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2012年8月24日 (金)

男女均等と職業家庭両立の両立

『労基旬報』8月25日号掲載の「男女均等と職業家庭両立の両立」です。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/roukijunpo120825.html

女性労働政策の二つの柱が男女均等待遇の促進と職業家庭生活の両立にあることはいうまでもない。しかし、この二つの柱が矛盾なく両立しうるものなのかという点には、とりわけ企業の中で現実に生き抜いてきた女性管理職の方々から若干の疑念も呈せられているようである。最近労働政策研究・研修機構(JILPT)がまとめた『大企業における女性管理職登用の実態と課題認識-企業人事等担当者及び女性管理職インタビュー調査』に掲載されている女性管理職インタビューを読むと、「・・・でも、自分がちゃんと、自分のポテンシャルをアップさせようと思ったら、そのような育児休業や短時間勤務をばりばりに使ってということは多分しないんじゃないかなという気がします。」等と、ワーク・ライフ・バランス施策に否定的な発言もされている。

ここには、日本の男女均等政策が欧米のような男女同一労働同一賃金政策を中心に置くのではなく、それまでの男女別人事管理を前提に男女間の「コースの平等」をめざしてきたことの一つの帰結がみられるように思われる。

均等法以前の伝統的日本型システムにおいては、新規学卒から定年退職までの男性正社員と新規学卒から結婚退職までの女性正社員はまったく別のコースであった。そしてそれを前提として、男性正社員はすべてなにがしか管理職的性質をもって、しかしながら管理職的処遇は昇進後の将来像としておあずけにする形で、猛烈にばりばり働くことが期待されていた。彼らにはワーク・ライフ・バランスなどという言葉は世迷い言の一種であったろう。この点、入社時からエリートとノンエリートを明確に分け、後者は私生活と両立できる程度にゆったり働くことが当然である欧米の労働者とは出発点が違った。

その日本で男女均等という言葉が、それまで女性向けコースしか与えられなかった女性に男性向けコースに挑戦する権利を与えるものとして受け取られたことは不思議ではない。しかしながらそれは、女性を男性並みに昇進させるという意味の男女均等が、ワーク・ライフ・バランスと矛盾するという皮肉な結論を導くものでもある。均等法成立以来四半世紀が経ったが、日本の女性労働政策はこの矛盾のはざまでなお進むべき道筋を見いだせていないように見える。

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