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« 有期雇用改革と「多様な正社員」モデル実現のための、2つの課題 | トップページ | 『経営法曹』172号 »

2012年4月 7日 (土)

『DIO』270号

Dio連合総研の『DIO』270号が届きました。

http://rengo-soken.or.jp/dio/pdf/dio270.pdf

特集は「危機のなかの欧州労働運動」。

こんなラインナップです。

金融・経済危機のなかの欧州労働組合 松村 文人 …………… 5
ヨーロッパ社会民主主義再生への道 新川 敏光 …………… 9
ユーロ危機下の南欧労働運動 −スペイン・ポルトガルの場合 横田 正顕 …………… 13

先の『生活経済政策』の特集「厚い社会を守れるか—ヨーロッパの試練」もそうですが、現在のヨーロッパの状況は、西欧社民派系の人々にとってはやはりとても気になるところでしょう。

新川さんの言う

様々な問題を一挙に解決する魔法の杖は存在しない。しかも今日南欧の財政危機はEUの将来に暗い影を落としている。にもかかわらず、ヨーロッパ社民にとって再生の道は、一国主義的福祉国家の再建ではなく、各国福祉国家の固有性を尊重しながらも、国境を越えた社会的保護システムを構築する努力のなかにあるように思われる。
 そのために労働組合が果たしうる役割は小さくない。既に述べたように、政党政治には一国主義的な制約がきわめて大きいのに対して、労働組合は、労働市場の統合という現実を前に、否応なく国境を越えた組織化や連帯強化を求められているからである。労働組合がEUレベルでの組織化を一層強化し、ヨーロッパ市民社会の実体化を目指すならば、それは社民の将来を切り開く重要な鍵の一つとなるであろう。

が、なおまだ相当程度夢想的でしかない点に、やはり困難があるわけですが。

あと、今号には、先に亡くなった草野前理事長の最後の「巻頭言」が載っています。「」本稿は、草野理事長が生前、病床の中で書き残された最後の念いです」とのこと。合掌。


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コメント

欧州において社会民主主義が中道左派ならば、キリスト教民主主義が中道右派です。欧州では、ドイツのキリスト教民主同盟あるいはスウェーデンのキリスト教民主党など中道右派政党が政権の座にあります。

フランスの中道右派政党である民主連合、あるいはイタリアの中道右派連合もキリスト教民主主義の流れを汲んでいます。

欧州では何故“キリスト教”民主主義が主流の座にあるのか日本人には理解しがたいところですが・・・、政治から宗教色を排除する、信仰の自由を保障するという点で政教分離の原則は保たれています。

キリスト教民主主義は、欧州の伝統的(あるいは保守的)な考え方としてキリスト教的な博愛精神や道徳観が政治理念として織り込まれていると思われます。キリスト教民主主義は、人権や個人主義を重視するという点では自由主義と通底しますが、キリスト教精神に則して社会的連帯や福祉国家を擁護するという点で極端な自由主義とは一線を画しています。

福祉国家の擁護という点では社会民主主義と共通しますが、エスピン=アンデルセンによる福祉国家の分類でいうと、キリスト教民主主義的な福祉国家は保守主義レジームに立脚しているという点で、社会民主主義的な福祉国家とは異なっています。

社会民主主義レジームによる福祉国家が国家による普遍主義的なものであるのに対して、保守主義レジームは家族、地域共同体、職業組合、協同組合など、個々人のキリスト教的な精神に根ざした、自然発生的な社会的連帯によるものです。保守主義レジームでは、これらの自然発生的な社会的連帯を政府がサポートします。

筆者は、自律した個人のキリスト教的な精神に根ざした社会的連帯により共感を覚えます。国家による普遍主義的な福祉国家が上からの規則で律則された、単層的なものであるのに対して、保守主義レジームによる福祉国家は家族、職場、NGO、地域、国家、EUレベルにいたる多層的なものだからです。保守主義レジームでは、社会の様々な切り口における社会的な連帯が尊重されます。

東北大震災からの復興プランの作成にあたって、政府が住民の意見を聞かないで計画主義的に復興プランを立て実施していくよりも、政府のアドバイスあるいは支援のもとに地域住民が復興プランを立て、これを実施していく方がベターです。

宮城県の村井知事は、資金の調達や漁業者の高齢化の問題もあって民間企業を漁業に参入させる水産業復興特区構想を提案しています。地元の漁業組合は知事の提案を撤回するように要望していますが、村井知事は「撤回はしないで、理解を深めてゆきたい」と発言しているそうです。水産業復興特区の件に限らず、村井知事の独断的な進め方に対して、地元住民の反発の声が日増しに増えているようです。


欧州のキリスト教民主主義については、本ブログでも何回か取りあげたことがあります。
ご参考までに、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/post-7eaa.html">http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/post-7eaa.html(キリスト教民主主義と日本型システム)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/post-fc7a.html">http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/02/post-fc7a.html(自由民主党は社会民主主義政党か?)

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/post-4f9e.html">http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2009/03/post-4f9e.html(カトリック社会政策)

自律と連帯

前回のコメントで、欧州における中道左派の社会民主主義と、中道右派のキリスト教民主主義について述べた。そして、キリスト教民主主義から派生する、保守主義レジームとして類型される福祉国家では、家族、職場、NGO、地域、国家、EUレベルなど社会の様々な切り口で発生する社会的連帯を政府がサポートするとした。

筆者は、かつてhamachanブログがとりあげたNIRAの報告書『時代の流れを読む―自律と連帯の好循環―』にコメントを寄せ、「複雑系における自己組織化」に言及した。
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/04/post-4329.html

そして、社会システムを「複雑系における自己組織化」を擬え、「カオスの縁」において現れる自己組織化された社会はフラクタル(自己相似形)な構造を持つということを述べた。

フラクタル(自己相似形)な構造とは、部分と全体が入れ子のようにからみあう構造である。生命体はフラクタルな構造を持つ。一粒の種に植物全体が含まれ、一粒の種は成長して植物となり、植物は実を付けて種を再生産する。部分が全体を含み、全体が部分を含む。

システム論アーカイブの“フラクタルは複雑系か”において、フラクタルな構造の特徴について次のように言及している。

>1.全体を部分に還元することはできないが、規則に還元することができる。
>2.単純な規則を自己言及的に反復適用することから生まれる。
http://www.systemicsarchive.com/ja/a/fractal.html

全体を部分の寄せ集めに還元することはできず、(フラクタルな構造は)部分を自己反復的に構成する規則に還元されるという。社会システムは個人や大小様々な団体の単なる集合体ではなく、これらを社会として構成する理念(あるいは思想)に還元されるということである。社会を構成する個人が全体であり、自律した社会では個人が理念を共有する。

キリスト教民主主義はキリスト教を理念として共有する社会である。社会主義は国家から理念を与えられた社会である。

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