学校基本調査について
NHKニュースが、学校基本調査の項目改定について報じているようです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20120502/k10014852921000.html(文科省 大卒の契約社員を調査へ)
大学を卒業したあと契約社員などになった人たちを把握しようと、文部科学省は、昭和23年度から行っている「学校基本調査」を抜本的に見直し、「就職」の項目を初めて正社員と契約社員の2つに分けて調べることになりました。
ということなのですが、実は昨年11月、この問題について『労基旬報』でちょっと疑問を呈しておいたのですが、当然のことながら・・・というべきか、まったく読まれていないようです。
http://homepage3.nifty.com/hamachan/roukijunpo111125.html(『労基旬報』11月25日号 「学校基本調査の改正」 )
・・・しかしながら、来年度以降用いられる予定の調査票案を見ると、労働市場の現実をどの程度認識した上で設計しているのか、いささか疑問も感じられる。それによると、「就職者」を「正規の職員・従業員、自営業主等」と「正規の職員等でない者」にわけ、これと別に「一時的な仕事に就いた者」を設けることになっている。解説によると、「正規の職員・従業員」とは「雇用の期間の定めのない者として就職した者」であり、「正規の職員等でない者」は「雇用の期間が1年以上で期間の定めのある者であり、かつ1週間の所定の労働時間が概ね40~30時間程度の者」であり、これに対して「一時的な仕事に就いた者」とは「臨時的な収入を目的とする仕事に就いた者であり、雇用の期間が1年未満又は雇用期間の長さにかかわらず短時間勤務の者。一般的に、パート、アルバイトとして雇用される者が該当すると考えられる」となっている。
雇用契約が(更新を繰り返した後の実態としての勤続期間ではなく)1年以上であるか1年未満であるかというところで、「就職者」かそうでないかの線引きすることにどういう意味があるのであろうか。2009年改正以前の雇用保険法が、まさにそのような適用基準を設けていて、それが多くの非正規切りによって矛盾を露呈したため、同年の改正で6か月、2010年改正で1か月という基準に変更したことは記憶に新しい。雇用契約は数ヶ月であっても、それを「経常的な収入」として働いている非正規労働者がこれだけ増加している中で、彼らを一律に「臨時的な収入」目的の労働者と見なすような調査票案には、再考の余地があるように思われる。
(追記)
http://twitter.com/#!/konno_haruki/status/197557090951237632
新卒の就職率の調査、ようやく無期雇用と有期を分けるらしい。
ということではないようなのです。残念ながら。
ついでながら、ブログ開設おめでとうございます。期待しています。
« 川人博+平本紋子『過労死・過労自殺 労災認定マニュアル』 | トップページ | 『労働六法2012』 »
>雇用契約は数ヶ月であっても、それを「経常的な収入」として働いている非正規労働者がこれだけ増加している中で、彼らを一律に「臨時的な収入」目的の労働者と見なすような調査票<・・・
もっと言わせてください。日雇い・オンコールワーカー、これよりさらに不安定な「看板方式の登録型オンコール」(=飼い殺し的就労)者であっても、彼らを一律に「臨時的な収入」目的の労働者と見なすような調査には政策的意味が無いばかりか、誤った結論による政策意思を導くことになるとも思われます。
文科省、何やってんの!。
投稿: endou | 2012年5月 2日 (水) 18時49分