フォト
2020年4月
      1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30    
無料ブログはココログ

« 偽装「元総務官僚」による誹謗中傷の一件 | トップページ | TPP:その危惧は杞憂だと思われます »

2012年2月 4日 (土)

岩波書店と新卒採用問題

なにやら、岩波書店の新卒採用募集が話題になっているようで、労務屋さんも取り上げています。

http://d.hatena.ne.jp/roumuya/20120203#p1

世間ではやや情緒的な取り上げ方が多いようですが、率直に言えば労務屋さんのこの指摘に尽きるでしょう。

>まあ従業員数200人の企業が若干名を採用するということなら十分ありうる話でしょう。

思うに、岩波書店(に限らず出版社一般に言えることかと思いますが)について、情報の非対称性が著しいということなのでしょう。

ふつうの業種で従業員規模200人の中小企業であれば、最近は崩れてきたとはいえ、かつてなら県立職業高校と密接な実績関係を持ち、そこの先生から間違いのない生徒を数人送り込んでもらうというのが一般的なやり方であったと思われます。

それくらい労働市場をセグメント化することで、労働供給側も労働需要側も、あまり無駄なコストをかけることなく、それぞれに応じた労働需要者、労働供給者を見つけることができていたわけで、そんな中小企業までみんなリクナビだのマイナビだのという膨大な大海に漕ぎ出さなければならなくなったら、そのコスト負担に悲鳴を上げてしまうでしょう。

実をいえば、近年の就活問題の深刻化は、猫も杓子も大学に進学するようになり、セグメント化された労働市場が縮小し、みんな大海に漕ぎ出さなければならなくなったことに一つの原因があるわけで、ある種の「実績関係」というのは、労働市場で決して強い立場にない中小企業やそこに就職する人々にとっては有用な仕組みでもあったわけです。

ただ、そこが情報の非対称性で、岩波書店(に限らず出版業界)というのは、規模では中小企業であるけれども、とりわけ大学生にとってはきわめて「有名」企業になってしまうんですね。だから、たった数人の募集に千人以上がドット押し寄せてくる。

トヨタから見れば、子会社ですらなく、孫請けくらいの規模でしょうが、著名度ではトヨタと並ぶ。「有名」企業だと思って、猫も杓子も応募してこられた日には、タダでさえ足りない従業員を対応に割かねばならず、仕事にならない、というのは、いかにもありそうなことではあります。

世間を見ていると、こういう醒めた労働市場的な眼で論じているのは労務屋さんくらいで、皆さんそれぞれに岩波書店に思い入れがあるんだなあ、ということがよく分かりました。

« 偽装「元総務官僚」による誹謗中傷の一件 | トップページ | TPP:その危惧は杞憂だと思われます »

コメント

なんちゅうか橋下流で

「民間では当たり前!」

「民間ですから!」

でいいと思いました。

公務員の採用試験じゃあるまいし、なんで厚生労働省まで乗り出すの?ってな。

出版社って企業規模では中小企業ですもんね。

「社員数が少なければ縁故採用もOK」というわけではありませんね。社員数が少なかろうとも岩波はあの岩波ですから。しかし、これは、関係者の推薦が必要という話であり、取引先の重役の子息を能力・適性と関係なく採用するという、問題となる縁故採用とは異なるものです。某巨大掲示板の反応をみるとこのあたりをごっちゃにしているように感じます。コネというものを求人市場から廃するとなると、学校推薦もNGになりますし、OB訪問もNGになってしまいます。しかしながら学生の身分で岩波の関係者とのコネを築くというのは高いハードルには違いありませんが。

岩波というと数ある出版社の中でもとりわけ良識というか正義と言うか、そういったイメージで売ってきた出版社なので、そのような会社がこういった閉鎖的なことをするとダブルスタンダードに感じてしまうのも分かります。同じような話は国や地方自治体にも言えまして、国は労働市場から年齢制限を撤廃しようとする一方で、公務員の採用には年齢制限を設けていたり、非正規労働者の増大を問題視する割には、非正規雇用をバリバリに活用していたりします。古くは、吉田兼好は著書の徒然草では「出家したい」としきりに述べていながら、実際はしていなかったりします。

「正義」を売り物にして商売するのは大変ですね。

くまさん様

> 学生の身分で岩波の関係者とのコネを築くというのは高いハードル

岩波の「著者」は論文集や雑誌への寄稿者を含めると、大学業界には文字どおり山といます。小規模・マイナー大学でも探せば数人は見つかると思います。意外とハードルは低いです。

応募要項からは重みが今ひとつよく分からないので、「紹介状」を書くかどうかは人それぞれでしょう。それゆえ学生の「心理的側面」からするとハードルが高いというのは分かりますが。

素人ゆえ僭越ですが、問題があるとすればやはり大学教授なんかの胸下三寸(尤も、現にあることはあるでしょうが・・)でことが運んだり、門をたたくことさえ出来ない学生がいるということではないかと思います。

きれいごとですが、労働市場の公共性には反するのかな、と。エントリーを絞り込むのが面倒なのなら、ハローワークに求人票を出して整理してもらって、そこからチョイスすれば幾らかてまははぶけるようにも思いますし。めぼしい学校(学校は職業安定機関の権限もあるわけで・・)に求人して、形式的にはそこの推薦でもって絞ってもらえば、まあ色眼鏡がないこともないでしょうが、これも幾らかの手間は省ける方法だと思います。

あと、岩波が出版界の大御所だと認識されているのは間違いないと思いますので、「(言論の)自由」だの「思想の自由市場」だのといった恩恵を受けているし、この先もその恩恵を受けるのに、その利益に対する責任の放棄だろ!、という声はあろうかと思います。

問題提起としては面白いと思います。大学は職業安定機関の権限が委任されているけれど、そこの先生個人には委任されてはいないわけですし。
“あの出版社には大学の先生とか著者の口利きでしか入社できないんだって!”・・・“じゃ買うの止そう”、っていう大学生が増えるかもしれません。思想の自由市場ですし。

コメントを書く

コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 岩波書店と新卒採用問題:

« 偽装「元総務官僚」による誹謗中傷の一件 | トップページ | TPP:その危惧は杞憂だと思われます »