フォト
2023年2月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28        
無料ブログはココログ

« 各論なき総論哲学者の末路 | トップページ | 紀伊國屋書店新宿本店 『POSSE』編集長が選ぶ!いまの時代を生き抜くフェア »

2012年4月10日 (火)

それは日本も同じ

金子良事さんのつぶやきに若干気になる点が・・・、

http://twitter.com/#!/ryojikaneko/status/189353670851301378

カステルの『社会問題の変容』を眺めていて、フランスもイギリスと同じく雇用関係の基層に奴隷制度があったんだなと思った。これが上昇するイメージ。これに対して日本は規範的には奉公制度で、元々武士の御恩と奉公が江戸時代初期に他の身分に移ったものだから、西洋と全く逆で上から下なんたよね。

いやだから、その点ではフランスもイギリスもドイツも日本も同じなんですよ。まったく同じ構造。逆にたぶん中国とかは違う。

まあそれを「奴隷制度」と呼ぶかどうかは別にして(歴史上別の現象に使われる用語をこっちに使わない方がいいとは思うけど)、日本法制史学者の瀧川政次郎の『日本労働法制史研究』(東京大学経済学部図書館蔵)の冒頭部分を若干引用しておきます。

・・・而して我が国に於いてこの半自由労働制の範疇に入るべき労働法制は、上代に於いては家人及び雑戸の制度であり、中世に於いては所従、従者、下人、名子、被管、候人、譜代、荒子等の名で呼ばれている譜代下人の制度であり、又近世に於いては、それらの名残なる譜代奉公人及び被管百姓等の制度である。即ちこれらの制度の下に労働を他人に提供する者は、いずれも上代の奴隷と同じように、その主人の権力下に隷属している者ではあるがその主従関係ないし終身奉公契約なるものは、亦雇傭契約が賃金を対価とする双務契約なる如く、主人の御恩と庇護を対価とする一種の労務契約であるといっても良いのである。中世の主従関係に於いて、この御恩なる語は、倫理的感情を意味せずして、所領の恩給を受けるという物質的恩恵を意味し、奉公なるものは、この対価に対する忠勤義務の履行であると考えられていた。・・・

・・・足利季世頃からそろそろ文献の上に現れてくる一期半期の所謂出替奉公人及び年期奉公人は、この譜代下人及び譜代奉公人の変化した者であって慶長元禄頃の出替年期の奉公人の性質は、譜代もののそれと大差あるものではないが、これは半自由の範疇に入れないで、自由労働者とする方が穏当ではあるまいかと私は考える。・・・

(追記)

金子さんがご自分のブログで論じられているのですが、今日は午前中、公共政策大学院の講義(労働力需給システム)があるので、とりあえず簡単にひと言だけ。

http://ryojikaneko.blog78.fc2.com/blog-entry-229.html(奉公、武士、規範)

江戸時代だけが関心で「近世以前は関係なし」というのなら、そもそも江戸時代の「奉公」は武家奉公であれ町方奉公であれ、近世的雇傭契約なのであって、中世的「ご恩と奉公」とは位相を異にしている。

中世的忠勤契約が近世的(身分的残滓を含む)雇傭契約に移行したという点で日欧共通と述べているのであって、それ以上のニュアンスを論じ出せば、各国ごとにいろいろ違うところが出てくるのはまた当然。

おそらくそのニュアンスの違いには、トッド的な家族構造の違いがなにがしか影響しているだろうという予感があるが、これは実証研究が必要なのでこれ以上書かない。

(再追記)

http://twitter.com/#!/ryojikaneko/status/189922182254706688

ただ、僕が考えたかったのは規範の問題で、事実レベルの問題ではなかったと書き終わった後で気付きました。整理せずに書いたのがまずかったです。

事実と規範は別次元じゃない。

江戸時代に中世的「御恩と奉公」の事実が希薄化してるのに、観念的な規範だけが空中を漂って近代以降の現実と化するなどということはありえない。というか、そんなことを論証するのは超絶的に難しいはず。

江戸時代の雇傭については、現在でもなお戦前『国家学会雑誌』に書かれた金田平一郎の「徳川時代に於ける雇傭法の研究」を超える研究はないと思う。

それから、職人の話はまた別。佐口さんがどこかで書いていたと思うが、西洋でも日本でも雇傭契約の原型は家内奉公であって、職人は請負契約の流れ。「なぜ、日本がブルーとホワイトが決定的に分裂しなかったか」じゃなくて、もともと別。

それが何でくっついてきたのか?が問うべき事柄。話の流れが逆では?

« 各論なき総論哲学者の末路 | トップページ | 紀伊國屋書店新宿本店 『POSSE』編集長が選ぶ!いまの時代を生き抜くフェア »

コメント

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: それは日本も同じ:

« 各論なき総論哲学者の末路 | トップページ | 紀伊國屋書店新宿本店 『POSSE』編集長が選ぶ!いまの時代を生き抜くフェア »