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2012年6月 5日 (火)

ノマドより限定を@今野晴貴@POSSE

Hyoshi15『POSSE』15号をお送りいただきました。関係者がツイート上で精一杯宣伝しているように、いうまでもなく今号の「売り」は特集「橋下改革をジャッジせよ!」であるわけですが、

http://npoposse.jp/magazine/no15.html

その強行的な政治手法や、センセーショナルな改革案と発言の数々で、
橋下大阪市長と大阪維新の会は、連日、人々の注目と期待を集めています。
知識人や社会運動からの批判や分析も相次いでいますが、
そのほとんどは、彼らのメカニズムや政策の論点を掴み切れてはいません。
いま、大阪で何が起きているのか。
なぜ橋下改革は支持されるのか。何をしようとしているのか。
どのような原理で動いているのか。そして、どのように向き合えばよいのか。
本特集では、労働や貧困、社会運動の視点から、
橋下改革が駆動する「ゲーム」のシステムを把握し、
彼らが設定する「ルール」の中身を検証していきます。

各雑誌が競演している橋下特集の出来具合については、是非特集記事自体を読んでいただくことにして(目次は下記参照)、ここでは、最後の「おわりに」で唐突に橋下の名が出てくるだけで、中身はほとんど特集記事じゃない今野晴貴さんの「「「辞める若者」問題にどう立ち向かうべきか ――「会社人間」と「ノマドワーク」の対立を超えて」」についてコメントしておきますね。今野さんは「はじめに」で、こう語り、

・・・「ノマド」と呼ばれる会社組織に縛られない働き方が最近提起されているが、これまでの政策論は常に現実の「会社人間」を前提にした政策と、理想としての「ノマド」の如き何ものかを対置する構図にあった。前者は「日本型雇用システム」の擁護であり、後者は「自由化」の推進である。この二項対立図式を乗り越える政策が、今、もっとも求められている。

それは何かというと、最後の方で、

・・・では、必要な政策とは何か。最も重要なのは、「限定」の論理を確立することである。その際、夢想した「ノマド」のために規制を緩和するのでもなく、「会社人間」を基準に比較するのでもなく、日本型雇用システムと切り離した雇用のあり方を展望する必要がある。その方法は、本来的には「仕事の内容」をベースにした集合取引でしかありえないが、これが整っていない日本では、勤務地や労働時間をベースに別の取り扱いを求めることになる。

特に重要なのは、いじめ・不当な退職勧奨・過度なノルマへ限定をかけることだ。この「限定」の主張により、正社員とは異なる働き方の確立をめざす。・・・

こういう議論の根拠となるのは、POSSEでやってきた労働相談の経験なのですね。

この議論は、方向性が私の「ジョブ型正社員」と通じるだけでなく、その基盤になる認識も、『日本の雇用終了』で示したものと共通していて、大変共感を持って読みました。

それにしても、その後の「おわりに」で、今野さんがあえて橋下市長に

・・・もし橋下市長がここで「提案」した政策に耳を傾けるのであれば、もっと新しい政策スキームを追及して欲しい・・・

と呼びかけているのは、なかなかアンビバレントな感覚がにじみ出ています。

■vol.15目次

特集「橋下改革をジャッジせよ!」

「裏切られた橋下改革と「日本的市民社会」という希望」
宇野常寛(評論家)

橋下徹に対抗するプレイヤーなき日本。
問題は民主主義の危機にあるのではなく、
西洋的な民主主義モデルそのものにある――。
気鋭の若手評論家が語る、橋下改革への期待と悲観、
そして日本の社会運動の希望とは。


「「橋下徹」はグーグルである」
小熊英二(慶應義塾大学教授)

「独裁」と批判される橋下市長。
一方で、その政策はどこか一貫性がないようにも見える。
知識人や社会運動は、いったいこの改革に
どう向き合えばいいのだろうか?


「「大阪らしさ」と橋下のポピュリズム」
酒井隆史(大阪府立大学准教授)

「白黒つけたい」欲望のポピュリズムに対抗するために
敵対性のリアリズム、大阪の民衆文化、そして世界史としての運動


「橋下「改革」対抗論 ――問われる公務員労働組合のゆくえ」
熊沢誠(甲南大学名誉教授)

橋下「改革」が支持を集める最大の理由のひとつに、
公務員労働組合へのバッシングがある。
なぜ、これほどまでに公務員労働組合が批判されるのか。
公務員労働組合の、果たすべき役割とは何か。
労働組合研究の重鎮が語り尽くす。


「周回遅れの橋下教育改革」
広田照幸(日本大学教授)×仁平典宏(法政大学准教授)

教育基本条例や企業の倫理より
雇用や貧困対策が教育を改善する


「中小企業の連携で大阪の地域経済を立て直せ」
岡田知弘(京都大学教授)

大阪の経済が壊れたのはなぜか?
橋下改革と財界のビジョンとの関係は?


「「橋下改革」にすら期待できない「弱者」たち――大阪市長選を分析する」
松谷満(中京大学准教授)

低所得者層や非正規雇用労働者が
橋下市長を支持したのか?


「「大阪都構想」とその論理」
砂原庸介(大阪市立大学准教授)

大都市の再構築と
内包されるふたつの方向性


「橋下版ベーシックインカムを新自由主義と切り捨てるな」
小沢修司(京都府立大学教授)

社会サービスを解体しないBIを
橋下市長と議論せよ


「ソウル市長は橋下市長に似ているか ――ポピュリズム時代の韓国の社会運動」
安周永(京都大学助教)

ポピュリスト市長への期待ではなく、
社会運動が政治を動かす


「「辞める若者」問題にどう立ち向かうべきか ――「会社人間」と「ノマドワーク」の対立を超えて」
今野晴貴(NPO法人POSSE代表)

「限定」の論理で新しい雇用システムに転換を

「橋下改革が解体していく公共サービス」
深江桃子(大学院生)


「橋下大阪改革を考えるためのブックガイド」
本誌編集部


「15分でわかる橋下改革の論点 ――「維新八策」、労働組合、教育改革」
本誌編集部



「有期労働契約は変わっていくか ――経緯と法改正案をめぐって」
浅倉むつ子(早稲田大学大学院教授)

パートタイム労働、短時間正社員……
有期雇用のあるべき規制とは


連載「労働と思想15 ヨアヒム・ヒルシュ 近代国家――資本主義社会の「政治的形態」」
隅田聡一郎(一橋大学大学院博士課程)

なぜ新自由主義的政治改革は支持されるのか?
新しい「社会国家」の再編のために


連載「…And Philosophy for All
なぜ、人類は原子力発電を欲望してきたのか?」
國分功一郎(高崎経済大学准教授)


連載「労働相談ダイアリー 「みなし残業」なら残業代を払わなくてOK?」
川村遼平(NPO法人POSSE事務局長)


新連載「ブラック企業のリアル vol.1 大手衣料量販店・X社の場合」」

新連載「被災地はこれからも 第1回 被災した子どもたちへの支援」
渡辺寛人(仙台POSSE事務局)

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