職安の非正規職員が労組結成 22日に大会
http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG2104U_S2A920C1CR8000/
東京都内の公共職業安定所(ハローワーク)に勤める非正規職員約100人が、自分たちの不安定な雇用の改善を求めるため労働組合を発足させ、22日に都内で結成大会を開いた。厚生労働省によると、ハローワーク非正規職員による労組が発足するのは全国で初めて。
同労組によると、組合員は、窓口で職業紹介をしたり、企業を訪問して求人を探したりする非正規職員ら。契約期間が1年の有期雇用で、通勤交通費が1日往復で360円までしか支給されないなど不安定な待遇で勤務している。
正規職員による労組委員長OBで、今回の労組の顧問になる駒井卓さんは「正規職員と同等の仕事をしても待遇には差がある。こうした有期雇用の矛盾を解消したい」と話している。〔共同〕
駒井さんが顧問なのか。
ということは、正規職員労組の支援のもとに作られたということのようですね。
最大の皮肉は、当の厚生労働省が提出して制定されたばかりの労働契約法は公務部門の非常勤職員には適用されないということになっていることで、ここは公務労働法制全体を抜本的に見直す必要がほんとはあるのでしょう。
以前『季刊労働法』に書いた「公務労働の法政策」で紹介したことですが、
http://homepage3.nifty.com/hamachan/komurodo.html
1954年に、当時の与党自由党が「国家公務員制度改革要綱案」をまとめ、「国は、・・・特定の業務について、私法上の雇用関係を結ぶことができるものとし(仮称「国家従業員」)、これは公共の福祉上の要請に基づく点を除き、おおむね一般の民間の雇用関係と同一の法律関係にあるものとする」としていました。
また、政府が1956年8月にまとめた国家公務員法改正法案(第一次試案)では、
第3条(国家公務員の定義)2 国は、単純な労務又は臨時の業務に従事させるため、国家公務員以外の者を雇用し、又は国家公務員以外の者に常時勤務を要しない諮問的、調査的その他の公務を委嘱する場合を除くほか、国家公務員以外の者を置いて、その勤務に対し給与を支払ってはならない。
と、臨時職員は国家公務員の身分ではなく、私法上の雇用関係とする仕組みを示していました。
この考え方が当時成立していれば、今ごろ、国も地方も、臨時職員は労働契約法が適用され、従って今回改正の有期契約に関する規定も適用されていたことになっていたわけですが、結局そうはならなかったのですね。
もう半世紀以上も前の話ですが、こういう昔話にこそ、今現在のなかなか解決の道が見えない問題のヒントがあるのかも知れません。
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昨日に続いて非正規問題。メディアがどこまでとりあげているかわからないが、「ハローワークで非正規職員労組発足」の話題を、自分もとりあげてみたい。実は、ハローワーク(職安)の問題は、重要な岐路にさしかかっている。あまり知られていないが、一連の改革(?)の中で、ハローワークの地方移管、民間委託が検討され続けて、今回、埼玉と佐賀県を特区として、本年10月より現実にはじまることとなった。「アクション・プラン~出先機関の原則廃止に向けて~」(2010年12月28日閣議決定)を受けて、厚労省は「国が行う...... [続きを読む]
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