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2012年7月11日 (水)

マシナリさんを絶望させる「りふれは」の惨状

というわけで、被災地の地方公務員としてなお日夜奮闘されているマシナリさんが、ついうっかり「りふれは」本を数冊読んでしまい、そのあまりの惨状に「個人的にはモチベーションを下げられてしまって明日からの仕事をどうしてくれるんだという思い」に打ちのめされながら、なお書きつづる被災地からの魂の叫び(@hahnela03風)が本日連投されているようです。

http://sonicbrew.blog55.fc2.com/blog-entry-521.html(事実にトンデモ論でコーティング)

http://sonicbrew.blog55.fc2.com/blog-entry-522.html(利権陰謀論という結論を書きたくて)

もちろん、これら「りふれは」(マシナリさん風にいえば「一部のリフレ派と呼ばれる方々」)諸氏も、被災地の地方公務員のやる気をなくして復興を遅らせようという陰謀からいっているわけではないのでしょうが(笑)、結果的にはそういう陰謀説が出てきそうなことを(この元祖何でも陰謀説諸氏が)やっているというあたりが、なんともシュールではありますな。

でまあ、一部のリフレ派と呼ばれる方々の復興関連の本を立て続けに読んでみたのですが、あまりにあんまりなもので気分が落ち込んでおります。「一部のリフレ派と呼ばれる方々」ってのはどうやら陰謀論に傾きやすい性質を持っているようで、それはご自身の理論が正しいと信じるあまり、その理論が実現されないのはよからぬことを企んでいる誰かの仕業か、はたまたどうしようもない馬鹿ばっかりが政策運営を担当しているからという「俺様だけが正しい」論を信奉してしまうからなんでしょう。とはいえ、復興関連でも鬼の首を取ったかのように「俺様だけが正しい」論を喧伝しているのを拝見すると、復興の現場にいて被災された方々の現実を目の当たりにしている者としては、怒りを通り越してむなしさだけが読後感として残っています。

中身は、例によって例の如き、bewaardさん亡き後の「りふれは」の知的惨状をグロテスクに拡大して見せたような記述が続くので、引用するのも気が進みませんが、リンク先の「りふれは」の叙述とそれに対するマシナリさんのごく平易な突っ込みを読み比べると、こういう人々が先頭に立つ集団がいかなる意味で日本の政策アリーナにおいて意味を持ちうるような存在なのかが、じわじわと感じられて、夏の夜を涼しく過ごすのに最適かも知れません。

もう一冊の方は、まさに被災地で復興のために奮闘しているマシナリさんにとって、心底許せない記述が満載のようで、上記田中・上念対談本に対するいささか揶揄的な調子とはかなり変わって、

・・・で、これに対して原田本は、「利権陰謀論という結論を書きたくて復興予算が過大と主張しなければならない」本ですので、被災額の推計が過大であるという理屈も、現地にいる者として正直なところ「ふざけんな」といいたくなる内容です。

・・・と思えば、用地買収交渉の現場の苦労を踏みにじるように、・・・

・・・ということで、原田本は一事が万事この調子でして、現地の状況をご存じないことが端々から伝わってきます。

原田氏はとことん用地確保をなめているようでして、・・・

そうした被災地の実情を踏まえて本書をみると、いやまあ、誰が「欺瞞の構図」を作り出しているのかわからなくなりますねえ。

という怒りを秘めた文章が続き、ついに最後には、

こんなことをグダグダ書いたところで、シカゴ学派の創始者であったフランク・ナイトに、ミルトン・フリードマンとともに破門された「独占のすばらしさを歌い上げる冊子を書いたジョージ・スティグラー」の「捕捉理論」を取り出して「原発利権」を批判する原田氏(本書p.163)にとっては、ここでチホーコームインごときが批判したところで「利権に絡め取られた公務員が陰謀を明かされて逆ギレしやがって」くらいにしか思われないでしょう。まあそれはともかく私がショックだったのは、震災後いち早くCFWを提唱し「みたすキャッシュ・フォー・ワークが必要」とおっしゃる永松先生がご自身の推薦図書の筆頭に原田本を掲載していることです。「個人個人に復興資金が行き渡る復興支援をという主張には迫力を感じる」とのことで、そりゃまあ、これだけ現場を踏みにじりながら威勢のいいことをおっしゃれば「迫力」はありますが、そういうネタであることを祈るばかりです。

キャッシュ・フォー・・ワークを唱道する方々に対する絶望感にまでつながってしまっているようです。

「りふれは」の面々はどうしようもないとして、そうじゃない方々は、マシナリさんのこの絶望にどう応えたらいいのか、まじめに考えた方がいいと思いますよ。

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コメント

リフレ派=りふれは

でいいです。田中氏はともかく原田氏は正真正銘「リフレ派」ですから。稲葉氏は評価しているし、別の本だけれど山形氏も原田氏を高く評価している。一部リフレ派と称するものに勝手に期待して態度を変えさせようとせずに社民党や共産党を説得してください。社民共産の意見を変えさせることもできない有様では全くどうしようもない。それどころか自分たちの意見が受け入れられない責任を「りふれは」に転嫁するさまは「りふれは」が日銀財務省を頂点とする官僚を叩くさまと瓜二つ。

http://d.hatena.ne.jp/shinichiroinaba/20120324
わかりやすいまとめではないか。

http://d.hatena.ne.jp/wlj-Friday/20110702/p1
原田泰の本は、読んでると「そうそう、その通り。いやごもっとも。そうですそうです。いやまったく。はいはい」ですらすら最後まで読んでしまい、何のひっかかりもないことが多く、ホントにいいこと言っているんだけれど、書評しようとするとどこを足がかりにすべきか悩んでしまう。本書もそういう本で、他との兼ね合いで紹介できないのは本当に残念ではある。ぼくはついつい目先の変わった本を優先しがちなんだけれど、ホントは世間一般への紹介ということを考えれば、こういうのをきちんと紹介すべきなのかもしれない。読みやすいし変な理屈も使わないし。今後少し考えねば。

ご紹介いただきありがとうございます。
・・・といつもなら書くところですが、今回のエントリは個人的な愚痴をグダグダ並べたものでして、自分でアップしておきながらお恥ずかしいところをお見せしました。

もちろん、一部のリフレ派と呼ばれる方々を批判している私に一端の責任はあるでしょうけれども、リフレ派と呼ばれる方々にも以前はこうした愚痴を理解していただける方が数名いらっしゃいましたが、私が公的サービス拡充による再分配のための増税を容認する立場をとってからというもの、リフレ派全体と対立するような構図になってしまっていると感じます。やっぱりリフレーション政策以外の対立が問題なのだろうと思うところでして、リフレ派批判がすぐに「反リフレ派」とか「デフレ派」というレッテル張りにつながる現状は「惨状」というべきものですね。

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