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2012年4月26日 (木)

『グローバル化・社会変動と教育1 市場と労働の教育社会学』

9784130513173H. ローダー 編, Ph. ブラウン 編, J-A. ディラボー 編, A. H. ハルゼー 編, 広田 照幸 編訳, 吉田 文 編訳, 本田 由紀 編訳『グローバル化・社会変動と教育1 市場と労働の教育社会学』(東大出版会)を、訳者の広田照幸、本田由紀、筒井美紀のお三方よりお送りいただきました。ありがとうございます。

http://www.utp.or.jp/bd/978-4-13-051317-3.html

イギリスの教育社会学者たちが編んだ,定評あるリーディングス最新版の訳書第1巻.急速なグローバル化などマクロな社会変動が,各国の教育制度や政策に与えている影響を理論的・実証的に考察.巻末には日本の文脈で問題をとらえた編訳者による論文も収録.【全2巻】

下記の目次に見られるように、非常に広範な領域をカバーしている論集なので、私の論評能力を超えるのですが、

序 教育の展望―個人化・グローバル化・社会変動(ローダー、ブラウン、ディラボー、ハルゼー/広田照幸・吉田文・本田由紀訳)
1章 新自由主義・グローバル化・民主主義―教育の課題(M.オルセン/田原宏人訳)
2章 レトリックと実践のグローバル化――「教育の福音」と職業教育主義(W.ノートン、M.ラザーソン/筒井美紀訳)
3章 グローバル化・知識・マグネット経済の神話(ブラウン、ローダー、中村高康訳)
4章 知識経済の特徴とは何か?――教育への意味(D.ガイル/潮木守一訳)
5章 ヨーロッパの大学(A.H.ハルゼー/潮木守一訳)
6章 学生のエンパワメントか学習の崩壊か?――高等教育における学生消費者主義のインパク(R.ネイドゥ、I.ジャーミソン/橋本鉱市訳)
7章 学習社会における歴史・経歴・場所――生涯学習の社会学に向けて(G.リース、R.フェブレ、J.ファーロング、S.ゴラード/児美川孝一郎訳)
8章 教育の拡大が社会的不満をつなぐ――アラブ諸国における学校教育の文化政治(A.E.マザウィ/苅谷剛彦訳)
9章 ワシントン・コンセンサスからポスト・ワシントン・コンセンサスへ――国際的な政策アジェンダがマラウイの教育政策・実践に及ぼした影響(P.ローズ/浜野隆訳)
個人化・グローバル化と日本の教育――解説に代えて(広田・吉田・本田・苅谷剛彦)

わたくし的に興味をそそられたのは、筒井さんが訳された第2章でした。ここでいう「職業教育主義」(ボケーショナリズム)は、編者である広田さんが神野・宮本編『自壊社会からの脱却-もう一つの日本への構想』(岩波書店)所収の「学校の役割を再考する-職業教育主義を超えて」において論じていて、その本の紹介の時に本ブログでも取り上げていますので、もしかしたらご記憶の向きもあるかと思いますが、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/02/post-91a1.html(職業教育主義は超えられるか?)

この論文では「ハイパー職業教育主義」としていささかカリカチュアライズした姿をこう描き出しています。

・・・このおぞましい世界では、ルーティーン化された労働向けの、幅の狭い仕事のスキルにしか関心が払われない。生徒・学生たちは、就職に即役立つ授業はどれだろうと考えて、芸術や人文科学、その他あらゆる一般教育科目といった「余分な飾り」を避けるようになる。雇用主は、彼らの生産向けに限定的に仕立て上げられた特殊的スキル-特定の学歴・視角を通して保証されたスキル-を求める。そして幅広い職業的なプログラムも幅広いアカデミックなプログラムも。いずれも-おそらくエリート学生向けのそれを除いては-消滅する。なぜなら、それらは役立つとはみなされないからだ。・・・

これが、とりわけ人文系知識人にとってリアルな脅威であることも確かであると共に、ハイパーどころか、ローキーの職業教育主義すら力をふるえていない日本の姿からすると、何とも言えない複雑な感想を抱かざるを得ないところもありますね。


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