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2012年2月 4日 (土)

TPP:その危惧は杞憂だと思われます

労働弁護士のささきりょうさんが、ツイッターでTPPと労働基準にかかるあるやりとりを引用して、「やばい」と危惧の念を表していますが、どうも危惧の方向がずれているのではないかという感がします。

http://twitter.com/#!/ssk_ryo/status/165394913855410176

>「2011年12月14日米国下院歳入委員会貿易小委員会 TPPに関する公聴会」の議事録と思しき書面の中で、ドゲット議員とかいう人と、マランティス米国通商代表部次席代表とかいう人のTPPにおける労働基準に関するやり取りがやばい。でも、この議事録が本物なのかどうかが分からない・・・。

http://twitter.com/#!/ssk_ryo/status/165395823050506242

>部分的に書き起こすと次の通り。:マランティス次席代表「我々はTPP参加国全てに1つの基準を適用することを交渉しようとしている(後略)」 ドゲット議員「つまり、全ての国に対して同じ労働基準、同じ環境基準を期待しているということか。」 マ「然り。」 (続)

http://twitter.com/#!/ssk_ryo/status/165396385007538176

>ド「特定の国に対して、例外あるいは別のアプローチが認められることはないのか。」 マ「ない。」 ド「全ての論点についてか。」 マ「然り。全体に渡って単一の基準を作り出そうとしている。」(終わり)  

http://twitter.com/#!/ssk_ryo/status/165396661865152512

>やばい。

何がどう「やばい」のかが書かれていませんので、推測するしかありませんが、ささきりょうさんが労働弁護士(日本労働弁護団の事務局長)であることを前提とすると、その立場から「やばい」というのは、日本の労働基準が他のTPP諸国並みにまで引き下げられるという趣旨で言われているように思われます。

これは、農業をはじめとするさまざまな分野において、TPPが規制緩和的な方向へのベクトルを持っていることを考えると、自然な反応のように思われますが、実は、労働基準については、そのベクトルは逆向きです。

この点については、以前本ブログで金属労協の声明を引用して説明したことがありますが、

http://eulabourlaw.cocolog-nifty.com/blog/2011/10/tpp-a0fb.html(金属労協のTPP早期参加論)

>>現行のTPPでは、労働に関する覚書が締結されている。ILOの中核的労働基準(結社の自由・団体交渉権、強制労働の禁止、児童労働の廃止、差別の排除)を確認し、加盟国にこれに則した労働法や労働政策を求めるとともに、貿易や投資奨励のための労働規制緩和は不適切であることを規定している。
 TPPは、新興国・発展途上国の勤労者にとって、経済成長に見合った生活水準の向上を実現する上で、きわめて重要な役割を果たすことになる。

つまり、上記やりとりで確認されているのは、アメリカから見て低い労働条件のTPP参加諸国に対し、「1つの基準を適用することを交渉しよう」「全ての国に対して同じ労働基準、同じ環境基準を期待し」「全体に渡って単一の基準を作り出そうとしている」という趣旨である可能性が高いと思われます。

傍証として、その2011年12月14日米国下院歳入委員会貿易小委員会 TPPに関する公聴会の簡単な記録(英文)がここに載っていますが、

http://infojustice.org/archives/6556

上のやりとり自体はありませんが、「労働」については、

Labor

Chairman Brady urged the administration to follow the approach in recent trade agreements relating to labor, emphasizing that if the administration goes beyond recent trade agreements, it might jeopardize Congressional support for the TPP.

Marantis responded that regardless of subject, the administration is trying to ensure that the TPP address the concerns that businesses and workers face in the 21st century economy. USTR has not yet tabled a proposal on labor, and hope to table a proposal before the end of the year.

となっています。

ちなみに、ロイド・ドゲット議員はテキサス選出の民主党議員で、そのホームページを見ると、いわゆるアメリカのリベラル派(つまりヨーロッパで言う社民派)であるようです。

http://doggett.house.gov/index.php?option=com_content&view=article&id=209&Itemid=62#trade

いや、TPPそれ自体についてのさまざまな分野における危惧の念はそれとして、少なくとも上記でやりとりされている労働基準に関する限り、労働弁護士であるささきりょうさんが「やばい」といわなければならないような方向性のものではないのではないか、というだけのことですが。

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