ゴードン『日本労使関係史1853-2010』
今月上旬に発行されたはずなのになかなか入手できず、本日、都心に出たついでにようやくゲットしました。「日本で書かれたものを含めて、日本労使関係史の中で最高傑作」と、わたし自身が申し上げたその翻訳です。
http://www.iwanami.co.jp/cgi-bin/isearch?head=y&isbn=ISBN4-00-024293
1980年代に「日本型雇用システム」として世界的に喧伝された雇用形態(「終身雇用」「年功序列型賃金制」「企業福祉」「企業別労働組合」……)はいかに形成され,そして変容し現在に至ったのか.労働者・経営者・官僚の相互関係に注目し,彼らが目的・利害をめぐって争い妥協してきた150年に亘る日本労使関係を描いた決定版.
原著「The Evolution of Labor Relations in Japan」の翻訳に加えて、その後の推移を第5部として加えていることは、広告の紹介の時に申し上げましたが、
日本語版への序文/謝辞
凡例
序章
第Ⅰ部 産業革命期の労働者と経営者
第1章 工業労働者の組織化
第2章 温情主義と直接的管理
第3章 労務管理改革と労働運動――1917~1921
第Ⅱ部 労働者と経営者――戦間期における雇用制度
第4章 渡り職工の消滅?――採用と長期雇用
第5章 賃金制度の複雑化
第6章 企業共同体――会社,組合,労働者階級
第Ⅲ部 戦時の労使関係と政府
第7章 長期雇用と統制賃金
第8章 産報――労働組合不在の労働者組織
第Ⅳ部 戦後の決着
第9章 組合主導の労使関係
第10章 経営主導の労使関係
第Ⅴ部 労使関係――高度成長期とその後
第11章 日本型労使関係のヘゲモニー
第12章 日本型労使関係の終焉?
結論
訳者あとがき
インタビュー対象者一覧/主要参考文献一覧
索引
細かくいうと、第11章は「The Wages of Affluence」の要約版で、第12章がその後の「失われた20年」(という表現にゴードンさん自身は批判的ですが)の記述です。
冒頭の部分が立ち読みできますが、
http://www.iwanami.co.jp/.PDFS/02/8/0242930.pdf
むしろ実際に立ち読みして欲しいのは、今回加筆された最後の「結論」です。
この本の中心テーマが、ブルーカラー労働者が職場のメンバーシップを要求し獲得していくことであることがよく分かります。
なお、訳者あとがきにあるように、本訳書では原文の「メンバーシップ」や「フルメンバー」を、文脈に応じて「構成員として」「正規構成員」「正社員」などと適宜訳し分けて、ルビを付けるというやり方をしていますが、これはとてもいいやり方だと思いました。
さあ、これで立派な翻訳もでたことだし、本書の中身は労働問題を語る人にとっては名実ともに必須のものとなりました。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2010/02/post-a7e9.html(ゴードン名著の翻訳)
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2012/06/1853-2010-c73d.html(アンドルー・ゴードン『日本労使関係史1853-2010』)
実は、今とりあえず追加部分に目を通したところで、原著部分はこれからじっくりと読みます。
« 公明党は職場喫煙規制後退に反対 | トップページ | 民主党雇用ワーキングチームにて »
コメント