利害関係者の発言を圧殺したがる思想
NHKの報道ぶりもひどいものですが、なにより、こういう利害関係者の発言を圧殺したがる思想が何の疑いもなく平然とまかり通ろうとすることに対して、およそ日頃人権だの何だのという言葉を振り回す人ほど鈍感そうに見えることが一番恐ろしい、と思わないのだろうか。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120716-00000071-jij-bus_all(電力社員、連日の原発擁護=「やらせ」批判も―政府の意見聴取会)
政府は16日、将来のエネルギー政策に関する3回目の国民の意見聴取会を名古屋市で開いた。前日の仙台市での聴取会に続き、電力会社社員を名乗る男性が、原発を擁護する意見を表明。会場から「やらせだ」「回し者」といった批判が飛んだ。
こういう「批判」をする人は、例えば大阪市で当の公務員が何かを語ろうとしても「やらせだ」「回し者」と言うのでしょうね。
まさか大阪市と原発は別だなどという超ご都合主義の論理が通用するなどと思ってはいないのでしょう。まったくアイソモルフィックなのですから。
(どっちも圧殺して当然と考えている人々には特に言うべき言葉もありませんが)
(追記)
http://twitter.com/apesnotmonkeys/status/224867406584094720
単に「利害関係者」が公に発言するというはなしと、たった9人しかいない発言者の中に「利害関係者」が突っ込まれるというはなしとはまるで違う。
なるほど、大阪市の職員の処遇の問題について公聴会をする際に、「たった9人しかいない発言者の中に(市職員という)「利害関係者」が突っ込まれる」のについても、まったく同じことを仰るということなら了解です。
あるいは、せっかく「apesnotmonkeys」さんのご発言ですから、南京事件でも何でもいいですけど、やはり「たった9人しかいない発言者の中に「利害関係者」が突っ込まれる」のについても、まったく同じことを仰るという理解をさせていただいて良いなら、それで結構です。
もちっと言えば、ナチスがユダヤ人をどう扱うべきかの公聴会に、「たった9人しかいない発言者の中に(ユダヤ人という)「利害関係者」が突っ込まれる」のはどうかとか。
たぶん、第一次大戦後の不況失業の中でユダヤ金融資本の陰謀(!)を憎んでいた善良なドイツ人たちは「良くまあいけしゃあしゃあと」と呆れたでしょうけど。
(再追記)
http://twitter.com/smasuda/status/224880601923207168
電力会社の社員は市民として意見を主張できる機会が与えられるのに、市役所の公務員には市民として意見を主張できる機会が与えられない。
だから、電力会社の労働者から発言権を剥奪せよ、ということが、ますます公務員の市民としての権利を奪うロジックをより強固にしていくわけです。
「民意」の暴政とはそういうことです。
http://twitter.com/taimatu1/status/225016982372745216
体制側の意見を市民の衣をかぶって公聴会に潜り込ませる策謀は批判されて当然。大阪市の例を挙げるなら、維新の会の議員が公聴会で「一市民として」橋本市長への賛同を述べた場合が相当するのでは
いうまでもなく、維新な人々の目には、労働組合ってのがどうしようもない利権に包まれた「体制側」に見えているのですよ。在特会な人々の目に、なぜか「在日」の「特権」なるものが見えているように。そして、誠実なナチスの人々の目に、ユダヤ人も・・・。
正義の名の下に「鉄槌」を振り回す人々は、主観的には常に反体制側で孤独な戦いをしているのです。常に相手方が権力と結託して陰謀を企んでいるように見えるのです。
だからこそ恐ろしいのです。自分を「反体制」だと信じ込んで行動する人々は。
(ご参考までに)
http://twitter.com/TakagiJinza_bot/status/224838147803066369
原子力問題をやっていると、原子力賛成・反対を唯一の基準に、人の価値を評価したり、運動を評価したりする人に多く出会う。推進側・反対側双方にそういう面がある。
(要するに)
http://twitter.com/kurokawashigeru/status/225247243685470208
利害関係者の発言を圧殺したがる思想 http:// 全くだ。9人の公聴人の1人が電力会社の社員だからってどうにかなるもんですか。飯田哲也氏が元々原子力村にいた人間ではないかと排除しますか?そういう場面でも堂々と反駁できる市民の力が大事なんじゃないですか。
という発想もあれば、
http://twitter.com/t_ishin/status/223431021067112449
どこの民間企業で、社員の所属を明示しながら個人の意見をテレビでしゃべる企業があrのか。肩書を名乗らず、一市民として述べるのは良いだろう。堂々と所属を明示して、そして教育論ではなく、特定の政策について反対表明をするとは、それは身分保障に甘えた常識知らずの行為。
という発想もあるということのようです。
「身分保障に甘えた常識知らずの行為」というのが「良くまあいけしゃあしゃあと」ってことなんでしょうね。まことにアイソモルフィック。
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» 「意見聴取会」はそもそもディベートの場ではない [lochtextの日記]
そもそもこの意見聴取会って、「利害関係者」に発言の機会を与えるためのものじゃないから。(中略)毎日の記事を読めばわかる通り、問題視されているのは「利害関係者」が発言したことそれ自体、ではない。(逆ばりはなんとかの始まり(追記あり) - Apes! Not Monkeys! はて... [続きを読む]
聴取会の電力社員発言 閣僚ら「疑問、遺憾」
将来の原発比率について、政府が国民の意見を直接聴く意見聴取会で電力会社の幹部や社員が発言していることに対し、関係閣僚は十七日の閣議後会見で、改善する考えや疑問視する見解を相次いで示した。国民の反発を受け、対応が必要と判断したとみられる。
藤村修官房長官は「組織の代表として発言していれば遺憾だ。改善を検討していく」と表明。枝野幸男経済産業相は「発言がどう受け取られるか、感度のなさに疑問を持っている」と指摘し「組織的に応募や発言を促していないと思うが、すべての電力会社に確認したい」と述べた
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2012071702000217.html
「国民目線の政治」(いやな言葉ですね)の当然の帰結
投稿: あいうえお | 2012年7月17日 (火) 15時36分
仙台で意見を述べたのは「執行役員」だとニュースには出ていましたが。東北電力の組織運営上どうなっているかわかりませんが、労働組合側でないと考えられるのでは?「会社として」と前置きした、という記事もあったはずです。
投稿: aa | 2012年7月17日 (火) 16時36分
はてなサヨクは、0パーセントの時に電力関係者が発言したら「電力関係者も原発維持は無理だと言っている!インサイダーによる内情暴露だ!」とか言って反原発の闘士として持て囃すんですよ。自分の言っていることがイデオロギーまみれだという自覚がない。そもそもそれぞれ3人ずつ発言したのだから別に片寄っていないのにね。結局、「放射能の影響で亡くなった人はいない」という発言に「ウソつけ!」というヤジを飛ばしたことからも分かりますが、理路整然とした指摘に反論できないから黙らせようとしているだけです。追記が無惨とか言っているけれど、その指摘こそ無惨。殺人教唆はそれ自体犯罪なんだよ。電力関係者が殺人教唆したのかね。自分で「どういう機会になにを話そうとするのかによるに決まってるじゃないですか。」と言っているくせにこの無様さ。
投稿: はてなサヨクの体質 | 2012年7月18日 (水) 12時19分
追加ですが、彼らの米欄を見ていると、いままでの自分たちの主張をなぎ倒しまくりですね。
「やらせじゃないというのであれば徹底的に争えばいい」ということは「疑惑をかけられた側が無実を証明しろ」なの?
「ほんとはやらせじゃないのに体裁を繕っている」としたらひどい、ということは無実を晴らすために自分の生活を犠牲にしてガリレオ・ガリレイよろしく世間に対して行動せよなの?
「疑わしきは罰せよ」なの?
比率0%に代替エネルギー関係者がいる可能性は考えないの?
疑いの持ち方にバイアスはないの?
理路整然とした意見表明なのだから言論には言論で原発ゼロを主張すればいい、とは考えないの?
投稿: はてなサヨクの体質 | 2012年7月18日 (水) 13時34分
東北電力と中部電力のケースで発言の問題点が違うのだと思います。東北電の人だけなら、反原発派にとっては気に食わない意見ですが、単なる意見ですし、そこまで叩かれなかったと思います。しかし、中部電力社員の「放射能の影響で亡くなった人はいない」というのは、いかにもまずかった。そんなことは、電力需給とは関係ないし、科学的に立証された事実ではないし、それこそ原子力発電の専門家である電力会社の社員が断定的に発言してよいような内容でもないでしょう。そりゃ反原発派の攻撃対象にされますよ。というか、そういう発言内容の違いを反映して、東北電力では社員の発言に特にコメントしていない一方、中部電力はわざわざトップページでお詫びを公表する羽目になったのだと思います。
投稿: 東北と中部 | 2012年7月18日 (水) 18時10分
「九州電力やらせメール事件」がありましたから、個人の立場で会社と同じ意見を発言してたら、「工作活動ご苦労さま」となるでしょう。会社と逆の意見を言ってたら、世間の反応も違ったでしょうけど。当人たちは、どんな心境で「個人の立場」を強調したんでしょうか?
とにかく、本件ではっきり言えることは、当人が選ばれることで、他の人の発言の機会が奪われたということです。専門家の意見は別の機会で十分です。同じ利害関係者でも、他の利害関係者の意見が望ましかったということです。本件については、国民全員が利害関係者です。電気を使わない人はほとんどいないでしょうから。
30%と0%ばかり大盛況で15%が一番少ないって、本当に世間の意見を代表しているのか、もっというと、活動家だらけじゃないのかと、思えてしまう状況は不自然極まりないですが、あくまでこれとは別の問題です。
投稿: くまさん | 2012年7月19日 (木) 06時28分
> 電力需給とは関係ない
というのは(直接的には)その通りですが
> 科学的に立証された事実ではない
というのはおかしいですね。
現状では『科学的に見て十二分に妥当』だと思います。
投稿: fnorder | 2012年7月19日 (木) 12時13分