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2012年7月12日 (木)

産経新聞に丸尾直美氏の「正論」

別に「正論」というタイトルのコラムに載っているから正論なんじゃなくて、中身が本当に正論だから正論であるような正論も、時には産経新聞の正論欄に載ることがありますが、本日の丸尾直美氏の正論は、そういう意味で中身も正論な正論です。

http://sankei.jp.msn.com/politics/news/120712/plc12071203310003-n1.htm(尚美学園大学名誉教授・丸尾直美 こうすれば出生率はU字回復だ)

出生率を引き下げる大きな要因は、経済発展に伴う女性就業の一般化に、子育てと就業を両立させるための制度・慣行・政策がついて行っていないことにある。日本で女性の就業が普及しだしたのは、1970年代からである。就業と子育ての両立が難しいので、次第に女性の初婚年齢が高くなり、それとともに出生率も下がってきた。

 経済などの構造が変化してきたのに、制度や慣行が対応していないために生じる問題を、デンマーク出身の社会・政治学者で福祉国家論で有名なエスピン・アンデルセンは不完全革命と呼ぶ。出生率に限らず、近年の日本の諸問題には、市場化・IT化・国際化への対応の遅れからくる不完全革命に類するものが少なくない。

 両立支援体制が整えば、子供を持ちたい者も増える。内閣府が29~49歳男女を対象に2010年に行った国際意識調査では、北欧、米仏は子供を増やしたい者が80%近くかそれ以上だったのに、日本は50%以下だった。日本は「明日は今日よりよくなると期待できる社会」ではないのである。

そこで丸尾氏は「GDPの2%の公的支出を」求めます。

出生率が経済に直接、影響してくるのは、子供が生まれてから労働力になる約20年後だから、出生率対策は後回しにされがちだ。しかし、出生率の低下が止まらない国ではやがて、労働力の増加率が低下して経済が停滞する。

 出生率が2・0近くに改善した大方の国は、女性就業率も高く、家事と育児の両立を支援する家族政策に国内総生産(GDP)の3%前後を投じた。日本の場合、家族、近隣、職場での支援体制に助成し、家族政策への公的支出を、現在のGDPの1%から段階的に2%程度に高め、特に都市の女性の子育て環境を改善することだ。明るい展望が開ければ、出生率のU字回復が促され、労働人口の減少も食い止められるだろう。

 女性就業と子育ての両立支援政策は、出生率を高めて将来の就業人口を増やす上に、女性就業率の向上で現在の就業者も増やして、経済成長に寄与する。非常に効率的な「投資」なのである

 もう一つ、平均寿命世界一の日本に潜在する大きな人的資源といえば、60歳代前半で退職して余暇を持て余す高齢者たちである。子育て期の女性と定年退職者が就業しやすい職場づくりこそ、日本経済再興への道になるだろう。(まるお なおみ)

何のケレン味もないごくごく当たり前のことを主張しているだけですが、全然当たり前じゃないことばかりがでかい面してしゃしゃり出ている現在の言論状況の中では、まことに一服の清涼剤とも言うべき感があります。

できれば、経済面の編集委員の方も、せっかくの「正論」ですから熟読玩味して、それをきちんと踏まえたコラムを書いていただけると、もっと世の中が良くなるような気がいたしますが。

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120603/fnc12060310080001-n1.htm(デフレ不況下の消費増税は中間層を破壊する(編集委員・田村秀男))

http://sankei.jp.msn.com/economy/news/120708/fnc12070807440000-n1.htm(編集委員・田村秀男 強まる増税・バラマキ型財政)

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