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2012年6月25日 (月)

「困っていない人」を助け「困っている人」を助けない制度

9784130402552 宇沢弘文,橘木俊詔,内山勝久編『格差社会を越えて』(東大出版会)をお送りいただきました。ありがとうございます。

これは、表紙の一番上にあるように、日本政策投資銀行設備投資研究所の「Economic Affairs」というシリーズの10冊目です。

http://www.utp.or.jp/bd/978-4-13-040255-2.html

格差社会を巡る議論がはじまって10年.ますます深刻化する貧困者の数と社会保障の劣化を日本社会は克服できるのか.社会的共通資本の視点から,税,社会保障,金融,教育などの諸政策を提言する.東日本大震災,ならびに全米各都市や欧州における格差問題を背景とした抗議デモの影響についても言及.

ということで、目次は次の通りです。

はしがき(宇沢弘文・橘木俊詔・内山勝久)
プロローグ(宇沢弘文・内山勝久)
序 章 格差社会 何が進みつつあるのか(橘木俊詔)
第I部 貧富の格差
第1章 税・社会保障と格差社会(小塩隆士)
第2章 財政と格差問題(菊池英博)
第3章 格差問題と金融――マイクロファイナンスの可能性(花崎正晴)
第II部 階層の固定化
第4章 教育と格差社会(八木 匡)
第5章 中央・地方と格差社会(林 宜嗣)
第6章 環境と格差社会(内山勝久・細田裕子)
第III部 格差社会を越えて
第7章 格差社会の政治経済学(金子 勝)
第8章 「格差社会」を越えるヴィジョン――「三つの政府体系」のシナリオ(神野直彦)
補 論 市場原理主義とネオリベラリズムと格差社会(斎藤貴男)
エピローグ(橘木俊詔)

分析論文的なものと、エッセイ風のものとが混じっていますが、前者の代表として小塩さんの論文はタイトルからも時宜に適していますので、その最後のところをちょっと引用しておきますと、

・・・日本の所得再分配には公平性・効率性の両面から見て大きな問題がある。本章でも指摘したように、現行の税・社会保障制度は若年・中年層から高齢層に大規模な所得移転をもたらしている。その結果、社会全体のジニ係数が低下するという面も確かにあるが、高齢層、若年・中年層それぞれにおいて、貧困状態におかれている世帯が少なからず残っている。実際、ほかの先進国と比較しても、日本における高齢層の貧困問題やいわゆる「子どもの貧困」問題は深刻になっている。これは現行の再分配政策が公平性を十分に追求していないことを示しているだけでなく、再分配の規模は大きいのに成果を十分挙げていないという点で、効率性の面でも改善の余地が大きいことを物語っている。・・・

・・・現行の税・社会保障制度には、「困っていない人」を助け、「困っている人」を助けていない面もある。人口規模が縮小し、供給制約が強まる中で再分配政策の有効性を高めるためには、現行の仕組みを「困っている人を困っていない人が助ける」という制度本来の姿に戻す必要があるだろう。

エッセイ風の文章は後ろの方にありますが、こちらは特に引用しませんので、関心ある方は本屋さんでご覧下さい。

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