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2012年3月13日 (火)

生活保護と「異性との生活禁止」 

確かに、性生活をどうするかは個人の自由であり、それと生活保護を受給することとは何の関係も本来ないわけです。

http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/news/CK2012031302000182.html(「異性との生活禁止」 生活保護申請で誓約書)

京都府宇治市の職員が、生活保護を申請した母子世帯の女性に対し、異性と生活することを禁止したり、妊娠出産した場合は生活保護に頼らないことを誓わせたりする誓約書に署名させていたことが十三日、分かった。

 市によると、誓約書は、ケースワーカーが個人的に作成し、母子世帯のほか、外国人などへの誓約事項を列挙。「日本語を理解しないのは自己責任。仕事が見つからないとの言い訳は認められない」とも書かれていた。市は不適切だったとして、関係者に謝罪した。

 生活支援課の三十代の男性ケースワーカーが署名させていた。「受給中はぜいたくや無駄遣いをせず、社会的モラルを守り、節度ある生活をすることを誓う」「書類の不備が複数回発生した場合には自己責任なので、廃止を踏まえた処分は貴職に一任する」とも書かれていた。

とはいえ、現実の生活保護の運用は、まさにシングルブレッドウィナーモデルを前提として、稼いでくれる亭主が居ない「から」母子家庭は類型的に扶助の対象者にしてきたこともまた確かなわけです。

厳密に言えば、異性と生活することと、その異性に扶養されることとは別のことであり、日本国の法体系が男女に何の違いもつけていない以上、生活保護を受給している父子家庭に女性が同居したのと同じ扱いでなければおかしいはずではありますが、さはさりながら世の中の常識はそのようには物事を見るようになっておらず、「男が居るのに、何で生活保護なんか出しているんや」という批判が吹き出す危険性が常にあるわけです。そのような世間の目にさらされている地方公務員が、突然わき起こるかも知れないバッシングの鳥の羽ばたく音に怯えて、先手を打ってこのような行動に出たことは、是非は別として、人間学的に了解しうることであることもまた確かでしょう。

生活保護という制度はとりわけ「民意」に揺られる、というよりむしろもみくちゃにされる傾向のある制度であり、そういう事態が現在既に相当程度進みつつあるように見えるところでもありますし。

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コメント

そもそも保護すべき理由や、制度的に保護された利益というものに無関心なのではないか?、という感想・疑問を持ちました。
濱口先生のような深読み能力は私にはありませんが、公務員の方の行動原理としては、殆ど無意識的(尤も濱口先生の仰せの通り、そのような社会的に抑圧された深層心理がきっとあるのでしょうが・・)に、方程式を解くように“この場合はこうすると問題が解ける”式に、当てはめ(定常化していた)で物事が運んでしまったように思えます。だから余計に怖い話に思えます。
こういう対応は、良くも悪くも、ある種の「担当者バイアス(個人特有のバイアスではない)」だと言えなくもないのではないでしょうか。尤も、そのほうが効率がよく合理的な仕事も確かにあるでしょうけれど。
もしかして生活保護だけでなく、いろんな部署の担当者にあるかも知れないような・・・。と、言うのも私のバイアス(いや妄想?)かも、ですね。

異性との交際自体は問題ありませんし、誓約書自体には意味がないと思いますが、むやみに妊娠を繰り返して、教育訓練や就労の妨げとなったり、扶養や監護ができる見込みもない子をつくったりする被保護者もいるので、そのようなことがないよう指導したり、場合によっては保護を停止・廃止したりすることが合法的な場合もあり得るような気がしますが。

>むやみに妊娠を繰り返して、教育訓練や就労の妨げとなったり、扶養や監護ができる見込みもない子をつくったりする被保護者もいるので、そのようなことがないよう指導したり<
あ~なるほど、そのようなお考えの方もおられるのですね。
なお僭越ながら、私としては、“私事”に行政機関が介入するのは、出来るだけ自制的というか厳格に判断してもらいたいと思う次第です。
この事件を知って私が考えたことは、仮に社会性が足りないような受給対象者がいて、指導すべきときは、当該受益者と給付側という対立する利害関係者が直接対峙しないようなシステムが必要だと思います。尤も、ケースワーカー(ないし福祉事務所)という制度も、本当は給付側の利益代表ではない筈なのですが、「予算を握る側の代理人」だという認識・認容が強いのだろうと思います。もしかすると、職員には普段からそういうプレッシャーがあったのではないでしょうか。

ところで「朝日訴訟」以来、社会保障は広い立法裁量(その一部は執行権者が裁量権を持つと)であるとの理解が進んできて、具体的権利になるためには、制度の精度(←おやじギャグじゃありませんよ!)というか、法律の密度を高くして受給側・給付側双方にギュッと縛りをかけていくしかないんでしょうね。きっと。

出会い系のシングルマザーたち
http://blogos.com/article/35103/

生活保護のスティグマ

生活保護取得のために偽装離婚して,実体はなにも変わらないのに生活保護をもらえるようにしたりとか,生活保護のお金がひもみたいな男に使われるのが問題なのでは?
生活保護費はフードスタンプにすべきだと思う(前者の解決にはならないが)

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