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2012年5月30日 (水)

「職場のいじめ」は本当に増えているのだろうか?

112050118J-CAST会社ウォッチの「「職場のいじめ」は本当に増えているのだろうか?」という記事が、『日本の雇用終了』所収のいくつかの事例を引用しながら、そのタイトルのような疑問を呈しています。

http://www.j-cast.com/kaisha/2012/05/30133888.html?p=all

一方、トラブルの中には、本当に「被害者」だけを救うべきなのかと首を傾げたくなるものもある。個別労働紛争のあっせん事例を集めた『日本の雇用終了』(労働政策研究・研修機構編)にも、「これは本当にいじめなの?」という事例が散見される。

としていくつかの事例を引用しています。

たとえばAさんという女性が、職場トラブルの解決あっせんを労働局に申請した。工場長からいじめを受け、専務からもたびたび「会社の悪口を言っている、他の人をいじめている」と身に覚えのないことで注意されたため、苦痛で体調を崩して退職せざるをえなくなったという。

   しかし会社側は、同僚であるBさんから「Aさんからひどいいじめを受けて仕事にならない」と泣きながらの相談を受けていた。そこで周囲に聴き取りをしたところ、「Bさんが可哀そうなくらい」という声があがり、「Aさんは新人が入ってくると必ずこういう問題を起こす」と指摘する人もいたという。

   本書ではこのようなケースを「相互被害者意識型」と呼ぶが、あっせん事例としてはAさんだけが「申請人」(被害者)にカウントされてしまう。どちらかというと、Aさんがいじめているようにも思えるのだが…。

これは、相互被害者意識型の節の

・10087(非女)いじめ・嫌がらせ(打切り)(不明、無)

ですね。同記事は、

悪質なハラスメントは根絶すべきだが、一方的に「悪いのは会社だ」「不況下で弱い労働者がいじめられている」と訴えても解決しない問題もあるのではないか。

というのですが、いやそこは分けて考える必要があるわけで。それこそ一方的に「悪いのは会社だ」「不況下で弱い労働者がいじめられている」という事例もあるし、とてもそうとは言えないようなものもざっくりと「いじめ・嫌がらせ」としてまとめられた膨大な事案の中に含まれているということですね。

そういうさまざまなものを含んだものとしての「いじめ・嫌がらせ」が年を追うごとに着実に増加してきているというのが、確認すべき事実であるわけです。

そのあたりが、アネクドート的にしか語られなかったために、主観的な議論になりがちであったわけで、そこがある程度客観的にかつ相当の量でもって分析されることによって、落ち着いた議論ができる土台ができていくのではないかと。

ちなみに、明日は、

http://www.jil.go.jp/event/ro_forum/20120531/info/index.htm(労働政策フォーラム 職場のいじめ・嫌がらせ、パワハラ―今、労使に何ができるのか― )

ですので、宜しく。

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