高齢法改正案の修正について
昨日衆議院厚労委で可決された高齢法改正案の修正ですが、
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/08/post-25a6.html(衆院厚労委、高齢法の民自公修正案を可決)
3 厚生労働大臣は、第一項の事業主が講ずべき高年齢者雇用確保措置の実施及び運用(心身の故障のため業務の遂行に堪えない者等の継続雇用制度における取扱いを含む。)に関する指針(次項において「指針」という。)を定めるものとする。
4 第六条第三項及び第四項の規定は、指針の策定及び変更について準用する。
もちろんまだ議事録は衆議院HPにアップされていないので、正確なやりとりは不明ですが、赤旗に共産党議員の質疑とそれに対する提案者の公明党議員の答弁の概略が載っているので、参考までに紹介しておきます。
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik12/2012-07-28/2012072802_02_1.html(新たな選別持ち込むな 高年齢者再雇用 高橋議員が追及)
高橋氏は、民主・自民・公明3党の修正案で継続雇用の指針に「心身の故障のため業務の遂行に堪えない者等」の「取扱い」を加えたことについて、「障害者が差別され、うつ病などで休業している人が退職に追い込まれかねない」とただしました。
提案者の公明・古屋範子議員は「客観的に合理的な理由があり、社会通念上相当であると認められる場合」と答弁。高橋氏は「解雇権乱用にならないか。日本経団連の意をくんだ新たな選別の手段になりかねない」と批判しました。
この答弁を見る限り、今年1月6日の建議にある
http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/2r9852000001zl0e-att/2r9852000001zl45.pdf
その際、就業規則における解雇事由又は退職事由(年齢に係るものを除く)に該当する者について継続雇用の対象外とすることもできるとすることが適当である(この場合、客観的合理性・社会的相当性が求められると考えられる)。
また、基準廃止後の継続雇用制度の円滑な運用に資するよう、企業現場の取扱いについて労使双方にわかりやすく示すことが適当である。
とまったく同じ中身のようですので、「勤務態度」云々は、(現実の日本の多くの企業におけるフォークレイバーローでは態度が悪けりゃクビでしょうけど)日本の判例法理を前提とする限り、そう野放図に認められるような指針になることはなさそうです。
ちなみに、共産党議員の「障害者が差別され、うつ病などで休業している人が退職に追い込まれかねない」というのは、それはその通りですが、とはいえ現在の解雇権濫用法理においてもまさにそうなので、継続雇用じゃないときには解雇が認められるようなケースでも継続雇用の場合には定年退職を認めないという理屈はさすがに無理と言うべきでしょう。
こちらはこちらで、近年特に深刻な問題が続出しているところではありますが。
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