『日本の雇用終了』のご紹介 by 野川忍先生
例によって、ついーとで『日本の雇用終了』の重要なメッセージをご紹介いただいています。
http://twitter.com/#!/theophil21/status/189168136602398720
(1)濱口桂一郎先生の「日本の雇用終了」が発刊された(JILPT編)。これは、都道府県労働局における個別労働紛争あっせん事案の膨大な事例を分析した労作であり、解雇・退職に関する観念的・抽象的な俗論を排して、冷静で合理的な議論を促す非常に有益な文献である。
http://twitter.com/#!/theophil21/status/189169013916565504
(2)この本を読むと、「解雇規制が日本の雇用をゆがめている」などという見解がいかに根拠薄弱なイデオロギー的主張であるかが諒解される。解雇された労働者が裁判所に訴えて勝訴するというのは、全体の解雇事例の「珍種」であって、解雇の実態は経営者の「自由裁量」に近いことがよくわかる。
http://twitter.com/#!/theophil21/status/189169916522414080
(3)日本の企業の99%を占める中小企業では、解雇規制という規範はほとんどなく、むしろ経営者の裁量で解雇は自由にできる、という認識の方が支配的である。その結果、労働者は解雇の脅威の前に合理的な行動を抑制されている可能性が大きいと本書は示している。
http://twitter.com/#!/theophil21/status/189172038760546304
(4)本書350頁では、一部の経済学者による「解雇規制が合理的な雇用をゆがめている。」という主張は証明困難であり、逆に容易に解雇される脅威が労働者の行動をゆがめている可能性があることが示唆されている。職場の実感はこちらであろう。今後、冷静で合理的な議論が進むことを期待したい
今後、経済学サイドからの反応もあると嬉しいです。
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