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有期から無期への転換に伴う労働条件の引下げ

欧州司法裁判所が3月8日に出した判決は、有期契約の無期契約への転換に伴う労働条件の引き下げは許されるかという興味深い問題に答えを出しました。

http://curia.europa.eu/juris/document/document.jsf?text=&docid=120125&pageIndex=0&doclang=en&mode=req&dir=&occ=first&part=1&cid=45924

事件はフランスのブルターニュ西洋大学で有期の研究員として6年間勤続した原告マルシャル・ユエさんが、無期契約に転換する際に、それまでの研究員から調査員になり、給与も引き下げられたことが問題となったものです。

Clause 5 of the framework agreement on fixed-term work, concluded on 18 March 1999, which is set out in the Annex to Council Directive 1999/70/EC of 28 June 1999 concerning the framework agreement on fixed-term work concluded by ETUC, UNICE and CEEP, must be interpreted as meaning that a Member State, which provides in its national legislation for conversion of fixed-term employment contracts into an employment contract of indefinite duration when the fixed-term employment contracts have reached a certain duration, is not obliged to require that the employment contract of indefinite duration reproduces in identical terms the principal clauses set out in the previous contract. However, in order not to undermine the practical effect of, or the objectives pursued by, Directive 1999/70, that Member State must ensure that the conversion of fixed-term employment contracts into an employment contract of indefinite duration is not accompanied by material amendments to the clauses of the previous contract in a way that is, overall, unfavourable to the person concerned when the subject-matter of that person’s tasks and the nature of his functions remain unchanged.

つまり、有期が転換した無期契約は従前の契約の主な条項をそのまま再現しなければならないわけではないけれども、指令の目的からして、労働者の任務や役割が変わらない場合は不利益とならないようにしなければならないということのようです。

いま法案要綱が審議会にかかっている有期契約にかかる労働契約法改正案と比べると、EUと日本の違いがよく窺われて興味深いところです。

EUではそもそも、有期は無期より不利益に取り扱われてはいけないのですが、有利であってはいけないとは書いてない。だから、有期が無期になって労働条件切り下げっての理屈の上ではもありなんですね。

逆に日本では、今回不合理な取り扱い禁止指定が初めて盛り込まれていますが、ふつうの感覚では有期の方が無期より労働条件が下なので、逆に有期から無期への転換の規定に、労働条件は同じよというのが入ると、ケシカランという声が出てきたりするわけです。

なんだか逆向きに似たような話がよく考えるとやっぱり似ていないような話ですね。

http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000001z63l-att/2r9852000001z67j.pdf(労働契約法の一部を改正する法律案要綱)

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