有休・パチンコ・解雇
松本孝行さんのつぶやきに、
http://twitter.com/#!/outroad/status/187724393160515584
POSSEから直接返事もらったけど、基本的に俺は労働者保護に賛成だし擁護すべきだと思う。けども、それは真面目な労働者の話。仕事サボってパチンコしてたから解雇された、不当だっていう労働者まで擁護しないほうがいいんじゃないの?って思ってる。真面目な労働者のためにも
まったくそうなんですが、とはいえ現実はもう少し複雑という実例を。
これは、既に刊行された『日本の雇用終了』の一番最初の方に出てくる事例なんですが、有休とってパチンコに行って解雇になったという事例があります。
・30204(非女)普通解雇(12万円で解決)(40名、無)
会社側によれば、当日の朝「子どもが病気なので休む」と連絡があったが、当日パチンコ店にはいるのを目撃したため、勤務態度不良として解雇したもの。そもそも事前に休暇届を出しておらず、「有休とは認め難い」「単なる欠勤」との認識である。
本来有休の利用目的は自由であり、パチンコに費やしたからといって不利益取扱いが許されるわけではないが、使用者には時季変更権があり、それが行使不可能な申請には問題がある。実際には、本当に子どもが病気であれば看護休暇の代替として認容するのが普通であろうが、実はパチンコに興じていたことで、「態度」への怒りが噴出したとみられる。
なかなか難しいでしょう?
これを含む「年次有給休暇、育児休業の取得を理由とする雇用終了」についてのまとめコメントで、こう述べておりますが、
以上6件を通観して窺われるのは、「パートには有休はありません」「うちには有休はない」「2週間も有休を取るような無責任な人は、うちには要らない」「うちにはない。パートにはない」「パートに育児休業はない」等々と、労働法上に明記されているはずの労働者の権利が、中小企業の使用者の目には存在しないものと映っているらしいことである。こういった企業においては、使用者側にそもそも基本的な労働法上の権利行使に対する正しい認識が欠乏していることを窺わせる。こういった事態に対しては、一般的な労働法知識の普及啓発活動が必要であることはいうを待たない。
・・・一方で、日本的な職場の意識からすれば、有休を取ってパチンコに興じるといった行動は眉をひそめられるものであることも事実であり、また、正当な権利行使であっても当該労働者の日頃の「態度」が使用者側から低く判断されているような場合には、当該権利行使自体が「態度」の悪さの一徴表として捉えられ、悪い「態度」に対する制裁という使用者側の主観的意識のもとに、当該(それ自体としては正当な)権利行使に対する制裁として雇用終了といった事態が引き起こされる可能性が高いことも、法的な価値判断は別として、事実認識として受け止める必要のあることであると思われる。
この点については、上記今後の労働関係法制度を巡る教育の在り方に関する研究会」報告書においても、「社会生活のルールおよび基本的生活態度を身につけ、他者との良好な人間関係を構築するための『社会性・コミュニケーション能力』を高めることが、実際の職場における紛争の防止や解決に資する」と述べているところであり、いわば正当な権利行使をミクロな職場において正当なものとして通用させるために一定の「態度」が必要であるという現実の職場の事実についても、価値判断はさまざまであれ、銘記しておく必要があると思われる。
これもいささか奥歯にものが挟まったようなところがありますが、単純に「仕事サボってパチンコしてたから解雇された」とはいえないけれども、社会の現実としてはそう見なされてしまう構図もあるというわけで、裁判所に来ないどぶ板の世界にも、いろいろと複雑な論点が(引き出そうと思えば)いくらでもあるということがおわかりいただけるでしょうか。
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