欧州サッカー労働協約が初締結
昨日(4月19日)、欧州プロサッカー界の労使の間で、サッカー選手の最低限の契約要件を設定する初めての労働協約が締結されたとのことです。
http://ec.europa.eu/social/main.jsp?langId=en&catId=89&newsId=1279&furtherNews=yes
The social partners representing the professional football sector has today signed their first Agreement setting minimum contract requirements.
プロサッカー界を代表する労使団体は本日、最低限の契約要件を設定する初めての労働協約に署名した。
To ensure that player contracts throughout Europe meet certain minimum standards, contracts must be in writing, they must define the rights and duties of club and player and they must address matters such as salary, health insurance, social security or paid leave. Contracts also must refer to the duty of players to participate in training, to maintain a healthy lifestyle and to comply with disciplinary procedures. Standard contracts will also contain provisions on dispute resolution and applicable law.
ヨーロッパ中で選手の契約が一定の最低基準を満たすことを確保するため、契約は書面で、クラブと選手の権利と義務を明示し、給与、健康保険、社会保障及び有給休暇などの事項を定めなければならない。契約はまた、選手の訓練に参加し、健康なライフスタイルを維持し、規律に従う義務を規定しなければならない。標準契約はまた紛争解決および適用法規に関する規定を含むものとする。
アメリカだと野球選手の話が、ヨーロッパだとサッカー選手になるわけです。
ちなみに、参考までに、昨年『ビジネス・レーバー・トレンド』に書いた文章の最後のパラグラフと注釈を。
http://www.jil.go.jp/kokunai/blt/backnumber/2011/11/002-004.pdf(労使関係とは誰のどういう関係か?)
現時点で一番ホットな話題は、プロサッカー選手会の労働組合化への移行でしょう。代表選手の報酬や待遇を巡って日本サッカー協会と対立し、交渉が進まない状況から、今年二月の臨時総会で過半数で議決し、去る九月に東京都労働委員会の資格認証を受け、登記を済ませたと報じられています。(2)
2 選手会のH P(http://www.j-pfa.or.jp/category/news/jpfa/1859)によれば、プロサッカー選手会の要望事項は、セカンドキャリアにおける金銭給付制度(退職金制度)の必要性と日本サッカー協会の選手分配比率の低さとのことです。前者については、「特にヨーロッパの主要国は、選手の退職金制度が一般化されており、選手の社会的地位がしっかり保たれており、同時に選手は現役中プレーに専念できる環境にあります。そのことで、多くの人々がサッカー選手を安心して目指せ、選手の地位が高まることにより、自国の代表・リーグの強化と発展につながっています。しかしながら、現状のJリーグにおいて、退職金制度その他セカンドキャリアにおける雇用創出制度はなく、選手は不安を抱えながらプレーしている実状があります。そのことがJリーグ発展の妨げの一つになっていると考えています。人々が安心してプロサッカー選手を目指すためにも、日本サッカー界における選手の地位向上は早急に是正されるべきものだと考えております」という主張です。また、後者については、「JFAがプロサッカー選手の稼働に伴い得ている収入のうち、選手に対する分配割合が一%」であることが、「一般企業の売上高人件費率と比較しても極端に低い」として是正を求めています。まさしく、労働組合法第二条にいう「労働者が主体となって自主的に労働条件の維持改善その他経済的地位の向上を図ることを主たる目的として組織する団体」にふさわしい要求事項といえましょう。
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