いやなツッコミですね
『POSSE』15号の紹介ですが、できるだけ他の人が紹介しなさそうなものを、ということで、広田照幸×仁平典宏の師弟対談「周回遅れの橋下教育改革」から、本筋じゃないところを・・・。
仁平 ・・・例えば教育社会学者の本田由紀さんは専門性教育の部分をもう少し手厚くした方がいいのではないかと言っています。
広田 私はその立場に対しては批判的です。・・・「職業教育を」という議論は「労働市場で勝ち残る教育」という、結局は個人主義的な教育観に帰結すると思います。労働自体が大きく変化しているとすると、基礎的な知識や理解力をしっかり身につけた方がよいし、さらに望むなら、この社会の仕組みをどうしていくのかを議論できる若い世代を育てる教育をした方がいいのではないか、というのが私の意見ですね。
仁平 そうすると、維新の会の教育基本条例案にあった「不正を許さず、弱者を助ける勇気と思いやりを持ち、自らが社会から受けた恩恵を、社会に還元できる人材を育てる」という目標でいいことになりますよね。
広田 いやなツッコミですね(笑)。そういう既存の秩序を自明のものとしてそれに順応する人間を育てたいわけではありません。・・・・・・
この対話、なかなか本質的なところに突っ込んでいます。
広田さん流の「職業教育より人間教育」論は、仁平さんのいうように、維新の会の教育論とほとんど同型的です。広田さんはそれを秩序順応型と秩序反抗型で分けたいようなのですが、いやいや維新の会の人々にとっては、それこそ広田さんを始めとする既存の権威を振りかざす既得権勢力(ニッキョーソ!など)「を自明のものとしてそれに順応する」のではなく、雄々しくそれに反抗して闘っているつもりなんだと思いますよ。
少なくとも、彼らがチマチマした技術論を小馬鹿にしつつ、「この社会の仕組みをどうしていくのかを議論できる若い世代」を自認していることは間違いないわけで。龍馬ぶりっこは、まさにその端的な表れでしょう。
仁平さんのツッコミ、本人が思っている以上に結構深いツッコミだったような気がします。
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