高齢者雇用の現実と2030年高齢者労働市場の創出@AGING FORUM 2011
昨年11月10日に、目黒雅叙園で開かれた「AGING FORUM 2011」に出席し、若干喋ってパネルディスカッションにも参加しましたが、
http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/09/post-5cb9.html(エイジング・フォーラム2011@目黒雅叙園)
その時の資料に載ったわたくしのメモランダムが、日経BPネットに掲載されていたようです。
http://www.nikkeibp.co.jp/article/gdn/20120227/300459/?P=3(健康年齢から考える 高齢者労働市場 その雇用、就労 高齢者雇用の現実と2030年高齢者労働市場の創出)
高齢者労働市場の創出に向けて
現状の仕組みは維持不可能
養う人と養われる人のバランスが著しく崩れること、これが超高齢社会の問題だ。前提条件となる人口構造が根底から覆るのだから、現状のシステムをそのまま維持することはできない。かといって長生きを否定するわけにはいかないので、高齢化が悲劇につながらないようシステムを設計し直す必要がある。
労働政策で言えば、実はすでに答えは出ている。社会全体のお金の流れについて、「もらう側を少なくし、払う側を多くすること」。これしかない。いま年金や医療保障、介護などの社会的贈与を受けている人たちに、今後は税金や社会保障を払う側に回ってもらう。
ただマクロの方向性が決まっていても、それを具体策レベルに落とし込むのは至難の業だ。企業も、働く高齢者の側も、それぞれ思惑は違う。年寄りが増えたからといって、企業は高齢者にどんな労働力を求めるのか。平均寿命が延びる中で、高齢者はどのように働けばいいのか。いくら元気な高齢者が増えるといっても、30代や40代のような働き方はできないはずだ。
立場により異なる最適解のすり合わせ
幸い諸外国と比べれば、日本の高齢者は働く意欲が強い。その意欲を生かす政策が求められる。但し、高齢労働者は働きたいとは思うものの、いつまでも働き続けたいわけではない。どこで線引きするかがポイントだ。一方、企業は高齢者雇用の重要性は理解しているものの、自社の負担は可能な限り減らしたい。しかも日本企業で求められる労働は、かなりハードだ。立場によりそれぞれ異なる最適解のすり合わせが求められる。
ヒントはある。中小企業は以前から高齢者を活用してきた。高齢者雇用に関しては中小企業の持つノウハウが参考になる。サービス業や小売業などの顧客接点も、高齢者を活かせる場だ。今後も成長が期待できるこうした業界で、人生経験豊かな高齢者を起用することは考えられて然るべきだろう。そのとき忘れてはならないのが、現状とはおそらく異なる「今後の女性高齢者」を活用する視点だ。
いずれにしても2030年にあるべき社会像は、もうほぼ見えている。その社会を実現するための打ち手に、それほど多くの選択肢はない。
企業と高齢者が異なる利害関係の中で、どう折り合いをつけていくのか。高齢化に関して世界のトップを走る日本のソリューションは、これから日本と同じ道をたどるアジア諸国などにとって貴重なノウハウとなるはずだ。
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