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2012年6月23日 (土)

最近どうもドイツ呆けしたらしく・・・

ドイツ在住の川口マーン惠美さんが、現代ビジネスに、「日本人はおとなし過ぎ、かつ、働きすぎ! もう少し自由に休暇が取れれば日本の景気はきっとよくなる!?」という長いタイトルの文章を書いていますが、その冒頭の日本に来ている長女とのやりとりが、実に面白く、やがて哀しく・・・。

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/32831

学生の長女が半年の予定で東京にいる。ドイツの会社の日本法人でインターンをしているのだが、その彼女が「風邪を引いた」と電話をしてきた。「じゃあ、明日は会社を休んで、寝てなさい」と言う私に、「いやよ。そんなことをしたら、あと5日しかない有給休暇が減っちゃう」と不機嫌。

「だって、病気なんでしょ。なぜ有休を使わなければいけないの?」と私。すると、娘は一瞬の沈黙の後に、「ママ、日本ではそうなのよ!」と、ぶっちぎれた。「だから、皆、熱があって死にそうでも出勤するのよ。ママは何も知らないんだから!」

 それを聞いた私は、「ははー、外国人、しかもインターン生だから差別されているのだな」と考えたが、それは大きな間違いだった。

 そのあと、念のために日本の友人知人に問い合わせてみたら、「もちろん、病気の時は有休を使う」とか、「風邪で休むこと自体、なかなか言いにくい雰囲気がある」とか、「病休はそんなに軽くは取れない」とか、「有休を全部使った後で病気になったときは、欠勤として給料から差っ引かれた」とか、「風邪で堂々と病欠扱いにできるのは、一部上場の大会社とか、大手銀行だけじゃない?」とか、ドイツ人が聞いたら腰を抜かすような証言が多く得られたのである。

いや、腰を抜かすような証言、って、もしかして日本にいたときのことを忘れちゃった?

思い返せば、私も昔、「日本では歯医者に行くのにも有休を使う」というようなことを書いた覚えがある。ところが、最近どうもドイツ呆けしたらしく、すっかり忘れてしまっていた。今頃、半日本人の娘に指摘されるとは、面目丸つぶれだ。

まあ、母親の面目はともかく、ここに日本の労働社会の一つの特徴がよく現れていることだけは間違いないわけです。

(追記)

偶然ですが、水谷研次さんがやはり有休の話題を取り上げていますが、

http://53317837.at.webry.info/201206/article_25.html

CNNが「有給消化しない米国人が多数派に、人員削減で仕事量増大」とのニュースを5/21に報じていた。さて日本と比べるとどうだろう、との疑問が生じるかもしれないが、まったく「制度」と「環境」が違うことを書いてみたい。

知ってる人は知ってるとおり、そもそもアメリカの公正労働基準法には年次有給休暇なんてものはありません。有休は全て法定外福利であり、労働者にとっては法律上の権利ではないのです。

それに対して、日本の労働基準法はアメリカ以外の先進国と同様、有休付与は使用者の義務ということになっているはずなのですが、労働者が自らの権利を(もろもろの圧力にめげずに)あえて行使しない限り、義務を果たさなかったといって責められるわけではないために、事実上有休の権利がないアメリカと同様になっているわけですね。

このあたり、労働基準法上は物理的労働時間を規制しているはずなのに、実際にはアメリカの公正労働基準法と同様、残業代を払えと言う役割しか果たせなくなっていることとも共通した現象と言えるでしょう。

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