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2012年8月15日 (水)

とってもメンバーシップ型なユーゴスラビア労働法

「そういえば、その昔、ゆーごすらびあなんていう国がありましたなあ」

「そうそう、ろうどうしゃじしゅかんりとかいうのもありましたねえ」

と、老翁老婆が渋茶を啜りながら回想するような歴史的存在となった旧ユーゴスラビアですが、ソ連やポーランドと比較しながら、旧ユーゴスラビアの労働法をいろいろ読んでいくと、これって究極のメンバーシップ型労働法理論を構築していたのだという事が分かりました。

労働者自主管理というのも1950年に始めてから徐々に進化していっているのですが、その完成形とみなされているのが1976年の連合労働法というやつですが、この法律では、連合労働者の労働関係は、一方が他方を雇う雇用関係ではなくって、「全ての者が互いに労働関係を結ぶ相互的労働関係」なんですね。企業という概念の代わりに「労働組織」というのが中心で、その労働者評議会が仲間として入れる人間を選定する。事業管理機関も労働者評議会が選ぶ。まさに、出資者がメンバーである会社ではなく、労働者がメンバーである労働組織が社会の中心をなすのが自主管理社会主義というわけで、法制度自体がとってもメンバーシップ型なわけですね。

今の日本で言えば、「協同労働の協同組合」に近いわけですが、社会全体をこういう仕組みにしようとしたところが旧ユーゴの特徴であり、結局それに失敗してユーゴという国まで一緒に崩壊してしまったというわけです。

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コメント

旧ユーゴが崩壊した主原因は、カリスマ的指導者がいなくなり、民族対立が激化したことだと思っていました。崩壊の原因が、協同組合主義による国家運営失敗が原因であったかどうかは、もっと詳しく書いていただきたいと思います。

自主管理社会主義の研究者として有名だった岩田昌征さんの、大変苦みに満ちた昨年末の文章から、

http://chikyuza.net/n/archives/16830">http://chikyuza.net/n/archives/16830(自主管理社会主義の教訓――協議経済論・アソシエーション論の盲点と資本主義幻想の霧消――)

ソ連東欧の集権制計画経済の危機が表面化して以来,特にその全面的崩壊以後,資本主義に降伏せず,その批判者としての社会主義に思想的意味を認める人達の間に,資本主義市場経済と対置されるべきは,官僚的計画経済ではなく,労働市民的協議経済であるとの主張が響き始めた。哲学的に一般化されて,アソシエーション論としても提起されている。耳を傾けるに値する思想であるが,その最大の弱点は,ソ連東欧と同時に崩壊したユーゴスラヴィア自主管理社会主義の理念論的・制度論的基軸がまさしく協議経済であり,アソシエーションであったと言う歴史的事実・経験を殆ど完全に無視して立論されている所に在る。

時系列的に見ると、民族主義によるユーゴ崩壊に先立って、80年代後半に「企業」が復活し、「連合労働」に代わって再び「雇用契約」が登場し、労働協約やスト権も復活し、つまり普通の資本主義国になりつつあったのです。

そうして、自主管理の本家として世界中から熱い目線で見られたユーゴという国の輝きが失われるとともに、民族主義が噴出してきたのですね。

なるほど、流れがよくわかりました。アソシエーションは濱口先生が柄谷氏の主張に違和感を表明されていたことがあったと記憶しており、手放しに新しい画期的社会システムだと考えてはいけないと思っていましたが、ユーゴの歴史がその一つの証左であったこともわかりました。ありがとうございました。ただ、ユーゴの自主管理型社会主義の失敗と血で血を洗うような激しい民族抗争は、関連があったのでしょうか?自主管理社会主義に失敗して普通の資本主義になっていったことが、民族間戦争の原因であれば、あまりに不幸なことだと思います。

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