ギリシャ人は長時間労働なのに・・・
例によってクルーグマンが「犠牲者としてのギリシャ人」というコラムを書いています。道草さんの邦訳から・・・。
他方で,ギリシャについてよく耳にする話のなかには,たんに事実とちがうことも多い.ギリシャ人はべつに怠け者じゃない――その反対に,ヨーロッパのたいていの国民より長時間働いている.なにしろ,あのドイツ人より長時間労働なんだから.それに,ギリシャは歯止めのない福祉国家ってわけでもない.保守派の人らはよくそう主張するんだけどね.福祉国家の大きさを測るのには,社会的支出が GDP にしめる割合を標準的に使う.ギリシャの数字は,たとえばスウェーデンやドイツなんかよりも大幅に低い.そのスウェーデンやドイツは,欧州危機をこれまでかなりうまく切り抜けてきてるよね.
念のために、ギリシャ人がどれくらい長時間労働しているか、そしてEUの中でそれがどれくらいに位置するのかを確認しておきましょう。
2010年のEU労働条件改善財団の資料から
http://www.eurofound.europa.eu/docs/ewco/tn0803046s/tn0803046s.pdf(Comparative analysis of working time in the European Union)
5ページのグラフを引用しておきます。データは2006年ですが、縦軸は年間労働時間、横軸は1時間当たりのGDP。
EU全体として、時間当たり生産性が高い国ほど労働時間が短く、生産性が低い国ほど労働時間が長いという傾向があるわけですが(右下がり)、ギリシャ人(EL)はその傾向よりもずっと上に外れています。つまり、予測される値よりもずっと長時間労働しているんです。それに対して、下の方に外れている、つまり予測される値よりもずっと労働時間が短いのが、そのギリシャ人を怠け者とと罵っているドイツ人(DE)やオランダ人(NL)であるというのが、なかなか皮肉なところです。
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生産性が極端に低い、ということですよね。長く働こうが短く働こうが、それで自分を養えているなら誰からもどうこう言われないはずです。
ギリシャ人の場合はそれが出来ていないから批判されているのではないでしょうか。
怠け者、という批判は単純に労働時間だけを抜き出せば事実と違う批判でしょうが、優しい批判ですよね。働けば危機から抜け出せる、と言っているんですから。
実際にはそうではなく、正確に批判するなら、ギリシャ人は無能、と言うべきなのでしょうね。
投稿: falkiu | 2012年6月25日 (月) 06時22分
年間2200時間って、1週間当たりたったの42時間じゃん…とかつい思ってしまう…。
EUがというより、日本が長時間過ぎるということでしょうか…^^;
投稿: 日之人 | 2012年6月26日 (火) 07時41分
こちらによればギリシャは世界で最も平均労働時間が長い国の第3位(2012年時点、1年間で平均2,034時間)、日本は15位の1,746時間。ギリシャの方が随分長いですね。
↓
http://suzie-news.jp/archives/7214
投稿: chiezo | 2015年6月30日 (火) 21時13分
フルタイム労働者で考えると、日本人の労働時間は、連合組合員の年間労働時間2019時間(2005年)というのが実態を反映しているように思いますが、ギリシャは不況で失業率が高いことを考えると、ほとんどパート労働者がいないかも知れません。海外との労働時間の比較は条件を揃えるのがなかなかむずかしそうです。
https://www.jtuc-rengo.or.jp/roudou/kankyou/roudoujikan/jitan_houshin.html
投稿: ありす | 2015年7月 1日 (水) 18時17分