宿直がある者の平均睡眠時間は4時間未満が半数弱。翌日は通常勤務が86.2%
本日、労働政策研究・研修機構は「勤務医の就労実態と意識に関する調査」の調査結果を発表しました。タイトルは「勤務医の4割が週60時間以上の労働」ですが、それよりももっと怖い話も載ってます。
http://www.jil.go.jp/press/documents/20120904.pdf
<週当たり全労働時間は、4割が「60時間以上」。約半数が年休取得日数「3日以下」>
2.主たる勤務先の1週間当たりの実際の労働時間は、平均で46.6時間(8頁図表14)。他の勤務先を含めた1週間当たりの全労働時間の平均は53.2時間で、「60時間以上」(「60~70時間未満」「70~80時間未満」「80時間以上」の合計)の割合は40.0%となっている(9頁、図表15)。昨年1年間に実際に取得した年次有給休暇の取得日数は、「4~6日」が25.8%ともっとも割合が高く、次いで「1~3日」(24.9%)、「0日」(22.3%)などとなっており、約半数(47.2%)が「3日以下」(「0日」「1~3日」の合計)となっている(10頁、図表17)。
まあ、4割が60時間以上労働というのも、労働基準法的感覚からすればひどいものですが、今日の労働社会の感覚からすれば、「まあ、そんなもの」と思われるかも知れません。
<宿直がある者の平均睡眠時間は4時間未満が半数弱。翌日は通常勤務が86.2%>
3.主たる勤務先で1カ月間に「日直あり」(日直1回以上の合計)は61.8%、「宿直あり」(宿直1回以上の合計)は67.4%(4頁、図表5、図表6)。宿直1回当たりの平均睡眠(仮眠)時間は、「4時間以上」が52.7%ともっとも割合が高いものの、次いで「3~4時間未満」(27.7%)、「2~3時間未満」(10.4%)、「2時間未満」(5.8%)となっており、「ほとんど睡眠できない」の3.5%を合わせると、半数弱が、平均睡眠時間が4時間未満である。これを宿直1回当たりの平均患者数別にみると、患者数が増えるほど、「ほとんど睡眠できない」とする割合が高くなっている(5頁、図表8)。宿直翌日の勤務体制は、「通常どおり勤務する」が86.2%となっている(6頁、図表9)。
こっちはかなり怖いですね。4時間未満の睡眠で眠い目をこすりながら翌日は普通に診療・・・。
<9 割弱がオンコールのある働き方をしている。そのうち、約半数が月に「1~3 回」出勤>
4.過去1 カ月間でのオンコール出勤について、「そもそもオンコールはない」が11.8%となっており、88.2%がオンコールのある働き方をしている(7 頁、図表11)。オンコールのある働き方をしている者について、過去1 カ月間の回数の実績をみると、「1~3 回」が49.4%ともっとも割合が高く、次いで「0 回」(29.5%)、「4~6 回」(14.3%)などとなっている(7頁、図表12)。
そして、
<45.5%が「睡眠不足」で、76.9%が「何らかのヒヤリ・ハット体験」あり>
5.「疲労感」を60.3%、「睡眠不足感」を45.5%、「健康不安」を49.2%の者が感じている(12頁、図表20)。「ヒヤリ・ハット体験」があるかについて、「ほとんどそうである」が8.9%「ときどきそうである」が68.0%で、両者を合わせて76.9%が「何らかのヒヤリ・ハット体験がある」としている(13 頁、図表23)。睡眠不足感に対する認識別にみても、睡眠不足を感じている者ほど、「ほとんどそうである」とする割合が高く、15.2%となっている(13 頁、図表24)。
医師の長時間労働は、労働問題であるだけではなく、医療安全問題でもあるわけです。ちょうど、運転手の長時間労働が、労働問題であるだけではなく、交通安全問題でもあるのと同じく。
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いわゆるジャーナリズムへの批判それ自体がポジショントークを免れないとユー
投稿: フレディ | 2012年9月 5日 (水) 22時01分