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2012年3月16日 (金)

非正規労働者の処遇制度の確立に向けて@『生産性新聞』

『生産性新聞』3月15日号に、「非正規労働者の処遇制度の確立に向けて」というタイトルの下に、本田一成さんと私のエッセイが載っています。

本田さんの方は先日のシンポジウムでもいわれた労組労供の話が中心です。

それに対して私は処遇問題に焦点を当てております。

http://homepage3.nifty.com/hamachan/jpchiseiki.html

昨年12月26日に労政審の労働条件分科会が「有期労働契約のあり方について」建議を取りまとめ、その中で「期間の定めを理由とする不合理な処遇の解消」についても言及した。雇用均等分科会も現在パート労働法の改正について報告を取りまとめつつあるが、通常の労働者との均等待遇の確保がその中心的論点となっている。昨年末に与野党で修正され継続審議となっている労働者派遣法改正案にも「均衡を考慮した待遇の確保」という規定が盛り込まれている。

このように、雇用形態別にばらばらに進められてきた非正規労働者の処遇問題について、行政として初めて包括的な観点からアプローチしたのが、昨年7月に報告書をとりまとめた「雇用形態による均等処遇についての研究会」である。これは厚生労働省の依頼に基づき労働政策研究・研修機構が開催したもので、荒木東大教授を座長に若手研究者を集めたこの研究会に、筆者も委員として参加した。

この報告書は、EUの法制度を踏まえて、性別など個人の意思や努力で変えられない属性に基づく差別を禁止する同一労働同一賃金原則と、当事者の合意で決定できる雇用形態の違いによる異なる取扱いに適用される不利益取扱い禁止原則を区別し、後者については客観的(合理的)理由の有無で判断されるが、その際使用者に説明責任を負わせていることを明らかにし、「このような仕組みは、正規・非正規労働者間の不合理な処遇格差の是正及び納得性の向上が課題とされている日本において、示唆に富むものと考えられる」と述べた。

現行パートタイム労働法の差別禁止の規定は、職能給という特定の賃金制度を所与の前提に差別概念を構築しているが、法律上はいかなる賃金制度を採ることも可能であることを考えると、問題があると言わざるを得ない。一方で、欧米型の職務給を前提にした差別概念をそのまま適用すれば、日本の職場の多くは大混乱に陥るであろう。その意味では、いかなる賃金制度を採るにせよ、その土俵の上で異なる取扱いにきちんと合理性が説明できるかどうかをメルクマールにするという発想は、人事労務管理が変化しつつある今日にふさわしい法規制のあり方であろうと思われる。この考え方をパートタイム労働者のみならず、有期契約労働者や派遣労働者にも広げていくことで、非正規労働者の適切な処遇制度を確立していくことが可能となるであろう。

もう一つ重要な論点として、差別や格差の問題は突き詰めると納得性の問題であるという点がある。労働関係における納得性の根拠は集団的枠組みにおける合意、言い換えれば「産業民主制」にある。非正規労働者の処遇がすぐに法規制の問題になるのは、集団的な「納得」の枠組みで解決する土俵がほとんど構築されていないからという面があるのではないか。自分たちの関わらないところで決められたルールが一方的に適用されることの不合理性を訴えているのではないか。この論点からは、非正規労働者も含めた集団的労使関係システムをどのように構築すべきかという、さらに大きな政策課題が浮かび上がってくる。

違う論点を扱いながら、両者とも最後は労働組合の話になってくるというところが面白いですね。

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