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原発作業員を守る~「オール産業医大」で挑む2年目の春

アドバンスニュースに、5月下旬、7回にわたって「原発作業員を守る~「オール産業医大」で挑む2年目の春」という連載インタビュー記事が載りました。

あまり知られていない活躍の記録であるだけに、リンクを張って、若干引用しておきます。詳細は是非、リンク先をお読み下さい。

http://www.advance-news.co.jp/interview/2012/05/post-119.html(「産業医」にしかできない使命と役割を考える)

http://www.advance-news.co.jp/interview/2012/05/post-120.html(「産業医だから出来る予防対策に注力」 森晃爾学長補佐)

震災から1カ月足らず、まだ3月なのに原発作業員の熱中症が発生しました。「このまま何の手段も講じずに初夏を迎えたら、作業員の命が危ない」。そのとき、私たちが「何をすべきか」が明確になりました。倒れたり、傷ついたりした人を早急に処置する救急救命医の重要性と等しく、そうした急病人をできるだけ発生させない予防としての手立てを産業医の専門知識でサポートしなければいけないと痛感したのです。

・・・現地に行かないという選択肢は全くなかったです。既に、産業医養成のために医学部を持つ国内唯一の大学である私たちの出番だという熱意に満ちていました。

・・・自賛になりますが、1年間を通して前半の主力は大学の医師たち。そして、後半の主力は実は全国で産業医として活躍する卒業生たちなのです。だから「オール産業医大」の力と呼んでいます。

 他の大学にはない教育を受けた医師たちが、同じ気持ちと一つのマニュアルで、現場の作業員たちの命と心を守ることに貢献してくれました。

http://www.advance-news.co.jp/interview/2012/05/post-121.html(「作業員の健康障害で事故を招かぬよう」 立石清一郎助教(1))

・・・作業員は今、何を悩んでいるのか。東京電力の社員はどれだけ苦しんでいるのか。そうした問題を私たちは正面から受け止め、翌日以降の医師に繋ぐようなシステム作りも行いました。この健康診断はかなり評判が良かったらしく、移動のバスの中で「今回の健診は素晴らしい」という声を聴いたという医師もいました。健康診断で得られた情報は、若手医師の手でまとめられ東電に提言として提出され、実際に作業員の状況改善に役立ちました。

http://www.advance-news.co.jp/interview/2012/05/post-122.html(「作業員の健康障害で事故を招かぬよう」 立石清一郎助教(2))

・・・また、現場で感じた実態ですが、本当に危ない作業場には東京電力の社員が行って作業しているのです。加害者という立場があるだけに、非難する声が圧倒的ですが、被ばく線量が高いのは東電の社員。危ない場所は東電の社員が逃げているように思われているイメージもありますが、それは違うと感じています。

http://www.advance-news.co.jp/interview/2012/05/post-123.html(「卒業生をつなげた産業医大の共通言語」谷口初美医学部教授(1))

震災直後、卒業生から私のところに「産業医大として何かできないでしょうか」「産業医大から何かしてもらえないでしょうか」「大学のどこに頼んだらいいか分からなくて」と話がありました。電力関係の産業医や企業病院の医師からの悲痛な声も含まれていました。とくにアリスの会の関係で、女性の卒業生からの声は多かったですね。

・・・。「全体が混乱しているし、当惑して、疲れている。現場の作業者は東電だけでなく、いろいろな会社からの労働者が混在している。それに家族に迷惑がかかるからと、家族がいる避難所に帰れない人もいる。事故も、熱中症も、感染症も、メンタルも、このままでは産業医を含め、倒れる人が続出すると思う。とにかく、産業医大から、この状態をまとめて指導、管理支援をしてもらえないでしょうか」という切望でしたね。

http://www.advance-news.co.jp/interview/2012/05/post-126.html(「卒業生をつなげた産業医大の共通言語」谷口初美医学部教授(2))

その後の現地派遣に大学の医師と卒業生が結束していった事実は、言うまでもありません。4月中旬ごろ、事前視察のため現地に行った森学長補佐が、「谷口先生だったら、みんなわかりますよね」と突然、Jヴィレッジでの集合写真を持って飛び込んできました。厚生労働省、東京電力、救急医学会、労災病院、大学など、各部署から派遣された懐かしい卒業生たちの立派な姿でした。

 卒業後、臨床医、産業医、大学教員と別々の道を歩んでいた卒業生たちが、「君は産業医大だったろう」と命じられて、集まったケースもあったそうです。その時、つくづく「教育って大事だなあ」と感じました。緊急事態の現場で「共通言語」で話せる。共通言語でつながったからこそ、あの緊急事態で意思の疎通が早く、効率の良い対応ができたそうです。今でも、その時の写真は大事に持っています。

・・・この大学を作った先人の先見性は凄いと思いました。ドクターの魂。「産業医のわれわれがやらずに誰がやる」。それに尽きますね。

http://www.advance-news.co.jp/interview/2012/05/post-125.html(「未然に防ぐ重要性、卒業生を支援する大学へ」 河野公俊学長)

今回の原発作業員の支援と、あるいは作業現場の在り方に「オール産業医大」で取り組めたのは、大きな成果だったと感じています。初動が早かった。熱中症や感染症対策の警告の発し方もそうです。どんどん自ら準備をしていって、現地に医師を送り込む。大きなトラブルが起きなかったことは支援が有効だったわけで、「当たり前」だと思ってはいけません。そして結果的に何事もなく労働者の役に立てていることが素直にうれしいです。

 2年目の原発事故の作業現場。大学としても、オンリーワンを目指して産業医学が中心となるように積極的に発信していきます。産業医大の存在意義を自己認識したところがありますので、ネットワークを生かした「オール産業医大」として、労働者のためにその役割を高めて社会貢献し、国民からさらなる信頼を得ていきたいと思います。

産業医のあり方にいろいろな指摘や批判もある現在、あるべき産業医の姿をこうやって発信していくことはますます重要だと思います。

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