同一労働同一賃金はどいつの台詞だ?@『HRmics』13号
海老原嗣生さんの雑誌『HRmics』がこの13号から大幅に模様替えしました。
http://www.nitchmo.biz/hrmics_13/_SWF_Window.html
特集は「本当のグローバル戦略、グローバル採用」ですが、その後ろに控える新連載記事たちが、一癖も二癖もある筆者が並んでいてなかなか壮観です。
なにしろまず、常見陽平さんの新連載「採ってはいけないその学生」で「学生団体代表なんてマハラジャのお立ち台女と変わらん」。
タイトルも凄いけど、中身もそれにまして刺激的です。
対照的に、山内大地さんの「大手も採るべきこの大学」が「身体を動かすことが好きで、従順な学生のいる大学」。そりゃ一体どこだ?上のリンク先を見れば書いてあるので、産業能率大学と東京都市大学だそうです。
石渡嶺司さんの「就活温故知新」は「学力試験はいつ消えたのか」。ある意味で、後述のわたくしの文章とも共通しますが、今日ただ今確立している「日本型」システムってのが、ほんの少し前までは必ずしもそんなに一般的というわけではなかったという歴史秘話ものとして楽しめます。
次はブログでおなじみのあの人シリーズ。
「企業法務マンサバイバル」の橋詰卓治さんが「上から目線のコンプライアンス」で「社長、安易なノマド活用は、自縄自縛となりますよ」。これについては、ご本人がブログで紹介されているので、
http://blog.livedoor.jp/businesslaw/archives/52268764.html
そして、本ブログでもおなじみ被災地の地方公務員として日夜かけずり回っているあのマシナリさんが、『HRmics』に連載です。題して「公僕からの反論」、記念すべき第1回は「復興の遅れ、公務員批判、政治決断」。ぞくぞくするようなマシナリ節がお楽しみいただけます。
今のところまだ、ご本人のブログには紹介されていませんが
http://sonicbrew.blog55.fc2.com/
なお森戸英幸さんの「感情的法律論」は既に連載13回目ですが、今回はトピカルに「これでいいのか生活保護」。
そして、不肖わたくしも「雇用問題は先祖返り」という新連載です。第1回目は「同一労働同一賃金はどいつの台詞だ?」 。
その最後の一節をこちらにチラ見させておきます。中身は是非上のリンク先へ。
・・・・・改めてこの数十年の歴史を振り返ってみると、「攻守ところを変え」という言葉が思い浮かびます。1950年代から60年代には経営側や政府が同一労働同一賃金原則を声高に主張し、労働側は正面から反論しにくいものだからいろんな屁理屈をこねていたのに、そんな問題が意識されなくなった時代を間に挟んで、1990年代から2000年代には労働側が(どこまで本気であるかはともかく)同一労働同一賃金原則を声高に叫び、経営側は「同一価値労働かどうかは中長期に判断するのだ」などと苦肉の反論をしています。
同一労働同一賃金という字面それ自体はまことにもっともな原則であるがゆえに、反論する側が屁理屈になる傾向があるわけですが、そもそも声高に主張している方が(かつての経営側にしても現在の労働側にしても)どこまで本気で言っているのかいささか疑問なしとしないというところも、かつてと現在の共通点かも知れません。
なんにせよ、こういう経緯を眺めてくると、「同一労働同一賃金はどいつの台詞だ?」といいたくなりますね。どいつもこいつも本気じゃないのに・・・。
« 国際問題に素養も理解もなき民間の喝采を博せんとする外交ほど国家の前途に取って重大なる憂患はない | トップページ | 海老原嗣生『雇用の常識 決着版』ちくま文庫 »
« 国際問題に素養も理解もなき民間の喝采を博せんとする外交ほど国家の前途に取って重大なる憂患はない | トップページ | 海老原嗣生『雇用の常識 決着版』ちくま文庫 »
コメント