をしない女の子でもまとまった金が入るという親の考えから、雇主は「この子はここにいるからこそ乞食もしないでいられる」と言っていた。

・・・・・・のですが、よく調べると出るわ出るわ。U子は、昨年11月ごろから売春を強要され、置屋で客を取っていたが、あまり客を取らされることが辛く、置屋を飛び出し、市内の某マーケット内にあるバーに身を寄せた。・・・

置屋では、その町の大親分と恐れられている一六親分を介し、バーに対して、U子の身柄と、前貸金を始め貸金及び費用を請求した。・・・

父親は「長女の時以来、長いこと置屋のお蔭で生活してきたので、大変御恩を受けているのに今度U子が約束を果たさなかったので置屋に申し訳ない。その代わりにみよ子(四女、小学6年の長欠児)を置屋にやる」といっており、・・・

年齢:12、性別:女、業務内容:農家の家事手伝、前借金:2万円、契約期間:5年

既に作男として働いていた兄が、父親に実家で生活するより川口にいた方がよいから、H子もここで働くようにしてはとすすめたことや、父親にしても長男が良くしてもらっているのを知っていたので、長女のH子を説得して、雇い入れ先の農家へ住み替えさせたものである。

本人に会って聞いてみると、「貧乏な家のことを思えば、現在の方がずっと良いから帰りたいとは思わないし、このまま働いていて、家への送金や、自分の貯金ができるようになりたい」ということしか考えていず、就学の希望も全くない。

年齢:14、性別:女、業務内容:商店の女中兼子守、契約期間:3年、備考:中学1年中退

調査担当者がA子に会ったとき、A子の両手は凍傷で真っ赤に腫れ上がっているにもかかわらず、元気で働いていたという。学校へ行きたいかと尋ねると、及びもつかぬといった顔で目を見張っていたそうで、遊ぶことも、着ることも考えないで、仕着せにもらった着物や、洋服などは、着ないで仕舞っておき、3年の年期もあと1年と、辛抱して家へ帰るまでは、自分の身体のことなど考えてもいないらしく、何を聞いても辛いと言わなかった。

というような事例が、次々に、これでもか、これでもか、と並んでいます。

念のため、これは言うまでもなく日本国に既に労働基準法が施行されている時期の話です。

わたくしの生まれるほんの少し前の時代の日本社会の話です。

こういう「古き良き時代」の話を聞くと、金融関係者はやはりこういう感想を持つのでしょうか。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/07/post-b9d7.html(キキを見てこういう感想を持つたぐいの人々)

魔女の宅急便のキキは、労働組合も作らないし、首になっても割増退職金も要求しない。セクハラだパワハラだと訴えない。今の労働者も見習うべき。

見習うべき模範は、ほんの半世紀前には山のようにあったわけです。

(追記)

同じシリーズの「九州編」から。

年齢:16、性別:女、業務内容:接客婦、前借金:4万円、仲介人:兄の夫、備考:中学2年中退

W子の父は白痴、母はその夫と10人の子をなしながら正式に結婚せず、・・・

6人の姉たちは皆料理飲食店に勤めた経験のある者ばかりであり、無知無能な両親、特に母親は生活困難のために子どもを犠牲にしてその日を送ることを何ら社会悪として観ずることなく、母親としての愛情に欠けている。W子は中学2年の時料亭に行き暫くして連れ帰られ、学校へ出たが途中で止めている。・・・

彼女が料亭に出るようになったのは掲記の通り長女H子及びその夫の強制によるものである。長女H子は現在第2回の刑に服役中であるが、第1回の刑を終えて帰った際、W子に家の加勢をせよとだまし県内某地方に売り、4万円の前借りは母に渡さずH子夫婦が着服している。

年齢:17、性別:女、業務内容:接客婦、前借金:2万3千円、仲介人:父の知人、動機:家計補助

7人兄弟の長女であるE子は家計を助けることが子のつとめと思い働くことにしたと就業の動機を語っている。親元の家族は父母兄弟の9人で父は造船所職工だが給料の遅欠配で月収平均2000円、長兄は会社員で5000円、母は日傭い日給150円とあわせて1万円前後が総収入であるが、家計困難はE子をかかる業婦としての途へ追いやり、更に父(46歳)が雇主に借金をなしE子の前借りが嵩むということになっている。

年齢:15、性別:女、業務内容:接客婦、備考:中学1年退学

Y子の親元は7人家族で父は日傭い稼ぎをして月収平均7000円、ほかに収入は全然ない状態である。

このような状態のもとにあって、Y子は13歳の折、父より親のためと思っていってくれと勧められ、父はまた周旋人の口車に乗り、遙々と青森へ売られていった。無知という前に自分の娘を私物視する観念がいかに根強くこれらの階層の中に残っているかを多くの事例は示している。

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そもそも尖閣はうちのモンだと言い出したのは台湾なんだが

台湾は親日的だと思いこんでる人がびっくりしてるみたいですが、いや中国が嫌いなだけで。

2584721そもそも、1969年にエカフェが尖閣の海底に石油があるぞといったときに、最初に騒ぎ出したのは台湾の学生たちで、台湾大学から他の大学も含めて「保衛釣魚台」運動が広がっていったわけだし。

このあたり、丸山哲史の『台湾ナショナリズム』(講談社メチエ)に書いてありますが、人様のナショナリズムというのは、頭の単純な人が思うほど都合よく単純なものでもないということかと。

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中国の労働問題についてのこれ以上できない簡単な解説

http://twitter.com/sunafukin99/status/250347738535952385

中国って「社会主義」なのに労働者の権利が認められてなかったって話はどうも違和感。

「社会主義」だから、(資本家に対するものとしての)労働者の権利は認められてなかったのです。

「社会主義」だから、共産党国家権力自体が労働者の代表であり、労働者自身よりももっと労働者にとって何が利益であるかを良く分かっている(ことになっている)から、それとは異なる労働者の利益だの、労働者の声だのといったものは、論理的にありえない。

実際、ソ連でも中国でもその初期に、組合指導者(トムスキーや李立三ら)の粛清が行われ、組合は共産党の下部機関となっています。

共産党の指導に従っているのが一番労働者の利益なんだから、それとは別に「労働者の利益」なんてのを振り回す必要はないし、もしそんな奴がいたら、「人民の敵」として叩き潰すだけ。

「社会主義」だから、(現実はともかく)論理的にはそれで整合的であったわけです。

が、

その中国が「社会主義市場経済」という名の下に、資本主義全開になってしまい、共産党も既に建前上も労働者の代表ではなく、資本家の代表でもあることになっています。

それなら、「労働者の権利」ってのが必要じゃないか、ということになりますよね。

そこで、1994年に労働法(労働基準法その他に相当)、2007年に労働契約法ができて、個別労働関係については一応資本主義国並みになってきたのですが、

労働組合に当たるはずの工会は事実上共産党の下部機関で、社長以下経営陣もみんな入っている労使共同機関なので、労働者は不満があっても、工会はスルーして、勝手に集まってストとかやってるわけです。

中国の労働争議のニュースを見るときには、最低限これくらいの知識があると、役に立ちます。

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雇用ミスマッチと法政策

New 本日『日本労働研究雑誌』の10月号が刊行されたので、先月号に載ったわたくしの「雇用ミスマッチと法政策」をホームページにアップしました。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/mismatch.html

日本の労働市場法制の基本枠組みは諸外国と同様、具体的な職業能力と労働条件を互いにシグナルとしながら需給を結合させようとするジョブ型モデルに立脚しており、その需給の不適合(ミスマッチ)を公的職業紹介、失業給付、公的職業訓練といった諸施策で縮小するという政策体系である。一方、大企業正社員に典型的なメンバーシップ型モデルでは、潜在的な職務遂行能力ないし訓練を受ける能力(=人間力)が重要となるので、こういったミスマッチ縮小施策の有効性は少なくなる。

日本の労働政策は終戦直後から70年代初めまでは、職務分析、職業訓練と技能検定、職種別中高年雇用率制度など、ジョブ型を志向するものであったが、石油危機以降もっぱら「雇用の安定」を至上命題とする政策に転換した。職業や技能を重視しないミスマッチ対策とは企業への財政支援に集約される。その後90年代の「自己啓発」を標榜した時代を経て、2000年代には公的職業訓練や職業能力の公的証明といったジョブ型政策によるミスマッチ解消策に再び傾斜してきている。しかしながら、そのような政策方向はメンバーシップ型社会のただ中で生きてきた政権中枢の人々によって共有されておらず、無駄として繰り返し「仕分け」の対象となってきている。

内容は以下の通りです。

1 ジョブ型社会の「ミスマッチ」
2 メンバーシップ型社会の「ミスマッチ」
3 ジョブ型労働政策の時代-職務分析
4 ジョブ型労働政策の時代-職業訓練と技能検定
5 ジョブ型労働政策の時代-職種別中高年雇用率
6 「雇用安定・職業不安定」の時代
7 失業なき労働移動と「自己啓発」
8 職業訓練政策のダブルバインド
9 疑似ジョブ型ミスマッチ解消策とその批判
10 「職探し」の世界へ

世の中には、メンバーシップ型のシステムを攻撃して飯を食いながら、それであればますます重要となるはずのジョブ型労働政策のインフラをさらに輪をかけて罵倒して飯のタネにするというたぐいの、論理的には理解不能な、しかし商売的にはまことに理解可能な人々がいるわけですが、そういうえぐいのを目にしたあとの一服の清涼剤としてお読みいただければと。

なお、最後の「10 「職探し」の世界へ」において、「sociologbook」さんのブログ記事を引用させていただいていることを、感謝とともに付け加えさせていただきます。

10 「職探し」の世界へ
 
 去る6月12日に官邸の雇用戦略対話において決定された「若者雇用戦略」には、新規学卒者の上述のような「ミスマッチ」を解消するための方策として、「学校とハローワークの完全連結」が打ち出されている。

○ 学校の就職相談・支援機能とハローワークのマッチング機能を連結するため、以下の施策を実施する。
・ 全ての高校・大学・専修学校等について、ジョブサポーターの全校担当制を導入することにより、学校の就職相談員とジョブサポーターの相対の関係を構築し、マッチングを推進する。
・ 大学・専修学校等の要請に応じて、大学内等へのジョブサポーター相談窓口の設置・出張相談の強化を行う。
○ 学校の相談・支援機能を強化するため、大学内への就職相談員や未就職卒業生の多い高校への就職支援員の継続的な配置を推進する。
○ 地方学生等が就職活動の機会を確保できるよう、ハローワークの全国ネットを活用した広域マッチング体制を強化する。また、ハローワークの実施する面接会へ参加しやすい環境づくりを行う。 

 ハローワークはいうまでもなく、「求職者に対しては、その能力に適合する職業を紹介し、求人者に対しては、その雇用条件に適合する求職者を紹介する」機関であり、まさにジョブ型のミスマッチ解消手段である。それを学校とりわけ大学に設置することの隠れた意義は、「君たちがやるべきことは就「職」であって、就「社」ではないのだ」というメッセージを送ることにあるのかもしれない。
 この点で、筆者は最近大変興味深い事例を見た。学生の就職活動に心を痛めているある大学教師のブログに、このような記述があったのである*5。

・・・それでも既卒を中心にハロワですぐに内定取るやつがたくさんいて、話をきくと確かに地味な中小が多いがなかなかのんびりした昭和な感じの会社も多くて、もうこれは職探しの手段としてはハロワ最高ちゃうん、って思って、苦戦してる学生にめっちゃ勧めてるんだけど、あれっと思うほど反応が悪い。
・・・もちろんハロワで見つかる会社にブラックがぜんぜんないっていう話ではぜんぜんなくて、そうなんじゃなくて、どうせ同じならムダに苦労することないと思うんだけど、っていうことやねんけども。やたらと競争率の高いところに行こうとして無理して長い期間しんどい就活しなくても、給料に差は無いんだから、ハロワで地元の中小企業探して、あとはのんびりと最後まで学生生活楽しんだらいいと思って、かなりアツくハロワ推しをしてるんだが、なんかあんまり反応がない。
・・・それで学生たちになんでハロワ行かないのって聞いたら、まあ聞いたらなるほどって思いましたけども、「ハロワに行くのって『職探し』って感じがするんですよー」って言われたときはびっくりした。いやお前らいまやってるの職探しやろ。違うのか。

 メンバーシップ型モデルにおいては、上述のように新規採用とは会社共同体の一員になることであって、いかなる意味でも「職探し」ではない。それゆえ、この学生たちの感覚は(自分たちにそれが可能だと思っている限り)間違いではない。しかしながら、企業側が人事戦略として「長期蓄積能力活用型」モデルを収縮してくる中で、おそらくそこに入り込めない可能性が高いと推測されるこの大学の学生たちにとって、そこから身を引き離してハローワークに象徴される「職探し」の世界に入っていくことにはかなりの意義がありそうである。

*5http://sociologbook.net/?p=385

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ブックファースト新宿店で厚生労働白書フェア

http://twitter.com/MHLWitter/status/249058126962245632

明日(22日)から10月16日まで、ブックファースト新宿店で、「社会保障について考える~『厚生労働白書』から~」というフェアが開催されます。参考文献等も一緒に展示しておりますので、楽しんでいただければ幸いです。一部書店では品切れ中の厚生労働白書も沢山ご用意してお待ちしております!

とのことなので、本日ちょっと顔を出してみましたら、地下2階のEゾーン(社会系)の入口正面右側の書棚3つ分をどーーんと占拠して、厚生労働白書とともに、あの膨大な参考文献の名著類がずらりずらりと並んでいて、ちょっとした社会政策関係の小書店ができるくらいになっていました。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/24-7de8.html(『平成24年版厚生労働白書』は社会政策の教科書)

第1章 なぜ社会保障は重要か
◉ カール・ポラニー 『[新訳]大転換―市場社会の形成と崩壊』(野口建彦・栖原 学 訳 東洋経済新報社,2009年[ 原著1944年])
◉正村俊之 『グローバリゼーション 現代はいかなる時代なのか』(有斐閣,2009年)
◉福澤直樹 『ドイツ社会保険史 社会国家の形成と展開』(名古屋大学出版会,2012年)
◉田中拓道 『貧困と共和国――社会的連帯の誕生――』(人文書院,2006年)
◉ J.M.ケインズ 『雇用・利子および貨幣の一般理論』(普及版,塩野谷祐一 訳 東洋経済新報社,1995年[ 原著1936年])
◉ ウィリアム・ベヴァリジ 『ベヴァリジ報告 社会保険および関連サービス』(山田雄三監訳 至誠堂,1967年[ 原著1942年])
◉横山源之助 『日本の下層社会』(岩波文庫,1985年[原著1899年])
◉ 農商務省商工局工務課工場調査掛 『職工事情』(上)(中)(下)(犬丸義一 校訂 岩波文庫,1998年[原著1903年])
◉細井和喜蔵 『女工哀史』(岩波文庫,2009年[原著1925年])
◉濱口桂一郎 『労働法政策』(ミネルヴァ書房,2004年)
◉ 齋藤純一・宮本太郎・近藤康史 編 『社会保障と福祉国家のゆくえ』(ナカニシヤ出版,2011年)
◉堀 勝洋 『社会保障法総論』(東京大学出版会,1994年)
◉広井良典 『日本の社会保障』(岩波新書,1999年)
◉ 橘木俊詔 『安心の社会保障改革 福祉思想史と経済学で考える』(東洋経済新報社,2010年)
◉ 橘木俊詔 『朝日おとなの学び直し 経済学 課題解明の経済学史』(朝日新聞出版,2012年)
◉松村祥子 編著 『欧米の社会福祉の歴史と展望』(放送大学教育振興会,2011年)
◉糸賀一雄 『福祉の思想』(NHKブックス,1968年)
◉小峯 敦 編 『福祉の経済思想家たち』[増補改訂版](ナカニシヤ出版,2010年)
◉椋野美智子・田中耕太郎 『はじめての社会保障』[第9版](有斐閣アルマ,2012年)
◉ クリストファー・ピアソン 『曲がり角にきた福祉国家――福祉の新政治経済学』(田中浩・神谷直樹 訳 未來社,1996年[ 原著1991年])
◉東京大学社会科学研究所 編 『転換期の福祉国家[上]』(東京大学出版会,1988年)
◉坂井素思・岩永雅也 編著 『格差社会と新自由主義』(放送大学教育振興会,2011年)
◉友枝敏雄・山田真茂留 編 『Do! ソシオロジー』(有斐閣アルマ,2007年)
◉ Paul Pierson “Dismantling the Welfare State?:Reagan, Thatcher and
the Politics of Retrenchment”(Cambridge University Press, 1994)
◉宮本太郎 編 『比較福祉政治―制度転換のアクターと戦略』(早稲田大学出版部,2006年)
◉ アンソニー・ギデンズ 『第三の道―効率と公正の新たな同盟』(佐和隆光 訳 日本経済新聞社,1999年[ 原著1998年])
◉横山和彦 『社会保障論』(有斐閣,1978年)
◉宮本太郎 『福祉政治 日本の生活保障とデモクラシー』(有斐閣,2008年)
◉宮本太郎 『生活保障 排除しない社会へ』(岩波新書,2009年)
◉伊東光晴 編 『岩波 現代 経済学事典』(岩波書店,2004年)

第2章 社会保障と関連する理念や哲学
◉伊奈川秀和 『フランス社会保障法の権利構造』(信山社,2010年)
◉重田園江 『連帯の哲学Ⅰ フランス社会連帯主義』(勁草書房,2010年)
◉(再掲)田中拓道 『貧困と共和国――社会的連帯の誕生――』(人文書院,2006年)
◉近藤康史 『個人の連帯 「第三の道」以後の社会民主主義』(勁草書房,2008年)
◉ アダム・スミス 『道徳感情論』(上)(下)(水田 洋 訳,岩波文庫,2003年 [原著1759年])
◉ アダム・スミス 『国富論』(一)~(四)(水田 洋 監訳,杉山忠平 訳,岩波文庫,2001年 [原著初版1776年,原著第五版1789年])
◉大野忠男 『自由・公正・市場 経済思想史論考』(創文社,1994年)
◉堂目卓生 『アダム・スミス 『道徳感情論』と『国富論』の世界』(中公新書,2008年)
◉塩野谷祐一 『経済と倫理―福祉国家の哲学―』(東京大学出版会,2002年)
◉塩野谷祐一・鈴村興太郎・後藤玲子 編 『福祉の公共哲学』(東京大学出版会,2004年)
◉ ジョン・ロールズ 『正議論 改訂版』(川本隆史・福間 聡・神島裕子 訳 紀伊國屋書店,2010年[ 原著改訂版1999年,原著初版1971年])
◉ ジョン・ロールズ 著/エリン・ケリー 編 『公正としての正義 再説』(田中成明・亀本 洋・平井亮輔 訳 岩波書店,2004年[ 原著2001年])
◉ アマルティア・セン 『正義のアイデア』(池本幸生 訳 明石書店,2011年 [原著2009年])
◉川本隆史 『ロールズ―正義の原理』(講談社,2005年)
◉長谷部恭男 『続・Interactive憲法』(有斐閣,2011年)
◉(再掲)広井良典 『日本の社会保障』(岩波新書,1999年)
◉ ロバート・ノージック 『アナーキー・国家・ユートピア 国家の正当性とその限界』(嶋津 格 訳 木鐸社,1992年[ 原著1974年])
◉ M・J・サンデル 『リベラリズムと正義の限界 原著第二版』(菊池理夫 訳 勁草書房,2009年[ 原著第二版1998年,原著初版1982年])
◉ マイケル・サンデル 『これからの「正義」の話をしよう いまを生き延びるための哲学』(鬼澤 忍 訳 早川書房,2010年 [原著2009年])
◉川崎 修・杉田 敦 編 『現代政治理論』(有斐閣アルマ,2006年)
◉ W・キムリッカ 『新版 現代政治理論』(千葉 眞・岡﨑晴輝 訳者代表 日本経済評論社,2005年[ 原著第二版2002年])
◉ アダム・スウィフト 『政治哲学への招待―自由や平等のいったい何が問題なのか?』(有賀誠・武藤 功 訳 風行社,2011年[ 原著2006年])
◉田中成明 『現代法理学』(有斐閣,2011年)
◉亀本 洋 『法哲学』(成文堂,2011年)
◉ 原 美和子 「浸透する格差意識 ~ISSP 国際比較調査(社会的不平等)から~」(NHK放送文化研究所 『放送研究と調査』2010年5月号)第1部 社会保障を考える
◉ 髙橋幸市・村田ひろ子 「社会への関心が低い人々の特徴 ~「社会と生活に関する世論調査」から~」(NHK放送文化研究所 『放送研究と調査』2011年8月号)

第3章 日本の社会保障の仕組み
◉広井良典・山崎泰彦 編著 『社会保障』(ミネルヴァ書房,2009年)
◉ (再掲)椋野美智子・田中耕太郎 『はじめての社会保障』[第9版](有斐閣アルマ,2012年)
◉(再掲)宮本太郎 『生活保障 排除しない社会へ』(岩波新書,2009年)
◉ 阿部 彩 『弱者の居場所がない社会 貧困・格差と社会的包摂』(講談社現代新書,2011年)
◉島崎謙治 『日本の医療 制度と政策』(東京大学出版会,2011年)
◉ 堤 修三 『介護保険の意味論 制度の本質から介護保険のこれからを考える』(中央法規出版,2010年)
◉権丈善一 『再分配政策の政治経済学』Ⅰ~Ⅴ(慶應義塾大学出版会,2001~2009年)
◉ 細野真宏 『「未納が増えると年金が破綻する」って誰が言った?  ~世界一わかりやすい経済の本~』(扶桑社新書,2009年)
◉太田啓之 『いま、知らないと絶対損する年金50問50答』(文春新書,2011年)

第4章 「福祉レジーム」から社会保障・福祉国家を考える
◉ G・エスピン-アンデルセン 『福祉資本主義の三つの世界 比較福祉国家の理論と動態』(岡沢憲芙・宮本太郎 監訳 ミネルヴァ書房,2001年[ 原著1990年])
◉ G・エスピン-アンデルセン 『ポスト工業経済の社会的基礎 市場・福祉国家・家族の政治経済学』(渡辺雅男・渡辺景子 訳 桜井書店,2000年[ 原著1998年])
◉ G・エスピン-アンデルセン 『アンデルセン、福祉を語る 女性・子ども・高齢者』(京極高宣 監修/林 昌宏 訳/B.パリエ 解説 NTT出版,2008年)
◉(再掲)宮本太郎 『福祉政治 日本の生活保障とデモクラシー』(有斐閣,2008年)
◉(再掲)宮本太郎 『生活保障 排除しない社会へ』(岩波新書,2009年)
◉ (再掲)齋藤純一・宮本太郎・近藤康史 編 『社会保障と福祉国家のゆくえ』(ナカニシヤ出版,2011年)
◉ 富永健一 『社会変動の中の福祉国家 家族の失敗と国家の新しい機能』(中公新書,2001年)
◉ 藤井 威 『福祉国家実現へ向けての戦略―高福祉高負担がもたらす明るい未来―』(ミネルヴァ書房,2011年)
◉ 湯元健治・佐藤吉宗 『スウェーデン・パラドックス 高福祉、高競争力経済の真実』(日本経済新聞社,2010年)

第5章 国際比較からみた日本社会の特徴
◉ OECD “Society at a Glance 2011:OECD Social Indicators” (OECD Publishing,2011)
◉ OECD 編著 『図表でみる世界の社会問題2 OECD社会政策指標 貧困・不平等・社会的排除の国際比較』(高木郁朗 監訳,麻生裕子 訳 明石書店,2008年)
◉ OECD “How’s Life?:Measuring Well-being”( OECD Publishing,2011)
256 平成24年版 厚生労働白書
◉ OECD 編著 『世界の若者と雇用―学校から職業への移行を支援する 〈OECD若年者雇用レビュー:統合報告書〉』(濱口桂一郎 監訳,中島ゆり 訳 明石書店,2011年)

第6章 日本社会の直面する変化や課題と今後の生活保障のあり方
◉ 国立社会保障・人口問題研究所 京極高宣・髙橋重郷 編 『日本の人口減少社会を読み解く 最新データから読み解く少子高齢化』(中央法規出版,2008年)
◉宮本みち子 編著 『人口減少社会のライフスタイル』(放送大学教育振興会,2011年)
◉宮本太郎 編 『弱者99%社会 日本復興のための生活保障』(幻冬舎新書,2011年)
◉大嶋寧子 『不安家族 働けない転落社会を克服せよ』(日本経済新聞出版社,2011年)
◉宇沢弘文・橘木俊詔・内山勝久 編 『格差社会を超えて』(東京大学出版会,2012年)
◉濱嶋 朗・竹内郁郎・石川晃弘 編 『社会学小辞典』[新版増補版](有斐閣,2005年)
◉内閣府 『経済財政白書』(各年版)
◉内閣府 『国民生活白書』(各年版)
◉内閣府 『男女共同参画白書』(各年版)
◉内閣府 『子ども・子育て白書』(各年版)
◉内閣府 『子ども・若者白書』(各年版)
◉文部科学省 『文部科学白書』(各年版)
◉国土交通省 『国土交通白書』(各年版)
◉経済産業省 『通商白書』(各年版)

ポランニーからサンデルまで、名著が汗牛充棟です。

拙著も置いていただいております。

Bookfirst

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『ジュリスト』2012年10月号(No.1446)

L20120529310_2ということで、発売日は明日ですが、有斐閣のHPには『ジュリスト』2012年10月号(No.1446)の広告がアップされました。

http://www.yuhikaku.co.jp/jurist/detail/018681

2008年に改正案が提出されて以降,政権交代の影響などもあり紆余曲折を経て,今国会(2012年通常国会)で労働者派遣法改正法がようやく成立しました。ただその内容は,改正後の題名の示す「派遣労働者の保護」に真に十分につながると言えるものか,決して楽観視はできません。残された課題や今後への影響も含め,理論・実務双方の見地から,本改正法を分析・検討していただきました。座談会でのご議論に始まり,当局解説,経済学の見地からの分析,そして論点別の深化とつながります。本特集で本改正法の詳細・問題状況をご確認ください。

何回も本ブログで予告してきたように、この特集の座談会にわたくしも出ております。

【特集】理論・実務からみた労働者派遣法改正
◇〔座談会〕労働者派遣法改正法をめぐって●諏訪康雄●濱口桂一郎●徳住堅治●木下潮音……10
◇「労働者派遣法改正法」の概要●老月 梓……33
◇日本の労働市場における派遣法の役割●神林 龍……39
◇改正労働者派遣法における労働者派遣事業の適正化●有田謙司……46
◇改正派遣労働法とその解釈上の課題――派遣労働者の保護●高橋賢司……52
◇改正労働者派遣法とその解釈上の課題――派遣労働者の保護(派遣先関係)●富永晃一……59

座談会の構成は、

はじめに
Ⅰ.改正法の概略
Ⅱ.総論的な検討

1.研究者からの評価
2.労働者側からの評価
3.使用者側からの評価
4.評価をめぐる補足
5.施行後の見通し
6.専門業務という発想
Ⅲ.各論的な検討
1.日雇派遣の原則禁止
2.グループ内派遣の規制
3.賃金決定時の均衡考慮
4.マージン率公開等
5.無期雇用化の努力義務
6.契約解除時の措置
7.違法派遣への対応――労働契約申込みのみなし
Ⅳ.今後の派遣法制度の展望
1.法制度の展望
2.派遣先の団交義務
Ⅴ.残された課題
おわりに

という感じで、総論的な検討の後、一通り各論的な検討を行い、今後の展望を考えるという構成です。

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本日の朝日社説は分かっている?

本日の朝日社説「労働契約法―非正規の改善へ活用を」は、それなりによく分かっている人が書いているようです。

http://www.asahi.com/paper/editorial20120924.html#Edit2

・・・大手スーパーのイトーヨーカ堂が今後3年で、正社員約8600人を半減させ、パートを約6800人増やす方針を打ち出した。安売り競争で低迷する業績を立て直すためという。

社員に占めるパートの割合は8割弱から9割に高まる。パートは時給制で、半年契約を更新しながら働く。

それだけ見ると、低い賃金で不安定な雇用が、またじわりと広がった印象を与える。

ただ、先の国会で成立した改正労働契約法は、この風景を変える可能性がある。

有期から無期への雇用転換を促すこの法律は、かえって「雇い止め」を誘発する懸念も指摘されている。だが、注目すべき点もある。「有期であることを理由に、無期雇用の社員との間で不合理な格差があってはならない」と決めたことだ。

正社員との待遇の差について「仕事内容が、このぐらい違うから」と説明する責任を会社側が負うと解すべきだろう。単に「パートだから我慢して当然」との姿勢は通用しなくなる。

ヨーカ堂の場合、パートを増やすのは、高齢化する顧客にきめ細かい接客サービスをするのが狙いという。安値だけでない価値を実現し、収益力を上げる責任を、これまで以上にパートに担ってもらうわけだ。

であれば、それに見合った処遇や、意欲と能力を引き出す昇進などの仕組みが必要になる。

法律の施行は来春になる見通しだ。それまでに各企業の労使は、不合理な格差の有無をチェックし、是正に向けた話し合いが求められる。

この動きは、正社員の働き方にも影響する。パートなど非正社員との間で、身分の違いではなく、仕事の違いで処遇を決める流れを後押しするからだ。

ただ、単に正社員の待遇を引き下げ、雇用保障を弱めるだけでは、社会が不安定化する。

確かに世間には、「ただ、単に正社員の待遇を引き下げ、雇用保障を弱めるだけ」を一つ覚えみたいに唱える人事コンサルタントもいるようですが(もっとも、コンサルトしているまっとうな企業があるという話を聞いたことはありませんが)、そういう人々が失念しているマクロ社会的な問題をちゃんと意識しているからです。

正社員の年功序列型賃金は、年齢とともに増える生活費をまかなうためのものだった。その代わり政府は、子育てや住宅などの分野で、公的サービスを拡充せずにすんだ。欧州の福祉国家との違いである。

仕事に応じた賃金になれば、家族を含めた生活に十分な額となるとは限らない。基礎的なサービスは社会で面倒をみる仕組みを、同時並行でつくりあげていくことが不可欠だ。

なんだか、どこかで誰かの本を読んだ跡がほのかに感じられなくもないですが、それはともかく、問題構成としてはこれくらいの構えが最低限必要なわけです。

(追記)

http://53317837.at.webry.info/201209/article_25.html(朝日新聞社説の「労契法改正で非正規改善」に?)

朝日新聞が、昨日の社説で「労働」について書いた。最近では珍しいことゆえに取り上げてみたい。濱口さんは高く評価されていたがが、自分としては(失礼!)、少し不安に思っている。

いや、実は、先日朝日の論説委員の方に説明したのが、わりとそのまま社説になってたものでして・・・。

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出井さんがアドバンスニュースに登場

I120924_1 出井さんがアドバンスニュースに登場してます。それも5回連続のインタビュースペシャル。

http://www.advance-news.co.jp/interview/2012/09/post-152.html(<特別寄稿>出井智将さんの「現場感覚で考える改正派遣法」①改正までの動きと成立の経緯を振り返る)

「いったい誰のための改正なのか」――。既に顕在化している問題点や、潜在している課題などについて、「求められる派遣法を実現する会」の代表世話人・出井智将氏による“現場直送”の寄稿を連続掲載する。

ということで、ご本人がいつもブログに書いておられる内容ですが、好調な滑り出しです。

その中に、私の片言隻句までちょいと引用されていたりします。

・・・その時の勢いを、私は忘れることができません。そこには冷静な議論はまったくありませんでした。独立行政法人労働政策研究・研修機構の濱口桂一郎統括研究員は、改正派遣法に残ってしまった日雇い派遣の原則禁止について、「秋葉原事件に対する見当はずれのマスコミ報道に流された大衆感情立法の典型」と揶揄(やゆ)しています。

もう少しまとまった発言は、明日発売の『月刊ジュリスト』10月号の座談会を是非お読み下さい。

http://www.yuhikaku.co.jp/jurist/next

特集 理論・実務からみた労働者派遣法改正
・〔座談会〕労働者派遣法改正法をめぐって/諏訪康雄・濱口桂一郎・徳住堅治・木下潮音
・2012年改正法の概要/厚生労働省
・経済学からみた2012年改正法/神林 龍
・労働者派遣事業の適正化/有田謙司
・派遣労働者の保護(1)/高橋賢司
・派遣労働者の保護(2)/富永晃一

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『経営法曹』174号は盛りだくさん

経営法曹会議より、機関誌『経営法曹』174号をお送りいただきました。いつもありがとうございます。

今号は中身が実に盛りだくさんです。第107回経団連労働法フォーラムの記録では、1日目のテーマが「職場のいじめ・嫌がらせ・ハラスメントに関するトラブル」、2日目が「高齢法と労働契約法改正法案への対応策」となっていて、どちらも山のような設例と解答が載っていて、大変参考になりますし、面白いです。

あまり本筋ではないのですが、その中で、大阪の別所弁護士が述べた次の一節が興味深いです。

・・・正規の社員の複数のものが派遣社員に対して、その派遣社員の頭が禿げているということで、「ピカリン」という発言を繰り返した。それでその派遣社員がその発言等を理由として会社に対して損害賠償請求を起こしてきたという事件です。

和解の席で裁判官からこういわれました。「これが正規同士の間での発言であったら裁判所は損害賠償の理由とはならないのではないかと考える。ただし、正規の者が非正規に対して、かつ複数回にわたって執拗に発言しているということで、これは損害賠償の対象となるのではないか。」そういう趣旨の話をした上で、和解を勧められたという経験があります。

ですから、ご質問の中にあるように、違法性を判断するメルクマールとして「職場内の優位性」という観点がありますが、それは、例えば上司と部下の関係だけではなく、正規と非正規の関係も今の時代には重要なポイントになってくるのです。今日お集まりの方は、社内研修などの際に、そういう観点からも違法性は判断されるということを注意喚起していただければと思います。

あと、巻頭言は種村泰一さんが「橋下改革をめぐる一考察」を書かれていて、その最後の一節が、まさに正しい意味での経営法曹の言葉として熟読玩味するに値します。

・・・橋下市長の市長就任以降、「労働組合が職員人事に介入している」などとして労働組合批判が繰り広げられた。しかしながら、そもそも労働組合は労働組合員の権利を擁護するための存在であり、人事に介入を試みようとするのはむしろ当然のことであって、そのことは特段の非難に値しない。実際に職員人事に労働組合の介入がありそのことで人事が「歪んだ」ものとなっているとすれば、それは、むしろ、人事権を有する経営側の問題と受け止めるべきではないだろうか。

労働問題は使用者と労働者との関係で生じるものであり、常に相手方が存在するものである。そういった中で、使用者は企業の存立維持発展のためにさまざまな施策等を打ち出すのであるが、理念や思いつきのみで突っ走ると、いたずらに相手方を刺激することにもなりかねないばかりか、訴訟等が「多発」することにもなりかねず、決して合理的に解決を図ることなどできない。さりとて、相手方に「遠慮」してなすべき事をなさない(なせない)というのでは、あまりにもお粗末である。あくまでも、法的検討に基づいて「地道」に、しかし「毅然」と対処することこそ肝要であると思われる。

ここにおいて、労働問題に法曹が関わる意義を見いだすことができるのである。・・・

民間企業の人事労務をこれっぽっちも知らないくせに何かといえば「民間ガー」と喚きたがる無能な人々ではなく、民間企業で労働組合相手の喧嘩にきちんと裁判所で通用する知恵をつけてきた経営法曹だからこそ言える台詞でしょう。

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言霊のさきはう国または客観的分析言説を主観的倫理言説で叩き潰して気持ちよがる社会の行く末

結局、丹羽大使の言ったとおりになった。その客観的分析は正しかった。中国は何もできないのだなどと得意げに主観的「分析」をしていたもと全共闘氏は間違っていた。

ゾルレンではなく、ザインの次元で、こちらがこういう手を打てば、相手はどういう手を打ってくるか、という分析を冷ややかに客観的にできるか、それともぬとぬとの主観まみれにしかできないか、という話だ。

この間、売国奴だの何だの、さんざん罵倒を繰り広げてきたただの一人も、責任を取ろうとしないし、もちろんとれるはずもない。

この一連の騒ぎが教えてくれるのは、かつての進歩的な人々が示していた「言霊信仰」というか、「かくあってほしい、かくあるべきだ」という主観的思いこみで喚き散らしてあとの責任を取ろうとしない無責任な態度に対して、かつての『諸君』や『正論』あたりで、かつての冷静な保守派が冷徹でリアリスティックな客観的分析で冷ややかに批判していたときに示していたような「責任感のある実務家」のセンスというものが、その出来の悪い後輩たちにはもはやカケラも残っていなさそうだという、まことに痛切なまでに悲劇的な現実なのだろう。

要は、全共闘感覚がかつて保守派であったはずの人々にまで瀰漫したということかもしれない。

美しい言葉でいえば、「言霊のさきはう国」ということか。

しかし、客観的分析言説を主観的倫理言説で叩き潰して気持ちよがる社会の行く末に期待がもてるはずはない。

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現代社会の常識

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/post-0b64.html(「権利過剰論者」にとって問題であること、問題でないこと)

に、「日之人」さんからこういうコメントが付いたので、

冨田かおり議員のブログを見てみると、記事とは多少トーンが違うようですけどね。

その議員のブログを見てみました。

http://minnanokaori.net/?p=411

民間企業の多くは、どんなに長時間働いても残業代は一定額で打ち切りだ。それ以上はサービス残業することになる。当然、効率やスピードを考えて仕事をする。当たり前だ。既婚者は家に帰って子どもの顔が見たいし、独身者はデートだってしたいではないか。 労働組合のある会社なら労使交渉に臨むこともできるが、とりあえずのところで妥結する。組合員としては口惜しいが、無い袖は振れないわけで、会社がつぶれたら元も子もない。これはまだいいほうであって、残業代を出さないブラック企業さえある。これは労基法違反だから問題外としても、公務員の残業代は青天井といわれても仕方ないかもしれない。

というわけで、まったく残業代を払わない完全不払い企業だけが「ブラック企業」であって、残業代に上限を設定してそれ以上はサービス残業というのは当たり前であって、ブラック企業などではないという、まことに現代社会の常識をわきまえた議員さんであるようです。

唯一つ残念なのは、「民間企業の多くは」労働基準法が適用されるという世に知られざる密教の知識まではご存じなかったということのようです。

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第1回非正規雇用労働者の能力開発抜本強化に関する検討会

えー、本日はわたくしが認識する限り9月22日(土曜日)であって、9月24日(月曜日)はまだ未来のはずなんですが、厚生労働省のホームページでは時空が若干歪んでいるらしく、なぜか「9月24日(月)発表」のプレスリリースが載っちゃってます。

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002k8ag.html

第1回非正規雇用労働者の能力開発抜本強化に関する検討会

この検討会自体は一昨日、すなわち9月20日(木曜日)に行われたもので、そこに提出された資料類がアップされているのは何の不思議もないのですが。

開催要綱によると、

1.趣旨
厚生労働省では、本年3月に策定した「望ましい働き方ビジョン」で示された基本姿勢や施策の具体的方向性に基づき、非正規雇用の労働者の能力開発についての対策を抜本的に強化し、計画的に取組を推進することとしている。
また、本年6月の厚生労働省版「提言型政策仕分け」でも、企業内の人材育成への支援について、非正規雇用の労働者に対する訓練への一層の重点化が提言されている。
このような問題認識の下、非正規雇用の労働者の望ましい人材育成施策を検討するため、本検討会を開催する。
2.検討事項
(1)非正規雇用の労働者に対する人材育成について、企業の取組やそれに対する国の支援策等の状況、効果等の検証
(2)「望ましい働き方ビジョン」や「提言型政策仕分け」で示された施策の方向性に基づく能力開発の抜本的な強化策

と、職業能力開発という側面から非正規労働問題に取り組むようです。

阿部 正浩 獨協大学経済学部教授
和泉 昭子 生活経済ジャーナリスト/キャリアカウンセラー
小野 晶子 (独)労働政策研究・研修機構 総合政策部門副主任研究員
佐藤 厚 法政大学キャリアデザイン学部教授
谷口 雄治 職業能力開発総合大学校能力開発専門学科准教授
田村 雅宣 UIゼンセン同盟副書記長
西久保 剛志 (株)三越伊勢丹ホールディングス経営戦略本部 人事部 人事企画担当
平田 未緒 (株)アイデム 人と仕事研究所所長

派遣労働者の膨大なヒアリング調査で報告書をまとめたJILPTの小野晶子さんが入っていますね。

あとの資料は、現状とか、最近のいろいろな提言のたぐいで、あまり目新しいものはありませんが、どういう議論がこれからされていくことになるか、注目していきたいと思います。

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職安の非正規職員が労組結成 22日に大会

http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2104U_S2A920C1CR8000/

東京都内の公共職業安定所(ハローワーク)に勤める非正規職員約100人が、自分たちの不安定な雇用の改善を求めるため労働組合を発足させ、22日に都内で結成大会を開いた。厚生労働省によると、ハローワーク非正規職員による労組が発足するのは全国で初めて。

 同労組によると、組合員は、窓口で職業紹介をしたり、企業を訪問して求人を探したりする非正規職員ら。契約期間が1年の有期雇用で、通勤交通費が1日往復で360円までしか支給されないなど不安定な待遇で勤務している。

 正規職員による労組委員長OBで、今回の労組の顧問になる駒井卓さんは「正規職員と同等の仕事をしても待遇には差がある。こうした有期雇用の矛盾を解消したい」と話している。〔共同〕

駒井さんが顧問なのか。

ということは、正規職員労組の支援のもとに作られたということのようですね。

最大の皮肉は、当の厚生労働省が提出して制定されたばかりの労働契約法は公務部門の非常勤職員には適用されないということになっていることで、ここは公務労働法制全体を抜本的に見直す必要がほんとはあるのでしょう。

以前『季刊労働法』に書いた「公務労働の法政策」で紹介したことですが、

http://homepage3.nifty.com/hamachan/komurodo.html

1954年に、当時の与党自由党が「国家公務員制度改革要綱案」をまとめ、「国は、・・・特定の業務について、私法上の雇用関係を結ぶことができるものとし(仮称「国家従業員」)、これは公共の福祉上の要請に基づく点を除き、おおむね一般の民間の雇用関係と同一の法律関係にあるものとする」としていました。

また、政府が1956年8月にまとめた国家公務員法改正法案(第一次試案)では、

第3条(国家公務員の定義) 
2 国は、単純な労務又は臨時の業務に従事させるため、国家公務員以外の者を雇用し、又は国家公務員以外の者に常時勤務を要しない諮問的、調査的その他の公務を委嘱する場合を除くほか、国家公務員以外の者を置いて、その勤務に対し給与を支払ってはならない。

と、臨時職員は国家公務員の身分ではなく、私法上の雇用関係とする仕組みを示していました。

この考え方が当時成立していれば、今ごろ、国も地方も、臨時職員は労働契約法が適用され、従って今回改正の有期契約に関する規定も適用されていたことになっていたわけですが、結局そうはならなかったのですね。

もう半世紀以上も前の話ですが、こういう昔話にこそ、今現在のなかなか解決の道が見えない問題のヒントがあるのかも知れません。

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「権利過剰論者」にとって問題であること、問題でないこと

権利過剰論者にとっては、こういうニュースを見ても、本来問題ではないことが問題だァ!と騒ぐべきこととなり、本来問題だァと騒ぐべきことが全然問題ではなくなるということが、これほど如実によく現れている典型例はないですねぇ。

http://www.j-cast.com/2012/09/21147316.html(残業年1873時間で783万円、年収1574万 さいたま市職員なぜそんなことが許されるのか)

時間外手当を給与とほぼ同額受け取り、昨年度の年収が1500万円超に達する40代のさいたま市職員がいることが分かった。この職員を含めて、年間1000時間以上も残業した職員が80人ほどもいたというが、なぜそんなことが許されるのか。

まっとうな感覚の持ち主であれば、「なぜそんなことが許されるのか」というのは、言うまでもなく、そんな長時間労働をやらせることが許されるのか、という問いでなければならないはずですが(なにしろ、地方公務員には労働基準法の労働時間規制が直接適用されているわけですし)、どうもこの記事の記者にはそうでないようです。

高額な時間外手当支給が発覚したのは、2012年9月19日のさいたま市の定例市議会でのことだった。

一般質問に立った冨田かおり議員(改革フォーラム)が時間外手当についてただしたのに対し、市の総務局長が答弁で明らかにした。

さすが、「改革」を名乗る政治団体の政治家らしく、およそ問題にすべきことは、長時間労働でも何でもなく、労働基準法通りの時間外労働手当を法律に則って支払ったことのようでありますな。

さいたま市の職員課では、取材に対し、この職員が震災対応に追われ、土日祝日も働いていたことが大きいと説明した。ゴミ収集などの現業ではなく、一般事務をしていたというが、具体的な業務の内容などについては、個人情報保護のため答えられないという。

   2000時間近い時間外勤務については、臨時公務に当たるため、労基法違反にはならないとした。それを市が認めたのは、震災という特殊な事情があったからで、臨時職員を雇う時間もなかったとしている。

とにかく、この「改革」大好き政治家と、そういう政治家大好きなマスゴミさんたちは、長時間労働自体には何の問題意識も向けず、土日祝日まで長時間労働をさせるぐらいなら人手を増やせというようなことも言わず、ただとにかく、法律に基づいた正当な時間外手当を払ったことがケシカランケシカランとわめき立てるわけなのですね。

まさにここに、ブラック企業現象を草の根で支えるブラック政治家とブラックマスゴミとそしてそういう記事を読んで「そうやそうや、そんな奴らに残業代なんか払うな」と叫び立てるブラック一般人たちのがっちり組んだスクラムがあるわけなんでしょうなあ。

こういうブラック全開の人々に向かって、いや、問題は長時間労働なのだ、残業代さえ払えば長時間労働させても良いというのはおかしいのだ、なんてまっとうな話をしても、ただの一ワードすら通じないのではないか、と絶望感にうちひしがれる思いです。

(追記)

続きはこちら:

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/http.html(現代社会の常識)

・・・・・・・

その議員のブログを見てみました。

・・・・・・・

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濱口桂一郎先生が「りふれは」と言うのがよくわかりましたよ(←今頃気づくなよ!俺(-_-;)。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/post-0adf.html(なるほど、こういうつながり)

ということで、

http://twitter.com/radiomikan/status/249095276332216320

さすがに昨日の田母神氏のtweetはこれはいけないと思わざるを得なかったなぁ。いくら目的を同じくしても組んではいけない人はいるわけで。

http://twitter.com/radiomikan/status/249095934259130369

僕はリフレ政策について立場を超えてもっと共有されて欲しいし、考えが違う人でもその部分では共闘できればいいかな…と思っていたが、やっぱり限度はあるな。。

http://twitter.com/radiomikan/status/249096504172761088

濱口桂一郎先生が「りふれは」と言うのがよくわかりましたよ(←今頃気づくなよ!俺(-_-;)。

いやいや、「今頃気づくなよ」なんていいません。

この期に及んで、未だに「りふれは」なんていうのはけしからんとかのたまってる人々がいるわけですから。

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『季刊労働法』238号

Tm_i0eysjizoi2gag 『季刊労働法』238号が刊行されています。

http://www.roudou-kk.co.jp/quarterly/archives/005309.html

前にお知らせしたとおり、特集は「職場のいじめ規制」、第2特集は「キャリア権」です。

特集
職場いじめ規制のあり方とは

「職場いじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議」提言と今後の法政策上の課題―労使ヒアリング調査結果等を踏まえて―
労働政策研究・研修機構研究員 内藤 忍

ベルギーにおける「職場いじめ」規制法
滋賀大学教授 大和田敢太

予防に重点を置く,スウェーデンの職場いじめに対する法制度
―雇用環境規則AFS1993:17を中心として―
中央大学大学院博士後期課程 西 和江

職場いじめ・嫌がらせ問題
―徳島労働局での取り組みについて―
徳島労働基準監督署次長 岡田英樹

第2特集 キャリア権構想の最前線

キャリア権を問い直す
法政大学大学院教授 諏訪康雄

「キャリア権」総論
―キャリア権の意義と展開―
エプソン販売株式会社経営企画部 西尾健二

キャリア権における学習権
―内部労働市場における学習権の阻害要因とは何か
法政大学大学院政策創造研究科兼任講師 石山恒貴

企業における人材育成と個人の能力開発の融合
―ミドルの現状分析を通じたキャリア権促進上の課題―
法政大学大学院政策創造科研究生 佐藤雄一郎

キャリア権から見たメンタル不調者の職場復帰支援
法政大学大学院・特定社会保険労務士 本田和盛

キャリア権といえば、昨日法政大学公共政策大学院での夜間講義「雇用労働政策研究」の1回目をしたのですが、出席している院生の皆さまの中に、政策創造大学院で諏訪康雄先生に教わっているという方がおられましたな。

その他の記事は次の通りですが、

■連載■

■文献研究労働法学 第6回■
有期労働契約の雇止め
関西外国語大学准教授 篠原信貴

■ローヤリング労働事件 第6回■
和解―労働者側代理人の立場から
弁護士 水口洋介

■労働法の立法学 第29回■
たばこのけむりの労働法政策
労働政策研究・研修機構統括研究員 濱口桂一郎

■アジアの労働法と労働問題 第14回■
2011年ミャンマー(ビルマ)労働組合法の意義
大阪女学院大学教授 香川孝三

■新連載・ドイツ労働法古典文献研究会 第1回■
連載開始にあたって
明治大学法科大学院教授 野川忍

オットー・フォン・ギールケにおける雇用契約の法理(1) 
千葉大学准教授 皆川宏之

■北海道大学労働判例研究会 第27回■
組合活動の正当性と違法活動における個人責任の所在
連帯ユニオン関西地区生コン支部(トクヤマエムテックほか)事件
大阪地判平23. 9. 21,労判1039-52
北海道大学法学研究科修士課程 松田朋彦

■神戸大学労働法研究会 第20回■
自宅待機命令の無効の確認の利益および同命令の違法性
全日本海員組合事件
東京高判平成24年1月25日労経速2135号3頁
姫路獨協大学准教授 大木正俊

■論説■
偽装職業紹介の現状と課題
青山学院大学法学部教授・弁護士 藤川久昭

このうち、注目は藤川さんの「偽装職業紹介」の論説です。

これは、昨日の法政の院での講義でもお話ししたのですが、終戦直後に本当は労働者供給事業であるものを無理に有料職業紹介事業ということにしてずっとごまかしてやってきたことのツケが、こういう形で噴き出していると見るべきでしょう。

ここで藤川さんが取りあげている事件については、来週火曜日発売の『ジュリスト』1446号の座談会において、私の発言の中でも取りあげておりますので、ご関心の向きは是非ご一読下さい。

http://www.yuhikaku.co.jp/jurist/next

特集 理論・実務からみた労働者派遣法改正
・〔座談会〕労働者派遣法改正法をめぐって/諏訪康雄・濱口桂一郎・徳住堅治・木下潮音

なお、私の「労働法の立法学」は、「たばこのけむりの労働法政策」です。最後は公明新聞社説が骨抜き修正に反対したというところで終わっております。

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『経済危機下の外国人労働者に関する調査報告書 -日系ブラジル人、外国人研修・技能実習生を中心に』

Others02今年4月に出されていた連合総研の報告書ですが、どういうわけか長らくHP上に公開されず、ようやく昨日アップされたようです。

http://rengo-soken.or.jp/report_db/file/1348044231_a.pdf

経済危機下の外国人労働者に関する調査報告書 -日系ブラジル人、外国人研修・技能実習生を中心に

「外国人労働者問題に関する調査研究員会」(☆主査)
☆鈴木 宏昌(早稲田大学名誉教授)
 天畠 一郎(芝浦工業大学教育支援センター特別専任講師)
 ウラノ エジソン(筑波大学大学院人文社会科学研究科准教授)
 上林 千恵子(法政大学社会学部教授)
 竹ノ下 弘久(静岡大学人文学部准教授)
 濱口 桂一郎(労働政策研究・研修機構統括研究員)
 首藤(杉田) 佳世(早稲田大学大学院)
〈オブザーバー〉
 橋本 由紀(東京大学大学院、日本学術振興会特別研究員)
 蜜田 義人(自治労政治政策局次長)
 竹詰 仁 (連合生活福祉局部長)
 漆原 肇 (連合雇用法制対策局部長)(2010年9月まで)
 藤冨 健一(連合雇用法制対策局部長)(2010年10月から)
〈事務局〉
 龍井葉二(連合総研副所長)
 宮崎由佳(連合総研研究員)
 麻生裕子(連合総研主任研究員)
 高島雅子(連合総研研究員)
 成川秀明(前連合総研副所長)(2009年11月まで)
 大谷直子(前連合総研研究員)(2009年8月まで)
 会田麻里子(前連合総研研究員)(2009年8月まで)

わたくしは、第2章の「日本の外国人労働者政策 労働政策の否定に立脚した外国人政策の形成と破綻」を執筆しております。

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なるほど、こういうつながり

http://jp.reuters.com/article/foreignExchNews/idJPTK819898020120918(オバマ米大統領の支持者は政府に依存、彼らの生活は気にかけない─共和党ロムニー氏=隠しImageカメラ映像)

ビデオによると、ロムニー候補は「彼(オバマ大統領)を支持する人々、政府に依存し、自らを被害者だと信じて自分たちを養う責任が政府にあると考える人々が47%いる。そういう人々のことを心配するのは私の仕事ではない。彼らに自己責任を求め、自分の暮らしの面倒をみるよう説得することは決してしない。私が説得すべき人々は、無党派層の中心にいる5─10%だ」と発言。

http://econdays.net/?p=7117(クルーグマン「労働者蔑視」(NYT,2012年9月20日))

現代の共和党は,他人のためにはたらく人たちに大して敬意を払わない.どれほど誠実にがんばって働いてようと関係なしだ.そればImage2かりか,共和党が心を寄せるのはひたすら「雇用創出者」たちのことばかりだ.つまり,雇用主と投資家のことばかり気にしてる.共和党の指導的な人物たちには,平凡な勤労者世帯を尊重してるってそぶりすら難しいみたい――その勤労者世帯こそがアメリカ人の圧倒的な多数なんだけどね.

言うまでもなく,共和党がこうして労働者を見下しているのはうわべのレトリックにとどまらず,もっと根深い.・・・

この労働者蔑視はどこからでてきたんだろう? 明らかに,その一部は政治で動いてるお金を反映してる:・・・

ここでの要点は,「ボカラトンの一幕」と世間で言われてるものは,ささいなヘマなんかじゃないってこと.この一件からは,いまや富裕層の富裕層による富裕層のための政党となったシロモノが本音でどんなことを思ってるかが垣間見える.お金持ち以外のぼくらのことなんて敬意を払うそぶりにすら値しないと思ってるこの政党の本音がね.

Image3_2 http://twitter.com/toshio_tamogami/status/248566605762658305()

人権救済法案が閣議決定されました。弱者が権力を握ろうとしています。弱者救済が行き過ぎると社会はどんどん駄目になります。国を作ってきたのは時の権力者と金持ちです。言葉は悪いが貧乏人は御すそ分けに預かって生きてきたのです。「貧乏人は麦を食え」。これは池田総理が国会で言った言葉です。

Image4 http://twitter.com/smith796000/status/108338422514589696

いま、田母神さんに電話しました。野田さんとは愛国者つながりがあるので、「増税は外国を利するだけ。いまは絶対やめなさい。」と説得してくれるそうです!今こそ勢力糾合です!



00
http://twitter.com/hidetomitanaka/status/169990048937283584

田母神氏は相当前からリフレ支持だと聞いてます。

http://twitter.com/YoichiTakahashi/statuses/235795469333307393

99_2田母神さんと対談したとき日本経済がダメになると防衛費に影響が出て中国になめられるとってたけど、それは本当。韓国にもなめられている。

Img_0189 http://twitter.com/sunafukin99/status/248559805701177344

リフレ界隈ではロムニーとかアメリカ右派のバカさ加減にあきれる人が多いのに、国内では右派系の政治家を推すような図が見られるけど、これも一種のねじれなのかな。

人権擁護法案を、他の理由ではなく、「弱者救済だから」という理由で批判する論理というのは、まさにアメリカ右派と共通の感覚でしょうが、そういう感覚を共有している人々をクルーグマンと共通の「リフレ派」と呼ぶのはいくら何でも気が引けるので、これはやっぱり「りふれは」と呼ぶべきなのではないでしょうかね。

それとも、「りふれは」ではなく、「リフレ派」と呼んだ方がいいでしょうか。「国を作ってきたのは時の権力者と金持ちです。言葉は悪いが貧乏人は御すそ分けに預かって生きてきたのです」と喝破するような御仁を。

私はどちらでも結構ですが、「りふれは」という用語を批判される方は、筋道の通った代替案をお願いしたいところです。

(追記)

Imageq そういう意味では、筋を通しているのはむしろこの御仁でしょう。

http://twitter.com/ikedanob/status/248344944320856065

真実はしばしばpolitically incorrectである RT : ロムニー、国民の47%を「たかり」呼ばわり -

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本日都内某所で

本日都内某所で、怪しい方々とご一緒いたしました。

まあ、お前が一番怪しいと言われれば、そうかなという気もしますが・・・。

早速、その場にいた方がツイートされていますが、

http://twitter.com/ssk_ryo/status/248411911480287232

濱口桂一郎先生いわく「(君は)アイコンの方がクールだね」

いや、実物の方が人間味を感じるという趣旨だったのですが・・・。

楽しんでいただけたとすれば、望外の幸いであります。

(追記)

http://twitter.com/yumi_yammy/status/248441109850767360

濱口桂一郎先生はとてもユーモアがあるけど、労働市場や政策、背景を冷静に、鋭く分析されていて、本日の勉強会は本当に面白ろかった。

まあ、よく言えばユーモア、悪く言えば・・・。

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解雇の金銭解決はなぜ必要か?

昨日の日経新聞の「経済教室」に、鶴光太郎さんが「解雇に金銭解決の導入を」を書かれていますが、やや論理が不明確な感じがしました。

同じ感想は大内伸哉さんも持たれたようで、

http://souchi.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/post-de80.html

今朝の鶴光太郎さんの経済教室は、ちょっと残念でした。解雇の金銭解決という方向性には、私も賛成なのですが。記事では、イタリア、フランスの解雇法制のどういうところを学ぶべきなのか、よくわかりませんでした。

私の感想は、大内さんともちょっと違っていて、そもそも日本では解雇の金銭解決が認められていない、と書かれていること自体が、現実の労働社会とは乖離しているという認識から来ています。

不当解雇は無効だから原職復帰を使用者に義務づけている、というのは、あくまでも膨大な訴訟費用と機会費用(訴訟に費やした無駄な時間でできたであろうあれやこれやの価値)を費やしてまで裁判所で争うごく少数の人々の話なのであって、そうじゃないごく普通の人々にとっては、むしろ何の基準もないままにかなり少額なレベルで決まる金銭解決か、そこまでも行かないで泣き寝入りして終わる「金銭無解決」の方が圧倒的に主流であるわけです。

実を言うと、昨日の記事で鶴さんはそこのところにもちゃんと目配りしてこういう記述もしています。

・・・もちろん裁判所での和解、労働審判、労働局のあっせんにおいて金銭的な解決が行われているが、労働政策研究・研修機構や東京大学社会科学研究所との調査を見ると、紛争解決の仕方で解決金がかなり異なり、少額のケースも多い。・・・

112050118 『日本の雇用終了』の末尾近くで、私が金銭解決制度の導入を説いたのも、なによりもまずこの、コストをかけられる人は非常に手厚く、コストをかけられない人にはものすごく冷淡な仕組みを、もっと平準化すべきではないかという問題意識からきているのですが、せっかく上のような引用をしていただいているわりには、昨日の記事全体からはそういう問題意識がほとんど感じられず、やや残念な感じがしたところです。

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権利過剰論者に見えている世界

「すなふきん」さんのツイートから、

http://twitter.com/sunafukin99/status/247811545961201664

戦後日本人は権利ばかり主張して・・・というおなじみの言説って変だよな。もしそうならブラック職場環境や過労死や自殺がこんなに多くないはず。

http://twitter.com/sunafukin99/status/247813275369238530

保守右派の改憲論で問題なのは権利関係の制限をやりたがるところかな。元々法的に認められた権利行使にさえ控えめな国民なのに、これ以上権利を規制されたら相当まずいことになる懸念がある。

http://twitter.com/sunafukin99/status/247817007418986496

おそらく権利過剰論者に見えてる世界は現実よりめちゃめちゃ甘く見積もられているんじゃないかと思う。ブラック労働なんか存在しない、みんな9時から5時しか働いていない、残業手当は必ず出る、土日休み当たり前、そんなのけしからん!みたいなw

とりあえずはその通り。とともに、もう少し複雑な事情もありそう。つまり、現実社会は結構ブラックなんだが、それを「けしからん、是正されるべきだ」と個別事案で主張する立場からすると、現実は結構ブラックというのを出発点にするよりも、あるべきホワイトな姿を出発点にしがちで、それはともすると、「世の多くの現実はこんなにホワイトなのに、こいつはブラックでけしからん」というロジックになりがち。

弁護士が裁判官を説得する上ではそれは有用ではあるけれど、そういうロジックが積もり積もると、本当の真実の現実よりも、仮想的なホワイトな姿があたかも現実であるかのような誤解が瀰漫しがち。

労働法の世界で起こったのは、まさにそういうことじゃないか、と私は思っている。それが「日本ではよほどのことがなければ絶対に解雇なんかできない」などという言説が結構まともに流通したりする事態の原因。

112050118_2 それを「毒消し」するためにまとめたのがこれなので、是非ご一読を(と、最後は宣伝になりましたが)。

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欧州委、団体行動権規則案を撤回

さて、極東諸国家が社会情勢の不安定さとポピュリスト政治家の活躍で異様に熱くなっている間に、欧州では今年3月に欧州委員会から提案された「団体行動権に関する規則案」が撤回されたというニュースが入ってきていました。

http://www.euractiv.com/socialeurope/ec-drops-regulation-right-strike-news-514793

The European Commission has withdrawn proposed legislation limiting workers’ right to strike, amid a furore from trade unions and EU lawmakers in Parliament who waived a "yellow card" to Brussels for stepping over national sovereignty.

欧州委員会は、ブリュッセルは国家主権を踏みにじろうとしていると「イエローカード」を突きつけた労働組合と欧州議会の怒りの中で、労働者のストライキ権を制限する立法提案を撤回した。

この問題については、『労働法律旬報』の4月下旬号に解説を書いたのでご存じの方もいると思いますが、この言い方はいささかミスリーディングなような。

ただ興味深いのは、これがリスボン条約で導入された「イエローカード」条項の発動だったということです。

This was the first time that national parliaments had triggered the so-called “yellow card” principle enshrined in the 2009 Treaty of Lisbon, which allows countries to flag up cases where they believe the Commission has overstepped its powers.

これは各国の議会が2009年のリスボン条約に規定されたいわゆる「イエローカード」原則、つまり欧州委がその権限を踰越愉悦したと信ずるときに加盟国が旗を掲げることができるという原則が初めて発動されたものだ。

上記『労働法律旬報』における拙論文はこれです。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/roujun1204.html(EUにおける経済的自由と労働基本権の相克への一解決案)

この問題、さらになおフォローしていく必要性が高いようですね。

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希望は文革?

20120917dd0phj000001000p_size5毎日新聞によると、中国のデモに毛沢東の肖像が登場しているそうですが、

http://mainichi.jp/opinion/news/20120917ddm003030101000c.html

「毛主席、万歳」。北京の日本大使館前で16日に起きたデモでは、多くの集団が新中国建国の父、毛沢東の肖像画を掲げ、声をそろえて毛沢東をたたえる集団もあった。

 上海でも16日、大小の毛沢東の肖像画がデモ参加者によって掲げられた。上海市郊外から参加したという20代の男性は胸に毛沢東の肖像が描かれたシャツを着ていた。「国民の多くが平等だった毛沢東時代の方が良かった。今の政府のやり方はおかしいことばかりだ」と語った。だが、尖閣諸島の問題とは直接関係ないのではと問うと、口をつぐんだ。

 中国では貧富の格差や官僚の腐敗が深刻化するなか、保守派や若者の間に毛沢東を崇拝する動きが広がっているが、これまでの反日デモで毛沢東の肖像画を掲げるケースはなかった。今回の反日デモの広がりには保守派の支持拡大を反映したものとの見方もある。

文化大革命については、同時代に中国で言ってた「魂に触れる革命」とかのたわごとをそのまま宣伝して信頼を全滅させた学者たちと、そのあとの「あれは全部権力闘争だったんだよ」というリアルポリティクス派学者たちの議論だけが日本で語られているために、何で民衆がそんなのに載っかっていったのかというあたりがわりとすっぽり抜けているのですが、戦前の日本の「希望は戦争」と同じように、「希望は文革」だった人々がいたからだということも、少しは念頭に置いておいた方がいいでしょう。

このあたり、あるところで書いた文章を引用しておきますと、

3 大躍進と文化大革命

 その後、中国の労働法は暗黒時代に入ります。毛沢東は1958年から人民公社、大躍進、社会主義建設総路線の三面紅旗を掲げて、野心的な第二次5か年計画を実施しました。しかし、強引なノルマを課し、無理な増産を指示したため生産力の低下をもたらし、数千万人の餓死者を出して大失敗に終わりました。
 窮地に陥った毛沢東は1959年4月、国家主席を劉少奇に譲りました。実務家の劉少奇は事態の改善に努め、ようやく1964年には農業不振が克服され、1965年から第3次5か年計画を実施することとされました。この時期、劉少奇は両種労動制度と称して、常用工と臨時工・契約工を併存させ、補完させる政策をとりました。
 しかし毛沢東は復権を期して1965年から実務派への批判を行わせ、1965年5月には本格的に劉少奇や鄧小平ら実務派を打倒する文化大革命を発動しました。毛沢東は若い学生や青少年労働者を扇動して紅衛兵に仕立て、集団的に乱暴狼藉を行わせて権力を奪取したのです。
 文革の当初、臨時工、契約工といった不安定労働者層は全国紅色労動者造反総団(全紅総)を結成して、待遇改善などを要求しました。江青ら中央文革小組がこの造反を支持したこともあり、彼らは全国総工会を封鎖し、その機関紙「工人日報」を停刊させました。こうして、既に沈滞していた総工会を始めとする各段階の工会組織も、文革の中で閉鎖され、崩壊したり、その機能を停止したりしました。しかしその全紅総も、まもなく反革命組織として弾圧されました。文革のエネルギーの中には、こういう底辺層労働者の怒りもあったのです。しかし、それは実権派打倒に役立つ限りで利用され、すぐに捨てられたのです*5。
 文革期には多くの企業で革命委員会が作られ、その主任や副主任は企業の指導権を手に入れ、労働者を支配し、生産活動を行わず、企業長や技術者などを社会主義の敵と批判して「階級闘争」を行っていました。攻撃された工会の活動が停止するとともに、1957年から実施されていた職工代表大会も中断されました。
 大変皮肉なことに、この文革期の1975年に制定された憲法には、「公民は言論、通信、出版、集会、結社、デモ、ストライキの権利を有する」(第28条)と、ストライキ権が明記されました。文脈からしても、極左思想の産物であって、労働基本権として位置づけられているわけではありません。そして、1982年憲法では「極左思想の産物」として削除されてしまいました*6。

この時期には、中国は国際的に孤立していましたし、毛沢東の奪権闘争に利用される形で彼ら臨時工や契約工たちは「希望は文革」としてうまく利用されたわけですが、さて、今回は何がどういう風に利用されることになるのか・・・。

6_82924_0c21608682ec291_2  (追記)

天漢日乗さんによると、

http://iori3.cocolog-nifty.com/tenkannichijo/2012/09/post-4fa1.html(反日デモに登場した毛主席肖像の謎 中国ではネット上の「毛主席」画像関連の発言を速攻削除中)

毛主席の肖像画の意味するところは
 文革時代よ再び
ってことか? 冗談じゃないぜ。
もっとも、毛主席の肖像を掲げている方は
 みんな平等に貧乏になろうぜ
というアピールか。他の言辞だと
 現政権をストレートに批判
ってことになって、とっ捕まるけど、毛主席は
 神聖にして侵すべからず
だから、さすがに手は付けられないもんな。

一つ前のエントリでは、

今や大卒は「高給民工」。しかも、「希望は革命」などとは口が裂けても言えないのですから、「希望は戦争」となるわけです。

と言いましたが、ただ一つ口にすることが許される「希望は革命」の婉曲話法がこれなんですね。

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マジで「希望は、戦争」という時代

「ラジオみなみ関東」さんが、こうつぶやいていますが、

http://twitter.com/radiomikan/status/247478022716923904

井上寿一「日中戦争下の日本」を読んでると、戦争に協力しちゃった人って当時の労働者とか小作人とか女性だったりするんだよね…戦争協力を経て職場の待遇改善だったり、男女平等に近づけた側面が少なからずある。やるせない…(._.)

http://twitter.com/radiomikan/status/247478492722233344

総力戦だから下の方も引き上げろ!という名目になるんだな…それを推し進めてしまったのが社会大衆党という左派政党。

http://twitter.com/radiomikan/status/247478856032849923

マジで「希望は、戦争」という時代が確かにあったことがその本を読むとよくわかりますよ。読んでてやるせなかった。

いや、だから、何年も前からずっと言い続けているのはそういうことなわけですが・・・。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/05/post_3f06.html(フリーターが丸山真男をひっぱたきたいのは合理的である)

これは当然なのだ。そして、彼が戦争を待ち望むのも当然なのだ。

実際、今から70年前、中学校以上を出たエリートないし準エリートのホワイトカラー「社員」との差別待遇に怒りを燃やしていた彼の大先輩たるブルーカラー「工員」たちを、天皇の赤子として平等な同じ「従業員」という身分に投げ込んでくれたのは、東大法学部で天皇機関説を説いていた美濃部教授でもなければ、経済学部でマルクスを講じていた大内教授でもなく、国民を戦争に動員するために無理やりに平等化していった軍部だったのだから。もちろん、それを完成させたのは戦後の占領軍とそのもとで猛威を振るった労働組合であったわけだが、戦時体制がなければそれらもなかったわけで。

このへん、戦前は暗かった戦後は明るくなった万歳史観では全然見えないわけで、そういう史観の方々には何が問題なのかもよく分からないのだろう。もちろん、戦争なしにそういう改革ができたのであればその方がよかったのかも知れないが(実際そういう国もないわけではないが)、戦争もなしに戦前の丸山真男たちがそれを易々と受け入れただろうかというのが問題になるわけで。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/08/post_a88b.html(超リベサヨなブッシュ大統領)

戦前の日本が過剰にリベラルだったから、それに対するソーシャルな対抗運動が「革新派」として拡大していったからなんでね。まさに、ポランニーの云う「社会の自己防衛運動」。戦前の二大政党制の下では、本来そっちを取り込むべき立場にあった民政党は、確かに社会政策を重視し、労働組合法の制定に努力したりしたけれども、同時に古典派経済学の教義に忠実に従うあまりに金解禁を断行し、多くの労働者農民を不況の苦痛に曝すことを敢えて行うほどリベラルでありすぎたわけで。どっちにも期待できない労働者たちは国家主義運動に期待を寄せるしかなくなったわけで。

ついでに、戦後歴史学では反戦平和の闘士としてもてはやされている斉藤隆夫、帝国議会で軍部を痛烈に批判した粛軍演説ですが、彼はその冒頭こういういい方をしているんですね。

>一体近頃の日本は革新論及び革新運動の流行時代であります。

>しからば進んで何を革新せんとするのであるか、どういう革新を行わんとするのであるかといえばほとんど茫漠として捕捉することはできない。

>畢竟するに、生存競争の落伍者、政界の失意者ないし一知半解の学者等の唱えるところの改造論に耳を傾ける何ものもないのであります。

生存競争の落伍者」ごときのいうことに耳を傾けることなんぞできるか!

とまで罵られて、反ファシズムのため連帯しませうと云えるほど、日本の社会主義者たちは心広くはなかったわけです。

赤木君ではないが、「ひっぱたきたい」と思ったであろうことは想像に難くありません。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/08/post_642c.html(昭和8年の三菱航空機名古屋製作所争議)

日本の近代史を考える上で大変重要なのは、それまで争議のたびに悲惨な負け方を繰り返していた労働組合側が、この(リベサヨさんのいうところの)ファッショな時代になると、そう簡単に負けなくなって、いやむしろこの事件のように勝つようになるということです。ここのところを抜きにして、百万言費やしてみたところで、昭和史の本質が分かったとは言ってはいけないんですよ。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/09/post_f86f.html(日中戦争下の日本)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/09/post_1e5a.html(丸山真男をひっぱたくブログ)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/12_f1d9.html(昭和12年の愛知時計電機争議)

だいたい、官憲は資本家の味方をして労働組合や争議団を弾圧するものと相場が決まっていたのですが、日中戦争前夜のこの時期には、「愛国」的な労働組合と官憲が結託し、争議に勝ってしまうという事態が起こるようになっていたのですね。

まさに、「戦争に労働者の地位向上を賭けた」わけで、しかもそれが成功したのですね。「愛国」の旗を振ることで、それまで踏みにじられていた労働者たちは、会社に勝てるようになったのです。それをファッショだと批判したところで、歴史の意味が理解できるものではありません。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/post_c3f3.html(赤木智弘氏の新著)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/post_2af2.html(赤木智弘氏の新著その2~リベサヨからソーシャルへ)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/post_2040.html(松尾匡さんの「市民派リベラルのどこが越えられるべきか 」)

ちなみに、中国についても、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-8e0e.html(中国も「希望は戦争」?)

サンケイ・ビズの記事ですが、これと例の尖閣騒ぎを重ね合わせつつ、赤木智弘氏の本と高基彰氏の本を横目で睨みながら、日中戦争期の歴史書などをひもとくと、なかなかに背筋の冷えるところがあります。

今や大卒は「高給民工」。しかも、「希望は革命」などとは口が裂けても言えないのですから、「希望は戦争」となるわけです。

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國學院大學労組労供シンポジウムから

Rojyun1772『労働法律旬報』2012年7月下旬号に掲載された「國學院大学経済学部・國學院大学労供研究会 共催シンポジウム 「労働組合による労働者供給事業の可能性―非正規労働問題の解決に向けて―」 」から、わたくしの発言部分の一部をHPの方にアップしました。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/roujun1207.html

そのうち、一般読者にとっても興味深いのではないかと思われるいくつかの部分をこちらにもアップしておきます。

【濱口桂一郎】 基調報告だけではなくて、広く本日のテーマである労供事業の可能性へのコメントをしたいと思います。確かにここ十数年来、非正規労働問題というのが大きな問題であり、それを解決しなければならないとの議論が形づくられてきたわけですが、労組労供を論じることは、そうした議論の立て方がほんとうに正しいのかという問題提起になっているのではないかなと思います。
 とりわけここ数年来の政府や労使の非正規労働問題への対応の仕方は、ややもすると正社員がよいモデルで、非正規問題の解決策は彼らを正社員にすることであるという観点で議論されてきた嫌いがあるのではないか。それは全く間違いではないと思いますが、そこには落とし穴があることが見落とされがちになってしまう。
 歴史的に言えば、そもそも労働法では正社員というのが頭からよいモデルであるわけではなくて、雇用形態にかかわらず労働者は使用者に比べると弱い立場であって、単独では非常にひどい目に遭うこともあるから、国家の保護もあるし、労働組合という仕組みもあるわけです。
 しかし、とりわけ日本では高度成長期以降、労働組合がそれなりに下支えをしている大企業の正社員をモデルにして、企業に任せていれば悪いようにはならないというイメージが強固に形成されてしまい、それを前提にして政府もあまりそこには介入しないという考え方が一般的になりました。言い換えれば、非正規問題も彼らを正社員にしてさえくれればそれでいいんだという形で来ました。
 近年問題になっているブラック企業は、そのほころびがかいま見えているという面があります。正社員といいながら、労働法を無視した働かされ方をし、しかも雇用保障もほとんどない労働者が現実には多いのです。これは、正社員にすれば非正規問題が解決するわけではないことをあらわしていまする。
 私は労働政策研究・研修機構において、ここ3年間、労働局の個別労働紛争のあっせんの中身の研究をやっております。その最終的な報告書がまとまりますのでごらんいただきたいと思うんですが、確かに派遣の人たちもひどい目に遭っていますが、直用非正規の人たちもひどい目に遭っています。正社員だってひどい目に遭っています。
 ある種の経済学者は、日本では正社員はクビにできないなどと言いますが、現実の労働社会ではそんなことは全然ありません。そういうことは、うわさ話的にはだれでも知っていることですが、表舞台の議論にはなかなか出てきません。そのため、どうしても非正規問題を議論すると正社員にすればよいという議論に傾きがちなのです。
 現実は必ずしもそうではありません。ですから問題を正規と非正規という形で論ずるより、あるいは間接雇用・直接雇用で善悪を判断するのではなく、どんな雇用形態であってもその働き方が真っ当で、労働者にとって望ましいものであるべきだという発想が必要だと思うのです。
 ILOの言い方ではディーセントワークになりますが、労働のディーセントさをいかに担保するかということが、非正規問題に限らず、今いろんな形で噴出している労働問題を解決する上で、あるいは議論する上での基本的な枠組みにならなければいけません。
 今日、労組労供を提起することは、そういう問題意識を提示しているのではないかと思います。

 世の中にはブラックな派遣もあるし、ブラックな直用非正規もあります。そしてブラックな正社員もいっぱいあるのです。そうしたブラックな働き方をまっとうなホワイトな働き方にしていくにはどうしたらいいか。その議論に対する答は、実は100年以上前からあります。集団的労使関係の構築、つまり労働者の集団的な意思をきちんと反映させるメカニズムをどうつくっていくかです。

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内定取消し告知を人材紹介会社に押しつける会社

「労働あ・ら・かると」に、先日の「成功した起業家が陥る‘ブラック企業’への道」に続いて、岸健二さんがこれまた大変興味深い事例をネタにした話を書かれています。

http://www.chosakai.co.jp/alacarte/a12-09-2.html(内定取消し告知を人材紹介会社に押しつける会社)

人材紹介業の方からの内定取消しをめぐってのご相談の中で目につくのは、人材紹介会社が求人企業から「おたく経由で内定した人材について、内定を取り消したいが、人材に対してその手続き(内定取消しの告知)をしてほしい。もちろんトラブルなくうまくやってほしい。」と言われ、困惑している(どうしたものだろうかと困っている)というものです。

 内定取消しの理由は多種多様なのですが、外資系企業の場合は「本国からの採用凍結指示」、国内企業では「オーナーの気が変わった」というものが多いように思います。

 「本国からの採用凍結指示」という理由は困ったもので、そういう時になると日本法人の代表者や人事担当責任者は自ら「名ばかり社長」「名ばかり管理職」になり下がってしまい、ひたすら「本国」を振りかざすばかりです。相談された人材会社とご一緒に日本での法律やルールを説明しに行っても、中には「ワールドワイドでリクルートメントがフリーズになったのだから」と、カタカナを連発すればこちらが引き下がるのではないかと思っているのではないかという方もいらっしゃいます。・・・

こういうタイプ、いそう・・・。

一方で、「気が変わった」という理由(実際にはいろいろな理由づけが付帯していることが多いのですが、煎じ詰めれば「やっぱりやぁ~めた」ということ)に至っては、返す言葉もありません。

これは、中小企業に結構あるタイプ。『日本の雇用終了』にもいましたな。

岸さんの快刀乱麻の解答は

「有料職業紹介事業についての厚生労働大臣許可を受けているということは、何をして良いという許可を受けているのでしょうか? 自動車運転免許を取得しているということは、許可された範囲の自動車などを運転して良いわけですよね? では有料職業紹介事業許可はどうなんでしょうか?」

 言われるとみなさん「なぁ~んだ」という顔(もしくは声)をされるのですが、職業安定法第4条にて、“この法律において「職業紹介」とは、求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあっせんすることをいう。”と定義されており、みなさん有料職業紹介事業者はそれ(雇用関係の成立をあっせんすること)を有料で行って良いという許可を受けているわけです。

 したがって、「間違っても内定取消しという《労働契約予約の解約》の代行を行って良いという許可を受けているわけではないことを、もう一度よく自覚した上で、その企業にお断りしてください。そもそも、そういった法律行為の代理をすることは、‘雇用関係の成立のあっせん’とは両立しない考え方なので、弁護士さんに依頼相談されるよう、内定取消しをしようとしている企業にアドバイスされてはいかがでしょうか?」とお話ししています。

まあ、こういう筋道の通った発想がなかなか通らず、それこそ「お客様は神さま」現象が瀰漫してしまうと、何でもアリになってしまうのでしょう。

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遠藤公嗣・筒井美紀・山崎憲『仕事と暮らしを取り戻す 社会正義のアメリカ』

岩波書店の新刊案内の10月分に(9ページ)、

http://www.iwanami.co.jp/topics/annai/annai.pdf

遠藤公嗣・筒井美紀・山崎憲『仕事と暮らしを取り戻す 社会正義のアメリカ』

の広告が載っているので、こちらでも宣伝。

宣伝文句に曰く、

どのようにすれば私たちの生活に公正さを取り戻せるのか。そのヒントは、新自由主義国家アメリカにこそ存在した。貧困にあらがう新たな労働運動・ネットワークを紹介し、その背景を分析する。

これは、去る3月に本ブログで紹介したJILPT報告書『アメリカの新しい労働組織とそのネットワーク』の市販版ということですね。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/03/post-0914.html

こういう形で、世間の人々の目に触れやすい形になるのは望ましいことです。

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合成の誤謬@『労働経済白書』

本日、『労働経済白書』が公表されました。

http://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/roudou/12/

第1章 労働経済の推移と特徴

第2章 貧困・格差の現状と分厚い中間層の復活に向けた課題

第3章 就労促進に向けた労働市場の需給面及び質面の課題

という内容でさまざまな分析がされていますが、やはり今回の白書のキーワードはこれでしょう。最後の「まとめ」から、その部分を引用しておきますと。

● 合成の誤謬からの脱却が日本の課題

バブル崩壊後低成長が続く日本経済においては、企業経営を守るための人件費の削減が、結果としてマクロの所得の減少を通じた消費の伸び悩みにつながり、現在、コストを削減した結果、モノが売れなくなったといういわゆる「合成の誤謬」の状態が続いていると考えられる。
経済は需要面、供給面の両面から捉える必要があるが、同様に、労働者についても、労働力の供給主体であるとともに、消費主体でもあり、両面から捉える必要がある。また、人件費をコストとしてのみ捉えるのではなく、人的資源、あるいは内需の源泉として捉えることも重要である。
社会制度・社会システムは相互が密接につながっている「補完的な」関係にあり、全体として考えていく必要がある。社会の構造変化に対応して、日本において最も重要な資源である人的資源を持続的に有効活用でき、社会の活性化につながるような制度・システムを構築していくべきであり、それが雇用・労働面における全員参加型社会の構築と「ディーセント・ワーク」の実現である。

● 分厚い中間層の復活に向けて

労働者の所得の増加が消費の増加を通じて日本経済の活性化につながるという日本経済のマクロの好循環を取り戻すことが必要であり、そのためには「分厚い中間層」の復活が必要である。
そのためにも、①誰もが持続的に働ける全員参加型社会の構築により、人口減少、高齢化の下でも日本の経済社会の活力を維持・向上させること、②企業だけでなく社会全体で非正規雇用者も含めた能力開発を行い、人的資本を蓄積していくこと、③労働者が安心して安全に働き続けられる環境整備を行い、「ディーセント・ワーク」を実現していくことが不可欠である。

ということで、本日のキーワードは「合成の誤謬」です。

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『書斎の窓』9月号の大内著書評がこんなところで話題に・・・

やはり『書斎の窓』って影響力が大きいのですね。労働法学の狭い世界で話題になっているだけではなく、西洋史の小田中さんまでが話題にしています。

http://d.hatena.ne.jp/odanakanaoki/20120913#p1(『書斎の窓』9月号を読む。)

書斎といえば、『書斎の窓』という有斐閣の月刊PR誌がある。毎月送ってくださるので、教授会のときなどにパラパラめくっている。昨日ようやく9月号を手にとり、ごくごく一部で噂になっている嶋橋右近「書評:大内伸哉『労働の正義を考えよう』」を読んで、ぶっとび。「伝統と格式ある、あの『書斎の窓』が!!」とあまりにぶっとび、おもわず「書斎の窓」から投出しそうになった(ウソ)。

大内さん自身は、

http://souchi.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/post-d0cb.html(批評は大切)

厳しく諫められていますが,こういう批判があることは百も承知で,むしろ,そういう批評が欲しいと頼んだのです。書評というのは,やるなら徹底的にやらなければ意味がないからです。

と冷静に受け止めていますね。

(追記)

昨日都内某所では、自作自演説がまことしやかに語られておりました。

まあ、あそこまで「いかにも」なことを書く人が今どきいるか、というのと、あまりにも「いかにも」すぎるところが怪しい、という見解は、いかにももっともでもあります。「そういう書評が欲しいと頼んだ」からといって、そう見事に注文通り、「やるなら徹底的にやらなければ意味がない」書評を書いてくれる人がいるのだろうか、と。

かつまた、伝統ある『書斎の窓』の誌上で、鬼面人を驚かせるという芸を近い過去にやったのは、まさに大内さんその人ですからね。

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社会保険労務士稲門会講演と懇親の夕べ

さすが早稲田出身者。社会保険労務士の世界にも「稲門会」があるんですね。

ということで、その社会保険労務士稲門会講演と懇親の夕べのお知らせがアップされているのでこちらでも告知。

http://sr-waseda.net/archives/5892(【イベント予告】速報:濱口桂一郎先生を講師に招聘/第12回・講演と懇親の夕べ2012年12月1日(土)ホテル銀座ラフィナート)

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職場のいじめが流行ってます

いや、そういう意味じゃなくて、

もうすぐ発売される『季刊労働法』238号がいじめ特集を組んでいるのに、

http://www.roudou-kk.co.jp/quarterly/archives/005309.html

特集 職場いじめ規制のあり方とは

●職場いじめに関する法規制の現状と課題 内藤 忍
●ベルギーにおける「職場いじめ」規制法 大和田敢太
●予防に重点を置く,スウェーデンの職場いじめに対する法制度 西 和江
●職場いじめ・嫌がらせ問題 岡田英樹

それに輪を掛けるように、『労働法律旬報』9月下旬号でもパワハラ特集、

http://www.junposha.com/catalog/product_info.php/products_id/787?osCsid=ef484854fc4e2834a0e515f571a816e8

[特集]職場のパワーハラスメント―ワーキンググループ報告と提言を受けて
職場のいじめ嫌がらせパワハラの裁判例の検討=浅野毅彦・・・06
職場のパワーハラスメントの予防と解決策の検討~職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議の提言・報告の検討をふまえた実務家からの提言=棗一郎・・・22
職場のいじめ研究の最先端を知る―第八回国際職場のいじめ学会に参加して=内藤忍・・・32
オリンパス・内部通報事件(東京高判平23.8.31)=光前幸一・・・34
リコープロダクションプリントソリューションズ・ジャパン事件について=滝沢香・・・37
インフォプリント・ソリューションズ・ジャパン事件(東京高等裁判所第21民事部宛意見書、2011.10.11)=浅倉むつ子・・・41
[資料]
職場のパワーハラスメントの予防・解決に向けた提言(平24.3.15)・・・72
職場のいじめ・嫌がらせ問題に関する円卓会議ワーキング・グループ報告(平24.1.30)・・・73

という意味ですけど。

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hamachanの思想について

こげな論評がついーとされておりましたぞなもし。

http://twitter.com/ahorashiyaKOBE/status/243985312055980032

なんか読売新聞のナベツネの本ちら見したら権丈先生とか俺とかhamachan先生みたいな主張してた。つまり積極的な社会保障政策が一番の経済成長重視派でしょ、って事なんだけど。もろネオリベっぽいかなっと思ったら橋下批判しているし。

http://twitter.com/ugonz/status/244423215655555072

hamachan先生は68年思想嫌いなんやんなぁ~。「内なる差別に目を向けろ」とか「実存」とか・・労働法が専門っていう関係上それゃそうだわな。銭金や労働を介した人間の関係性や安定が最重要で自分のセンス重視なんて片腹痛いわな。まぁ至極当然やと思うけど・・

なるほど。

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連合奈良組織拡大集会にて

先週土曜日、連合奈良のお呼びで、組織拡大集会に出てお話をしてきました。

http://www.rengo-nara.jp/topics_details207.html

日 時 : 2012年 9月 8日(土) 10:00~12:30

場 所 : エルトピア奈良 3F会議室

参加者: 自治労、電機連合、UIゼンセン、JP労組、電力総連、自動車総連、JAM、運輸労連、情報労連、私鉄総連、教育連合、(11産別 56名)

<本部・講師>

連合本部 総合組織局 局長 高木 良之 氏

独立行政法人 労働政策研究・研修機構 研究員 濱口 桂一郎

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連合の高木さんは、

この「1000万連合実現プラン」は、連合革命であります!!

22年前に様々なイデオロギーを乗り越え4つの組織が一緒になった連合結成当時より、社会構造も雇用形態も変化している。

我々はいつまでも、旧態依然とした組織では組織減縮状態に歯止めがかからない。800万人組織が今や675万。危機的状態である。

と、ぶちあげておりました。

わたくしの方は、いつも通り、

「非正規労働の現状と労働組合の役割について」ご講演を頂きました。非正規労働者が増加しつづける現代社会と、労働組合が利益の分配に加え、不利益の分配機能を果たすことや、世界との比較なども含め多方面からお話を頂きました。

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松尾匡さんが、TPPの俗論を斬る!

4771023638 田中祐二・内山昭編著『TPPと日米関係』(晃洋書房)を執筆者のお一人である松尾匡さんからお送りいただきました。

松尾センセ、大活躍中でありますな。本書はまだ松尾さんのサイトにアップされていませんが、一足先に紹介。

TPPをめぐる議論は、「はじめに参加ありき」のものや、特定分野の利害を過度に強調した反対論が多い。
本書は、いま一度データを見直し、経済の理論と客観的な分析に裏付けられた説明を試みる。
リカードの比較生産費説から見たTPPに対する賛否両論の誤謬、ケインズの自由貿易と保護主義への態度、アメリカの貿易交渉の進め方やISD条項の問題点をやさしく解説する。
TPP問題が日米の政治的な駆け引きとして利用される現状を諫め、真の国益にかない、環太平洋や東アジアの諸国と相互互恵となる経済連携への方向を示す。

松尾さんの担当は「リカードの比較生産費説から見たTPPに対する賛否両論の誤謬」を暴露している第2章「貿易上の利益とTPP論議」です。

まず賛成派の誤謬。一言でいうと、彼らはTPPに入ると輸出が伸びる、と思っている。

・・・こうした議論は、自由貿易の擁護論としては、経済学的に見て全くのナンセンスである。自由貿易のメリットは、輸出を拡大して景気を良くさせることにあるのではない。

・・・だから、自由貿易のメリットは、輸出にあるのではない。輸入にこそあるのである。輸入によって経済全体を効率化させて、労働を浮かそうということが目的なのだから、自由貿易で雇用が増えるなどという話はお門違いも甚だしい。

この関連で、政府の国家戦略室の資料に、

・・・韓国による米・EUとのFTAが発効することにより、わが国の鉱工業品輸出が比較劣位におかれる可能性がある。

という一節があるのを捉え、

経済学的に正しい用語に従えば、鉱工業品が「比較劣位におかれる」ならば、農産物か何か別の商品が比較優位に置かれるはずである。よく世間で、同じ産業の製品どうしで、他国の製品よりもコストがかかってしまうことを「比較劣位」と呼ぶ誤用が見られる。まさか一国行政の最高意思決定の場の資料でそんな恥ずかしい誤用がなされるはずはないだろうとは思ったが、そう解さないと意味が通じない文である。

と、猛烈に皮肉っています。

と賛成論を叩いたところで、今度は反対論の誤謬をからかいます。

・・・しかし、もともと自由貿易のメリットが輸入によって国内の雇用を取り替え、労働を浮かせることにあった以上、これらの数次は、これだけでは賛成論の理由になりこそすれ、反対論の理由にはならないはずである。実際には、日本の第1次産業の就業人口の割合は僅少なので、こんな少ない労働を浮かせてよそに回すメリットが、非経済的な諸問題を上回ってもあるかどうかは慎重に考える必要があるところなのだが、340万人も浮くのならばもう是非もない、やるべきだということになってしまう。

では松尾さんはTPPに参加すべきと考えているのかというと、もちろんまっとうな「リフレ派」の一人である松尾さんは、

・・・ただ一つ、本質的な前提は「完全雇用」ということである。その背後には、完全雇用で生み出された総生産物が、必ず全体として売れて吸収されるという「セイ法則」の仮定がある。

しかしこれが現在の日本で当てはまるかというと、まったく当てはまらない。輸入を自由化して、輸入に取り替えられた部門の労働が浮いたならば、その労働力はただ失業するだけである。

と、不完全雇用下の貿易自由化には反対しますが、

筆者も、しっかりとした完全雇用政策が伴うならば、TPP参加に反対ではない。

と述べ、さらに

しかし、この場合にも、何もしないでTPP参加が労働者にとって無害なものになるとは思っていない。

として、本ブログでかつて紹介した

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/11/post-8972.html(TPP交渉参加各国ナショナルセンターのTPP対応指針)

各国労働組合の取り組みを紹介しつつ、「労働者の国際連帯による共同基準の追求を」呼びかけるのです。

「おわりに」の最後では、久しぶりに松尾節のうなりを聴くことができます。

・・・われわれが必要な手を打たないならば、この自然発生的な結果はまたも同様、ますます労働者側への一方的犠牲の上に、企業が丸儲けすることになるだろう。そしてもっと恐れるべきことは、この結果、経済学的に合理的な政策を考えること自体が、労働者大衆の怨嗟の的となることである。とりわけて今日、TPP反対論の中に、もっとも反動的な右翼ナショナリズム勢力が入り込んでいることに注意しなければならない。民主的勢力がリードしていると思われるTPP反対運動にも、「国益」とか「安全保障」といったワードが踊り始めていることに警戒しなければならない。

善意のTPP反対論のつもりが、とんでもない結果につながらないためにも、冷静で合理的な経済学的思考が必要である。

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『生活保護200万人時代の処方箋~埼玉県の挑戦~』

510787400000埼玉県アスポート編集委員会編『生活保護200万人時代の処方箋~埼玉県の挑戦~』(ぎょうせい)をお送りいただきました。

この本で描かれている「埼玉県の挑戦」については、実はその企画段階で本ブログでも取り上げたことがあります。ご記憶の方もおられるのではないでしょうか。

http://shop.gyosei.jp/index.php?main_page=product_info&products_id=7567

「生活保護200万人」時代、自立支援をいかにしてすすめるか?
全国から注目される先進県・埼玉の成功事例を発信!

「教育・就労・住宅」三本柱の自立支援とは…?
全国から視察が訪れる埼玉県福祉部の取り組みを、考え方からノウハウまで丁寧に記録。
全国で生活保護受給者支援に取り組む関係者のバイブルとなる一冊。

平成24年6月、生活保護受給者が210万人を超え、過去最高を記録した。増え続ける生活保護予算及び同受給者の自立対策が地方自治体の喫緊の課題となっている。また、最近では芸能人家族の生活保護受給がマスコミに取り上げられるなど、生活保護制度自体のあり方についても、世間の注目が集まっている。

本書は、このような情勢のなか「生活保護受給者チャレンジ支援事業」はじめ最も先進的な取り組みとして注目される埼玉県の事例を中心に、地方自治体の抱える課題の検証とその解決策を明らかにするもの。

「教育・就労・住宅」の3分野から、包括的に生活保護受給者の自立を支援する全国初の取り組みについて、実例を豊富に掲載し具体的に解説。生活保護受給者支援に取り組む自治体担当者にとって即役立つ内容。

Isbn9784569697130その本ブログで取り上げたのは、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/07/post-4287.html(埼玉県が生活保護家庭の教育支援へ)

埼玉県といえば、『生活保護とワーキングプア』を書かれた大山典宏さんがおられるところですが、今回の政策に何らかのつながりがあるのでしょうか。

(追記)

本事業は、まさに大山典宏さんが担当されていました。

今回の本も、現埼玉県福祉部社会福祉課保護担当主査である大山典宏さんを中心にして、このアスポート事業で教育支援を担当される白鳥さん、就労支援を担当される下村さん、住宅支援を担当される竹嶋さんがそれぞれの章を執筆する形で書かれています。

序章 2年間のひきこもりから抜け出した誠君 
   ~アスポートの支援員がみた生活保護世帯の子どもたち~

1 生活保護200万人の時代
2 埼玉県の生活支援戦略(アスポート)
3 貧困の連鎖を断つ
4 職業訓練の提供で自立へ
5 住まいを失った人々の尊厳の回復を目指して
6 生活保護制度の目指すもの

実話がいっぱい載ってますので、是非手にとって各章をじっくり読んで欲しいのですが、ここでは、最後の6章から、この取り組みで現場の感覚がどう変わったかを大山さんが描き出しているこの部分を、

・・・事業の実施を通じて、福祉事務所の常識も変わりつつあります。

高校進学に関しては、自分の責任で勉強嫌いの子どもが多いから「仕方がない」、「そこは福祉の仕事ではなく教育の仕事で、我々は知らないよ」という状況だったのが、「やっぱり学習教室に行かせたい」と自分が関わっているケースのお母さんに「子どもに勉強させて高校へ進学させた方が良いですよ」と、ケースワーカーが説得するのが当たり前になりました。

「とにかくハローワークへ行って仕事を探せ」ということが、それまでの常識でした。それが、「一人ひとりの適性に応じた職業訓練を受けることで、長く働くことができる職場に就職することができる。どんな訓練が有効なのか、しっかり考えなければ」と現場が変わっていきました。

無料低額宿泊所については、「入れたら入れっぱなしで、あとはもう知らないよ」というところも少なくなかったのですが、「やっぱり宿泊所というのは長くいるところじゃない。次に向けて準備するところだ」「丁寧な支援でアパートに移ってもらわないと」という雰囲気に変わって来つつあります。

しかし、もっとも大きな変化は、ケースワーカーが支援の楽しさややりがいに気づいたことです。アスポートが行う支援を通じて、ケースワーカーは「ありがとう」と言ってもらえるのです。・・・

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誰の賃金が下がったのか?または国際競争ガーの誤解

経済産業研究所が公表した「サービス産業における賃金低下の要因~誰の賃金が下がったのか~」というディスカッションペーパーは、最後に述べるように一点だけ注文がありますが、今日の賃金低迷現象の原因がどこにあるかについて、世間で蔓延する「国際競争ガー」という誤解を見事に解消し、問題の本質(の一歩手前)まで接近しています。

http://www.rieti.go.jp/jp/publications/dp/12j031.pdf

賃金構造基本統計調査を使用して、1990 年代及び2000 年代における日本の常用雇用労働者の賃金変化の要因分析を行った。その結果、既存の研究結果と異なり、国際的な価格競争に巻き込まれている製造業よりむしろ、サービス産業の賃金が下がっていたことが判明した。

途中の数理分析は飛ばして、結論のところの文章を追っていくと、

製造業の賃金は、1993-1998 年の期間には上昇、1998-2003 年の期間、2003-2008 年の期間については大きな変化が観察されなかった。一方、サービス産業は、1993 年以降一貫して賃金は下がり、1993-1998 年は-3.0%低下、1998-2003 年は-7.8%低下、2005-2009 年は-7.9%の低下とその下落率も次第に大きくなってきた。
バブル崩壊後の時期に当たる1993-1998 年の期間では、製造業では賃金は上昇、サービス産業では下落、最大の下落要因はサービス産業におけるパート労働者の増加である。
この時期、業種計では賃金が上昇しており、業種別で見ても、製造業、建設業、卸売業、情報通信業、金融・保険業、医療・福祉業など多くの業種で賃金が上昇したが、小売業、宿泊業では10%以上も賃金が減少した。
1998-2003 年というアジア通貨危機からIT バブル崩壊の時期にかけては、ほぼ全ての業種で、全ての属性の労働者の賃金水準が平均的に下がっている。この時期は、業種計で賃金が減少、製造業でも、製造業以外でも、ほぼ全ての業種で賃金が減少している。
賃金から見たデフレ現象、つまり、同じ属性の労働者の賃金が下がるという減少は、この1998-2003 年の時期に起こっている。
2003-2008 年の日本経済が比較的堅調であった時期は、製造業の賃金は下がらない中で、サービス産業では大きく下落している。この時期のサービス産業の賃金下落の最大の要因は、労働時間の変化、次いで、パート労働者の増加である。この時期には、業種計の賃金は減少、製造業、卸売業など一部業種では賃金は増加したものの、それ以外の業種では減少している。特に、飲食サービス業、不動産業、医療・福祉業、小売業、宿泊業では大きく賃金が減少している。

1993-2009 年の期間において、サービス産業の中でも賃金下落が著しいのは、小売業、飲食サービス業である。小売業では、パート労働者の増加、労働時間短縮によって、飲食サービス業では年功カーブが緩やかになることに伴って賃金が下落した。一方、サービス産業の中で、賃金が比較的下落していないのは、卸売業、金融業である。卸売業、金融業では、労働者の年齢構成の高齢化、高学歴化によって賃金の下落が抑えられている。
1990 年代から2000 年代にかけて、女性労働者と男性労働者、パート労働者と一般労働者の賃金格差は縮小した。賃金カーブの傾きは、20 歳代、30 歳代のサービス産業で以前に比べると緩やかになっているものの、製造業についてはほとんど変わっていない。

国際競争に一番晒されている製造業ではなく、一番ドメスティックなサービス産業、とりわけ小売業や飲食店で一番賃金が下落しているということは、この間日本で起こったことを大変雄弁に物語っていますね。

「誰の賃金が下がったのか?」という疑問に対して一言で回答すると、国際的な価格競争に巻き込まれている製造業よりむしろ、サービス産業の賃金が下がった。また、サービス産業の中でも賃金が大きく下がっているのは、小売業、飲食サービス業、運輸業という国際競争に直接的にはさらされていない産業であり、サービス産業の中でも、金融保険業、卸売業、情報通信業といたサービスの提供範囲が地理的制約を受けにくいサービス産業では賃金の下落幅が小さい。

そう、そういうことなんですが、それをこのディスカッションペーパーみたいに、こういう表現をしてしまうと、一番肝心な真実から一歩足を引っ込めてしまうことになってしまいます。

本分析により、2000 年代に急速に進展した日本経済の特に製造業におけるグローバル化が賃金下落の要因ではなく労働生産性が低迷するサービス産業において非正規労働者の増加及び全体の労働時間の抑制という形で平均賃金が下落したことが判明した。

念のため、この表現は、それ自体としては間違っていません。

確かにドメスティックなサービス産業で「労働生産性が低迷した」のが原因です。

ただ、付加価値生産性とは何であるかということをちゃんと分かっている人にはいうまでもないことですが、世の多くの人々は、こういう字面を見ると、パブロフの犬の如く条件反射的に、

なにい?労働生産性が低いい?なんということだ、もっとビシバシ低賃金で死ぬ寸前まで働かせて、生産性を無理にでも引き上げろ!!!

いや、付加価値生産性の定義上、そういう風にすればする程、生産性は下がるわけですよ。

そして、国際競争と関係の一番薄い分野でもっとも付加価値生産性が下落したのは、まさにそういう条件反射的「根本的に間違った生産性向上イデオロギー」が世を風靡したからじゃないのですかね。

以上は、経済産業研究所のDPそれ自体にケチをつけているわけではありません。でも、現在の日本人の平均的知的水準を考えると、上記引用の文章を、それだけ読んだ読者が、脳内でどういう奇怪な化学反応を起こすかというところまで思いが至っていないという点において、若干の留保をつけざるを得ません。

(参考)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/12/post-107c.html(スマイル0円が諸悪の根源)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/post-2546.html(サービスの生産性ってなあに?)

(追記)

上記「スマイル0円が諸悪の根源」のコメント欄で、かつて経済産業研究所に研究員として在籍していたことのある人の、「なんもわかっとらん」丸出しのツイートを紹介していますので、ご参考まで。

3法則氏の面目躍如:

http://twitter.com/ikedanob/status/17944582452944896

>日本の会社の問題は、正社員の人件費が高いことにつきる。サービス業の低生産性もこれが原因。

・・・なんにせよ、このケーザイ学者というふれこみの御仁が、「おりゃぁ、てめえら、ろくに仕事もせずに高い給料とりやがって。だから生産性が低いんだよぉ」という、生産性概念の基本が分かっていないそこらのオッサン並みの認識で偉そうにつぶやいているというのは、大変に示唆的な現象ではありますな。

(おまけ)

なんだかやたらにブコメが付いているのですが、その中にこんなのが・・・。

http://b.hatena.ne.jp/entry/eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/post-0c56.html

napsucks国際競争力のある企業は真っ先に取引先に値下げを迫るだろうし、そいつらから金をもらって生きるしかないドメスティックな産業が先にダメージを食らうのは当然だろ。2012/09/10

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上林陽治『非正規公務員』

05992 上林陽治『非正規公務員』(日本評論社)をお送りいただきました。ありがとうございます。

http://www.nippyo.co.jp/book/5992.html

「官製ワーキングプア」の温床ともいえる臨時・非常勤の公務員は60万人をこえる。彼らの雇用と処遇の改善策を提起する。

本書のメリットは、下の目次を一瞥すれば分かるように、

第一部 「常勤」と「非常勤」の差異を問う──非正規公務員の現状
第1章 「常勤」と「非常勤」の差異を問う──増加する非正規公務員
第2章 「図書館」で働く人たちの非正規化の実態と問題点 
第3章 消費生活相談員──その実情
第4章 保育サービスを支える「常勤的非常勤保育士」
第5章 非正規化が進む自治体の現実の可視化

第二部 非正規公務員に係る法適用関係と裁判例の系譜
第6章 非正規公務員に係る法適用関係
第7章 非正規公務員の雇止めをめぐる裁判例の系譜
第8章 非正規公務員の処遇等をめぐる裁判例の系譜と傾向
第9章 「非常勤」「常勤」の区分要素と給与条例主義 
第10章 義務付け訴訟の可能性

第三部 基幹化する非正規公務員と処遇改善の実践
第11章 基幹化する図書館の非正規職員
第12章 非正規公務員に手当を支給する条例の定め
第13章 非正規公務員への実質的な「昇給」制度の導入
終 章 課題解決のための三つの規制

実態論と法解釈論と法政策論とがうまく組み合わさっているところでしょう。

労働法と行政法の谷間にはまりこみ、それゆえそのどちらからもあまり真剣に取りあげられてこなかったこの分野を考えるに当たっては、まず第1部で彼女・彼ら非常勤職員たちの現実の姿をしっかり見た上で、次に第2部で、公務員法が、「任用」という特別なロジックを使うことによって、非正規公務員の権利を奪うメカニズムとなっていることを丁寧に明らかにし、そして第3部で徐々にでも進められる改善の動きを紹介するという本書の構成がうまくはまっています。

最後の終章で、拙著の一節もちらりと顔を出しています。

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拙著書評いくつか

131039145988913400963そうこうするうちに、ネット上にまたいくつか拙著への書評が載っていたようです。

まず『新しい労働社会』について、ブクログでkaorishimizuさんのレビューが、

http://booklog.jp/users/kaorishimizu/archives/1/4004311942

第三章賃金と社会保障のベストミックス、この章が良かった。やはり、労働政策×社会保障論を同時に論ずるのは鉄則。労働マーケットから離れてしまった人は一時的に社会保障で支え、労働法による環境整備でまたマーケットに戻れるような施策を にとても同意。 また学校と労働の乖離の問題点指摘の部分もとても納得できた。
1つ残念なのは、非正規という言葉を使っていること。労働法界では非典型雇用労働者と使うのがスタンダード。

次に、『日本の雇用と労働法』について、読書メーターでシキガワさんのレビューが、

http://book.akahoshitakuya.com/cmt/21753743

日本の雇用はメンバーシップ型で欧米はジョブ型、というのを基本軸にして、目から鱗の説明が繰り広げられている。良書です。労働問題に興味がある人は是非。

112483あと、少し前のものですが、ゆづ香さんの「ダラダラ主婦のプチ節約生活」というブログに、

http://ameblo.jp/xxyudukaxx/entry-11313107160.html(若干偏ったジャンルの書籍が好きな人。)

このジャンルも結構マニアックですもんね。。。
メジャーなものが入ってるわけがない^^;

1位・・・コンピュータが仕事を奪う
2位・・・社長は労働法をこう使え!
3位・・・日本の雇用と労働法 (日経文庫)

3位は完全に素人向けらしく、
私のように若干頭が弱い人にも
わかりやすい本、みたいですよ★

なかなか味わいのある取り合わせの中で「完全に素人向け」「若干頭が弱い人にもわかりやすい」と評していただきました。

学部学生の講義用のテキストへの評価としては、大変暖かいものと言えましょう。

ついでに、

http://twitter.com/mikajun10/status/242382052773728256

日本の雇用と労働法でも読もうかなー。

http://twitter.com/tkmatsu0918/status/242413847451947008

通勤途中は、宮さんお勧めの「日本の雇用と労働法」をリハビリ兼ねて読んでいこう、と思います。


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2012派遣問題フォーラム

NPO法人 人材派遣・請負会社のためのサポートセンターが10月16日に開催する「2012派遣問題フォーラム」の案内がアップされているので、こちらでも広報。

http://www.npo-jhk-support119.org/theme29.html

この度、改正労働者派遣法の成立・施行を受け、当NPO法人では今年度の派遣・請負問題勉強会のまとめとして、10月16日(火)に、“成立した改正労働者派遣法を総括し今後の雇用政策のあり方を考えるため”の派遣問題フォーラムを、労働新聞社協賛のもと開催いたします。
特に、このフォーラムでは、改正労働者派遣法の課題と附帯決議で積残しとなった問題を踏まえ、派遣労働も含めた今後の雇用政策のあり方について、労働法、労働経済、社会学、経営学等を専門とする5名の学識者の方々にご参加いただき、パネルディスカッションを行います。

基調講演
 「労働者派遣法を根本から考え直す」
  労働政策研究・研修機構  濱口桂一郎統括研究員

プレゼンテーション
 ①「改正労働者派遣法の問題点からみた今後の論議のあり方」
  静岡大学人文社会科学部法学科  本庄淳志准教授

 ②「派遣社員のキャリア形成の課題と今後の展望」
   (株)ニッセイ基礎研究所生活研究部門 松浦民恵主任研究員

 ③「非正規雇用改革-近年の政策対応の評価と残された課題」
   慶應義塾大学大学院商学研究科  鶴光太郎教授

パネルディスカッション
 ・コーディネーター   :東京大学大学院情報学環 佐藤博樹教授  
 ・コメンテーター    :基調講演者、濱口桂一郎統括研究員
 ・パネラー        :鶴教授、本庄准教授、松浦主任研究員

というわけで、なかなか面白い取り合わせになっているのではないかと思います。

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OECD『学校を超えた技能 韓国』

Askillsbeyondschoolreviewofkorea_97OECDの『学校を超えた技能』というプロジェクトの国別報告で、先日公表された韓国編を紹介するのは別に他意はありません。日本編がないからです。

こういう職業教育訓練という世界的には教育と労働をつなぐ最重要政策課題になっているテーマについては、日本国政府はなぜか興味を示そうとせず、このプロジェクトに参加している世界17カ国の中に日本は入っていません。既に公表されている国別報告書は次の通りで、

http://www.oecd.org/edu/highereducationandadultlearning/countrystudies.htm

OECD加盟国じゃない中国がなぜかちゃんと入っているのに、日本は入っていないのですね。

職業教育訓練などというのがどうでもいいとでも思っているからか、なんにせよ、日本の客観的な姿は、こういうところに現れたりするのですよ。

さて、そういうわけで、日本編がないので仕方なく9月4日に公表された韓国編を紹介します。

http://www.oecd.org/education/educationkoreashouldimproveitsvocationaleducationprogrammessaysoecd.htm

04/09/2012 - Korea should reform its vocational education and training programmes to ensure that students leave college with the skills and expertise that companies need in today’s rapidly changing labour market, according to a new OECD report.

OECDの新報告書によれば、韓国は、急速に変化する労働市場で企業が必要とする技能や専門性をもって学生たちが大学を卒業できるように、その職業教育訓練プログラムを改革するべきである。

The Skills beyond School review of Korea says that strengthening Korea's postsecondary programmes and institutions for vocational training will help the country meet the rising demand for higher level technical and professional skills.

「学校を超えた技能」も韓国レビューによれば、韓国の高校後教育プログラムと職業訓練機関を強化することは、韓国が高水準の技術的・職業的技能への増えつつある需要に応えることを助けるであろう。

Korea can build on several strengths: the high value placed on education in society, the strong literacy and numeracy skills of its young people, and a strong base of research and data linked to dynamic policy making. The main challenge is that the Korean labour market and its skills system contain rather weak incentives for investment in the skills required by the economy, as opposed to education qualifications which are widely revered.

韓国は、社会において教育へ付与されている高い価値、若者の読み書き計算能力の高さ、ダイナミックな政策形成につながる研究とデータの強力な基盤など、いくつもの長所の上に構築しうる。主な課題は、韓国の労働市場と技能制度が、広く尊重されている教育資格とは反対に、経済によって必要とされる技能への投資へのインセンティブをあまり含んでいないことである。

Among the OECD’s recommendations are that Korea should:
•Boost industry and business involvement in vocational training through a high profile national body;
•Improve quality in postsecondary junior colleges, with more rigorous assessments, and standardized curricula linked to national competency requirements; and
•Introduce mandatory workplace training in junior college programmes
•This review of Korea is the first published, alongside that of Denmark, of 17 countries pursuing OECD examinations of their postsecondary vocational training systems as part of the OECD's Skills beyond School exercise.

OECDの韓国への勧告の中で、とりわけ

・高い地位を有する国家機関を通じて職業訓練へ産業界を巻き込むこと

・厳格な評価と国家的能力資格とリンクさせた標準的カリキュラムにより、高校後の短期大学の質を向上すること。

・短期大学のプログラムに義務的な職場訓練を導入すること。

韓国は日本と共通するところもあれば違うところもありますが、韓国への勧告はそれを念頭に置きつつ参考になります。

表紙まで入れれば114ページ分あるこの報告書の全文は、ここで読めます。読む気のある人はどうぞ。

http://www.keepeek.com/Digital-Asset-Management/oecd/education/a-skills-beyond-school-review-of-korea_9789264179806-en

(追記)

田中萬年さんがこうコメントしているのですが

http://d.hatena.ne.jp/t1mannen/20120909/1347185719

そのような韓国でさえ、OECDより強い学校制度と職業訓練との連携を助言していることは注目されます。

日本へはこのような助言も意見も言わないと言うことは、日本は聞く耳を持たないと言うことが分かっているからなのでしょうか。

国際機に人材育成としては日本は無視されているようですね。

いやいや、OECD「が」日本「を」無視してるんじゃありません。

上で述べたように、そもそも日本国政府(OECDの担当部門が教育局なので、当然担当は文部科学省)が、こういう職業教育訓練に関わるプロジェクトに参加しようとしないから、OECDとしては文句の言い様すらないのです。

OECD非加盟国の中国が参加しているのに、日本は無視しているのです。

日本「が」職業教育訓練「を」無視しているのです。

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OJTという名の"単純労働"

『職場学習論』の中原淳さんが、「「OJT信仰・手放しのOJT礼賛」を超えて : OJTの脆弱性・成立条件を考える」という短文を書かれています。

http://www.nakahara-lab.net/blog/2012/09/ojtojt_ojt.html

日本には、どうやら「OJT信仰」というものがあるようです。「手放しのOJT礼賛」といってもいいかもしれません。

OJTの「よいところ」ばかりが注目され、「結局、経験なんだよ、経験」といった具合に、ある種の「経験主義」「現場主義」と絡み合いながら、その学習効果が「ロマンティシズム」をもって語られる。

その反面、OJTの悪いところ、制約、脆弱性、そして成立条件などのシビアな側面が、あまり着目されないのです。

として、いくつもの点を指摘していくわけですが、その最後の第4のポイントは、

そして、第四のポイント、OJTの最大の脆弱性は、OJTはともすれば「単なる労働」に変わり果てる、ということです。本来OJTは、「Learningful work(学びに満ちた仕事)」であるはずなのに、いつのまにか「Learningless job(学びもクソもへったくりもない、単なる労働)」になってしまう、ということです。
意図せず、意識せず、それは進行します。特に、「職場の多忙感が高い場合」や、「業績へのプレッシャーが高い場合」、また「OJTに対する上司の理解や認識がナノレベルである場合」に、起こる可能性が高くなります。

最悪の場合、職場には「OJTという名の"単純労働"」「OJTという名の"下請け労働"」が、横行します。部下が、「上司の尻ぬぐい」をするというかたちになるのです。

って、これが実は日本の産業化が始まった明治時代の(OJTなんてはいからさんな言葉のなかった時代ですが)壊れつつあった徒弟制の描写でよく出てくる姿なんですよね。それゆえに徒弟たちが居着かずに流動化する。

それではだめだというので、まずは公的な養成施設に送り込むのですが、それでも流動化が止まらず、結局社内で養成施設を設けるという方向にいく。以来、こういう社内Off-JTが日本型雇用システムの教育訓練の中心で、OJTが主流になるのは高度成長以後なのです。

普通の社会ではOJTはほっとくと単純労働になると考えた方が良く、そうならないためには、よほど強固なメンバーシップ感覚が必要なのでしょう。

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いや、確かに構造改革ってのは左翼用語だったんだが・・・

これも結構ブログで言ってきたような気がしますが、

http://twitter.com/sunafukin99/status/244394577740574721

構造改革主義と左翼的心性の親和性は別に偶然のものではないと思う。うちのTLにも明らかに左派なのに元々構造改革派だったという人もいるし。構造改革派という社会主義者の一派がいた時代もあったらしい。

いや、そのこと自体は間違いではないし、その昔、その時の今現在の「構造改革論」だけしか目に入ってない議論に対して、そういう歴史的視点を強調したこともあるけれど(下記参照))、この言い方も若干誤解を招く。

どういうことかというと、この短文では、「構造改革主義」というのはかなり過激な変革志向という意味で使われており、それゆえに「左翼的心性」との親和性が強調されているわけだが、少なくとも歴史的には、「構造改革派という社会主義者の一派」というのは、革命派に対する言葉であって、つまり暴力革命によって一挙に体制を転覆するという思想に対して、いやいや、そういう過激なやり方じゃなく、少しずつ構造を改革していくことによって気長に社会主義を実現しようという穏健派のことだったということがすっぽり抜け落ちてしまうわけで。

かくのごとく、こういう領域の言葉遣いは結構難しいのです。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2006/09/post_b2d6.html(構造改革ってなあに?)

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いや、それは「古い」けど古くもないんだ

ずっと以前に、その赤木氏の著書への評論として書いたことの繰り返しになるのですが、こういうつぶやきがされるのを見ると、やはり繰り返し語っておく必要があるような・・・。

http://twitter.com/kamaaca/status/243925594943918080

ふるいタイプの人権派は生存権を自由権の側からしか考えていない。それが明らかになったのは赤木智弘の功績だとおもう。サタカだか誰だかが、赤木に、きみにはカネやモノはないかもしれないが、イノチがあるじゃないか、とかゆったよね。

その「ふるい」タイプってのは、実は1960年代末からようやく一人前の顔をし出した新参者なんだよ、

ってのが、私が赤木氏に語ろうとしたことであるわけですが、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/10/post_2af2.html(赤木智弘氏の新著その2~リベサヨからソーシャルへ)

彼は、自分が「いわゆる左派」だったというのですが、その「左派」ってのは何かって言うと、最初に出てくるのが、オウム真理教バッシングに対する批判なんですね。

それが左派かよ!そういうのはプチブル急進主義って言うんだぜ!

と、昔風の左翼オヤジはいうでしょう。

・・・もちろん、半世紀前の左翼オヤジの論理がそのまま現代に通用するわけではありませんが、リベサヨに目眩ましされていた赤木さんにとっては、これは「ソーシャルへの回心」とでも言うべき出来事であったと言えます。

問題は、赤木さんの辞書に「ザ・ソーシャル」という言葉がないこと。そのため、「左派」という概念がずるずると彼の思考の足を引っ張り続けるのです。

もちろん、もっとロングレンジで見れば、自由権中心の19世紀以前の人権論が20世紀になって社会権を重視するようになってきたという意味において、りべさよ的発想の方が「古い」というのは確かなんですが、

戦後日本という知的世界の文脈で言えば、その出発点において主流だったのがむしろ社会権的発想で、むしろそれに対する反発が(とりわけ「1968年」以降において)自由権を中心において考える(古いんだけど)「新しい」発想を強めていって、80年代にはもはや古典的左翼オヤジは笑いものでしかなくなっていくわけです。

90年代以降の日本しか知らないある年齢以下の人々にとって、「さよく」だの「しゃみん」だのというラベルで思う浮かぶ人々が、(それこそ佐高信とか福島瑞穂といったような)ほぼ例外なくりべさよでしかないという事態からすれば、そういう70年代以降の(古いんだけど)「新し」かったりべさよ的思想が、若い人々にとって否定すべき「古いタイプ」であるのはまったく当然ではあるのですが、それにしてもこの目がくらくらするようならせん状の事態は頭を抱えたくなります。

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中華人民共和国憲法にストライキ権があった時代

ご承知の通り、中華人民共和国憲法には労働基本権は規定されておらず、現実に多発しているストライキの法的根拠もないわけですが、その中国に、かつて憲法上スト権が明記されていた時代があったということをご存知でしょうか。

なんと無産階級文化大革命の真っ最中であった1975年に制定された中華人民共和国憲法の第28条にはストライキ権が明記されていたのです。

ただし、それは労働基本権という文脈ではなく、

第28条 公民は言論、通信、出版、集会、結社、デモ、ストライキの権利を有する

と政治活動の文脈でした。そして、毛沢東主席の下でいわゆる四人組が権力を握っていた時代であることを考えれば、ここに挙げられた諸行動が、どういう立場からどういうことをする「権利」であったのかは自ずから窺われるところで、つまるところ、「革命委員会」が企業管理者や技術者を「社会主義の敵」として「階級闘争」をふっかける「権利」のことであったわけです。

そして、毛沢東が死んで、鄧小平が権力を握って、1982年に制定された憲法では、こんな「極左思想の産物」は削除されてしまいました。

やがて改革開放が進み、社会主義市場経済という名の資本主義化が進み、共産党自身がもはや労働者農民の党ではなく、資本家さんいらっしゃーい大歓迎よ!というふうになっても、かつて極左思想として捨てられたストライキ権というのは未だ法律上は認められた存在ではないのですね。

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『月刊連合』9月号はパワハラ特集

201209_cover_l連合の機関誌『月刊連合』9月号は、第1特集は男女平等参画ですが、第2特集は「STOP!パワハラ」です。

http://www.jtuc-rengo.or.jp/shuppan/teiki/gekkanrengo/backnumber/new.html

JILPTの内藤忍研究員が「パワハラの実態と防止対策のポイント」を述べたあと、UIゼンセン同盟の斗内利夫さんと千頭洋一さん、自治労の西田一美さん、電機連合の冨高裕子さん、半沢美幸さん、がそれぞれの取り組みを述べ、最後を連合の杉山豊治さんが締めるという構成です。

より詳細は、JILPTの報告書である

http://www.jil.go.jp/institute/chosa/2012/12-100.htm(職場のいじめ・嫌がらせ、パワーハラスメント対策に関する労使ヒアリング調査)

に載っていますので、ご参照のこと。

201209_p1112

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社会政策の教科書みたいなのを書いた中心人物が、色平さんの「教え子」

松尾匡さんの本日のエッセイは、メイントピックは例の性感染症と失業との関係ですが、その最後のところで、信州で地域医療に取り組む色平哲郎さんのお話を聞きに行ったことに触れ、

2日は、午前中は京都駅前の喫茶店で朝日新聞の記者さんが『新しい左翼入門』について取材。
 午後は、京都駅前の、京都の大学が共同で持っている建物の立命館の部屋で、色平哲郎さんのお話を聞く会を開きました。色平さんって、結構有名人なんですけどね。個人ホームページはこちら、信州の農村医療の現場から
東大を中退して世界と日本中を放浪し、京大の医学部に入学。信州の山村で地域医療にたずさわることになった人です。外国人HIV感染者・発症者への「医職住」の生活支援、帰国支援を行うNPO「アイザック」の事務局長としても活動されています。田中康夫知事からの指名で長野県の医療計画を担ったこともありました。一時、日本は医師過剰だとか言っていましたけど、実は医師不足なんだということは、自分が長野県で最初に発見したのだとおっしゃっていました。

そのついでに、先日本ブログで「社会政策の教科書みたい」と紹介した今年の厚生労働白書の執筆担当者に話が及んでいます。

色平さんのもとには、彼をしたって全国から医学生や看護学生が「実習」に集まってきました。その中には、厚生労働省などのエリートになっていった人も多いとのことです。本人いわく「反政府思想」を教えているのに。
 会に参加していた女子院生が、社会政策の専攻なので、こないだの濱口桂一郎さんのブログで「今年の厚生労働白書が社会政策の教科書みたい」と言っていたから是非読んだらと言ったら、その会話を聞いていた色平さんが「そうだよ」と。
 実はこの社会政策の教科書みたいなのを書いた中心人物が、色平さんの「教え子」だったのでした。

そして、その厚生労働白書を自分の読みたいことが書いてないからといって「劣化著しい」などと罵る陋劣な人物もいるわけですね。

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スポンサーから一言、ギリシャ人は週6日働け!

朝日の記事では、

http://www.asahi.com/international/update/0905/TKY201209050713.html(「ギリシャ守るため週6日働け」 EUが労働改革要求)

国家破産を逃れたかったら週6日働け――。財政危機に陥ったギリシャの現状を検証する欧州連合(EU)などの調査団が5日、アテネを再訪。その直前、EUなどがギリシャに求めたとされる労働市場改革の内容が報じられ、波紋が広がっている。

EUobserverでも、

http://euobserver.com/political/117435(Impose six-day working week or risk losing bail-out, Troika warns Greece)

Greece should impose a six-day week to secure the next tranche of its bail-out package, according to a leaked letter sent by the country's creditors.

Under a heading "increase flexibility of work schedules" the Troika - which is composed of officials from the European Commission, European Central Bank (ECB) and International Monetary Fund (IMF) - states that the country should "increase the number of maximum working days to six days across all sectors."

It adds that the government should also reduce daily rest between shifts to the 11 hours minimum and scrap restrictions on the length of shifts.

However, Greek employers will still be bound by EU labour laws such as the directive on working time, which requires workers to average no more than 48 hours per week over a four month period.

欧州委員会、欧州中銀、国際通貨基金の「トロイカ」が、ギリシャ人に対して、週6日働け!、毎日の休息時間は11時間まで減らせ!と要求しているようです。さもないと、借金を許してやらないぞ、と。

なんだか悪徳高利貸しみたいですが、この数字には一応根拠はあるのですね。

ギリシャも拘束されるEUの労働時間指令では、週労働時間の上限は48時間、1日の休息時間の下限は11時間、そこまでは働け、というわけです。

そういうことを言っているドイツ人たちの方がずっと労働時間は短いということは、以前本ブログでも紹介したところですが・・・。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/post-1d22.html(ギリシャ人は長時間労働なのに・・・)

念のために、ギリシャ人がどれくらい長時間労働しているか、そしてEUの中でそれがどれくらいに位置するのかを確認しておきましょう。

2010年のEU労働条件改善財団の資料から

http://www.eurofound.europa.eu/docs/ewco/tn0803046s/tn0803046s.pdf(Comparative analysis of working time in the European Union)

5ページのグラフを引用しておきます。データは2006年ですが、縦軸は年間労働時間、横軸は1時間当たりのGDP。

Euworktime

EU全体として、時間当たり生産性が高い国ほど労働時間が短く、生産性が低い国ほど労働時間が長いという傾向があるわけですが(右下がり)、ギリシャ人(EL)はその傾向よりもずっと上に外れています。つまり、予測される値よりもずっと長時間労働しているんです。それに対して、下の方に外れている、つまり予測される値よりもずっと労働時間が短いのが、そのギリシャ人を怠け者とと罵っているドイツ人(DE)やオランダ人(NL)であるというのが、なかなか皮肉なところです。

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欧州型社民主義者としての与謝野馨氏

本日、

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120905-OYT1T01125.htm(与謝野馨氏が政界引退へ)

与謝野馨前経済財政相(74)(衆院比例東京、無所属)が次期衆院選に立候補せず、政界を引退することが5日わかった。

後援者にあてた手紙で、がんによるのどの手術で「声を失った」ため引退を決意したとしている。

という記事を見て、改めて与謝野馨という政治家のありようが日本の政治的配置状況の世界的に見た異常さを照らし出していたのだなと、思い半ばに過ぎるものがありました。

本ブログの過去のエントリから:

9784166607174_2http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/01/post-caec.html(与謝野馨『民主党が日本経済を破壊する』文春新書)

政局でしか物事を見ることの出来ない方々は、この(おそらく文藝春秋編集部がつけたであろうタイトルだけでものごとを考えて)あれこれ論ずるのでしょうが、およそ経済社会政策の中身でもってものごとを考えようと思う人ならば、せめてこの扇情的なタイトルの本の中で、与謝野新経済財政担当大臣が本当のところ何を語ろうとしていたのか、ちゃんと見極めてから語り始めてもいいのではないでしょうか。

下のエントリで、山口二郎さんが紹介している「私との会談の中で首相は、神野直彦、宮本太郎両氏が進めている福祉国家再建の路線は共有していると強調していた。」という事実と照らし合わせて浮かび上がってくる、ある明確な経済社会政策の方向性が、そこには書かれています。政局に盲いた人々の目には映らない方向性が。

・・・もう一人挙げれば、政治学者で北海道大学教授の宮本太郎さん。これは後から聞いた話になるのだが、やはり委員で入ってもらった連合会長の高木剛さんなどは「なぜ与謝野さんは宮本さんを知っていたのか」と不思議がっていたらしい。連合が雇用や社会保障の問題に取り組む上で、大変頼りにしてきた学者さんだという。

・・・「目からウロコが落ちる」という言葉があるが、戦後日本の働く世代の安心感や社会保障は、民間企業が提供してきた終身雇用制度がその根幹を担ってきたのだ、という事実を、私は『福祉政治』を熟読して始めて認識した。

・・・そうであれば、高齢者円形に傾斜してきた社会保障制度を、働く世代の支援、雇用のあり方と結びつけて、もう一度組み立て直してみる必要がある。こうした宮本氏の議論は私が思案していた「安心社会」とぴたりと一致するように感じられた。それで、是非委員に起用しようと思い立ったのである。

まさにこういう政策の方向性において「ぴたりと一致する」からこそ、政局主義者の目には異様に映るような閣僚人事が行われたのだ、と、素直に考えることがそもそも出来ない人々が、まさに定義上「政局主義者」なんでしょうけど。

さらにその先を読んでいくと、安心社会実現会議の報告書について

報告書をよく読めば気がついていただけると思うのだが、これは明確な路線転換の書だったのである。

と述べています。

大変皮肉なことですが、同じ自民党政権の中で、ネオリベラルな構造改革路線から福祉国家をめざす路線への転換があり、それが政権交代で再び「事業仕分け」に熱狂するある意味でネオリベラル感覚全開の時代に逆戻りし、そして今ようやく再び、かつて与謝野さんが目指そうとした福祉国家再建の政策に再転換しようとしている、と、評することも出来るのかも知れません。もちろん、政治評論的には「お前が言うかお前が」のネタがてんこ盛りなのでしょうが、とりあえずそれらを全部抜きにして政策論のみでざっくり言うならば、そういうことになるのでしょう。

上に続けて、与謝野さんはこう語っています。

自民党は正式名称は言うまでもなく「自由民主党」という立派な名前だが、税制と社会保障制度に限っては、戦後長く、実はきわめて欧州型社民主義に近い路線を歩んできたと私は認識している。福祉社会を創ろうと最初に提唱したのはかつての民社党だが、国民政党を名乗り、融通無碍が特質の一つである自民党がそういうものを吸収しながら政権を維持してきた。

会議立ち上げの旗を振り、社会保障、雇用から日本の社会のあり方についてまで踏み込んで議論を進めた担当大臣として私の責任は重いと自覚している。党派を超えて具体化を進めよという有識者の皆さんのご提言である。今後どのような立場に置かれようとも、政治の場でこの報告書に超党派で息吹を吹き込んでいかなければならないと心に誓っている。

この高邁な志と、政局主義者たちの卑小な論評の対比が、現在の日本の政治状況を、何よりも見事に物語っていると言えるのでしょう。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/01/post-dce0.html(与謝野節全開)

ということで、与謝野節全開インタビューの中からもさらに「全開」の部分を、いくつか引用。

・・・自民党政権で社会保障改革や財政再建にリーダーシップを発揮されてきた先生が、なぜ民主党政権で大臣をお引き受けになったのですか。

・・・第三は、平成2‐年6月に安心社会実現会議(座長=成田豊氏)がまとめた報告書です。これは極めて重要な報告書で、戦後の長い間続いた自民党政治の社会保障に関する政策は、アメリカ型ではなくてヨーロッパ型だと再認識をしました。

つまり、竹中平蔵氏たちが主張していた新自由主義経済を全面的に否定したわけです。自己責任を非常に強調するのが新自由主義ですが、世の中には自分の責任でなく苦しい立場になっている方がいます。自民党の政策を社民主義的な思想にはっきりと切り換える契機となった報告書といえます。

>第四は、自民党が政権を失い、民主党政権になった平成22年12月、民主党の税と社会保障の抜本改革調査会(会長=藤井裕久氏)がまとめた報告書です。安心社会実現会議の報告書と同一の内容であり、自民党と民主党の考え方が理論面では平仄が揃ったことになります。

300739bなお、宮本太郎さん編のこの本に与謝野馨氏とともに載っていることも、秘かな喜びの一つです。

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/12/99-ff15.html(宮本太郎編『弱者99%社会 日本復興のための生活保障』幻冬舎新書)

これは、わたくしも参加した昨年末のBSフジの番組「提言“安心社会·日本への道”」を一冊の本にしたものです。宮本太郎さんが、毎回二人の有識者との鼎談で、社会保障のあるべき姿を論じ合っています、

・・・ちなみに、我が家ではBSは見られないので、その他の回の放送は見ていなかったのですが、改めて読んでみると、やはり、藤井裕久、与謝野馨両政治家との鼎談が迫力がありますね。無責任なデマゴーグ型政治家と責任感ある真の政治家との違いがよく分かります。

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均等待遇は使用者側が先にやってくれるというブラックジョーク

Hyoshi16 さて、その『POSSE』16号ですが、も一つの特集「ブラック化する介護・保育?」の中に、札幌地域労組の鈴木一さんのインタビューが載ってます。日本3大オルグの一人といわれる鈴木さんが、

「崩壊した介護労働は再生するか――札幌地域労働組合と介護保険制度後の現場」
鈴木一(札幌地域労働組合書記長)

劣悪な職場が生む虐待
職場の民主化の戦術とは

について語っているのですが、その中のこの一節が何とも皮肉で。

札幌市にある特養のルミエールという事例は、やはり安かろう、悪かろうの典型だと思います。ここはまさに介護保険のスタートに併せてオープンした施設なんですね。大体、介護保険のスタートに合わせてだったり、その後に立ち上げられた法人は、ほぼ最低賃金に毛が生えたくらいの賃金設定です。経営者は「これからは介護保険で儲かる」と、ただ金儲けを考えるんですね。従って使えるなら誰でもいいという雇用で、ベテランのスタッフが全然いません。

また、ここで驚いたのは、正社員と非正規社員が均等待遇なんです。最低賃金に毛が生えたところにみんな並ぶわけですね。そうすると、ほとんど賃金が変わらないから正社員になりたいという欲望もない。均等待遇は使用者側が先にやってくれるんだというブラックジョークのような話です。

特養でまともなところなら1年目の職員でも年収は300万円くらいになります。ところがルミエールは臨時職員も正規職員も同じ年収で220ー230万円。

そういう中で虐待問題が起きてきた。自分たちが大事にされていないのに、人に優しくなれるのかという問題なんです。

最後の方は、鈴木さん流の組合組織術。

組合運動の展望というところで言えば、現在、札幌地域労組は約30箇所の社会福祉法人の支部を組織していますが、過去の戦いではそのうち8箇所で経営者(理事長)を退陣させています。社会福祉法人は不正などの事実があれば、行政が指導監督するという制度になっているので、組合を作って不正を告発し、世論を盛り上げていけば、そういう戦いを組むことも可能です。・・・うまくいけば、社会福祉法人では、独裁者のような経営者を退陣に追い込むところまで持って行けるというのを広めて欲しいと思います。

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連合シンポジウム「個別労働紛争処理システムのあり方を考える」

20120903_185435_s_2 先週水曜日(8月29日)、わたしが都内某所で日本の雇用終了についてお話しをしている時間に、連合主催のシンポジウムが開催されていたわけですが、その概況が連合のサイトに紹介されています。

http://www.jtuc-rengo.or.jp/news/rengonews/2012/20120903_1346666115.html

20120903_185444_s 毛塚勝利先生の基調講演の後、

休憩をはさみ、第2部として、「個別労働紛争処理制度の現状と課題」をテーマに、新谷総合労働局長の進行で、リレー報告と討論を行った。
 連合神奈川・紙屋源太郎アドバイザーは、労働相談を受けてから解決までの流れを紹介し、労働委員会、労働審判等の制度を活用した事例を踏まえて課題を指摘した。また、連合神奈川(連合ユニオン神奈川)の「労使紛争訴訟等支援貸付基金制度」等を紹介した。
 連合北海道・小倉佳南子組織労働局次長は、労働委員会委員として、北海道労働委員会の個別的労使紛争あっせんの取り組み状況や広報活動・研修活動について報告した。
 連合大阪・坂本博信アドバイザーは、労働審判員としての経験から感じている、労働審判制度の運用面での改善点について指摘した。
 労働事件を数多く扱っている棗一郎弁護士は、労働審判で整理解雇等の事案を取り扱い、新たな可能性を示した事例や東京簡易裁判所で試験的に行っている労働専門調停の状況等を紹介した。 

と、地方レベルで取り組んでいる方々の報告がされたようです。

質疑応答では、

フロアからは、「合同労組は個別労働紛争に対して高い解決能力を有しているため、紛争処理システムの一つとして位置づけるべきではないか」「今後、非正規労働者の個別労働紛争も増加すると思われるが、企業別組合の役割をどのように考えるべきか」「個別労働紛争処理システムについては適正な制度への振り分けが必要だが、具体的にはどのようにすべきか」等の質問・意見が出された。

そうですが、どれも簡単に答えられない重要な問題ですねえ。どういう回答があったのか興味深いところです。

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「日本の若者に職を」って、そこかよ

またまたあごらなひとなので、そんなのわざわざ突っ込むなよ、という忠告が聞こえてきますが、やっぱりほっとけなくって・・・。

http://agora-web.jp/archives/1484661.html(日本の若者に「職」を!)

いや「日本の若者に「職」を!」というタイトルも、

冒頭のILO報告を報道するBBC記事も、

そして最初のいくつかのパラグラフも、

若者の失業が直ちに日本の財政や経済力に大きなインパクトを与えるとは思えない。しかしながら、放置すればやがてボクシングのボディブローの様に効いて来て、日本を衰弱させてしまうと思う。

第一に、若者が職を得ると言う事は微々たるものであったとしてもGDPに貢献する事である。失業であれば当然の事ながら貢献はゼロである。

第二は、大学を卒業して失業者になると言う事は、無収入で「納税」や「社会保障の負担」と言った、社会人としての義務、責任を全うしない事を意味する。更には、生活保護の受給となれば社会保障の負荷以外の何物でもない。本来、社会に貢献すべき若者が社会のお荷物となっていてはどうしようもない。

第三は、社会が沈滞化する事である。街を歩けば、仕事のない若者が至る所で一日中道に座り込んでいる光景を目にする事になる訳であるが、これは矢張り良くない事である。若者の鬱積した不満や怒りはやがて臨界点を超え、何処かの時点で爆発する。日本社会は社会不安という爆弾を抱え込む事になる。

最後は、若者が不幸になると言う不都合な事実である。若者が社会人として成長する為には、「ノマド」であれ、何であれ、自ら起業、独立出来る様なパワーを持ち合わせた一部例外を除けば、既存の役所なり企業に職を得るのが唯一の可能性である。

まったく正しい。

なのに、そう、なのに、その後に続く文章で、このあごらな筆者は何を取りあげてるかというと、

第一の例として、法科大学院の廃止を提案したい。・・・

今一つは多過ぎる大学院の廃止を提案したい。・・・

そこかよ!

もちろん、文科省に騙された・・・って言い分にも相当に正当性がないわけではないが、とはいえ、最高学歴をめざして基本的には自己責任という言葉が(例外的に)適用されうるような社会の上層部の人々のこと「しか」目に入っていない人が、「日本の若者に職を」って論じてみせるということ自体の中に、結構シュールなものを感じる今日この頃ではありませんか。

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金子さんの書評準備その1 on ゴードン名著

0242930金子良事さんが、アンドルー・ゴードン『日本労使関係史』の「書評準備第1弾」というのを書かれています。

http://ryojikaneko.blog78.fc2.com/blog-entry-240.html

ご本人自ら、「すみません。このブログ、元々は誰かに理解してもらうことを前提に書いてません。今回のエントリは完全に僕の頭の中を整理するためだけに書いていますので、あしからず。」と言われていますが、まあこちらの頭の中を整理する上でも役に立ちます。

ここで「労資関係」と「労使関係」の使い分けの話が延々とあるのですけど、アカデミズムの世界は世界として、実務の世界でいつごろ「労使関係」の方が一般的になったのかというのは追及してみる値打ちのあることでしょうね。

そこに、「労資関係」が原理上なくなったはずの社会主義国家における労働者と管理者の関係についての議論がどう影響しているのかいないのか、とか。

文中一番納得したのは、「おそらくゴードン先生の議論をもっともきっちり継承したのはウさんの『「身分の取引」と日本の雇用慣行』だと思う」というところでした。

(蛇足)

まったく余計なことですが、金子さんが「この本は翻訳される前から、既に三つも書評が出ていて、そのうち池田信先生が書いたものはwebで読める。だから、内容の詳しい紹介はいらないかなと思う。」

http://oohara.mt.tama.hosei.ac.jp/shohyo/ikeda3.html

といってリンクを張っている書評は、「池田信先生」であって、「池田信夫先生」ではないので、念のため。

まあ、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/post_c013.html(一知半解ではなく無知蒙昧)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2007/12/3_a7ad.html(池田信夫氏の3法則)

というような惨状を晒すヒトが、ゴードンの名著を書評するはずはないわけですが。

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宿直がある者の平均睡眠時間は4時間未満が半数弱。翌日は通常勤務が86.2%

本日、労働政策研究・研修機構は「勤務医の就労実態と意識に関する調査」の調査結果を発表しました。タイトルは「勤務医の4割が週60時間以上の労働」ですが、それよりももっと怖い話も載ってます。

http://www.jil.go.jp/press/documents/20120904.pdf

<週当たり全労働時間は、4割が「60時間以上」。約半数が年休取得日数「3日以下」>
2.主たる勤務先の1週間当たりの実際の労働時間は、平均で46.6時間(8頁図表14)。他の勤務先を含めた1週間当たりの全労働時間の平均は53.2時間で、「60時間以上」(「60~70時間未満」「70~80時間未満」「80時間以上」の合計)の割合は40.0%となっている(9頁、図表15)。昨年1年間に実際に取得した年次有給休暇の取得日数は、「4~6日」が25.8%ともっとも割合が高く、次いで「1~3日」(24.9%)、「0日」(22.3%)などとなっており、約半数(47.2%)が「3日以下」(「0日」「1~3日」の合計)となっている(10頁、図表17)。

まあ、4割が60時間以上労働というのも、労働基準法的感覚からすればひどいものですが、今日の労働社会の感覚からすれば、「まあ、そんなもの」と思われるかも知れません。

<宿直がある者の平均睡眠時間は4時間未満が半数弱。翌日は通常勤務が86.2%>
3.主たる勤務先で1カ月間に「日直あり」(日直1回以上の合計)は61.8%、「宿直あり」(宿直1回以上の合計)は67.4%(4頁、図表5、図表6)。宿直1回当たりの平均睡眠(仮眠)時間は、「4時間以上」が52.7%ともっとも割合が高いものの、次いで「3~4時間未満」(27.7%)、「2~3時間未満」(10.4%)、「2時間未満」(5.8%)となっており、「ほとんど睡眠できない」の3.5%を合わせると、半数弱が、平均睡眠時間が4時間未満である。これを宿直1回当たりの平均患者数別にみると、患者数が増えるほど、「ほとんど睡眠できない」とする割合が高くなっている(5頁、図表8)。宿直翌日の勤務体制は、「通常どおり勤務する」が86.2%となっている(6頁、図表9)。

こっちはかなり怖いですね。4時間未満の睡眠で眠い目をこすりながら翌日は普通に診療・・・。

<9 割弱がオンコールのある働き方をしている。そのうち、約半数が月に「1~3 回」出勤>
4.過去1 カ月間でのオンコール出勤について、「そもそもオンコールはない」が11.8%となっており、88.2%がオンコールのある働き方をしている(7 頁、図表11)。オンコールのある働き方をしている者について、過去1 カ月間の回数の実績をみると、「1~3 回」が49.4%ともっとも割合が高く、次いで「0 回」(29.5%)、「4~6 回」(14.3%)などとなっている(7頁、図表12)。

そして、

<45.5%が「睡眠不足」で、76.9%が「何らかのヒヤリ・ハット体験」あり>
5.「疲労感」を60.3%、「睡眠不足感」を45.5%、「健康不安」を49.2%の者が感じている(12頁、図表20)。「ヒヤリ・ハット体験」があるかについて、「ほとんどそうである」が8.9%「ときどきそうである」が68.0%で、両者を合わせて76.9%が「何らかのヒヤリ・ハット体験がある」としている(13 頁、図表23)。睡眠不足感に対する認識別にみても、睡眠不足を感じている者ほど、「ほとんどそうである」とする割合が高く、15.2%となっている(13 頁、図表24)。

医師の長時間労働は、労働問題であるだけではなく、医療安全問題でもあるわけです。ちょうど、運転手の長時間労働が、労働問題であるだけではなく、交通安全問題でもあるのと同じく。

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80%は賛成だが

いや、80%は賛成なんですが、

http://d.hatena.ne.jp/jura03/20120904/p1(ネット○○派 part405)

残りの20%でどうしてもjura03さんに同意できないのが、ニセ科学批判なんですよね。

リフレ派の日銀叩き・霞が関叩きや陰謀論は、たぶん、ネット右翼の「特亜」、人権擁護法案反対運動の「創価学会」や「部落」、ニセ科学批判の「ニセ科学」、はてサの「天皇の権力」と根っこは同じでしょう。

結局、ある「敵」を設定してやると、徒党になりやすい。「正しい俺たち」が「敵」を叩けばよいだけだから。

ネットでうだうだ言ってるだけで、リアルに影響を与えることはないので、つまり現実による抵抗を受けることは絶対になく、全能感だけ昂進する。

自分たちの主張が現実との接点を持たないからこそ、ますます「分かっている正しい俺たち」という意識だけ突出する。

もちろん、細かい差はそれぞれあるでしょうが、根本的には全く同じ構図にしか見えません。

まさしく、「りふれは」も、「ねとうよ」も、人権擁護法案反対運動も、「はてさ」も、まったく同じ構図に見えるというところは同感ですが、ニセ科学については逆では?

つまり、「自分たちの主張が現実との接点を持たないからこそ、ますます「分かっている正しい俺たち」という意識だけ突出」してるのは、どう見てもニセ科学を批判している方じゃなくって、ニセ科学をやってる側に見えますけど。

ま、でもここはjura03さんの一丁目一番地のようだし、ここをほじくって「敵」認定されたくもないので、これくらいにしておきますが。

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めいろまに突っ込まれてる古市クンより百万倍ひどいな

『週刊ポスト』2012年9月14日号より、

http://www.news-postseven.com/archives/20120904_140824.html(西成特区構想のシンポジウムで「意味ないやろ」とヤジ怒号飛ぶ)

「質疑応答に入ります」――司会者が促すと、聴衆から一斉に手が上がった。

「あいりん地区の簡易宿舎をゲストハウスエリアとして国際観光の拠点にする? そんなトコに外人が来るかい!」

「人口が減少して保護費の出費が減っていくっていうのは、人(受給者)が死ぬのを待つわけかッ?」

 次々に飛び出す怒号混じりの質問に、壇上に並ぶ有識者たちは狼狽を隠せない。8月27日夜に大阪・西成区の区民センターで開かれた「西成特区構想を考えるシンポジウム」の様子だ。

「西成を変えることが大阪を変える第一歩」と掲げてきた橋下徹・大阪市長にとって、西成特区構想は大阪改革の“一丁目一番地”。その最初のステップとして、この日、市特別顧問の鈴木亘・学習院大学教授らが特区の方向性について説明し、その後に区民とのディスカッションが行なわれた。

「600人の会場定員に650人が詰めかけ、立ち見が出るほどでした」(西成区役所関係者)

 だが、市側と住民の温度差は、かなりあるように感じられた。鈴木教授が基調講演で、「小中一貫校の創設」「大学誘致」など文教地区への転換プランを語ったのだが、

「一貫校もええが、通学路問題はどうすんねん。小学校の校門の前で朝からエロ本が売られとるんやで。買いに来るおっさんと子供たちが一緒に歩いとるのを知ってまっか」

「大学誘致って、どこに呼ぶねん。(新今宮)駅の北側? あそこは西成やのうて浪速区やんけ」

 と、強烈なツッコミが。

 治安問題では、「警察は協力的。私も訪問していろいろと訊いてきた」と鈴木教授がいうと、初老の男性住民から「アンタのような偉い先生には紳士的やろが、ワシらにはボロクソや。通報しても何もしてくれん。自転車泥棒を捕まえるくらいしか能がないで」と一蹴。

 あらゆる提案に、「意味ないやろ」「西成がわかっとらん」とヤジが飛び交い、怒りの意見には「その通り」と拍手が沸く中で30分の質疑応答は途中打ち切りになった。

こういう現実感覚に満ち溢れた「経済学」者の社会保障論に満幅の信頼を寄せていると、たぶんこの世のものとは思えないほど素晴らしき新世界に連れていってもらえることでしょう。

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1936年中華民国労働契約法

今から76年前、盧溝橋事件の半年前に制定されたアジア初の労働契約法典です。

第1条 労働契約は契約当事者の一方が他方に対して従属関係に立って職業上の労働力を提供し、他方が報酬を給付する契約である。

というのから始まって、

第5条 当事者の一方が他方の急迫、軽率、無経験に乗じて自己あるいは他人のために締結した労働契約は、報酬が過少であって労働者が提供する労働に比較して均衡を失しているか、あるいは労働条件が当該種類の労働に関する当該地の慣習ないし従来の慣例に比較して不利である場合に無効である。

とか、

第9条 労務の給付地は労働契約によって規定し、労働者は給付地を移動して就労する義務を負わない。ただし、一つの地方に数個の営業所が存在し、労働者にとって特別な困難が伴わない場合に、使用者は労務の給付地を指定しまたは移動させることが許される。

第10条 労働者は使用者あるいはその代理人の指示に従って労務を給付するが、不法、不道徳あるいは健康にとって有害な指示に服従する必要はない。

第11条 労働契約が規定する労務の給付以外に、労働者はその他の附帯的労務を給付する義務を負わない。ただし、緊急な状態が存在し、あるいは当該職業上特別な看守がある場合に当該労働者が提供することができる労務の給付を拒絶することは許されない。

第12条 法規あるいは労働協約に特別な規定がある場合を除いて、労働者は労働時間外に就労する義務はない。

こんな法律が日中戦争さなかの中国で作られていたのか?と思われるかも知れませんが、戦時体制下で結局施行されませんでした。

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POSSE on 『日本の雇用終了』

Hyoshi16 昨日紹介した『POSSE』16号が、巻末の最新ブックレビューで、『日本の雇用終了』を取りあげています。

膨大な実例が見せつける日本での解雇のしやすさ

雇用終了をめぐる実情について、労働局によるあっせんの事例をもとに分析した一冊。雇用終了を類型化した上で、個々の事例の内容を詳細に紹介している。退職強要やパワハラ、労働者の正当な権利行使への制裁としての解雇など、正社員であろうと雇用契約の終了は容易く行われているのである。

これまで、多くの日本の労働研究においては、「労働者の解雇は厳しく規制されている」という固定観念に基づいた議論がされがちだった。しかし本書の膨大な事例を見れば、その捉え方が労働現場の実態を無視したものであることがわかる。本書は解雇規制をめぐる議論に欠かせないだろう。

そのすぐ下には、カステルの『社会問題の変容』もあります。

ついでに、『POSSE』ではロスジェネ論客を猛爆撃して撃墜している後藤和智さんが、いんちきりんさんのエントリにこうツイートしてますた。

http://twitter.com/kazugoto/status/242582956353400833

濱口桂一郎『日本の雇用終了』とか読んだら違った見方ができるかもしれん。いずれにせよ単純な図式化に過ぎる / ““クビパターン”一覧 - Chikirinの日記”

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朝鮮日報の傲岸と自省

ここ数日の朝鮮日報(韓国)の記事が、どちらもOECDの雇用アウトルック2012年版のデータをもとにしながら、一方は「わあい、日本に勝った」という単純な傲岸を、他方は「自分の足元を見ようぜ」という理性的な自省を示していて、大変興味深いものがありました。http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/09/01/2012090100386.html(購買力平価ベースの平均年収、韓国が日本抜く)2012090100337_0_2


昨年の韓国の勤労者1人当たりの平均年収は名目では日本の60%に満たないが、為替レートや物価差を考慮すると、日本を初めて上回ったことが分かった。

経済協力開発機構(OECD)の雇用見通し報告書によると、韓国のフルタイム勤労者の1人当たり平均年収は2万9053ドル(約228万円)で、日本の5万1613ドル(約405万円)の56%だった。しかし、為替レートと物価差を反映した実質購買力(購買力平価ベース)に換算すると、韓国の勤労者の平均年収は3万5406ドルで、日本(3万5143ドル)を263ドル上回った。購買力平価ベースで韓国の勤労者の年収が日本を超えたのは今回が初めてとなる。

購買力平価ベースでは、1990年時点で韓国が2万1931ドル、日本が3万3511ドルで1万1000ドル以上少なかった。しかし、日本が不況を経験する間、韓国経済が成長を続けた結果、格差が縮まった。

韓日の年収格差は、2003年に韓国の勤労者の平均年収が3万ドルを超えたことでわずかとなり、昨年初めて逆転した。

羅志弘(ナ・ジホン)記者

まあ、グラフに明らかなように、この20年間日本が勝手にこけて成長しなかったからですが。

とはいえ、こういう韓国人の自尊心をくすぐる良い気持ちになる記事が載った数日後には、こういう理性的な自省の記事がちゃんと載るあたり、どこぞの国と比べてもマスコミのレベルはそんなに低くないようです。

http://www.chosunonline.com/site/data/html_dir/2012/09/03/2012090300497.html?ent_rank_news(労働時間は長く、賃金格差大きい韓国)

現政権は、事あるごとに就業者増加率などの雇用指標を業績の一つに掲げる。李明博(イ・ミョンバク)大統領は先月15日、光復節(日本の植民地支配からの解放を記念する日)記念式典のあいさつで「主要国のうち、雇用率が2008年の(世界金融)危機以前の水準に回復した国は韓国とドイツだけだ」と誇らしげに語った。だが、本紙が経済協力開発機構(OECD)の雇用指標を分析した結果、臨時職・低賃金労働者の割合などで表わす「雇用の質」は、OECD加盟国など39カ国のうち最低水準だったことが分かった。

■労働時間は長く、賃金格差大きい

韓国は労働時間が最も長い国の一つだ。韓国人の2010年の年間労働時間は平均2193時間で、OECD加盟国のうちメキシコの2242時間に続いて2番目に長い。OECD平均の1773時間をはるかに上回り、最も短いオランダと比べると59%長いことになる。

また、賃金格差が大きいことも問題点として指摘される。労働者の賃金水準を9等級に分類した場合、2010年基準で韓国の1等級(上位11%)の賃金は9等級(下位11%)の4.7倍で、米国に続き2番目に格差が大きかった。2000年の4.0倍よりさらに悪化している。一方で同期間、OECD平均は3.1倍から3.3倍と小幅な悪化にとどまった。

■パートの増加率、OECD加盟国で2位

韓国の時間労働者(パート)の割合は昨年が13.5%で、OECD平均(16.5%)は下回ったものの、ここ16年間の増加幅はアイルランドに続いて2番目に大きかった。1995年(4.3%)から昨年にかけて9.2ポイント上昇した。

また、昨年の時間労働者のうち男性の割合は43.5%で、OECD平均(30.7%)を大きく上回り1位となった。一般的にパートは女性の割合が多いが、韓国では相対的に男性が多いというわけだ。家長の男性が条件のよい仕事を見つけられず、パートで働くケースが増えていることも、こうした現象の一因となっている。また、韓国の25-54歳の労働者のうち臨時職の割合は19.3%で、OECD加盟国のうち5番目に高い。OECD平均の9.9%に比べると、約2倍に達している。

ある経済学者は「韓国は量的な雇用指標は良好に見えるが、社会のセーフティネットがぜい弱で、生計を立てるために低賃金でも働こうとする人が多いため、質的な指標はよくない」と指摘した。現代経済研究院のイ・ジュンヒョプ研究委員は「単に雇用率がどれだけ増えたかではなく、雇用の質がどれだけ改善したかを基準に、政府の雇用政策を再評価すべきだ」と指摘した。

パク・ユヨン記者

いろんな教訓が得られそうですが、日本でもパク・ユヨン記者みたいな人よりも羅志弘(ナ・ジホン)記者みたいな人が結構いそうです。

E_812012011m
なお、OECDのサイトからは、この記者たちが使ったデータがいろいろと利用できます。

http://www.oecd.org/employment/employmentpoliciesanddata/oecdemploymentoutlook.htm

http://www.oecd.org/els/Figures%20using%20KT%20data_new_2012.xls

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『POSSE』16号はナマポ特集

Hyoshi16というとこで、『POSSE』16号をお送りいただきました。

http://npoposse.jp/magazine/no16.html

巻頭特集は「生活保護「不正」の正体」です。
2012年春から、お笑い芸人の報道を機に、生活保護バッシングがかつてない勢いを見せています。
この一連のバッシングの背景に何があるのでしょうか?
そして、この報道が生活保護の現場にもたらした実態とは?
これから本格化していく生活保護改革を前に検証します。

「「不正」批判に追い詰められる受給者たち」
稲葉剛(NPO法人自立生活サポートセンター・もやい代表理事)

扶養義務とバッシングが現場と制度改革にもたらす影響とは

「生活保護制度をめぐる岐路――支配層の危機感と生活保護バッシング」
後藤道夫(都留文科大学教授)

「自己責任」型社会を生活保護がほりくずす?

「生活保護世帯の子どもの貧困」
青砥恭(NPO法人さいたまユースサポートネット代表)

社会的に排除される子どもたち
貧困の連鎖の実態と必要な支援とは


「生活保護問題の「震源」としての労働問題――働く若者と、貧困の対立を超えて」
今野晴貴(NPO法人POSSE代表)

「人間破壊的労働」による「貧困のサイクル」に実践的介入を

という人々の論説もいいですが、ネット上で結構話題になった

「繰り返される違法な申請拒否――バッシングを利用する舞鶴市」
遠藤めぐみ(京都POSSE事務局)

「市民の声があるから遠慮してくれ」
申請書を「忘れ物」と突き返す……

がやはり、リアルで興味深いです。

ちなみに論説の中では、後藤道夫さんのこの一節が、ものごとを冷静に考えるいいよすがになります。

・・・河本さんが仮に課税所得4000万円だったとすると、現在の税率で計算した国の所得税は1315万円、1984年の税率のそれは1857万円となるはずです。この金額差はお母さんの生活保護費の何倍になるでしょうか。今回の河本さん叩きは、こうした議論をさせないように誘導されたと思われてなりません。

等しく累進課税を緩和しても、親戚に貧乏人がいる金持ちと親戚に貧乏人がいない金持ちでは、結果的に影響するところが違ってくるということでしょうか。

も一つあげれば、やはり今野さんの文章が、生活保護バッシングへの反論が若者に届かない仕組みをこう論じています。

・・・長時間サービス残業、過酷なノルマ・・・、それでも耐えて働いている自分たちに、辞めていった者たちへの「寛容さ」まで要求するのか、と。彼らは自分たちの側の、「労働市場に残る辛さ」を理解して欲しいのであって、ただ「生保の人も悲惨だ」という事実だけを対置されても、そこには深い溝が刻まれてしまう。

も一つの特集は、

特集は「「ブラック」化する介護・保育?」です。
社会保障改革が進み、そのありかたが問われるなか、今回は、介護・保育に焦点を当てます。
家族の負担を当然とすべきなのか、市場に開放すべきなのか、現状維持でよいのか。
利用者の格差、虐待や事故、そして現場の働き方など、労働・貧困の視点から特集します。

「労働問題と利用者格差を生んだ介護保険制度」
伊藤周平(鹿児島大学法科大学院教授)

労働・貧困の視点から介護保険制度そのものを見直す

「保育改革と労働・貧困問題」
実方伸子(全国保育団体連絡会事務局長)

待機児童問題は解消され、保育サービスの質は向上するのか

「崩壊した介護労働は再生するか――札幌地域労働組合と介護保険制度後の現場」
鈴木一(札幌地域労働組合書記長)

劣悪な職場が生む虐待
職場の民主化の戦術とは


「「主婦労働」の影が福祉を損なう――「無償」「献身性」が抑え込む良質のケア」
竹信三恵子(ジャーナリスト・和光大学教授)

「嫁労働」「社会の嫁」からのケア労働の転換を

「EPAは介護・看護現場を変えたか」
安里和晃(京都大学大学院准教授)

外国人候補者、受け入れ先の実態と懸念される労働市場への影響は

あと、今まであんまりまじめに読んでなかった「労働と思想」ですが、今回は、

「労働と思想16 ロベール・カステル 労働という重力――「社会問題の変容」を巡って」
前川真行(大阪府立大学准教授)

80年代以降のフランスの困難から労働と失業、そして社会に生きることの意味を問う

結構気合い入れて読みました。


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『月刊人材ビジネス』9月号でコメント

201209 『月刊人材ビジネス』9月号で、一応有識者の一人として、改正派遣法について一言コメントしております。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/jinzai1209.html

・日雇い派遣の禁止は、秋葉原事件に対する見当はずれのマスコミ報道に押し流された大衆感情立法の典型。日雇いに問題があるのは確かだが、なぜ派遣でない日雇いは何らお咎めが無くて、派遣になったとたんに極悪扱いになるのか、誰一人論理的な説明は不可能であろう。むしろ、日雇い紹介よりも日雇い派遣の方が、派遣元の継続性が担保されて労働者保護になりうる。

・派遣であれ直用であれ、雇用形態として日雇いよりも有期が望ましく、有期よりも無期が望ましいという判断は妥当。それゆえ、業務上そうする必要性のない日雇いや短期雇用を長期化する政策は妥当。しかしながら、(鎌田研報告で指摘されたにもかかわらず)なぜか有期雇用の反復継続(の予定)は常用と認めて届出で特定派遣事業を許している。全く論理的整合性を欠く。

・そもそも派遣法制定前には、一般事務を派遣で認めることに誰も疑問を持っていなかった。むしろそれが中心であることは常識であった。それを、「専門業務だから派遣を認めても問題ない」などという虚妄の議論でごまかしたため、「ファイリング」などという『職業分類表』に存在しない「業務」をでっち上げて四半世紀裸の王様の状態を続けてきた。それを子どもが裸だと指摘したために、それまで当たり前だった事務派遣が危機に追いつめられたに過ぎない。根っこに遡った議論なくして、真の打開策はあり得ない。

・労働契約法改正で有期契約5年で無期化が規定されたことは、日本の労働法制の基本に関わる重要な問題。当然派遣法の規定(3年で派遣先の申込み見なし)もそれに沿った形で見直す必要がある。その際、職種・時間・空間無限定だが社内雇用維持絶対の正社員モデルを前提とした整理解雇法理を適切に修正し、無期派遣労働者の派遣切れ後の雇用維持義務の中身をどう考えるべきか、真剣な検討が不可欠。これは、登録型派遣における登録状態の法的性格をどう考えるのかという、これまで誰もまじめに議論してこなかった問題ともつながる。

・派遣に限らず、非正規労働問題を解決する一つの糸口は集団的労使関係の確立。これはとりわけ派遣業界にとって重要。派遣先で頻繁に発生するいじめ・ハラスメントなどの個別労働紛争を、顧客に強く出られない派遣元とは異なる労働者の利益代表を通じて解決するシステムを真剣に考えるべき。派遣業界主導である種の従業員代表制とその関与する苦情処理制度を設けてはどうか。これが欠如しているが故に、事態が悪化してどうしようもなくなってから外部のユニオンが正義の味方として登場してくる。

なお、より詳しいコメントは、9月末刊行予定の『ジュリスト』10月号の座談会をご期待下さい。諏訪康雄先生の司会のもと、徳住堅治、木下潮音両弁護士と私が各論点ごとに詳しく論じております。

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拙著書評 in 中国語

131039145988913400963中国の書評サイトのようですが、一昨年拙著『新しい労働社会』についてこういう書評をいただいていたようです。

http://www.douban.com/group/topic/14338850/(阅读同好会)

新しい労働社会―雇用システムの再構築へ
濱口桂一郎 岩波書店 岩波新書2009

此书介绍了日本劳动制度的问题和应改进点。嗯……总体属于献计献策。不过这书里面事例不少,比起天朝清汤寡水屁话多的同类书籍应该好得多。

另外偶明白了为什么日本有年功序列制度,因为日本不像欧洲那样政府办福利,工人中的年长者为了供养下一代,需要的钱是应该比青年人多。

摘录两段。

不大和谐……嗯,放buzz

誰か中国語のできる人にきちんと訳してもらったほうがいいのかもしれませんが、「比起天朝清汤寡水屁话多的同类书籍应该好得多」ってのは、たぶん褒められてるんですよね。他の薄味で屁みたいな本に比べるとずっと良いっていってるんですよね。

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ガチ新古典派以外の社会保障研究者の皆さんはみんな「劣化著しい」

まあ、あごらな記事ですが、

http://agora-web.jp/archives/1483814.html(劣化著しい厚生労働白書 --- 鈴木 亘)

例によって、例の如くですので、いちいち引用しませんが、自分が唯一頼りとする新古典派経済学の手法以外の本ばかり並べ立ててる今回の白書に、「劣化著しい」という罵倒を繰り出すその姿は、知識社会学的な意味で興味深いものがあります。

何にせよ、鈴木亘氏と異なり、今回の白書の参考文献に並んでいるような社会政策論や社会学、政治学、社会哲学、政治哲学方面、それからもちろん経済学と雖もケインズやポランニの手法で社会保障を研究している皆さまは、みんな「劣化著しい」と罵倒されるようですので、お気をつけ下さいませ。

第1章 なぜ社会保障は重要か
◉ カール・ポラニー 『[新訳]大転換―市場社会の形成と崩壊』(野口建彦・栖原 学 訳 東洋経済新報社,2009年[ 原著1944年])
◉正村俊之 『グローバリゼーション 現代はいかなる時代なのか』(有斐閣,2009年)
◉福澤直樹 『ドイツ社会保険史 社会国家の形成と展開』(名古屋大学出版会,2012年)
◉田中拓道 『貧困と共和国――社会的連帯の誕生――』(人文書院,2006年)
J.M.ケインズ 『雇用・利子および貨幣の一般理論』(普及版,塩野谷祐一 訳 東洋経済新報社,1995年[ 原著1936年])
ウィリアム・ベヴァリジ 『ベヴァリジ報告 社会保険および関連サービス』(山田雄三監訳 至誠堂,1967年[ 原著1942年])
◉横山源之助 『日本の下層社会』(岩波文庫,1985年[原著1899年])
◉ 農商務省商工局工務課工場調査掛 『職工事情』(上)(中)(下)(犬丸義一 校訂 岩波文庫,1998年[原著1903年])
◉細井和喜蔵 『女工哀史』(岩波文庫,2009年[原著1925年])
◉濱口桂一郎 『労働法政策』(ミネルヴァ書房,2004年)
◉ 齋藤純一・宮本太郎・近藤康史 編 『社会保障と福祉国家のゆくえ』(ナカニシヤ出版,2011年)
◉堀 勝洋 『社会保障法総論』(東京大学出版会,1994年)
◉広井良典 『日本の社会保障』(岩波新書,1999年)
◉ 橘木俊詔 『安心の社会保障改革 福祉思想史と経済学で考える』(東洋経済新報社,2010年)
◉ 橘木俊詔 『朝日おとなの学び直し 経済学 課題解明の経済学史』(朝日新聞出版,2012年)
◉松村祥子 編著 『欧米の社会福祉の歴史と展望』(放送大学教育振興会,2011年)
◉糸賀一雄 『福祉の思想』(NHKブックス,1968年)
◉小峯 敦 編 『福祉の経済思想家たち』[増補改訂版](ナカニシヤ出版,2010年)
◉椋野美智子・田中耕太郎 『はじめての社会保障』[第9版](有斐閣アルマ,2012年)
◉ クリストファー・ピアソン 『曲がり角にきた福祉国家――福祉の新政治経済学』(田中浩・神谷直樹 訳 未來社,1996年[ 原著1991年])
◉東京大学社会科学研究所 編 『転換期の福祉国家[上]』(東京大学出版会,1988年)
◉坂井素思・岩永雅也 編著 『格差社会と新自由主義』(放送大学教育振興会,2011年)
◉友枝敏雄・山田真茂留 編 『Do! ソシオロジー』(有斐閣アルマ,2007年)
◉ Paul Pierson “Dismantling the Welfare State?:Reagan, Thatcher and
the Politics of Retrenchment”(Cambridge University Press, 1994)
◉宮本太郎 編 『比較福祉政治―制度転換のアクターと戦略』(早稲田大学出版部,2006年)
◉ アンソニー・ギデンズ 『第三の道―効率と公正の新たな同盟』(佐和隆光 訳 日本経済新聞社,1999年[ 原著1998年])
◉横山和彦 『社会保障論』(有斐閣,1978年)
◉宮本太郎 『福祉政治 日本の生活保障とデモクラシー』(有斐閣,2008年)
◉宮本太郎 『生活保障 排除しない社会へ』(岩波新書,2009年)
◉伊東光晴 編 『岩波 現代 経済学事典』(岩波書店,2004年)

第2章 社会保障と関連する理念や哲学
◉伊奈川秀和 『フランス社会保障法の権利構造』(信山社,2010年)
◉重田園江 『連帯の哲学Ⅰ フランス社会連帯主義』(勁草書房,2010年)
◉(再掲)田中拓道 『貧困と共和国――社会的連帯の誕生――』(人文書院,2006年)
◉近藤康史 『個人の連帯 「第三の道」以後の社会民主主義』(勁草書房,2008年)
◉ アダム・スミス 『道徳感情論』(上)(下)(水田 洋 訳,岩波文庫,2003年 [原著1759年])
◉ アダム・スミス 『国富論』(一)~(四)(水田 洋 監訳,杉山忠平 訳,岩波文庫,2001年 [原著初版1776年,原著第五版1789年])
◉大野忠男 『自由・公正・市場 経済思想史論考』(創文社,1994年)
◉堂目卓生 『アダム・スミス 『道徳感情論』と『国富論』の世界』(中公新書,2008年)
◉塩野谷祐一 『経済と倫理―福祉国家の哲学―』(東京大学出版会,2002年)
◉塩野谷祐一・鈴村興太郎・後藤玲子 編 『福祉の公共哲学』(東京大学出版会,2004年)
◉ ジョン・ロールズ 『正議論 改訂版』(川本隆史・福間 聡・神島裕子 訳 紀伊國屋書店,2010年[ 原著改訂版1999年,原著初版1971年])
◉ ジョン・ロールズ 著/エリン・ケリー 編 『公正としての正義 再説』(田中成明・亀本 洋・平井亮輔 訳 岩波書店,2004年[ 原著2001年])
◉ アマルティア・セン 『正義のアイデア』(池本幸生 訳 明石書店,2011年 [原著2009年])
◉川本隆史 『ロールズ―正義の原理』(講談社,2005年)
◉長谷部恭男 『続・Interactive憲法』(有斐閣,2011年)
◉(再掲)広井良典 『日本の社会保障』(岩波新書,1999年)
◉ ロバート・ノージック 『アナーキー・国家・ユートピア 国家の正当性とその限界』(嶋津 格 訳 木鐸社,1992年[ 原著1974年])
◉ M・J・サンデル 『リベラリズムと正義の限界 原著第二版』(菊池理夫 訳 勁草書房,2009年[ 原著第二版1998年,原著初版1982年])
◉ マイケル・サンデル 『これからの「正義」の話をしよう いまを生き延びるための哲学』(鬼澤 忍 訳 早川書房,2010年 [原著2009年])
◉川崎 修・杉田 敦 編 『現代政治理論』(有斐閣アルマ,2006年)
◉ W・キムリッカ 『新版 現代政治理論』(千葉 眞・岡﨑晴輝 訳者代表 日本経済評論社,2005年[ 原著第二版2002年])
◉ アダム・スウィフト 『政治哲学への招待―自由や平等のいったい何が問題なのか?』(有賀誠・武藤 功 訳 風行社,2011年[ 原著2006年])
◉田中成明 『現代法理学』(有斐閣,2011年)
◉亀本 洋 『法哲学』(成文堂,2011年)
◉ 原 美和子 「浸透する格差意識 ~ISSP 国際比較調査(社会的不平等)から~」(NHK放送文化研究所 『放送研究と調査』2010年5月号)第1部 社会保障を考える
◉ 髙橋幸市・村田ひろ子 「社会への関心が低い人々の特徴 ~「社会と生活に関する世論調査」から~」(NHK放送文化研究所 『放送研究と調査』2011年8月号)

第3章 日本の社会保障の仕組み
◉広井良典・山崎泰彦 編著 『社会保障』(ミネルヴァ書房,2009年)
◉ (再掲)椋野美智子・田中耕太郎 『はじめての社会保障』[第9版](有斐閣アルマ,2012年)
◉(再掲)宮本太郎 『生活保障 排除しない社会へ』(岩波新書,2009年)
◉ 阿部 彩 『弱者の居場所がない社会 貧困・格差と社会的包摂』(講談社現代新書,2011年)
◉島崎謙治 『日本の医療 制度と政策』(東京大学出版会,2011年)
◉ 堤 修三 『介護保険の意味論 制度の本質から介護保険のこれからを考える』(中央法規出版,2010年)
◉権丈善一 『再分配政策の政治経済学』Ⅰ~Ⅴ(慶應義塾大学出版会,2001~2009年)
◉ 細野真宏 『「未納が増えると年金が破綻する」って誰が言った?  ~世界一わかりやすい経済の本~』(扶桑社新書,2009年)
◉太田啓之 『いま、知らないと絶対損する年金50問50答』(文春新書,2011年)

第4章 「福祉レジーム」から社会保障・福祉国家を考える
◉ G・エスピン-アンデルセン 『福祉資本主義の三つの世界 比較福祉国家の理論と動態』(岡沢憲芙・宮本太郎 監訳 ミネルヴァ書房,2001年[ 原著1990年])
◉ G・エスピン-アンデルセン 『ポスト工業経済の社会的基礎 市場・福祉国家・家族の政治経済学』(渡辺雅男・渡辺景子 訳 桜井書店,2000年[ 原著1998年])
◉ G・エスピン-アンデルセン 『アンデルセン、福祉を語る 女性・子ども・高齢者』(京極高宣 監修/林 昌宏 訳/B.パリエ 解説 NTT出版,2008年)
◉(再掲)宮本太郎 『福祉政治 日本の生活保障とデモクラシー』(有斐閣,2008年)
◉(再掲)宮本太郎 『生活保障 排除しない社会へ』(岩波新書,2009年)
◉ (再掲)齋藤純一・宮本太郎・近藤康史 編 『社会保障と福祉国家のゆくえ』(ナカニシヤ出版,2011年)
◉ 富永健一 『社会変動の中の福祉国家 家族の失敗と国家の新しい機能』(中公新書,2001年)
◉ 藤井 威 『福祉国家実現へ向けての戦略―高福祉高負担がもたらす明るい未来―』(ミネルヴァ書房,2011年)
◉ 湯元健治・佐藤吉宗 『スウェーデン・パラドックス 高福祉、高競争力経済の真実』(日本経済新聞社,2010年)

第5章 国際比較からみた日本社会の特徴
◉ OECD “Society at a Glance 2011:OECD Social Indicators” (OECD Publishing,2011)
◉ OECD 編著 『図表でみる世界の社会問題2 OECD社会政策指標 貧困・不平等・社会的排除の国際比較』(高木郁朗 監訳,麻生裕子 訳 明石書店,2008年)
◉ OECD “How’s Life?:Measuring Well-being”( OECD Publishing,2011)
256 平成24年版 厚生労働白書
◉ OECD 編著 『世界の若者と雇用―学校から職業への移行を支援する 〈OECD若年者雇用レビュー:統合報告書〉』(濱口桂一郎 監訳,中島ゆり 訳 明石書店,2011年)

第6章 日本社会の直面する変化や課題と今後の生活保障のあり方
◉ 国立社会保障・人口問題研究所 京極高宣・髙橋重郷 編 『日本の人口減少社会を読み解く 最新データから読み解く少子高齢化』(中央法規出版,2008年)
◉宮本みち子 編著 『人口減少社会のライフスタイル』(放送大学教育振興会,2011年)
◉宮本太郎 編 『弱者99%社会 日本復興のための生活保障』(幻冬舎新書,2011年)
◉大嶋寧子 『不安家族 働けない転落社会を克服せよ』(日本経済新聞出版社,2011年)
◉宇沢弘文・橘木俊詔・内山勝久 編 『格差社会を超えて』(東京大学出版会,2012年)
◉濱嶋 朗・竹内郁郎・石川晃弘 編 『社会学小辞典』[新版増補版](有斐閣,2005年)
◉内閣府 『経済財政白書』(各年版)
◉内閣府 『国民生活白書』(各年版)
◉内閣府 『男女共同参画白書』(各年版)
◉内閣府 『子ども・子育て白書』(各年版)
◉内閣府 『子ども・若者白書』(各年版)
◉文部科学省 『文部科学白書』(各年版)
◉国土交通省 『国土交通白書』(各年版)
◉経済産業省 『通商白書』(各年版)

まあ、

http://twitter.com/yasudayasu_t/status/241204715407421440

古典なんて読んで遊んでる暇はないぞ、と言われるほどバイアス掛かりまくった教育を受けてきた

方々に共通の症候群かも知れませんね。

(ぶくまより)

dongfang99 鈴木先生は学部生でも名前を知っているレベルの社会保障論の古典を全然勉強していないからなあ。アンデルセンを知らなくても専門家の顔をできるというのは、社会保障論のいいところでも悪いところでもあるが・・・

経済学(の特定の部分)を抜きに社会保障をちょっとでも論じると、この世の一大事みたいに大騒ぎするくせに、社会保障論のイロハのイの基本すらまったく知らなくても、経済学(の特定の部分)を振り回すだけで、社会保障論を偉そうに論じてしまえるという、この知的非対称性にこそ、根本的な知的退廃の根っこがありそうですね。

(皮肉にも)

http://d.hatena.ne.jp/tanakahidetomi/20120903#p1(鈴木亘『年金問題は解決できる! 積立方式移行による抜本対策』)

リフレ派の多くは鈴木提案に賛同している。僕もこの提案を支持する。

ほお、リフレ派の多くは公的年金の積み立て方式を支持するとな。

いやこいつはリフレ派じゃないとかなんとか、醜い仲間割れをされるんでしょうかね。

こういうときのために「りふれは」という記号を発案しておいて差し上げたのですけど。

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年功弊害じゃない「老害」って何だ?

昨日の

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/post-f713.html(なぜ、こうも本質を取り違えた問題設定をしてしまうのか?)

に対し、「ニュースの社会科学的な裏側」さんが、

http://www.anlyznews.com/2012/09/blog-post.html(問題は労働市場の摩擦、つまり高齢者の働きぶり)

で批判をされています。

ただ、その趣旨がいまいち理解できませんでした。

実をいうと、私の論は、法論理的には完璧ですが、現実の労働社会と乖離しているじゃないかという批判は成り立ちます。

現実に年功序列型賃金体系が存在し、かつ就業規則不利益変更法理を厳格に解釈すると、高齢者雇用を定年延長というやり方でやると、生産性に比べて賃金が高すぎる高齢労働者を引き続きその高賃金で雇い続けなければならないということになり、結果的に若年労働者をクラウドアウトするという反論はもっともです。

ただ、だから定年延長ではなく再雇用で労働条件の見直し(生産性水準までの引き下げ)を可能にしているわけで、その点については「ニュースの社会科学的な裏側」さんも、

労働市場の摩擦を導入してみよう。定年延長ではなくて再雇用義務化で待遇は下げることが出来る事から賃金の下方硬直性では無くて、老害が発生して生産性が低下するとしよう。

と認めています。

では、賃金が高すぎるというのではない「生産性が低下する」ような「老害」とは何なのでしょう。

このエントリの中で、その中身を示唆するのは

例えば老害の正体が『若手が年配者に意見をしづらい雰囲気』であれば、企業側に職場環境の工夫が求められるわけだ。

という1文だけなのですが、それが今回の法改正の正当性を左右するだけの大問題であるというのは、さすがにいかがなものかと思われます。というか、その「老害」による追加的な生産性の低下に対応するだけ追加的に賃金を引き下げれば、理論的には話は終わるわけですし。

いやそういう経済理論な話をしてるんじゃない、と言われそうです。

濱口氏も日本企業は年功序列のメンバーシップ型雇用だったと指摘しているわけだし、企業利潤を損なっても序列崩壊を避けようとするかも知れない*2

そういう批判はある意味ではもっともなのですが、それを経済理論を駆使した議論の中で唐突に出されると、どっちで議論をするの?という疑問も湧かないではありません。

実をいえば、私はこの懸念はそれなりにもっともであると考えており、それ故に、今回の改正に当たっては、雇用確保先のさらなる拡大を主張してきたところです。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/roukijunpo120225.html(「高齢者雇用に転籍や派遣の活用を」 『労基旬報』2月25日号 )

それでもなお「それ以外の解決不能な老害が心配されるのも不思議ではない」とすると、それは一体いかなる性格の「老害」であるのか、よく分かりません。

なお、もし、どういう仕事にも使いようがない、という意味であるなら、それこそ、

別に年齢を理由にしなくても雇用終了できるような場合だったら継続雇用しなくていいよ、とごく当たり前のことを言ってるだけでして、それが困るというのは、要するに解雇できるのに姑息にも解雇しないでおいて、60歳まで待ちに待って、「いやあ年ですからやめてよね」と言いたいというだけのことでしょう。

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喉元過ぎた途端にもう熱さを忘れる人々

いや、ついこないだ金融危機を引き起こしたアメリカの共和党のことか、って?

それもあるけど、こっちです。

http://twitter.com/Fumitake_A/status/241700990255001600

大震災を経て正直信じられないのはあれだけ有事の際には役所の機能が麻痺すると何も出来ない事態が色々な被災地で露呈したにも関わらずコストカットや事業効率化を名目に無茶な人材削減を展開する人がいることだ。

http://twitter.com/Fumitake_A/status/241701335504932864

行政=マンパワーが無くては何も出来ないし決まらない、その辺は散々東日本大震災でこれでもかと出ていたしだからこそ各自治体で人材の被災地派遣が行われていたのに、相変わらずな人達は公務員というか行政悪視を壊れたレコードみたいに語っている。

http://twitter.com/Fumitake_A/status/241701818885873668

去年一番思い出深いやり取りといえば「国は役立たず!何もしてくれない。それに引換え自衛隊はよくやっている」→「自衛隊は国家(特別)公務員だよね?」→「」ってコントみたいな展開だったな。

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jura03さんの嘆息を伴った怒り

要するにこういうことなんですな。

http://d.hatena.ne.jp/jura03/20120831(扇動のための不当表示としての「リフレ派」 part65)

そもそも、リフレ支持者という広い範囲の中から、一部をピックアップしてそれがリフレの代表であり、またその人の発言の全てがリフレに属するものかのように語って批判する、チェリーピッキングと特異な事例の一般化、藁人形論法の合わせ技みたいなものこそが要点を外したものなので。それへの要点を突いた反論って「詭弁乙」で終わっちゃうよ。それ以外はどこを突いても、「要点を外してる」って誰かは言うことになる。まあ、もとが外してるから仕方ない。

投稿: yasu | 2012年8月30日 (木) 07時46分

高橋氏はリフレ派ではないので置いとくして、田中氏にはtwitter垢ブロックされてたりするんだけどねえ。超個人的なことだけど。それにしても何を根拠に「批判しない」とか言ってるんだろ。

投稿: yasu | 2012年8月30日 (木) 08時19分

っての、言いわけになってないんですよ、だから。やるんだったらもっとやれよと。ブロックされてるとか言い訳になってない。しかも、高橋洋一は「リフレ派ではない」という認識は、実態としてはともかく、リフレ派内部の人たちはどういうかと思いますけどね。高橋洋一って普通にリフレ派の衣をまとった扇動家でしょ。

もちろん、彼を「リフレ派ではない」というのはいいし、実態としては高橋にとってリフレなんてどうでもよいんだろうという意味では「リフレ派ではない」と僕も思うのでそれはそれでいいんだけど、高橋洋一批判でどの程度粘着してるのかと。リフレ派の衣をかぶって煽ってるのあのオヤジなんだから、「高橋はリフレ派ではないから注意しろ」と批判するのが当然だ。また田中相手にするときにどの程度粘着してるんだ。

さらに、高橋にしろ田中にしろ飯田にしろ、リフレ派の「一部」に過ぎないというのは明らかに詭弁で、この辺りの人たちは(もちろんこの人たちに限らないわけだけれども)、とてもじゃないけど「一部」に過ぎないと片づけられるような影響力だとは思えない。

・・・「高橋洋一はリフレ派ではない」「田中氏にはブロックされている」と嘯いてるわりに、リフレに懐疑的な人間に「粘着」する。あなたのやるべきことはそれじゃないでしょう?と。

で、それはyasudayasuさんに限った問題ではなくて、おそらく他の多くの人たちも同様で、民意とか世論とかを、とても真面目に考えているようには見えない。世論に左右されるような中央銀行の独立性とはなんだ、と言い募るだけだ。

結局、「インフレを適度なプラスに保つべき」という民意が構築されるどころか、「リフレ派」の高橋洋一がTVタックルで日銀陰謀論を煽って視聴者が面白がる、ということの方が影響が大きいことになりかねない。おそらく、現実にその手の番組の影響力が大きいんだと思う。そして、高橋が語る「リフレ」はあくまでも日銀陰謀論や官僚叩きのためのネタであって、「インフレを適度なプラスに保つべき」という部分は受けはよくないから華麗にスルーですよ、これは。

じゃ、yasudayasuさんはどの程度この手のオカシイ連中を、リフレ論の誤解を招くような、あるいは信用性をなくすような論者たちを批判してきたのか。どの程度粘着したんですか、と。

yasudayasuさんだけの問題じゃなくて、そこがおかしいからリフレ派がおかしくなってるんですよ。肝心のリフレが実現できなかったんですよと。

まあ、「高橋氏はリフレ派ではない」などという世間常識と反することをあっさり言うわりに、

そもそも、リフレ支持者という広い範囲の中から、一部をピックアップしてそれがリフレの代表であり、またその人の発言の全てがリフレに属するものかのように語って批判する、チェリーピッキングと特異な事例の一般化、藁人形論法の合わせ技みたいなものこそが要点を外したものなので。それへの要点を突いた反論って「詭弁乙」で終わっちゃうよ。それ以外はどこを突いても、「要点を外してる」って誰かは言うことになる。まあ、もとが外してるから仕方ない。

投稿: yasu | 2012年8月30日 (木) 07時46分

と、高橋氏を主として念頭に置いた(「リフレ派」と区別した)「りふれは」批判には逆上したような反発をするあたりが、この手の人々の半分まともなのに残りの半分が・・・ということろなのでしょうね。

この点をさらにjura03さんが追及します。

http://d.hatena.ne.jp/jura03/20120901/p1(扇動のための不当表示としての「リフレ派」 part66)

もちろん、リフレを支持してくれたらそれで「リフレ派」で細かいところはどうでもいいんだ、大同小異で幅広く支持を得るんだという建前はそれはいいかもしれないけれども、実態はそうじゃないわけでこの種のリフレ派の「非党派性」に関する議論はほとんど根拠がない。

本当は、Bewaadさんがやろうとしたみたいに、高橋洋一のような元官僚の扇動家、田中秀臣や飯田泰之などの学者、上念司のようなただのホラ吹きを徹底的に批判して、彼らをむしろ追放するべきだったし、yasudayasuさんあたり、あそこまで言うなら完全に「粘着」し切って、扇動家や扇動家に追随する学者・ホラ吹きを追放するような方向をもっと後押しするべきだった。

・・・まあ、誰もそういうことを結局しなかったわけですけどね。結果的には現状は、リフレ派としてはもうネット右翼なんかと同じように、ネット上の徒党として仲間内でマスターベーションやってるだけの集団になってるのじゃないのかな。

さらに、高橋にしろそれに追随する学者連中にしろ、適当にメディアにでて小銭稼ぎをしながら、日銀陰謀論・官僚叩きに終始して肝心のリフレの方は閑却されていくわけだ。。。まあ、形としては、ネット上で構築された「リフレ派」はこういった人たちにある意味では利用されて終わっちゃってる格好

そういうわけで、リフレ派には完全に呆れてるので、特に書くこともなかったわけでだからブログの更新をすることもなかったのだけれども、久々に触発されてしまった次第。

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Q崎さんの拙著評

131039145988913400963「Q崎さんは放課後活動家」というブログに、拙著『新しい労働社会』が取り上げられています。

http://qqmasa.cocolog-nifty.com/blog/2012/09/post-8814.html

このQ崎さん、「11月23日(勤労感謝の日)に横浜で「ブラック企業撲滅デモ」を行いました。サービス残業や休日出勤の強要、不当解雇、過労死など、現在の日本には働く上での困難があまりにも多く存在します。しかし、労働基準法違反の公然たる無視に誰も声を上げません。それなら自分がやるしかないと立ち上がりました。」という方ですが、「仕事「居場所」論」というエントリで、

浦川へ向かう道中、独立行政法人労働政策研究・研修機構(JILPT)統括研究員の濱口桂一郎氏の著書『新しい労働社会 雇用システムの再構築へ』を読みました。その中の「賃金と社会保障のベストミックス」という章の「働くことが得になる社会へ」という項目に、働くことの意味を考える重要な記述があったので、引用したいと思います。

として、拙著の一部を引用され、

私はこの項目を読んで思わず膝を叩きました。

と言われています。

具体的にはリンク先をどうぞ。


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そんなん、ぜんぶ都と区にしたらええやん

昔から、なんで英語ではプリフェクチュアひとつなのに、日本語では都道府県と4つ並べるのかと思ってたし、逆に東京の特別区はウォードというてみたり、シティというてみたり、わけわからん。

このさいやから、都道府県は差別なく全部「都」にしてしもて、区市町村は差別なく全部「区」にしてしもたらどやねん。

岩手都南三陸区、福島都浪江区とか。

したら文句ないやろ。

(追記)

http://twitter.com/ustht/status/241742099744178176

ハマチャン先生がじゃっかん壊れかけている 

いやいや、

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120901-00000763-yom-pol

全然間違いだ。迷惑千万だし、世界中が迷惑する。元首がいて、国会がある所が都だ

ほど壊れかけていないと思いますが。

まあ、所詮日本語の世界ですが、

http://www.yomiuri.co.jp/politics/news/20120831-OYT1T00904.htm

橋下改革で援助打ち切り…国際機関支部、奈良へ

国際機関にまで他に逃げられるようなしぶちんプリフェクチュアは神妙に「大阪県」と名乗って、「都」は「奈良都」に譲るのも一案ですが。

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