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2012年7月25日 (水)

公的部門の集団的労使関係システム

『労基旬報』7月25日号に載せた「公的部門の集団的労使関係システム」です。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/roukijunpo120725.html

今から40年以上前の時代、労働法の花形分野は労働組合法を中心とする集団的労使関係法であった。労働法講座でも全8巻のうち6~7巻は集団法制に充てられていた。その中でも熱っぽく論じられ、多くの論文が書かれたのは公的部門の集団法制であり、労働基本権問題であった。

その熱が1975年のスト権スト以後しぼんでいき、公共企業体や国営企業が次々と民営化されることによって問題が消滅していく中で、法律学でも経済学でもこの領域に関心を持つ研究者はどんどん少なくなっていき、中堅若手以下ではほとんどいないに近い状態になっている。

ところがそういう状況下で2000年代半ば以降、公務員制度改革の一環として公務員の集団的労使関係法制の抜本的見直し作業が進められてきており、昨年6月には「国家公務員の労働関係に関する法律案」が国会に提出され、地方公務員についても同様の法案を提出する準備が総務省で進められている。

ややもするとマスコミの公務員叩き報道の中で霞みがちとはいえ、一国の労働法制の根幹にも関わるこの問題をきちんと法制的に整合性のある形で議論する場を作っていくことが必要であり、そのためにもあまり関心を寄せてこなかった若手研究者にもこの問題に積極的に取り組んでもらうことが重要になってくると思われる。

それを前提にした上で、こうした議論の流れでは正面から取りあげられていないある問題に、読者の注意を喚起しておきたい。それは、本紙5月25日号で取りあげた「国・地方公共団体で働く派遣・請負労働者の労働基本権」の問題であり、さらに広げて言えば、公共サービス改革法(いわゆる市場化テスト法)によって民間事業者が落札して行う公共サービスの従事者の問題である。公務員法制はヒトに着目し、公務員という身分を有する労働者の権利義務という視角から規制をかけてきたわけであるが、公共サービスの民間委託が続々と進められると、同じ公共サービスを提供する労働者でありながら、公務員という身分のある者とそうでない民間労働者では集団的労使関係システムが異なるという事態がいくらでも発生してくることになる。

そういう観点からこの問題にアプローチする必要性はますます高まってきているように思われるのであるが、冒頭に書いた研究者世界における問題意識の途絶もあり、あまり関心が高いようには見受けられない。もっと問題意識を持って欲しいところである。

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