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2012年7月14日 (土)

「ジョブ」と「メンバーシップ」のいいとこ取り

もはや自分を「いたくら」だと思い始めたらしい坂倉さんのツイートから、

http://twitter.com/magazine_posse/status/223761652594651136

橋下市長が、公務員労組が労働条件切り下げによるサービス低下を訴えるなんて民間ではありえないとツイートしてた。普通にあるし、彼の目指す「身分」(この表現も不適切だが)ではなく企業横断的な「職業」に基づく社会のほうが、民間労組の労働者が自分の企業を批判するのは一般的だと思うが…

http://twitter.com/magazine_posse/status/223770519286185985

橋下市長のいう「職業」に基づく社会のほうが、所属する企業を公に批判してはいけないなんて「組織の一員としての規律」を守るいわれはないし、そんな「規律」こそ「身分」型の社会のもの。それに企業批判で淘汰されるのは労働者ではなく企業のほうでしょう。

http://twitter.com/magazine_posse/status/223773382792065024

大阪市や府の公務員は、雇用保障はないのに規律だけ厳しい「義務だけ公務員」だな。まあ、もともと「身分」ではないけど…

いや何というか、二重三重に話が錯綜しているわけですが、ごく単純に言うと:

そもそも日本は、民間部門だろうが公共部門だろうが、法律そのものは「職務」に人を宛てるジョブ型原則でできている。「義務」も「保障」も「職務」の範囲内で「身分」ではない。

しかし、とりわけ大企業正社員や公共部門の正規職員には日本型雇用システムが濃厚に浸透し、無制限の「義務」と「保障」の交換が前提の「身分」に近くなっている。

そこに、その「身分」による「保障」(あくまで慣行)を諸悪の根源として叩くことを政治的リソースとする政治家が登場してくる。この点「だけ」をみれば、いかにもジョブ型システムを唱道している「かのように」見える。

ところが、圧倒的に多くの場合、そういう「身分」による「保障」を叩く人々は、「身分」による無制限の「義務」を当然のこととみなし、むしろ現行のメンバーシップ型ですらあり得ないほどの、ほとんど主従法レベルの絶対服従を要求したりする。

かかる「表見的ジョブ型唱道」と「内実的超絶メンバーシップ型要求」の不可分的結合というところに、この得体の知れないまでの錯綜ぶりの原因があるわけですが、そこのところに思い至らない人々、あるいは分かっているのに政治的理由でわざと分かっていない振りをする人々があまりにも多いために、マスコミも含めて話がどんどんあらぬ方向に転がっていくわけですね。

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コメント

結局のところ、俺達社畜だからお前らも社畜になれ。俺より良い待遇なんて許さん!ということなんですね。わかりやすい「民意」です。

> yossy
> 結局のところ、俺達社畜だからお前らも社畜になれ。俺より良い待遇なんて許さん!ということなんですね。わかりやすい「民意」です。

それのどこがおかしいのかさっぱりわからんのだが。
みんなが飢えて死にそうな状況の中、一人だけフルーツパフェを頬張っている奴がいたら袋だたきに会うのは当たり前。
隠れて食えばいいのに余計なことをするからそうなる。

 皆さん、今晩は。

>>結局のところ、俺達社畜だからお前らも社畜になれ。俺より良い待遇なんて許さん!ということなんですね。わかりやすい「民意」です。
>それのどこがおかしいのかさっぱりわからんのだが。

 おかしいですよ。
 もしおかしくないというのなら、労働条件を改善しようとするのではなく、改悪させる方向に持って行こうとする、つまり一億総ブラック企業化が「民意」ということになります。これが我が国の「民意」なら、私は日本人に絶望さえ覚えます。

>みんなが飢えて死にそうな状況の中、一人だけフルーツパフェを頬張っている奴がいたら袋だたきに会うのは当たり前。
隠れて食えばいいのに余計なことをするからそうなる。

 みんなを飢えて死にそうな状況に追いやっている「上位1%」の連中はフルーツパフェどころかフルコースを頬張っているのに、袋叩きの対象は、「99%」の庶民の中で少しだけ良い待遇を得ている人に向けられており、みんなを搾取している「上位1%」には向けられていません。

 公務員や正規従業員の批判を煽っている連中は、99%の中に仲間割れを起こさせて、批判の矛先を上位1%に向かわせないようにしているのですから、上位1%に踊らされているといってよいでしょう。

 庶民が庶民を引きずりおろすことで上位1%を喜ばせることは、もうやめましょう。

>それのどこがおかしいのかさっぱりわからんのだが。
みんなが飢えて死にそうな状況の中、一人だけフルーツパフェを頬張っている奴がいたら袋だたきに会うのは当たり前。
隠れて食えばいいのに余計なことをするからそうなる。

だったらなんで自分たちにもミカン、リンゴをよこせと主張しない?そして国にそれを要求するには、ブラック企業に対する規制の強化や生活を下支えし、再チャレンジの機会を与える社会保障の充実など、国の機能を強化する政策に賛成しないといけない。それにもかかわらず、政府、公務員を叩いて機能を縮小させ、セーフティーネットを自ら破壊する愚行に走っている。
安定労働者層を引きずり落としても経営者や投資家の収入が増えるだけなのは小泉政権時代にみられたことです。橋下市長のブレーンにも鈴木亘、竹中平蔵、高橋洋一といった新古典派経済学をベースとし、社会保障の破壊願望を持つ人々が多数存在していることから、そのような政策が踏襲されていくのはまず間違いないでしょう。

>庶民が庶民を引きずりおろすことで上位1%を喜ばせることは、もうやめましょう。

江戸時代の身分制度は支配者が権力を維持するために実に合理的な仕組みだったんだなあ、とため息が出ます。
アメリカでも共和党を熱狂的に支持する茶会派に貧困層が少なからず含まれており、富裕層が彼らの集会に援助をしているそうです。

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