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2012年4月16日 (月)

『グローバルJAPAN』の提言

日本経団連のシンクタンクである21世紀政策研究所の『グローバルJAPAN』という提言が公表されました。

http://www.21ppi.org/pdf/thesis/120416.pdf

実は私もこれに、ほんの少しだけ関わっているんです。というのは、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/05/post-159c.html(日本経団連で海老原嗣生さんと初対面)

この委員会に海老原さんと一緒に有識者(?)として招かれて喋ったことがあるもので。

しかし、この7ページからの有識者ヒアリングリストもなかなか凄いですな。

さて、本報告書は「、学界、経済界、官界の英知を結集し、経済・産業・雇用、税・財政・社会保障、外交・安全保障の各分野において、各界の有識者との議論や、海外調査等を精力的に行い、今般、報告書として取りまとめた」というものですから、私ごときがその全体像を紹介するなど到底任に堪えませんが、関わるごく一部だけ紹介しておきます。

まず全体の目次

はじめに ・・・・・・・・・・・・・・・・・ P 1
グローバルJAPAN特別委員会名簿 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ P 4
研究体制 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ P 6
有識者ヒアリング一覧 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ P 7
Ⅰ.概 要 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ P 9
Ⅱ.2050年世界経済・日本財政シミュレーション ・・・・・・・・・・・・・・・・・ P13
1.世界経済シミュレーション ・・・・・・・・・・・・・・・・・ P14
2.日本財政シミュレーション ・・・・・・・・・・・・・・・・・ P26
3.補足 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ P28
Ⅲ.2050年の世界に影響を与える基本的変化と日本の課題 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ P29
1.世界の人口増、日本の人口減・高齢者人口の大幅増 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ P30
2.グローバリゼーションとITのさらなる深化 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ P32
3.中国を含むアジアの世紀の到来 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ P34
4.資源需給の逼迫 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ P36
Ⅳ.論点と提言 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ P39
-人材- ・・・・・・・・・・・・・・・・・ P41
論点と提言① 女性と高齢者の労働参加、生涯を通した人材力強化を促進せよ・・・・・・・・・ P42
論点と提言② 環境変化に対応した新たな人材を育成せよ ・・・・・・・・・・・・・・・・・ P44
論点と提言③ 教育現場の創意工夫と公的支援強化で抜本的な教育改革を実施せよ ・・・・・・ P46
-経済・産業- ・・・・・・・・・・・・・・・・・ P49
論点と提言④ 中国などアジア新興国の成長を取り込め ・・・・・・・・・・・・・・・・・ P50
論点と提言⑤ 日本の強みを活かした成長フロンティアを開拓せよ・・・・・・・・・・・・・・ P52
論点と提言⑥ 「ポスト3.11」のエネルギー制約を総合的に解決せよ・・・・・・・・・・・・・ P54
コラム(1) ITによる高齢者の活性化 -三重県玉城たまき町の「元気バス」- P56
-税・財政・社会保障- ・・・・・・・・・・・・・・・・・ P57
論点と提言⑦ 財政健全化は先送りせず、政府方針を守れ ・・・・・・・・・・・・・・・・・ P58
論点と提言⑧ 若者の信頼を回復し、安心で持続可能な社会保障制度を確立せよ・・・・・・・・ P60
論点と提言⑨ 高齢社会に対応した社会システムに地域为体で変革せよ・・・・・・・・・・・・ P62
論点と提言⑩ 所得格差・貧困問題は就業促進と所得再分配で緩和せよ・・・・・・・・・・・・ P64
論点と提言⑪ 国と地方の役割分担を見直せ ・・・・・・・・・・・・・・・・・ P66
コラム(2) 長寿社会に対応した街作り -千葉県柏市豊とよ四季しき台団地の街作りと生きがい就労事業- P68
-外交・安全保障- ・・・・・・・・・・・・・・・・・ P69
論点と提言⑫ グローバル・ガバナンス-「ルールに基づいた開かれた国際秩序」を維持せよ・・ P70
論点と提言⑬ リージョナル・ガバナンス-「安定し、繁栄するアジア」を強化せよ・・・・・・ P72
論点と提言⑭ ナショナル・ガバナンス-日本は「自助」と「共助」で安全保障を確保せよ・・・ P74
参考資料 ・・・・・・・・・・・・・・・・・ P79

提言と論点の一番最初に出てくる「女性と高齢者の労働参加、生涯を通した人材力強化を促進せよ」は、大変まっとうなことをまっとうに述べています。

まず冒頭で述べられる現状認識のまっとうさ:

日本は、2050年までに労働力人口が2,000万人以上減少し、第2章でも示したように経済に大きなマイナスの影響を与えることが予想される(第2章シミュレーションP16参照)。労働参加率向上による「労働の量」の確保と、教育・訓練を通じた「労働の質」の向上が不可欠だが、課題は山積している。重い子育て・介護負担が女性の能力向上・発揮機会を妨げたり、労働市場からの退出を余儀なくさせ、また中高年や高齢者の持つ豊かな経験やスキルが必ずしも活かし切れていないのが現状である。女性、高齢者の活用、労働参加率の向上は急速な少子高齢化の悪影響(人口オーナス効果)を抑制するための「切り札」になる。

これを解決するための提言をキーワード風にいうと

・ 女性労働参加率を高めるため、同一キャリアでもライフサイクルに応じて労働時間が自由に選べるようにせよ

・ 非正規雇用の雇用安定補償と均衡処遇、無業者へのアクティベーション政策で貧困問題に対処せよ

・ 海外から高度人材を積極的に受け入れよ

・ 人材育成は会社(上司)の責任であり「現場」の経験を通じた訓練・能力開発を重視せよ

となりますが、もう少し詳しく見ていくと、例えば女性については、

女性の労働供給率の年齢別推移をみると、日本は典型的なM字型になっており、30~40代の労働力率が諸外国と比較しても低くなっている(図表4-1-1)。育児、介護などでキャリアが断絶すれば、そこで人材力向上もストップしてしまう。正社員であったとしても、再就職する場合、正社員での復帰は難しくなることが多く、それがその後の能力開発機会を狭めてしまうという問題がある。こうした離職を少なくし、オランダ、ひいては、北欧諸国の水準まで30、40代の女性の労働力率を高めることができれば、少子高齢化によるマクロ経済への悪影響(人口オーナス効果)をかなり相殺することができる。そのためには、まず、オランダのように雇用者の希望で短時間とフルタイムをライフサイクルなどの事情に合わせて柔軟に選択できる仕組み(短時間正社員の活用)を導入する必要がある。また、保育所、保育ママなどの子育て支援サービスの徹底した充実、女性のみならず男性が育児・介護休業を取りやすい環境(休業時の所得補償拡大等)を整備すべきであり、将来的には北欧の環境に近づけていく努力が必要である。そのためには、政府や自治体が主体的に制度変更に取り組むべきである。

そして非正規雇用については、

「一億総中流」意識が強かった日本において貧困問題が徐々に表面化してきている。勤労者では男性では10人に一人、女性では7人に一人が相対的貧困層1であり、生活保護受給者も過去最高の207万人(2011年10月時点)を突破している。日本の貧困の実態を国際比較すると、貧困世帯の8割が就業者のいる世帯で、その比率は諸外国よりもかなり高い2。多くの先進国は無業が貧困の大きな問題だが、日本では働いても貧困から抜け出せないワーキング・プアの問題が深刻である。この問題に対しては、非正規雇用の中でも有期契約労働者の雇用安定、均衡処遇、訓練機会の付与、正規雇用への転換などの多面的な対処が必要である。特に、有期労働の「質」を向上させるという視点から、雇用不安定への補償については、契約終了時にそれまでの支払い賃金の一定割合(フランスでは10%)を支払う「契約終了手当」の導入を検討すべきである。また、均衡処遇を進めるために、ヨーロッパで一般的な「合理的理由のない不利益取り扱い禁止」の法的仕組みが必要である。さらに、低所得者を対象に「必要な人に必要な支援」という原則を徹底させるために給付付き税額控除の導入を進めるべきである(P65参照)。一方、日本の場合、無業の問題はそれほど深刻でなかったが、近年では失業者の中でも失業期間の長い長期失業者の割合が増えるとともに、リーマンショック以降、生活保護受給者の増加が目立っている。今後、長い目でみると、ワーキング・プアのみならず無業者をいかに就業させて貧困から脱却させるかが大きなテーマになるであろう。失業者に対しては、生活保護へ極力入り込まないようにするだけでなく、近年、ヨーロッパで取り入れられ一定の成果を出している「アメ」(カウンセラーの定期的なインタビュー、職業訓練、職業斡旋)と「ムチ」(職業訓練などの義務付けと従わない場合の失業手当の支給額・期間削減)を使った就業インセンティブ向上策である「アクティベーション」政策を体系的に整備していく必要がある。現在の「求職者支援制度」も就労インセンティブを高める方向で見直すべきであろう。

と、まことに立派な提言になっています。

この特別委員会の名簿が4~5ページに載っていますが、いずれも日本を代表する企業の錚々たる経営者の皆さまであり、日本経団連打って一丸となってこれが実行に邁進いただけるものと信じております。

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