『季刊労働法』236号は集団的労使紛争特集のようです
今月半ばに刊行される『季刊労働法』236号の簡単な案内が、労働開発研究会のHPに載っています。
http://www.roudou-kk.co.jp/quarterly/archives/004999.html
●今号では、集団的労働紛争解決の実態を見つつ、労使関係立法の改革について検討します。アメリカ、イギリス、ニュージーランド、フランス、ドイツ、イタリア、中国の実情から日本が得るべき示唆は何なのか。そのモデル構築への一助になる論稿を並べます。
ということで、次のような論考が載るようです。
特集
紛争解決システムと労使関係立法改革本特集の趣旨
―集団的労働紛争解決システムの理論構築
九州大学教授 野田 進
アメリカにおける集団的労働紛争の解決システム
一橋大学教授 中窪裕也
イギリスにおける集団的労働紛争解決システムの実態
――ACASとCACの役割を中心に
久留米大学准教授 龔敏
ニュージーランドにおける労働紛争解決システム
―あっせんを基本とする解決システムと運用実態
山口大学講師 新屋敷恵美子
ドイツにおける集団的労使紛争処理システム
立正大学准教授 高橋賢司
フランスにおける集団的労働紛争の解決
―制度と実態の乖離― 野田 進
イタリアにおける集団的労使紛争解決制度
姫路獨協大学講師 大木正俊
中国における集団的労働紛争の実態とその解決手続きの課題
九州大学大学院准教授 山下 昇
ここ数十年来個別労使関係にばかり焦点が当たっていましたが、最近ようやく集団的労使関係に関心が向けられて来つつあるようで、それも新しいトピックとしての従業員代表制関係の話だけではなく、どちらかというと古くさい話と見られてきた集団的労使紛争の問題が、大特集として取り上げられるというのは、近年ではかなり珍しいことのように思われます。
上の短文だけでは、どういう問題意識でこの特集を組むことになったのかよく分からないところもありますが、わたくし個人としては、今月刊行される『日本の雇用終了』の中でも述べていることですが、同じ企業や事業所から複数の労働者が同じ理由で解雇されたというような、本来的には集団的労働問題であり、集団的労使紛争解決システムを通じて解決していくべきような事案が、結構「個別紛争」として複数労働者同時にあっせん申請されるというようなこともあり、「個別から再び集団へ」という問題意識は持っているところです。
いずれにせよ、今月半ばには出るでしょうから、その時に読みましょう。
そのほかの記事は、概説だけで、具体的に誰が何を書くのかは載っていませんが、
第2特集では高齢者雇用について考えます。「今後の高年齢者雇用に関する研究会」の報告書から見る今後の政策の在り方や、継続雇用をめぐる判例の整理とその課題について論じます。また、高齢者の就労と「社会的企業」、「中間的な労働市場」といった問題点にも迫ります。
連載・ローヤリング労働事件では、労働側の立場から労働審判について検討します。
実をいうと、わたくしの連載の「労働法の立法学」でも高齢者雇用について取り上げており、第2特集と見事にぶつかってしまったようです。まあ、第2特集の一環としてもお読みいただければ・・・。
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