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お金のために仕事をする。冗談じゃない。仕事は生きることそのもの

この台詞は、一定の条件下では決して間違っていません。

http://ryukyushimpo.jp/news/storyid-192563-storytopic-4.html(ありがとうを求める 渡邉氏が講演)

ワタミグループ創業者の渡邉美樹氏が「夢をカタチに~新たなる挑戦」と題し講演した。
外食、介護、宅配事業、農業などさまざまな分野での経営経験を紹介し、「お金のために仕事をする。冗談じゃない。仕事は生きることそのもの」と強調した。

実をいえば、まったく同じ趣旨の言葉が、営利企業たる株式会社で民法の雇用契約に基づいて労働者を使用して行っているのではない人の口から出れば、それはそれなりに正当性があります。

ワーカーズコープとかワーカーズコレクティブといったいわゆる「雇われない働き方」を標榜する人々の口から出れば、それはそれなりに正しいのです(厳密に言い出せば、それでも実態に基づいて判断されれば違う見方もあり得るでしょうが)。

しかし、日本国民法の

第六百二十三条  雇用は、当事者の一方が相手方に対して労働に従事することを約し、相手方がこれに対してその報酬を与えることを約することによって、その効力を生ずる。

に基づいて労働者を使っているのであれば、そっちの方が「冗談じゃない」わけです。

ちなみに、民法上にも、「お金のために仕事をする。冗談じゃない。仕事は生きることそのもの」といって構わない働き方はあります。

第六百六十七条  組合契約は、各当事者が出資をして共同の事業を営むことを約することによって、その効力を生ずる。

 出資は、労務をその目的とすることができる。

(参考)

http://homepage3.nifty.com/hamachan/posse09.html(『POSSE』第9号 ブラック企業の歴史から処方箋、 国家・市場・規制のあり方までを徹底討論!! これからの労働の話をしよう  萱野稔人×濱口桂一郎 )

■「会社人間」批判とネオリベラリズムの合流

濱口:さらに、もうひとつ。これはものすごくパラドキシカルで頭が混乱するかもしれませんが、そういうメンバーシップ型社会のあり方に対する批判が80年代末から90年代ごろ、「「会社人間」はだめだ、「社畜」はだめだ」というかたちで、いっせいに噴き出します。これらを提唱していた人たちはおそらく、自由に働いて生きていく、というイメージを考えていたのだと思います。

それと、世界的には80年代にイギリス、アメリカのネオリベラリズムが非常に流行って、90年代初めごろに日本に入ってきます。この二つの流れがないまぜになる中で、「だから会社に頼らずもっと強い人間になって市場でバリバリやっていく生き方がいいんだ」という強い個人型のガンバリズムをもたらしました。

大変皮肉なことに、強い個人型ガンバリズムが理想とする人間像は、ベンチャー企業の経営者なんです。理想的な生き方としてそれが褒め称えられる一方で、ベンチャー企業の下にはメンバーシップも長期的な保障もあるはずもない労働者がいるわけです。しかし、彼らにはその経営者の考えがそのまま投影されます。保障がないまま、「強い個人がバリバリ生きていくのは正しいことなんだ。それを君は社長とともにがんばって実行しているんだ。さあがんばろうよ」という感じで、イデオロギー的にはまったく逆のものが同時に流れ込むかたちで、保障なきガンバリズムをもたらしました。これが実は現在のブラック企業の典型的な姿になっているんではないでしょうか。

これは、大企業正社員型の「「ブラック」じゃない「ブラック」」とは全然違うんです。むしろそれを否定しようとしたイデオロギーから、別のブラック企業のイデオロギーが逆説的に生み出されたという非常に皮肉な現象です。そういう意味では現代のブラック企業は、いろいろな流れが合流して生み出されているのです。いわば保障なき「義務だけ正社員」、「やりがいだけ片思い正社員」がどんどん拡大して、それが「ブラック企業」というかたちで露呈してきているのだと思います。

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