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2012年7月13日 (金)

東京電力はどういう理由でブラック企業なのか?

「ブラック企業大賞2012」なる催しが進められているようですが、その「ノミネート企業10社とノミネート内容」というのを見て、正直大変違和感を感じました。

http://blackcorpaward.blogspot.jp/

この会社についてのこの記述です。

10.  東京電力 株式会社
2011年3月11日、東日本大震災の後に発生した福島第一原発事故により、広範囲にわたる放射能汚染を引き起こした。その収束に向けての対応、また避難者・被害者への保障についても、2012年7月現在も不十分といわざるを得ず、日本全体の社会、経済に多大な被害を与え続けている。また農地や海、川や山という自然環境そのものの放射能汚染は、今後数100年、数万年にも及ぶため、人類・自然環境への影響は計り知れない。

私が理解するところ、今日「ブラック企業」という問題意識は、もっぱらその使用者としての労働者との関係性における歪みに着目したものだと考えてきたのですが、この記述からすると必ずしもそうではないようです。

しかし、こういう意味での「ブラック」さ(そういう用語法があり得ることまでを全否定する気はありませんが)を交えてしまうと、そもそも労働問題に着目した「ブラック企業」を問題にした問題意識そのものがぼやけてしまうのではないかと、いささか鼻白んでしまうところもあります。

実をいえば、少なくともその直接雇用する正社員との関係でいえば、東京電力の労働者の賃金水準を下げろ下げろと、ブラックな要求をしているのは「消費者」の錦の御旗を掲げる側なのであり、そういうブラックな要求の感情的根拠となっているのが上述のような東京電力のブラックさなのであってみれば、この大賞に上述のような理由を持って東京電力をノミネートすること自体が、その企業の労働者の労働条件を引き下げるために使われるというまことにブラックな事態となるわけですが、その皮肉をどこまで意識されているのかな?と。

公平を期するためにいえば、ノミネート理由にはそのあとこういう記述も続きます。

労働という視点では、同社は原発稼働・点検のために多数の労働者を必要としているが、その多くは正社員ではなく、派遣・日雇い労働者によるもので、5次・6次にわたる多重請負の構造がある。その中では、被曝に関する安全管理や教育も不十分であり、また使い捨てともいえる雇用状態が続いている。これら総合的な観点から、今回のノミネートに至った。

とはいえ、それならなぜ「東京電力」だけをノミネートするのか理解しにくいところがあります。まあ、「これら総合的な観点」というのは、やはり上記の「原発事故をおこしやがって」というのがもっとも中心的なのでしょう。

だとすると、やはりこのブラック企業大賞2012というイベントのそもそもの性格が一体何なのか、労働関係に大きな問題がある企業を糾弾したいのか、大きな事故を起こした企業を糾弾したいのか、そのあたりが依然不分明といわざるを得ません。

(追記)

危惧していた方向に進んでいるようです。

http://www.j-cast.com/2012/07/12139246.html?p=all(ブラック企業大賞は「ワタミ」か「東電」か 実行委がWEB投票実施中!)

WEB投票は7月27日まで。その翌28日に「受賞式」を行う。7月12日現在、大賞に最も近いのは「ワタミ」の5701票で、全体の58%を占めている。次いで東京電力の2620票(27%)、すき家350票(4%)、ウェザーニューズ212票(2%)、富士通SSL207票(2%)と続いている。

この東京電力に投票した2620人(27%)の方々が、原発事故とは無関係に、もっぱらその労働環境の劣悪さに着目してそうしたとはなかなか想定しがたいところですし、その結果を見た人がそれを原発事故ととは独立の問題として受け取るということも極めて考えがたいことからすると、まさに、「こんな許し難いブラック企業の東京電力の社員の給料はもっともっと引き下げろ!!!」というまことに正義感に充ち満ちた「民意」をますます増幅する結果となる可能性が否定しがたいところですね。

少なくとも、あれだけ話題になった(と思っていたのですが、そうじゃなかったようです)すき屋がわずか4%で、それでも3位なんですから、労働問題はどこかに逝ってしまうことだけは間違いないようです。ワタミさんは露出過剰の社長さんの有名税としか思われないでしょうし。

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コメント

リンク先を拝見しましたが、
7,8もどちらかというと、労働的なブラックというより犯罪企業的なブラックという意味合いが強いです。
著者はノミネートの選考基準がブレているように感じます。

東電以外のノミネート企業についても論評いただけると嬉しいです。納得感のある選定なのか?とか、実際にはもっとふさわしい企業があるのではないか?とか。

>東京電力の労働者の賃金水準を下げろ下げろと、ブラックな要求

現場作業員と東電の社員をごっちゃにしてはダメでしょう。現場作業員の待遇を切り下げろというという要求ならばブラックな要求と言えるでしょうけど、あくまで社員に向けられたものなので。社員の高待遇も現場作業員の低待遇も独占企業なるがゆえでしょうか。

「非国民通信」さんがブラック企業大賞について辛口のコメントをしているので、引用しておきます。

http://blog.goo.ne.jp/rebellion_2006/e/b69218a5e2b02fad78b20b98c84e49ea">http://blog.goo.ne.jp/rebellion_2006/e/b69218a5e2b02fad78b20b98c84e49ea

いつの間にやらブラック企業という言葉は完全に市民権を得ているわけですが、一方で「ブラック企業的なもの」を正当化し、ダメな企業をブラックと呼んで敬遠する風潮を「甘え」である云々と精神論への落とし込みを図る人もまた少なくありません。そして「ブラック企業」という概念が乱用されているとの批判も存在します。ただ単に気に入らない企業をブラックと呼んでいる、と。この辺はまぁ、頷けないでもないでしょうか。例えば、マトモに相手をする必要がある対象かはさておき「ブラック企業大賞」なんて企画もあるわけですが、そこにノミネートされている顔ぶれを見るに、なるほど確かに「ブラック企業」という言葉を便利に使いすぎているなと感じます。ブラックとは何か、それをロクに考えないまま、ただ自分にとって気に入らない企業を罵倒し、晒し挙げるためのマジックワードになってはいないかと。

例によって「ブラック企業大賞2012」では東京電力もノミネートされています。「気に入らない企業」ランキングとしては妥当な選択なのかも知れません。ただ東京電力までをも「ブラック」と呼んでいいのか、そこはまた首を傾げるところです。たしかに東京電力では大幅な賃金の引き下げが行われており、従業員の労働者としての権利を不当に侵害してはいないか、その辺は厳しく問われてしかるべきと思います。ところが、上述のブラック企業大賞では東京電力のリストラには全く触れていません。ブラック企業大賞の選考委員にとってはどうでもいいことのようです。刑事事件の被告人に人権はない、不祥事を起こした会社の従業員に労働者としての権利はない、そう考えている人にとって東京電力のリストラの是非など問われるまでもないことなのでしょう。

 「5次・6次にわたる多重請負の構造がある」「その中では、被曝に関する安全管理や教育も不十分であり、また使い捨てともいえる雇用状態が続いている」環境への影響に関する完全に偏見だらけの評価は相手にしないとして、とりあえず「ブラック企業大賞2012」のノミネート理由として多重請負や安全管理の問題が挙げられています。ただ、これをブラックと呼んでしまうと、建設や工事業者と関わる会社はほぼ全てブラックになってしまうわけです。それ自体は決して好ましいことではない、是正されるべき物ではあるにせよ、多重請負や安全管理の不備は決して東京電力の問題に矮小されてはならない広範な問題ですから。


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